103 善と悪の果実
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やぁ、ジョセフ殿。 そんな青白い顔でこのような場所に、いかがしました?
[僕を見詰める眸。 それは怯え、恐怖、畏れ。 そして隠しきれぬ…――殺意。]
怖いですか? 殺人鬼がこの屋敷の中にいることが。 外堀を狂犬に囲まれていることが。 不相応の場所に落ち着きなく在ることが。
それとも――…
[背に手を翳す。 昨夜盗んだ果物ナイフが、抜かれる。]
(202) 2012/09/28(Fri) 01時半頃
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[上機嫌な様子で、水晶のカフス釦を眺めると 光へ透かしたり、高名な職人の精緻な細工を確かめた。 蒐集家の夕闇伯が身に着けていた物だ、極上の品に相違無い]
高く売れるのは間違いないな。素晴らしい。
[右手のポケットには真鍮の懐中時計。 左手のポケットには屋敷内で盗んだ宝石類が幾つか。 そして懐には、昨晩分解して整備した、愛用品が収まっている。
撃鉄の先端に燧石が据えられた時代遅れのフリントロック。 撃鉄、当たり金、火皿は色褪せた銅の輝きを保ち 銃把と共に精緻な唐草模様が象嵌されているレトロな物。 少し変わっている部分といえば、銃身が三つあることだろうか。 鉄条を束ねたように 緩く螺旋を描く銃身は、同時に三発の弾を吐き出す。
足音は聞こえない。 ただ、余分な荷物を持っているせいか ちゃらりと響く移動音を立てながら、夜を待った**]
(203) 2012/09/28(Fri) 01時半頃
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こ の 、 僕 が ?
[ギラリと刃は煌めく。 まるでその輝きは、失われた林檎のように。]
その眸、やめてほしいなぁ。 僕を気持ち悪い生き物みたいに。
…――大嫌いなんですよね、そういう眸。
だから僕の為に、死んでくれません? ……“狼に噛まれた”とでも思って下さい――ッ!!!
(204) 2012/09/28(Fri) 01時半頃
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[駆け出す小さな身体。 濡れた烏の眸を見開いて。
ナイフは確実に喉元を狙う。 飛び上がり、突き付け。
三階からの騒音は階下へ届くのだろうか。
握りしめた銀が貫いたのは―――……**]
(205) 2012/09/28(Fri) 01時半頃
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―――――…ふふふ。
[喧騒を、血を流すまでに至った男たちの争いを、 視界に収めつつもなお、学者はただ微笑みを浮かべた。
歪な和やかな空間]
レディ、ポーチュラカ。 貴女様が信じるか否かは、分かりませんが。
一つ、私の大切な秘密を教えてあげましょう。
(206) 2012/09/28(Fri) 01時半頃
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靴磨き トニーは、メモを貼った。
2012/09/28(Fri) 01時半頃
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[のばした手にそっと蝶を握らせて。 頭を撫でながら、囁く言の葉]
この蝶は私が両親と別れた折、頂いたもの。
…世界に1対、2羽しかない蝶細工。
もしも貴女様が、この蝶に見覚えがあるのならば。
ミス・ポーチュラカ・ブロワ。 貴女様は、私と血の繋がりのある――――…。
(207) 2012/09/28(Fri) 01時半頃
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―階段―
[ひとつところに人が集まってでもいるのだろうか。 男が通ってきた廊下に人影はなく、手摺に掌をかけて見上げた階段にも、誰の気配もない。
一度、辺りを見回した後、男は広く長い階段をゆっくりと登って行く。
暫く、自室にいたままで迷っていたが。 黄金が盗まれただけではない。 殺された女主人の遺体がそこにあるとなれば、何もせずに見過ごすだけも出来なくなっていた。
正義漢などではない。 何年も警官として生きてきたのだ。 その習性のように動く頭と、脚と、そして、僅かに残る使命感めいたもの。 失ったと思おうとも、消えはしない。
男が、その部屋に辿り着くのは。
―― 全てが終わった後だっただろうか。**]
(208) 2012/09/28(Fri) 01時半頃
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[蝶を握った手に力が篭る。 精巧な細工は、幼く柔らかい手を僅かに傷つけ痛みを与えた少しばかりの血を流させる。
黒は、赤を覚え
赤は――血を吸い過ぎた赤は………?]
(209) 2012/09/28(Fri) 01時半頃
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ポーチュラカは、ペラジーの瞳をただ、見つめ――**
2012/09/28(Fri) 01時半頃
捜査官 ジェフは、メモを貼った。
2012/09/28(Fri) 01時半頃
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―――――…嗚呼、いけない。
[少女の柔らかな指が傷つき、赤を落とす。 そっと手をとって、優しく撫でて。
嫌がられなければ、その血をぺろりと舐めとった]
後で薬を塗ってあげましょう。
[学者は、ただただ、静かに微笑んでいた。 "蛇"のような瞳を笑顔の裏に、隠して]
(210) 2012/09/28(Fri) 02時頃
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ヴェスパタインは、緩やかに肩に爪を立てて――
2012/09/28(Fri) 02時頃
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