197 獣ノ國
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ン…っ!や、…あ、
[初めて触れられた其処は未だ力が入り。突かれたのなら、殊更力を込め、まるで侵入を拒んだような形になってしまったけれど。体に直に感じる彼の体温と、焦らしとさえ誤認するような仕草>>45に抑え気味に喘いでは、羞恥に頬を真赤にし彼の胸元に頭を垂れました。 暫く肩で息をしては、奥深くに入り行った指先に息を詰まらせ。先よりかは彼の濡れ指の為に滑らかに入るとは言え、異物感には、――彼の一部が侵っている感覚には、背筋を震わせ彼の肩にしがみ付きます。]
は、ァ、…ずかし、…い、んん…っ
[吐息に声を紛れさせては小さく声を漏らし。然し唇を噛んで抑えていたそれは、終には耳に触れるぬるい感覚と粘着音によって外に漏れ。ちいさく開け放された口先は情け無く、何方とも付かずの唾液さえ垂らし掛ければ、学生はぺろりと緩にそれを舐め上げます。 そうして彼の瞳を見つめ返し、視線を絡めたのなら。目奥、学生の奥深くに鎖束ねた乖離感がじわじわと剥がれ落ちて行くのをただ、感じ。]
(56) 2014/10/09(Thu) 21時半頃
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―郵便局―
はい局長!今から行きます!今すぐ!配達に……えっ?
[いつも手際の悪い自分に対する叱咤を恐れてハキハキ返事をする。 しかし穏やかだが厳しい上司から伝えられたのはとある大学の講師からの伝言>>3:302で。 瞠目する他なかった。]
五十蔵先生から……?!なんで……
[進んで足を運ぶ講義の先生からお呼びが掛かれば、喜びよりも戸惑いが。 そして昨日から連絡が途絶えている「時計の家」の主のことを思い出せば、不安が勝った。
恐らく先生とルーカスさんは知り合いで、ルーカスさんと一緒にいる所を彼は見ていた筈だ。]
分かりました、明日大学に…はい……はい……ああ、頭巾?頭巾は……なくしちゃって。ふふ、いつものことですよ。
………じゃあ、行ってきます。
[昨日よりも更に少なくなった郵便物を後ろに乗せて、配達が終われば向かう先は大学構内。*]
(57) 2014/10/09(Thu) 21時半頃
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―大学構内・カフェテリア―
[仕事ついでに家から持ってきたのは、ルーカスの家でお留守番をしていた小さな袋>>2:401。 一度入った事のあるカフェテリアに、今度は一人で足を踏み入れる。 やはり大勢の同年代の学生の中に混ざるのは肩身が狭い。
だから、晴天の垣間見える屋外からの手招き>>54は、蜘蛛の糸を差し伸べられたような心境だった。]
………こんにちは先生。 手前に失礼してもいいですか?
[外に出た瞬間に、抑えがない長髪が微風に煽られた。 足早に相手に近付くと、軽く一礼して先生が座っている席の正面を指差す。 許可が出たならばそのまま静々と座っただろう。]
今日も講義だったんですか?お疲れ様です。忍び込みたかったんですが……生憎仕事で……
あの、今日私をお呼びになられたのは……
(58) 2014/10/09(Thu) 21時半頃
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[手持ち無沙汰になった両手を膝の上で落ち着きなく動かす。表情も、人見知りのそれとは異なる緊張が走っている事が伝わっただろうか。 長い間の後、]
先生がルーカスさんのご友人だからですか?
[本題の裾に触れる。]
(59) 2014/10/09(Thu) 21時半頃
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―――し、めおん、くん。
しめおんくん、
[舌足らずに応え紡がれた名前は、ただ彼の為だけに。恍惚や切望さえ浮かび混ざった瞳は、焦がれる様に彼の奥を欲し。また彼も学生を欲してくれているのなら>>46、と、徐々に徐々に、遠いこころを染め上げていた寂寥がぬるく温まるのを感じ得て、今までに知ったことの無いその感覚に不愉快さやら、…幸福やらを認め。透明の雫の所為でぼやける視界を其の儘に、目を細めはにかみました。]
――…うん。居るよ、…”そっち”に。
シメオンくんが、居てくれるから。
――だから、どこにも行かないでね。
[切望さえ見える言葉たちは、ただ空気に融けたことでしょう。
どこまでも沈んで行くことさえ、厭わないと。 行方不明のその先が見えずに、底無しの沼に葦を取られたとしても。]
(60) 2014/10/09(Thu) 21時半頃
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好き、…だよ。…シメオンくん、――ずっと、焦がれてた
[幾度も呼ばれる名には、はたして彼はどう反応してきたのだったでしょうか。学生は歪む視界に負けじと彼を、彼の存在を確かめる為に彼のシャツをかたく掴みました。頬な触れる冷たな雫はきっと嬉雨。学生はゆうるり眉を寄せながら、一度、柔に深く微笑んだのです。 そして大人しく、しかし僅かな不安を胸に芽吹かせながら横を向き彼の肩にぎこちなく足を掛け、腿に落とされた接吻には『…支配、するつもりなの?』なんて、キスの場所の意味を脳裏に正しく思い浮かべつつ揶揄いの笑みを浮かべました。]
(61) 2014/10/09(Thu) 21時半頃
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君になら、…何だってされて、も、…ッは…ん…! ぁ、…っつ…ふう…しめ、おんく…
[――減らず口は深くまで突き入って来た熱に閉され。 学生はただ中にある熱に背筋を逸らし、手の平を、掴んだシャツを握り締め。慣れない其れには生理的な涙さえ浮かべども、律動が始まったのなら少しずつそれも喘ぎへと変わって行ったことでしょう。]
あ、…っはァ、んん…!
[未だ噛み締め耐える唇はそのままに、動きに体を、髪を揺らし。そうして偶には自分からも腰を打ち付けて見せながら、学生は彼の熱に微睡み、――軈ては恋しそうに彼へ接吻を求めたのでした。]**
(62) 2014/10/09(Thu) 21時半頃
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ー回想、宝石店ー
『……ば、ばか。 なんつー気の早い話を、』
[どうやら動揺しているのは自分ではないらしいと彼を見上げれば、酒でも入ったかのように赤い顔。 その様子がなんだかとても可愛らしくて、嬉しくて]
心変わりなんてしないわよ 始めて、本気で好きになった人だから この身をかけても思い続けるわ
[金属アレルギーは無いと返したところで、扇子が取り出されて彼の顔を隠してしまう。自分も顔が熱いのは自覚しているというのに少しずるいと思って、少しだけ意地悪な気分で]
先生、平安時代の女房達みたいですよ? 可愛らしく扇子で顔を隠したりなんかして
[微笑みながら手を伸ばしてちょい、と扇子を突ついて揺らし]
顔を見せてはくれないの?
(63) 2014/10/09(Thu) 21時半頃
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― 回想・錠宅 ―
[居間での会話。>>211腰をあげる少し前。]
好きなんです。御伽噺とかそうゆうの。 …両親との思い出もそれしかないもんで。
[何処か寂し気に乾いた笑いを作っては、僅かに痺れかけた足を崩して誤魔化した。既に獣人>>3:212と会っている事を察してもらえれば返事を返すこともなく、肯定をするように笑みを浮かべる。]
俺の戯言に付き合っていただきありがとうございます。 書き込み…?
[意味がわからず聞き返す。 しかしそれを理解するのにそう時間は掛からず、掲示板に書き込まれたある人物の時系列を考えれば"あの人"は"この人"なのかもしれないと。]
初めてなんですよ、あぁゆう所に何か書き込むの。
[それだけ言うと痺れた足を持ち上げて席を立った。]
こちらこそいつもありがとうございます。
(64) 2014/10/09(Thu) 22時頃
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何度も言いますが錠さんの話は楽しいので。
[短い会話だが、この会話が終わる頃には玄関に到着を。]
いい思い出ですね。 俺の髪の毛が赤かった時なんて。
[そう考えればこの人との付き合いも長いものだ。忘れかけていた記憶を蘇らせながらも、冷やかした言葉の反応を見ては一人で楽しみ家を出た*]
(65) 2014/10/09(Thu) 22時頃
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―――――――――――――― 差出人:トレイル 宛先:ヤニク ―――――――――――――― Re:Re:Re:Re:Re:おはよう寝坊助さん 20xx年 10月3日 ――――――――――――――
そのあとに別の人と食べたかもしれないだろう? ちょっとな。 ヤキモチか?なんてお前がかくわけはないだろうが。
そういえばお前の歌は聞いたことがなかったな。 人を連れ去りたいのならまずは先に俺に言え。 婆さんも食わんでいい。 例えお前が狼でも俺は決して持たない。 そしてお前を撃ち殺す趣味もない。
追伸:"あれ"はお前でいいんだな?
(66) 2014/10/09(Thu) 22時頃
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確かにお前の言う通りだ。今回は俺がお前に探し行く。
本屋の彼が? 体調が悪くなってたまたま店にいないだけではないのか? ――――――――――――――
(67) 2014/10/09(Thu) 22時頃
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[帰ってきたメール>>3:222>>2:223に少し長めの文章を打ち込んだ。 本屋の青年については情報を手に入れてない自分は憶測で返すことしか出来ない。
掲示板での書き込みを友人がメールで返してくるのを見ると、同一人物で間違えはないのだろう。物語めいた内容に律儀に返す。生真面目の様に。たとえ友人が綴った内容の先に決められた御伽噺があったとしても従うつもりも全くなくて。]
だったら新たな御伽噺を作ればいい。
[自らが打った文章を眺めて呟く。 同時に送信ボタンが押されると電波に乗せて友人の元へ。
そして流れた着信音。慌ててとった着信相手は店からの電話。 仕事の話。またいつのも日常に。*]
(68) 2014/10/09(Thu) 22時頃
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― 翌朝 カフェテリア ―
[珍しく店には行かずに来た滅多に来ないこの場所。 頼んだ物は珈琲とアップルパイ。気づいたら何日振りの休日だろうか。]
ありがとうございます。
[運ばれてきた珈琲に礼を言って、砂糖もミルクも加えずに少し冷ましてから口にする。一口飲めばポケットから携帯と煙草にライター、そして一冊の古めかしい本。お供に持ってきたその本をぱらりと捲り、羅列された文字を追う。]
"むかしむかし、あるところに、 とても可愛らしい女の子がいました。 ある時、その女の子のおばあさんが赤いビロードの布で 女の子のかぶるずきんを作ってくれました。"
[赤ずきん。 友人が何度かメールで送ってきた御伽噺だ。 その物語をゆっくりと読み、一ページが終われば捲り新たな展開を繰り広げる。既に知ってる御伽噺だが持ってきたのは友人が例えに出したこのに出てくる狼が気になったから。アップルパイはあとから持ってきてもらうように店員に告げ、珈琲を喉に通せば御伽噺を読みふける。]
(69) 2014/10/09(Thu) 22時頃
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クラリッサは、ヤニクの答えの続きを考えている。
2014/10/09(Thu) 22時頃
スージーは、マユミは別れた後濡れずに帰れただろうかとふと心配した
2014/10/09(Thu) 22時頃
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― 大学構内・カフェテリア ―
こんにちは。 勿論だ、君を待っていたのだから。 座ってくれ。
[>>58招いた手は正面へ差し伸ばし。 恐らくは仕事の合間だというのは理解に及ぶ。]
サンドイッチなんかは割とすぐ出てくるぞ。 午後も仕事だろう? 飯は食える時に食うべきだ。
飲み物は? 紅茶?珈琲?
[食べきれなくても持ち帰れる食べ物を勧め、 話は食事をしながらでも出来るからと暗に告げ。]
(70) 2014/10/09(Thu) 22時頃
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ああ、朝一番から二本ね。
いやいや、また都合の良い日に是非どうぞ。 学生に混じって授業を受けるのは気分転換になりそうだが 仕事で疲れている時はお経にしか聞こえまい。
[俺もサンドイッチでいいかな、とメニューを見て告げ。 メニューを見て悩んでいる訳でもなく、 ただ沈黙に服している様子>>59に、 取り敢えず飲み物だけでも頼むことにし。
静寂を破る形で発された言葉に、目を細めさせ。]
あぁ、此処に来る前家を訪ねてみたが留守だった。 …昨日から連絡をしているが、返事が無いね。
何かあったんだな、とは思う。
[仕事関係の用事で不在にしている訳では無いと察しており。 横目で彼女を見ながら、知ってるかと言裡に告げ]
(71) 2014/10/09(Thu) 22時頃
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― 回想・昨晩の宝石店 ―
初恋、か。 そんな甘酸っぱい言葉を聞いたのは、何年ぶりだろうな。
いや、ちょっと今暖房が暑くてな。 まぁ待て、
[>>63一過性のものでは無いと主張する若い娘に、 嬉しさ反面、若さ故の熱意にも思えてしまうのは それだけの年齢の溝が存在しているから、か。 扇子をつつく悪戯な手に、僅かに動揺の滲んだ眸を向け。
そのまま仰ぐようにぱたぱたと動かしてから、 ふと扇子の動きを止めて。]
(72) 2014/10/09(Thu) 22時半頃
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ひどいネタバレをするがね。
ウェルテルは恋情の果て、ピストルで自殺して、 結ばれない思い人の心の中に生き続けようとしたのだよ。 今の君は、そういう恐ろしさがあるな。
[國を離れる画策を立てていることは知っているが、 近い将来に國を出てみたいと願っていることは知らず。]
[アレルギーは無いと聞き、暫し悩んだのちに、 S字ラインのホワイトゴールドの指輪を選んだ。]
メビウスの輪に似ているからね。 君の望みに応えるなら、これが一番良い。
[永遠を意味するメビウスが、どこまでも共にと 願ってくれた彼女と交わす輪として相応しかった。
他に欲しいデザインがあるなら、そちらに変えても良いが。 スザンナの顔色を伺うように、未だ少し赤い目元はもう隠さず、視線を下ろし。]
(73) 2014/10/09(Thu) 22時半頃
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抜荷 錠は、メモを貼った。
2014/10/09(Thu) 22時半頃
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―回想・昨日―
[端末が震えたのはいつ頃だったか。
曖昧ではあったけれど、促されるまま手を伸ばした先、表示された名>>66を確認すればすぐ様手紙を開封する。]
(74) 2014/10/09(Thu) 22時半頃
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―――――――――――――― 差出人:ヤニク 宛先:トレイル ―――――――――――――― Re:もう起きた?寝坊さん 20xx年 10月3日 ――――――――――――――
君が誰かとケーキを突っつく様子が想像出来ないんだけど ヤキモチ? 焼いたら食べるかい? なんて、ね!
なかったっけ 歌うのは好きだけれどあまり勧めないよ
…どうして、君に? 協力でもしれくれるのかい? 何だい、せっかくお婆さんの真似、練習していたのに!
(75) 2014/10/09(Thu) 22時半頃
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待たないって? 悪者を倒してこその主人公だというのに、そんな物語僕は知らないなあ、嫌いじゃあない
追伸:そう、なら匿さん 探しに来てくれるなんて、珍しいじゃあないか なら、少し待ってみようかな 結局僕が見つけそうだけれど
…ベネットは見つからない、か ありがとう また見かけたら連絡、くれるかい?
――――――――――――――
[いつもより随分と長い台詞に、少しだけ男も面食らったように瞬きをしただろう。
そして、彼がいつもと違う“口約束”を、電子の紙面に綴っていた文章に目を通したのなら、口端を緩めるのだ。]
――…何てタイトルの物語だい、それは。*
(76) 2014/10/09(Thu) 22時半頃
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―朝・住宅街→カフェテリア―
[ふと思い出す。昨日メールのやり取りをした友人>>66は今頃何をしているのだろうと。
どうやら“探しに来てくれる”らしいからと暇を潰していたものの、白い羽根は見つからない上に、タイミングだろうか。
知人の姿一つ見つからない。 そして珍しく男が彷徨わせるのは自身の手元。
そこにあるのは、男が以前まで纏っていたものとは異なる赤ずきん>>23
勢いのまま受け取ったものの、女性向けのそれは男が身に付けるには酷く不似合いであり、どうすることも出来ずに握り締めた。]
――…全く、女の子って一体何なんだい。
[友人に向けてメールを打つ時とはまた異なる様子で、端末に触れる指先は何処か、不満げ。]
(77) 2014/10/09(Thu) 22時半頃
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―――――――――――――― 差出人:ヤニク 宛先:クラリス ―――――――――――――― 忘れ物 20xx年 10月4日 ―――――――――――――― これ、僕に着ろって言うのかい 返すから何処にいるんだよ君 ――――――――――――――
[眈々と打ち付けた文章は他の誰かよりも随分と素っ気なく愛想のないもの。 珍しく夢を語るような大仰な表現のまま手紙を送り付ければ、男はふらふらと歩き出す。
そして向かった先にいた場所はカフェ。理由は異様な日照りにて渇いた喉を潤ませるためだったのだが、昨日メールにて約束した友人>>69が図ったようにいたものだから、男は無言で赤ずきん>>23で獣耳を押さえつけ]
――…グレープフルーツジュース一つ。
[早々に頼めば、友人より少し離れた場所へと席をかけようとする。 その際に彼の後ろ姿を通ったが、はたして気付かれずに済んだか。]
(78) 2014/10/09(Thu) 22時半頃
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― 回想昨日午前:本屋前 ―
[見開かれた暗灰色を前に、鳶色は反して細まった。温く満たされようとする胸の奥に、暗色が僅かに泡立ち、呼吸を軽くして行く。 強く握られた手首>>34に、じわりとした温かさが滲んだ。
だが、それも言葉を向けた頃には、なだらかに弱まり>>35。 そわりと暗灰色を窺いながら、落ちた沈黙の意味を思考は追いかける。次第に引き締めていた唇は緩み、首を傾げられた頃>>36には先に小さな隙間を作っていた。]
――そっか。
[静かに息を止めて、微笑む。 それぐらいが相応しいのだろうと、何かが順応した。一寸落ちた沈黙に熱が霧散し、秋の香りにすうっと溶けて行くのを感じた。]
…付き合うよ、覚えるまで。――友達だから。
[昨日までの自分は、一体どんな言葉を使っていたのだったか。 相手のそれもまた、どんな響きをしていたのだったか。
…一拍置いて口にした響きは、むず痒く、寂しい。 余韻の中、友人にはなれないだろうな、と鳶色を柔く細める。瞬きが落ちても、未だ鳶色は柔らかく相手を見遣って。頬を小さく緩めた。]
(79) 2014/10/09(Thu) 22時半頃
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…あの後、一夜にしてこうなった。――って信じる?
[軽い口調は続く。]
俺は、…半信半疑。今でもね。
[ぎこちなくも笑いながら、暗灰色が移ろうのに気づけば、少しだけ瞳を曇らせる。 次に来そうな問いぐらいは流石に予想がつく。人の、獣の間で流れていた他愛ない話に、唇を傷めずに済みそうな答えを、頭は自ずと探し始めた。]
――俺を飼ってくれる人にしか、触らせない。
[ついでに、"く、"と喉奥を小さく鳴らして。 マフラーへと鼻先を埋め、密やかに息を落とした。非現実染みた響きは、はぐらかされた"それ"にも少し、似ている気がする。
……そうして、相手が立ち上がる気配に、再び顔を持ち上げ、鳶色に白と金を映す。 顔を洗いたい気持ちを抑えつつ。その手を優しく握り返しては、蹄を立て、自分の足だけで立ち上がった。
そうして、ゆるりと顔を向けた先は図書館だったか。確認するかのように目配せ――困ったように目尻を下げては、握ったままの手を少しだけ、緩めた。]
(80) 2014/10/09(Thu) 23時頃
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― 回想:昨日>>3:289>>3:290直後、商店街 ―
[文面に目を向けては、小さく声を漏らす。 手拭いはこっちにあるのだから、言葉だけでは不十分なのだと。
困惑をまま息に乗せれば、自然と唇がツンとして。どうしたものか、と自然にスケジュールの混ざり出す文字列を書き消しながら。先の本屋の静けさを、思い浮かべた。]
―――――――――――――― 宛先:青桐>>3:185 ―――――――――――――― Re: 20xx年10月3日 xx:yy ―――――――――――――― 明日、4日空いてる? 手拭いを先生に届けて欲しいんだ…けど明日、本屋でバイトだから、そこで会えたら嬉しい。午前に公園でもいいけど
違うの? 全然納得出来ないけど、…上手く言えないから、いいや 我侭言うのはお互い様って、流石に図々しいですか。鼬さん? ――――――――――――――
(81) 2014/10/09(Thu) 23時頃
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― 回想:>>81商店街 → 自宅アパート ―
――ドラマの次回予告みたい。
[送信したやり取りを思い出せば、感想が口から零れる。機器でテレビを見れる事を発見したのは、ついさっきの事。
くつり、と喉を鳴らしつつ。その途中、すれ違った青年>>3:304に気づく事はなかった。何せ、"赤ずきん"の印象が強かったものだから。
足を肉屋へと向けては、ひき肉を少量買い。手にした袋を揺らし歩きながら、一間首を傾げ、喉奥で息を唸らせる。
――とりあえず、コンソメで煮込めば食べられるだろうか。]
(82) 2014/10/09(Thu) 23時頃
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― 回想:自宅アパート ―
[イメージのみで作ったロールキャベツは、コンソメスープと呼ぶが正しい出来だった。 それでも充分な味を堪能しつつ、久々の高い食事を終えれば、少しダレた腹部に苦笑しつつ、ベッドへとうつ伏せに転がる。
大きく欠伸をこぼしながら、枕元に放ってあった機器を手にしては、光を灯し。新着の告げる名前に、はたと指の動きを止める。]
……なんか、あったような
[――洗面所の除湿器、その真上にかけられた赤。
そのまま低く唸る事、一間。身体を起こす事は取り止め、指だけを動かし始める。 今頃は、すっかり固くなっているかもしれない。洗剤に書かれた、柔軟剤配合の文字に、少しだけ縋るような思いを乗せた。]
(83) 2014/10/09(Thu) 23時頃
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―――――――――――――― 宛先:ヤニク>>3:305 ―――――――――――――― Re:カラカラの赤ずきんより 20xx年10月3日 xx:yy ―――――――――――――― お陰様で。明日には赤ずきんに化けられそう 約束通り、葡萄酒とケーキを届けに行くよ。何も無ければね
ベネットさん? 本屋でバイトする筈だったけど、ことごとく会えない日のようだから、今帰って来た所 変な…神隠しの噂も聞くし、もしかしたらそれかもね。なんて
いいよ、伝えておく。というか、明日も本屋に行くから 郵便受けにメモでも挟んでおけばいいかな。読まずに、食べられてしまわないといいけれど ――――――――――――――
[メールを送信し、頬を毛布へと押し付ける。 相変わらず邪魔な鹿角に息を、鳶色に淡い影を落とす。具合のいい寝方は、まだ見つかっていなかった。
それでも落ちようとする瞼に任せて、枕を掻き寄せては、そのままに寝付いたのだったか。*]
(84) 2014/10/09(Thu) 23時頃
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[次々と軽いメニュー提案する先生>>70>>71に、硬くなっていた姿勢が少し和らいだ。]
私はコーヒーを–––––……やっぱり、いいです。
[この場所でコーヒーを注文した男の顔がチラつく。 話題に上がるであろう人物の話をするのには不釣り合いのような気がして、メニューに視線を落としたまま黙り込んでしまう。 もしかしたら、ルーカスさんと連絡がつかなくなったのは自分と別れてからではないだろうか、という不安。
仕事に疲れている訳でもないのに、相手の言葉は耳から耳へ通り過ぎて行った。 飲み物を頼んだ事にさえ気が付かない。
話題に上がった男の話になれば、ようやく顔を上げて。]
友人である先生にも音信不通ですか。 私も今朝配達に伺ったんですけど、コーヒーの香りが……いや、インターホンを押しても出てこなくて……
[扉の所に掛かっていた、サボテンと折り紙と、不釣り合いな懐中時計が詰め込まれた袋を机の上に置く。 指先でさだけで相手に差し出した。]
(85) 2014/10/09(Thu) 23時頃
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