231 獣ノ國 - under the ground -
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[目を覚まして飛び込んでくるのは、天井の白。一つの染みもないそれは距離感を失わせ、見る者に窮屈な印象を与える。
そしてこの施設も、私達にとっては窮屈なのだろう、きっと。 だからこそ、彼女は自由を求めていた。 私も――知りたい。
長い間心の奥底で抑えつけられてきた欲望の栓は、すでに抜かれてしまっていて。 その感情の濁流の前には、彼女に話された"本当の自由"の記憶の存在はほんの小さいものだった。
そう、私は外に出て、自由を知りたい]
おはようございます、先生。
[渦巻く感情の上で、昨日と同じように挨拶をする]
(27) 2015/07/14(Tue) 22時頃
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―自室―
……っくしゅん!
[自室に戻り、少し考える。 私の部屋に、来客などないに等しい。 けれど、目に付くところに施設内の地図を置いておくのはどうにも抵抗があった。 ごほごほと咳をしながら、私は少し考えて。 結局、着替えを取り出したついでに、クローゼットの中に仕舞う。 長居をしては、自分の部屋に埃を落としてしまいそうで、私はさっさと大浴場に向かうことにした]
(28) 2015/07/14(Tue) 22時頃
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――――でも” ここ ”が無ければ、 ” そと ”で野垂れ死にするだけだったかもしれないでしょう。
[ 男は淡として言葉を落とした 。 そして尚、捨てられるのは獣人だけではない。――教会の外、うち捨てられた誰かを。 過去のヒトガタを 。 男は端に思い寄せた。 ]*
それに、 ………獣はこうして、手を繋ぐことも出来無い。
[ ―――流れる所作で、男は彼女の手を取った。否もしかしたら直前、振り払われることもあったかもしれないが――ゆるりとその手に触れては、絡め持ち上げる。 どんな顔をするのだろうかと、胸中にはまた爛々として興味を疼かせつつ。 ……軈て言葉も溶けて行ったなら、繋いだ手を離すこともしただろうが。 ]
(29) 2015/07/14(Tue) 22時頃
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……私には、到底知り得ませんが、
[ そうして男は、かちりと鍵束の中、ロッカーのそれを鍵口へと差し込んだ。 ちいさく音が鳴って、古めかしい音を響かせながら戸は開く。 男はその中に腕を掴み、何枚かの備品を出した。 白衣、作業着、ジャージ。他。 腕に掛け持てば、一枚一枚彼女に当てつつ。 ――ああこのサイズかと、同じ大きさのものを数枚持ち戸を閉める。 ]
―――女医なら貴女の気持ちもなにか、分かるのですかねえ… はたまた、他の――マユミさんや、クラリッサさんは。
[ 彼女の言葉は心理学めいて、まるで謎だと思う。男は何とも思わず――否、女医の文字を出したのは少し陰謀めいていたが――彼女の蟠りを解く鍵をと、かたちに見えないもので差し出した 。
その差中、ずるい、と。 誰かに、背中を指指された気がした。 ―――知らない振りは、ずるい。 と。 ]**
(30) 2015/07/14(Tue) 22時頃
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― 自室 ―
……はぁ。
[ 何もない真っ白の部屋に、熱の冷めないため息ひとつ。
熱の理由は、ベッドに潜り込む前に 鴉ならぬ鸚哥の行水をきめたからなのか 小さな肩の傷がシャワーでしみたせいなのか 別れ際に貰ったキス>>20のせいなのか 白い肌に咲かせた花が、いまも脳裏で馨るからなのか。
夜の間、彼女に何事も無ければ良いと それだけ願って 僕はシーツの上で丸くなる。]
『ァア、ァア』
[ 小さく啼く兄の声が、閉じた瞼の闇の中で 「ひと」のかたちの背中に変わっていった。]
(31) 2015/07/14(Tue) 22時半頃
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[ ( 兄さん。にいさん。……どこにいるの。)
食堂で、彼女の優しい両親の話>>18を聞きながら 僕も 僕が話せる過去を掘り起こそうとしたけれど 出てくるのは顔の見えないままの 兄の背中と、 反吐が出るような人間達の記憶。
だから僕は せめて彼女の綺麗な過去を守るように そいつらを腹の中に押し込んだんだ。
そんなだったものだから、ほんの少しだけ いつも彼女に感じる憧憬の裏側に、悲しさを浮かべて しょっぱい癖に甘い人参みたいな、 変な顔をしていたと思う。 …………でもね。
( 今度の彼女の「ごはん」は、どんな味だろう )
獲得したつまみ食いのお許し>>19に、 ぱあっと顔を明るくする頃には 僕の抱えた「しょっぱさ」は何処かへ消えていた。]
(32) 2015/07/14(Tue) 22時半頃
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[ 真っ白なシーツの端っこを ベッドマットから引っ張りだして 指の隙間で弄ぶ。 握り返された白い指>>20を 思い出しながら ]
…………ごめんね。
[ ぼそり、ベッドの上に ころがる謝罪。 明日、起きたらやろうとおもっていること。 ―――彼女には、だめだと言ったくせに。
大きな大きな深呼吸。 もぞり、ベッドの上で 部屋の扉へ背を向けて 僕は胸の内にあるものを 隣の部屋から隠すかのように まあるく まあるく 膝を曲げて眠りに落ちる。
とおくて深い 夢の中。 >>24 櫻の上から見えた彼女のくしゃみが 聞こえた気がした。]
(33) 2015/07/14(Tue) 22時半頃
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― 翌朝 第一図書室 ―
[ 彼女へ「おやすみ」と言って 彼女から朝の挨拶を貰って それから唄う、いつもの朝。
だけど。 今日は、そっちへは行かない。
興味なんて持ったこともなかった「暖炉」に 良く音を立てる鳥脚で近付いて 真っ暗の中を見る。 暖炉が暖炉として使われて居ることはないようで 煤も焼け落ちた薪も落ちていなかった。
誰か出てきやしないか ヒヤヒヤしつつそれだけ見て 本を探すふりをして、部屋を歩く。
( 僕が行ったらそりゃあ、問題になるだろうけど )
僕は肩の上に居る”優秀な兄”の頭を、ゆっくりと撫でた。]
(34) 2015/07/14(Tue) 22時半頃
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[ 第三棟に ”迷い込んだ” 赤い鸚哥は 何年ぶりかの夜風>>2:5に、羽をはためかせて
ぐるうり、 ぐるうり。
番犬の居なくなった鎖を尻目に 警備員や誰かが居れば、その頭上を飛んだあと 捕まらぬような高所に留って ]
『 マイゴ! マイゴ! ココハドコ!?』
[ ……なんていう、またしても小さな演目の幕を上げる。
僕はそんなことは知らないふりで(聞こえないふりで) 暖炉のそばでひとつの本の 表紙をひらく。
『月夜のけだもの』
――獅子も白熊も狐も狸も 夢を見たままでいるのは。 僕か、僕以外の全員か それとも此処の、全員だろうか。]
(35) 2015/07/14(Tue) 22時半頃
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おはよう、クラリッサ。
[管理人たちと何か話をしただろうか。 マイクから手を放すと、アマルテアはにっこりと微笑むのだった]
昨日。ここから、脱走者が出たみたいなの。
[世間話をするように、クラリッサに話しかけた。 脱走者、モスキートのことを思い起こす。 果たして彼は、生きてここを出られたのだろうか。 ふと、先日ノアとモスキートが何やら2人で話していた>>0:136のを思い出した]
(36) 2015/07/14(Tue) 23時頃
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……まさか、ね。
[あの優しいお人好しは。 まさか辞める前に大事をしでかしたのではないか、 などと検討違いのことを考えながら。 彼ならやりかねないと思った。 同時に。管理人の誰かが手引きしたのではないのなら、 どうやってここから脱走出来たのだろうかと考えを巡らせる]
いずれにしても、物騒な話だわ。
[曖昧に微笑んで見せるだろう**]
(37) 2015/07/14(Tue) 23時頃
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―第一棟・大浴場―
[脱衣所で埃っぽい服を脱ぎ捨てると、私は翼で体を隠すようにして、大浴場を覗き込む。無人であることを確認すると、ほっと胸を撫で下ろした。 シャワーに向かうと、頭から浴びながら、まずは気の済むまでうがいをすることにする]
咳……出なくなったかしら……。
[息切れを起こすくらい何度もうがいをして、私は大きく溜息を吐いた]
(38) 2015/07/14(Tue) 23時頃
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マユミは、フィリップがそういえば今朝は来なかった、と思う。埃まみれの姿を見られずに済んで、よかったけれど。
2015/07/14(Tue) 23時頃
アマルテアは、マユミが咳に悩まされていることを知らない。
2015/07/14(Tue) 23時頃
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しょばつ、
[ 僕は近く、>>5扉を開いた張本人に目を向けた。 施設の子どもを ――鶴の思惑をじゃました彼に、処罰を。 そうするのが当然。 きっと、正しいことなのだろう。 少なくとも、この地下では。
だからなのだろうか? 根付いた思考と規律が、僕を惑わせるのだろうか。 喉奥が熱くなって、しずくの落ちた目の端が、釣り上がるような心地がした。]
――………して 、
(39) 2015/07/14(Tue) 23時頃
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…彼を連れ戻してくれよ! ……っ
[ そうして、言ってからはた、と気が付く。 これは所詮僕の欲――ちがう、施設の規律でしかなくて、 知っているんだ。” そう ”してはいけないのだろうと。
僕は言って、頬を掻いた。口元の機械を直しながら、ちいさく彼に言う。 ――「 ごめんね。 忘れて 」と。 どうせ僕も、 共犯なんだから。 ]
処罰、……か。 そうだなあ、
―――鸚哥を捕まえる。…とかかな?
[ 「 なんて 」。 僕は戯けて見せた。 いつの間に入っていたのか、喧騒>>35をBGMに聞きながら。 彼が「処罰」を聞いても聞かずとも、僕はまた鶴の元へと行く準備をと――暖炉の下へ身を滑らせようとすることも、あっただろうけど。 ]**
(40) 2015/07/14(Tue) 23時頃
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…それがも自由ってもンだろ。野垂れ死にする、自由だ。アタシらは頼んじゃいねえ、生かしてくれなンてよ。
[今みたいな生活をするくらいなら、外で死んだ方がいい。ここの生活は、死ねないくらいに抑圧されている。]
…に、握れるからって、な、なンだよ…アタシが言ってンのは、もっと…
[そう言いつつ、絡められていく手に抵抗はできない。脈拍ははやくなる。なぜかは、わからない。目が合わせられない。少し顔をそらす。顔が少し熱くなる。]
[着替えを当てて行かれれば、大人しくして。話を聞く]
(41) 2015/07/14(Tue) 23時頃
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…ッ!イカレ女医に分かるわけねぇだろッ!あいつと一緒にすンなッ!
[カッとなる、だが、今着ている上着の重みが気持ちを引き戻す]
……ったく… マユミやクラリッサなら、分かンのか…?
…ただ、なンだ
…安心するンだ。これ、着てっと…
[ヴェスパタインの上着を着ていたい、という事を吐き出してしまったからか、その理由は分からずとも、感じた事はなんとか言えるようになって]
(42) 2015/07/14(Tue) 23時頃
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[こちらに向いた目を、静かに見つめ返した。 未だ雫を零しながら、怒るように目の端釣り上げ 下った「しょばつ」に、耳を傾ける。
連れ戻してくれ、と 云う声は切実な響き けれど]
……。申し訳ありません。
[それだけはできない。 たとえ外の世界が獣人にとって 優しいものでなかったとしても。
「ごめんね。忘れて」と頬を搔く亀から ふと、視線を外すと何か赤いものが見えた。]
(43) 2015/07/15(Wed) 00時頃
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[『マイゴ!』と叫ぶ赤い鸚哥は、 くるりくるりと微風の中を飛び回る。 どうしてここまで迷い込んだものだろう。
先ほどの激情を無しにして おどけてみせた亀に、軽く礼をした。]
承知いたしました。
……( どうして、そこまで )
[暖炉の下へ身を滑らせゆく亀を見送り乍 亀が泣いて鮫を見送った理由に思いを巡らせ
静かに、飛び回る赤い鸚哥に手を差し伸べた。]
(44) 2015/07/15(Wed) 00時頃
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―― おまえさん、駄目じゃないか。 こんなところに来ては……
[ 何とよびかけていいかわからなかったから そう言ったけれど、 赤い鸚哥には聞こえていただろうか。*]
(45) 2015/07/15(Wed) 00時頃
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え....あ、そうなんですか。
[脱走者が出た、と。先生はそう言った。 脱走ということは、それをしたのはは"私達"ということ。 獣のまま、ヒトにならないで外に出たということで。 それはつまり、
――こんなことは、しなかった? 唐突に生まれたダムのように、感情の濁流が堰き止められた]
(46) 2015/07/15(Wed) 00時頃
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[外に出るためなら自分の身などどうでもよかったはずなのに、不意に全身を満たす恐怖感。思い出すのは、この間うたれたばかりの薬とその痛み。
"あんなのは二度とごめんだ"という本能と "外に行くにはこれしかない"という理性が衝突する。脱走なんてそうそう出来るわけでないと分かってはいても、それを認められず、自分もそうすればいいと囁きかけてきて。易きに流れようとする本能を止められない。
ああ、いつの間に私はこんなに弱くなってしまったのだろう。 "欲"とは、これ程までに人を――獣を弱くさせるものだったのか]
先生、薬、早く試しましょう。
[どうにか口に出来たそれは、普段より幾分か早回しだった]
(47) 2015/07/15(Wed) 00時頃
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落胤 明之進は、メモを貼った。
2015/07/15(Wed) 00時頃
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……本当にいいのね? 後悔は、しない?
[真剣な顔で、クラリッサに問いかける。 こんな態度はやっぱり自分らしくなくて。 どうやら、あのお人好しの馬鹿に当てられてしまったらしい]
これを投与してしまったら。 もしかしたら、取り返しがつかないことになるかもしれない。
[希望ばかり見せてきた女医が、初めて見せる態度だった。 箱の裏>>2:140にあった薬と注射器を手に取る。 研究を続けなければという理性と。 このままじゃいけないという感情が。 心の中で鬩ぎ合っていた]
(48) 2015/07/15(Wed) 00時頃
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それでも、本当にいいのかしら?
[右手に握られた注射器の中の液体が、毒々しく煌めいている。 クラリッサの瞳を、じっと見つめた**]
(49) 2015/07/15(Wed) 00時頃
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[ 鸚哥は 鮫が出ていった事も亀も鶴も知らない。 ただ久方ぶりに感じる「風」に身を震わせて 風切羽根をうすく 長く 伸ばすんだ。
唯一の見知った顔、夜色の髪と瞳に 感情の乗らぬ瞬きを 差し出された手>>44には 『アァ!』とひとつ啼いて 頭の上でくるり旋回 ゆるりと速度を落とした後に 手首へと降り立った。]
『 マイゴ! マイゴ! キテハダメ? ココハドコ? ココハドコ??? 』
[ しきりに首を傾げて ]
『 アキラ ドウシテ ココニイル? フィル ドウシテ ココニイナイ? 』
[ きっと、梟が居たら”煩い”と顔を顰めるのだろうけど あいにくいまは、窘める”2人”は留守にしていた。*]
(50) 2015/07/15(Wed) 00時頃
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[全身を泡だらけにして、汚れを洗い落とす。特に衣服に守られていない髪は念入りに洗った。いつもはざっとシャワーを掛けるだけの翼も、今日は丁寧に。 そうして浴槽に浸かり、私はようやく一息つく]
とんでもない目に遭ったわ……。
[胸元に目を落とし、花を咲かせた人のことを思い浮かべた。 困ったものだ。第二図書室が荒らされていたなんてことが耳に入ったら、心配するに決まっている。 誰にも言わずにおくべきかと思う一方、私が毎晩のようにあの場所に通っている以上、“犯人”と鉢合わせする可能性があるかもしれない、と考えると、このまま迷宮入りにしてしまっていいものかとも思う。 結論はなかなか出ない。私は眉を寄せて、ぶくぶくと浴槽に沈んだ]
(51) 2015/07/15(Wed) 00時半頃
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[寝ていないからか、それとも別の要因か。 彼の瞳には少しの動揺のさざなみも立たない。
それは差し出した薄い掌に止まる鸚哥の瞳と同様に。 微風からは「外」の匂いがすると、 ――潮のごく僅かな匂いがすると 鸚哥は気づくことがあるだろうか。]
……ここは、どこだろうな。
[獣人を収容しておく施設<プリムラ>だ。 そしてここは管理人のすまう第三棟だ。 そんな事は自明じゃないか。
けれど、一瞬彼の脳を塗り潰した言葉は ”牢獄” それに他ならなかった。]
……怪我、してるじゃないか 消毒だけでもするか。
(52) 2015/07/15(Wed) 00時半頃
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[直接答える気にはなれなかった。 誰が聞いているともわからなかったから。 だから彼は、きっと思うより”聡明”な その鸚哥の小芝居に 嘘を塗りたくることにした。
ぽつり、白々しく言葉を落とし 一歩、踏み出すは暖炉の方ではなく、 彼の部屋の方。
――鸚哥が何を叫んでも、 誰にも聞こえぬようにと
嫌がられなければ、 そのまま部屋に連れていっただろうけれど。 (それで鸚哥も、 この棟を少しは”偵察”できたかもしれない)]
(53) 2015/07/15(Wed) 00時半頃
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[耳から聞こえた挨拶に、 もうそんな時間かと 一つ、瞬きをして 小型マイクを一瞬口に近づけた。*]
(54) 2015/07/15(Wed) 00時半頃
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……駄目だわ。私は眠いのだもの。
[浴槽から浮上して、出てきた答えはそんなもの。 いつもなら眠っている時間だ。眠い頭で考えたって、最善策を思いつけるわけがない。 とっとと上がって、眠ってしまおう。それから考えよう。 そう結論を下して、私は脱衣所に向かった**]
(55) 2015/07/15(Wed) 00時半頃
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[ 人間よりも 獣よりも 動物である鸚哥は 風の流れを覚えているし 遥か遠くの潮騒を聞き分ける。 ひとのそれより余程広い視界は、 腕に留まりつつも 風が洩れる大扉の様子を伺う。
( ケガ? ケガ? ボクガ? アキラガ? )
声>>52に、またくるくると 首を傾げて ]
『 ガァ! 』
[ まるでただの”鳥”のように。 ]
[ 自分を運ぶ足>>53が、知らぬ扉へと向かうなら 興味本位 好奇心のまま 大人しく。 手首はきっと重いだろうから、肩へと移動する際に えっちら、おっちら と びっこを引く演技も忘れない。 暖炉の向こうで 僕が心配するかどうかなんて ”ただの鳥”には与り知らぬと わかったうえで しらを切るのだ。]
(56) 2015/07/15(Wed) 00時半頃
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