162 絶望と後悔と懺悔と
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[怖い夢に震えるように、 意識の落ちた後も血の気の戻らない少女の背に 規則正しい、緩やかな拍子が刻まれる。>>0:432
痛いほどの力の込められた手から徐々に力は抜けて 握り返してくれる手に、細い指が絡んだ。
それから幾らも立たないうちに、 階下の喧騒に起こされて、少女は瞼を上げた。]
…………りょうお兄……
[どうしてここに? という眼で涼平を見上げたのは束の間。
すぐに状況を思い出して、顔色を青褪めさせた。]
(4) 2014/02/08(Sat) 00時頃
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[リカルダの声がする。
まだ涼平に上半身を預けたまま、少女は振り返った。]
リッキィ……!!
[良かった。 無事で良かった。
安堵と不安の綯い交ぜになった声でリカルダの名前を呼ぶ。]
……え、
[もうだめかもしれないと溢すリカルダの顔を見て]
……っ、
[少女は自分の足で立ち上がった。]
(8) 2014/02/08(Sat) 00時頃
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[涼平と手を繋いだままリカルダの傍まで歩き]
逃げ、よ……。
[そこで漸く涼平の手を離し、リカルダの手を取った。 寄木細工の箱は左手に、リカルダの手を右手に。
声も手も震えている。 けれど、少女ははっきりと言った。]
逃げよう、リッキィ!
[ここにいては駄目なのだ。 蹲っていても事態は悪くなるばかりだと、 なぜか少女は知っているようだった。
扉の方に明之進も見えた。]
明ちゃん、他のみんなは?
(16) 2014/02/08(Sat) 00時頃
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……うん。
[絶対と言い切る涼平に、少女は頷く。 信じるしかない、今は。]
……うん。
[二度目の返事は、普段の少女からは 想像もつかないほど力強く。
絶対に離さない。 決意を胸に、リカルダの手をぎゅっと握り直し、 明之進を──その手の中の幼い子を、見た。]
お外……うん。
[先導してくれる涼平の後に従って、 少女はリカルダと共に走った。]
(34) 2014/02/08(Sat) 00時半頃
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[黒煙が、天井を舐めるように迫り来る。 両手の塞がった少女は出来る限り息を止めて 孤児院の子供たちが慌てて逃げる際に散らかした 転がる物を避けながら懸命に足を進める。
足元と、隣にばかり気をやっていたから 明之進が気付いたモノの気配に気付くのが遅れた。
ふっと、頭上に影が出来る。
顔を上げた少女の前に、 >>39涼し気な美貌を残忍に歪ませた“女”が立っていて──]
…………
[振り上げられ、振り下ろされる爪を前に、 少女の躰は微動だにできず立ち竦んだ。]
(45) 2014/02/08(Sat) 01時頃
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[全ての光景がスローモーションで進んでゆく。 その中で少女は静止画のように立ち竦んだまま]
あけちゃ……
[自分とソレの間に滑りこむ黒髪と 着物の背に描かれた柄を眼に焼き付けて]
──────…… ッ!!
[間近から降り掛かった血飛沫の、 頬を濡らすその温かさに、少女は声のない叫びを上げた。]
(53) 2014/02/08(Sat) 01時頃
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[守備部隊の隊員が、 孤児院から出て来た少女たちを見つけて駆け寄って来る。
平穏だった孤児院の庭は、 今や飛び交う怒号と 武器が交錯する金属音に満ちている。
倒れ伏した明之進の足元で 少女は厭厭をするように頭を振って、 明之進に縋ろうとするけれど──]
……あっ、いや、はなして……リッキィ!!
[誰かに腕を掴まれ、引き寄せられた。 非力な少女は抗う術もなく、 リカルダと繋いでいた手もあっけなく解かれた。]
(64) 2014/02/08(Sat) 01時半頃
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[白い軍服の守備隊員に荷物のように脇に抱えられ 安全な場所まで連れて行かれる少女の眼に、 別な守備隊員がリカルダに手を伸ばすのが見えた。
けれど、その守備隊員の手は横から伸びた爪に切り裂かれ]
……リッキィ……!! 逃げ……
[それを成した女の凶爪が、 自分の名を呼ぶリカルダの背に 袈裟懸けに振り下ろすのを、見た。]
(79) 2014/02/08(Sat) 02時頃
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─ 孤児院 ─
[>>)2女の爪は過たずリカルダの肩を切り裂いた。
花吹雪のように鮮血が散り、地面を赤く染める。]
はなして……! はなしてぇぇぇ!!!
[叫びながら、非力で小柄な躰がいくら暴れようと 屈強な守備隊員の腕は解けない。 が、運ぶには支障を来すその荷物を大人しくさせる方法に 守備隊員は手刀を選んだ。
首筋に感じたのはごく軽い衝撃。 踏みつけられるリカルダを泣きそうな顔で見ながら 少女の意識はそこで一度ぶつりと途切れた。]
(104) 2014/02/08(Sat) 12時頃
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[孤児院を舐め尽くした炎は 轟々と音を立てて窓という窓から赤い手を伸ばす。
撤退を開始した守備部隊の一人の腕の中、 目を覚ました少女が見たものは 炎に包まれ黒煙を吹き上げる我が家の姿と、 地面に転がった誰のものとも知れぬ無数の屍体と──
──ジョージの首。
自分たちを守ってくれていると信じていた 黒い門が遠ざかるのを眺め 少女はまた意識を失った。]
(105) 2014/02/08(Sat) 12時頃
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─ ─
『贖いをなさい』
[女が言った。 流れ落ちる黒髪の、美しい顔をした女だ。]
(106) 2014/02/08(Sat) 13時頃
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『贖いをなさい──菖蒲』
[女は──母は繰り返した。
──違う。 これは鬼だ。
母ならこんな風に、 父の首を抱えて穏やかに笑ったりはしない。
だから──これは鬼。 母の顔を真似た、怖ろしい鬼なのだ。]
(107) 2014/02/08(Sat) 13時頃
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[夜風が強く吹き付け、桜を舞い上げる。 少女は眼を瞑る。 鬼も──鬼が抱えた首も、一瞬視界から消えた。
眼を開けた時、少女の手には一振りの小刀が握らされていた。 鬼は小刀を握らせた少女の手を上から握りこみ]
『贖いなさい』
[また、そう言った。
鬼が近づくと、生首の──父の白く濁った虚ろな眸も近づく。 少女はそれが厭で、首を振る。]
(108) 2014/02/08(Sat) 13時頃
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[母が──違う。鬼が首を捨てた。 父の首が転がってゆく。 首はすぐ傍の桜の木の根本で止まった。
少女はほっと息を吐き出す。
一瞬意識の外へ追いやられていた手が持ち上げられる。 小刀を握らされていた右手が。 少女の意志に反して、鬼に導かれ。
──鬼の喉を、貫いた。]
『贖いなさい菖蒲。
───産まれて来たことの罪を』
[鬼は──微笑っていた。]
(109) 2014/02/08(Sat) 13時頃
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─ 春雨の降る日 ─
[孤児院の養母に助けられてすぐ、少女は気を失った。
目を覚ました時、最初に見えたのは着物の少年>>96 自分を見下ろす眼差しの空ろに、何か──記憶を刺激されて 少女は片目を瞑って、こめかみに走った痛みをやり過ごした。
菖蒲──。 その時浮かんだ名は、すぐに記憶の底に沈んで行った。
そんな名前は知らない。 その名は酷く怖ろしいものだ。
自分は──そんな名前では呼ばれていなかった。
目を覚ました少女に気付いた少年が養母を呼びに行ったか あるいはその場で名を尋かれたか。 だから少女は、もう一度『あや』と繰り返した。 哀しいことの起きる前、呼ばれていた二文字を。]
(110) 2014/02/08(Sat) 13時半頃
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[まだ冷たい春の雨に長時間晒されていた幼い躰は、 それから数日、高熱に苦しんだ。
再び目を覚ました時には、 微かに残った朧気な記憶さえ真っ白に塗り潰され、 生まれたての赤子のような無垢さで、 歳よりも幼い笑みを浮かべ、傍にいた人の手を握った。*]
(111) 2014/02/08(Sat) 13時半頃
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[柔らかに過ぎて行くパステルカラーの日々を、 暴力的なまでに鮮やかな赤が嘗め尽くしてゆく。
黒鉄の門も、庭に生える草木も、血と炎に飲み込まれた。
リッキィが泣いている。 いつもはしっかりもののリッキィも 一旦泣きだすと、撫でてあげなければ眠れないのに。
どうして離してくれないの。 彼女の傍に行って、その手を握ってあげないと。
わたしは──“また”、失ってしまう。]
──…!!
[夢の中で伸ばした手は、現実の空を掴んだ。
そこは寝台の上。 目の前に広がる景色は、いつもと違う見知らぬ天井──。]
(112) 2014/02/08(Sat) 14時頃
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─ 帝都 守護部隊隊員養成所 ─
[孤児院のものよりも柔らかく、温かな寝台。 空の手がシーツを掴み、ぎゅっと握り締めた。
枕元に寄木細工の箱を見留めると それを大事そうに抱え、寝台を降りる。
白かったぶかぶかのTシャツは 襟ぐりを中心に腰の辺りまで赤い飛沫が散っている。 震える手で自分の顔を撫でると、 乾いて固まった血がぼろりと剥がれて落ちた。]
(117) 2014/02/08(Sat) 15時半頃
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[頬を濡らした温かさを思い出し、 血の気の失せた唇をきつく噛んで、 少女は他の仲間を探し始めた。
同じ部屋、何人の子供が寝かされていただろうか。 けれど、見つからない子供もいる。
明之進が、リカルダが、真弓が、零瑠が、直円が──。 ──他にも、数人の子供が行方不明のままだった。
勝手にそちこちの部屋を出入りする少女を見つけ、 状況を教えてくれたのは安吾。
連れて行かれたのだと聞くと 少女は泣きそうに表情を歪め、 しかし涙を堪え、円の元へ案内を乞うた。]
(121) 2014/02/08(Sat) 15時半頃
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アヤワスカは、理依も──連れて行かれ──た、と安吾は言っていた。
2014/02/08(Sat) 15時半頃
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[暴れ疲れて眠る円の手を、 少女は起きるまでずっと握っていた。
離してしまったリカルダの代わりのように 何度も何度も手の甲を撫でて。
それから、円の怪我が治るまで、 少女は毎日円の病室に通って、 夜、彼女が眠るまで寄り添った。
けれど、少女の笑顔は日に日に減って行く。 円を安心させるためにだけ向けていた笑顔も、やがて──。]
(123) 2014/02/08(Sat) 15時半頃
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─ 病室へ案内される前 ─
[>>134痛い所はないか問われ、少女は黙って首を振った。
何処も痛くはない。 リカルダも、明之進も、死ぬほど痛い思いをしただろうに。
自分だけが、無傷でいる。
──痛い。
抱き締めた箱の下、 心臓を何者かに握られたような心地がした。]
(137) 2014/02/08(Sat) 17時頃
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[おいで、と言われて素直に歩み寄る。 僅かの間にやつれ、青褪めた顔。 手の届く位置に降りてきた安吾の袖に少女の手が伸びた。]
みんなはどこ?
[やっと開いた唇から、短い問いを発して袖を握る。
強張った表情で、 言われるがままに深呼吸を行う様は人形めいている。
安吾の話を聞き終わった時には、 全身が蝋のように白くなっていた。]
(138) 2014/02/08(Sat) 17時頃
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[少女は首を振る。 安吾の自嘲を否定するように。]
おじさんのせいじゃない。
……鬼が。 鬼が、来たんだもの。
[一瞬、安吾から視線を外し、 遠くを見る眼差しを斜め下へ投げかけ、 少女はそんなことを言った。*]
(139) 2014/02/08(Sat) 17時頃
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アヤワスカは、病室へ向かう道中、握られた少女の手は氷のように冷たかった。*
2014/02/08(Sat) 17時頃
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あんごおじ……お兄ちゃんから教わりました。
[少女の中では齢三十を超える安吾の教え通り 彼の名を告げるとすんなり中へ通された。 病室は複数あるのか、それとも病状で分けられているのか 周の姿はそこにはなかった。
冷たい手で眠る円の手を握り、 飽かず何度も擦っていれば少しは手も温もりを取り戻す。
眠る円の横顔を見ていたら 昔のことを思い出した。
数少ない、少女が孤児院の外に出た日のことを。]
(165) 2014/02/08(Sat) 18時半頃
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[ある暖かな日。 少女は歳の近い円とリカルダと、 庭で鬼ごっこをして遊んでいた。
何度目かのじゃんけんで、 グーを出した少女は鬼の役になった。
全力で駆けまわり高揚していたのもあってか、 そのうちに円が、黒い門を抜けて、 孤児院の外に駆け出して行ってしまった。
少女は最初、戻っておいでと呼びかけながら、 外にいる円を門の内側から見ていたけれど 捕まるまで戻る気のなさそうなはしゃいだ笑い声を聞いて 意を決してリカルダと共に門の外へ出た。
そして、いくらも走らぬうちに、 円は見知らぬ少年達の一人にぶつかった。]
(166) 2014/02/08(Sat) 18時半頃
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[少年達はすぐに円を取り囲み、円を指差して笑う。
少女とリカルダもすぐに円に追いついて 円を庇うように二人で挟んで、ぎゅっと手を握った。 質素な服装や生活を笑われても、 何も口答えせず三人で固まっていたけれど 少年たちはいっそう調子づいて手を伸ばして来た。
殴られる──と、身を固くして眼を瞑った少女に、 少年のが届くことはなかった。
>>145声が聞こえて。 恐恐眼を開けた少女は、 自分たちを庇うように立ちはだかった少年の背中を見た。]
(167) 2014/02/08(Sat) 18時半頃
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[余裕で見知らぬ少年達を追い返した少年は、 孤児院に来てからまだ日の浅い、周──と言ったか。
颯爽と顕れて助けてくれた周の背中は、 ヒーローのように見えた。
肩で風を切るような荒々しさに それまでは近寄りがたかった少年を、 少女がお兄ちゃんと呼び始めたのはこの日から。
孤児院に帰るまで、少女は周の服の裾を握っていた。 以来、益々少女の足は外から遠のくことにもなったけれど。*]
(168) 2014/02/08(Sat) 18時半頃
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─ 記憶 ─
[足が竦んでしまう程、外への恐怖は強い。 それは正体のわからぬ恐怖であるが故に、いっそう。
一人だったら、円を追ってはゆけなかっただろう。 あの時、怖いながらも外へ出てゆけたのは >>191リカルダが、大丈夫かと尋いてくれたからだ。
いつも気に掛けてくれるリカルダ。 大好きなリカルダ。
リカルダが一緒なら、どこへでも行けそうな気がした。]
(221) 2014/02/08(Sat) 22時半頃
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[四人に増えた帰り道。
怖くないかと尋ねる周に、 少女は不思議そうな眼差しを向けた。
少女にとってはもう、周は兄であり、 自分たちを守ってくれたヒーローでさえあったから 服の裾を掴んだ手に力を込めて、 少女は周へと、信頼しきった笑みを向けた。]
絢矢、だよ。 えっと……よろしく、周お兄ちゃん。*
(222) 2014/02/08(Sat) 22時半頃
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─ 直円との記憶 ─
[真弓とはしゃぎ遊ぶようになって 一番の被害を受けたのは直円だったかもしれない。
『弓矢だよ。 直お兄ちゃんは的ね!』 『いっくよー! ぶすー!』
真弓が少女の背中を押し、少女が走る。 両手を頭の上で三角に合わせて、直円の脇腹に突進した。 遠慮のない幼子の攻撃はそれなりの痛みを伴うだろうに 直円はいつだってにこにこと笑ってくれていた。
直円のそんな笑顔を見ると、 少女もまた、ほっとしたように笑うのだった。
その直円が、『読書会』に参加するようになり 遊んでくれる機会が減ると、 少女は時折絵本を読んでとせがむようになったけれど 直円はそれに応えてくれただろうか──。*]
(232) 2014/02/08(Sat) 23時半頃
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