228 【誰歓人狼騒動】滄海のカタストロフィ
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サミュエルは、ダイニングを出た。遠目にアイリス[[who]]を見た気がした。
2015/06/25(Thu) 00時半頃
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- 翌朝 -
[朝方の悲鳴に、抱くものは諦観にも似た。繰り返される惨劇に、この中に人狼が居るのだと確信を得る。 今夜の犠牲者はフィリップだった。赤い水溜まりの底から、生の気配を感じさせない重く沈んだ瞳がこちらを見つめていた。 視線を逸らした先。深い霧に包まれた廊下の向こうに朧げに見える、横たわった人影。見覚えのある、柔かな黒髪の癖っ毛。]
あ…、え…。嘘、でしょ…。
[身体中酷い震えで、歯の根が合わない。口の中がカラカラに乾いて、はっ、と声にならない息だけを吐く。]
(34) 2015/06/25(Thu) 20時頃
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……リー?
(35) 2015/06/25(Thu) 20時頃
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[どうか、どうか。 祈る様な気持ちで人影に近づいた。見間違えようのない、元同僚の姿。横たわるその人の側に膝をついて。恐る恐る、頬へと手を伸ばすけれど酷く冷たくて。その男は、もう。息をしていなかった。*]
(36) 2015/06/25(Thu) 20時頃
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[ぐらりと視界が揺れて、胸の動悸が激しくなる。リーが自分の事を女として扱ってくれているのには気が付いていた。なのに、どうせ何時ものお巫山戯だろうとまともに取り合わなかったのは、わたしが臆病だったからだ。リーは私を一人の女として見てくれたけど、受け入れてくれるかどうかはまた別の話しだ。女の子だったなら、素直に頼って甘える事も出来たのだろう。きっと、恋する事だって出来た。]
(38) 2015/06/25(Thu) 21時頃
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(私には愛される資格はないから。)
(39) 2015/06/25(Thu) 21時頃
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[最期のきっかけになる様な一途な想いとは言えない。 ろくでもない男だと知っている、けれども。この男の優しさに私は感謝していたのだ。一人の大切な友人として。
ほんちょっぴり、恋心は否めないけれども。]
どうして…死んじゃうのよ…ぅ。 ばか…っ、守ってくれるんじゃ、なかったの…。
[視界がじわりと滲む。瞬きをしたら、涙がこぼれ落ちそう。 目元には涙が浮かび、水の膜が両目を覆う前に目蓋を伏せて、込み上げる嗚咽に肩を震わせた。大の男が泣くなんて情けない。そう分かっていたけど、この時だけは。小さな女の子の様に膝を抱えて泣いていた。**]
(40) 2015/06/25(Thu) 21時頃
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[声を掛けられ、ぴくりと肩を震わす。 抱えた膝に顔を埋めたまま返事をする。>>37]
何を?リーが殺した犯人? 聞かなくても、分かるわ。
[噛み砕かれた頸椎の後。人間の仕業ではない事を物語っている。]
…人狼なのでしょう。*
(41) 2015/06/25(Thu) 21時頃
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[女たらしで、甘えたな事を言ってばかりで。時々黙らせてやろうかなんて考えた事もあったけど。何時も戯けた感じのリーが居ると気が楽になった。馬鹿な事を言って、笑う。生前のリーの姿を思い出す。 やっぱり、死を綺麗なんて思えない。生きてる、リーが好きだった。]
(50) 2015/06/25(Thu) 22時頃
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[この涙を見て、また。青年は気持ち悪いと言うのだろうか。 お腹が空いたら、食べて。悲しくなったら、泣く。それって、とても自然な事だ。縛られてるとは違う。 食べて、泣いて、恋して。それが生きているって事だと思うから。]
(51) 2015/06/25(Thu) 22時頃
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[ふと、思い出す。 生きる為には食べなければいけない。食事はおろか、飲み物を口にしている姿を見た事が無い人物が、この船で一人だけ居た。 人狼が現れてから。いや、犠牲者が出るよりも前からそう。どうして何も口にせずにいるのだろう。食べなくても生きているのは、人の血肉を啜っているから。彼女が、人狼だから?*]
(52) 2015/06/25(Thu) 22時頃
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サミュエルは、あの青年はもう死んでしまったけれど。**
2015/06/25(Thu) 22時頃
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[あくまでも、大型の獣が襲ったのだと医者の女は言う。>>53 からからの喉、乾いた声で途切れ途切れながら呟く。]
ふふ、 獣だろうが、人間なのだろうが、構わないわ。
[グロリアに続き、立ち上がる。もう泣いてはいなかった。 濡れた真っ黒な瞳でグロリアの背中を見つめて、]
私は…、許さない。
[それは、呪詛の様に低い声音。]
(62) 2015/06/25(Thu) 22時半頃
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大切な人を殺した人狼をぶっ殺してやるわ。
[かつて人狼を殲滅しようとした人々も同じ思いを抱えていたに違いない。 リーの元を離れて、血だまりの中にいるソフィア達の横を通り過ぎて。*]
(63) 2015/06/25(Thu) 22時半頃
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サミュエルは、同じ様に大切な人間を奪われた少女の耳にその言葉はどう響いただろう。
2015/06/25(Thu) 22時半頃
サミュエルは、廊下を歩く。向うは――
2015/06/25(Thu) 22時半頃
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[廊下を歩いている。 後ろから追って来る人がいて。振り返らず、前を向いたまま返事をした。>>67]
無理におねえさんって呼ばないで良いわよ。私の名前はサミュエルよ。 …私も。アイリスがそうなんじゃないかって思ってるわ。
[前方にふたつの人影が見えた。]
(69) 2015/06/25(Thu) 23時頃
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そう言う、貴女が人狼じゃないの? ねえ、アイリス。
[廊下を歩けば、向かい合う二人の男女の姿を見つけた。聞こえて来るのは不穏な会話。 二人の間に横から口を挟む。>>65]
(70) 2015/06/25(Thu) 23時頃
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[小柄で可愛らしい少女。一目見て、護りたいたくなる存在だと思った。 一人目の被害者が発見された際に声を掛けたのも、そういう想いからだった筈。 優しい声で労った事も、二人で笑いあった事もあったのに、今は。 鋭い眼差しで少女を見つめて。*]
(72) 2015/06/25(Thu) 23時頃
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ええ、思うわ。
[何処か、可笑しそうに笑った。]
だから、殺したい。 私は馬鹿な人間よ。生き延びたいからじゃないの、殺されたから。 奪われたのが許せないから。私って嫉妬深いのよ。
(76) 2015/06/25(Thu) 23時半頃
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でも、それって当然の事でしょう。 大切な人を奪われたら誰だって許せないわ。それが人間よ。 生きる為に、眠って、食べる。それと同じ様に自然な事よ。
ねえ、アイリス。貴方はちゃんと生きてるのかしら?*
(77) 2015/06/25(Thu) 23時半頃
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サミュエルは、グレッグに話の続きを促した。
2015/06/26(Fri) 00時頃
サミュエルは、アイリスに話の続きを促した。
2015/06/26(Fri) 00時頃
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…そう。そう、だったのね。 食べて、眠って、誰かを愛して。 それが生きるって事よね。
ならば、生きる為に抗うのも当然でしょう。 貴方達こそ神じゃないわ。 愛する人を奪われて許せる筈がないでしょう。
(84) 2015/06/26(Fri) 00時頃
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わたしは、
生きて欲しかったわ。
[狼の泣き声が聴こえる。男は嘆く、叶わぬ願いを。]
(86) 2015/06/26(Fri) 00時頃
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[彼女もまた、誰かを愛していたのだろうか。 護りたい誰かがいたのだろうか。歌の一節を口ずさんだ。]
It endend when you said goodbye.
[琥珀の狼が流す涙の跡を追って、霧の中へ融ける。**]
(89) 2015/06/26(Fri) 00時頃
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