226 【突発誰歓】君の瞳に花咲く日【RP村】
情報
プロローグ
1日目
2日目
3日目
4日目
5日目
エピローグ
終了
/ 最新
1
2
3
[メモ/メモ履歴] / 発言欄へ
視点:
人
狼
墓
少
霊
全
|
― 現在 ―
[青年の腰掛けた固くて白いベッドの上。 拘束されているわけでも、監視されているわけでもないのに 体のどこか深く。場所も分からない奥の奥がざわつく。
寄りかかった壁にこつん。と頭部があたって。 抉れたキズに指を這わせればざくざくとささくれていた。
青年の茫洋とした視線は何時ものように、虚ろ。
窓から入り込む光の色に目を向けることも、 遠くに聞こえた気がした誰かの声も。足音も。 ただ通り過ぎるままに青年の体を吹き抜けていくだけ。
青年はしばらく"つかれた"が無くなるまでぼんやりとしていた。**]
(12) 2015/06/07(Sun) 03時頃
|
|
[どれだけそうしていただろう。 青年はおもむろに立ち上がると、ぱき、ぱきと肩を鳴らした。 次いで首に通る銀鎖を外して、通す鍵はひとつ。 机の引き出しに閉じ込めた「きろく」に掛けた鍵。
無くさないように、落とさないように。 首にかけ直せば胸元で下げた鍵が小さな音を立てた。
一連の作業を行えば、青年は自室を後にしようと、ふらりと扉を潜り抜け、どこか覚束無い足取りで廊下へ出る。
その直前。
床に散らばる本の中に紛れた"私"の文字。 虚ろ目の青年は、その一冊を取り上げるために立ち止まって身を屈め、拾い上げた。
そうして、今度こそ自室を後にしたのだった。]
(27) 2015/06/07(Sun) 15時頃
|
|
[廊下へと出れば本の中身に目を通すこともなく、あてどなくふらふらと、歩く。歩く。 指先に巻かれた白い布を剥がして。 これはどうして巻いてあったんだっけ。なんて考えていた。
指先に伝う鈍い痛みは珍しいことではない。 手当してもらったんだっけと首を傾げる青年はすでに一度センセーの部屋へ訪れた目的を忘れていた。]
オマエ…、"部屋で休んでくる"んじゃなかったっけ?
[その時、不意に視界に飛び込んだ分厚い包帯に覆われたその人>>21を見て思わず皮肉めいた言葉をかける。 彼の休んでくるという言葉が大体は言葉だけに終わることを短くもない付き合いの中で青年は知っていた。
少しでも長くみんなといたい。 それが理由であるとは本人から聞いたのか、 それともシーシャの推測だったかは定かでない。 どちらにせよ、そのことについて青年が口にすることはない。]
(28) 2015/06/07(Sun) 15時頃
|
|
……そ。図書館ブリ。 とっくに部屋に戻ってるモンだと思ってたぜ。
[名前を呼ばれる。振り向いた体の包帯が擦れる音がした。 ミイラ。と単語が出れば青年は口の端を歪めて、ハ。と笑う。]
ココに長く居すぎて化石になりかけてるミイラだろ。 そいつは災難だったなァ。
[食堂で別れた時に、件のミイラのことをミイラちゃんと呼ばわった>>1:108ことを思い出した。 シーシャは人にアダ名を好んで付けたりはしないから、ミイラちゃん。なんてアダ名はきっと"私"が考えたのだろうと、結論。]
(36) 2015/06/07(Sun) 16時半頃
|
|
――ヘェ、珍しく休むとこか。 ソレならご相伴に預かるのも吝かじゃあねぇな。
[珍しくも大人しく休むと宣う>>34のなら、誘いを断る理由もない。誘われればそのまま付き従うことにするだろう。**]
(37) 2015/06/07(Sun) 16時半頃
|
|
[青年がトレイルのことを揶揄った口は、メルヤに部屋の中へと促されるうちに無意識にぎゅっと引き結ばれた。
結晶になって、化石として残ったとして、後の人々はそんな"彼"を見て何を思うのだろうと。 分析をして、名前を付けて、解読をしても、その中に"彼"の思いは遺されてはいなくて。 体だけが文字通り化石として残り続ける。それを。 自分というものが失われていく恐怖を知る青年は、その一点を。
( うらやましい )
そう、思って いた。 流れ落ちる水のように、零れ落ちる砂のように。 少しずつ、少しずつ欠けていくのは同じ なのに。 青年には何も残らない 残らない 残らない。から。
――――そんな気持ちすら何時の間にか、無くなって。 シーシャの中の"私"はそんな相手をとても愛おしく、呼ぶ。]
(52) 2015/06/07(Sun) 19時半頃
|
|
キルロイ? あァ、…そういえば今日は見てねえなぁ。
[青年は邪魔すると一言余計に告げて、上がり込む。 シーシャの自室と構造は変わらないハズが、壁のキズが残っていないせいか、それとも調度品が置いてあるせいか、同じ作りには見えないメルヤの部屋。
振られた話の中に思い起こすのは自分を兄ちゃんと呼ぶ烏の弟分と、それと、表情のない紫水晶の瞳と。>>38 あの二人は今頃どうしているのだろうかと暫し思いを馳せた。]
(53) 2015/06/07(Sun) 19時半頃
|
|
― 表紙のない絵本と漆黒の烏と ―
[それはある日の午後のこと。 表紙のない絵本には未だ空白の頁が多かった。
青年は暇さえあれば中庭や食堂で"描いて"いたから、 それを見ていたのだろうか。 それとも、直接聞かれたのかもしれない。
どちらにしても"私"以外に隠し事をするつもりの無かった青年は、何を書いているのかと興味を示す者>>45があったのなら表向き面倒だなどとため息を吐きながらも、何を書いているのか、程度は教えることにしただろう。
絵はそう得意ではなかったために、絵の殆ど無い絵本。 尤も、濡れ羽色の髪の少年が絵を描いていることを知っていれば中身を見せることはなく、はにかんで誤魔化しただろうけれど。]
(54) 2015/06/07(Sun) 19時半頃
|
|
[それから。 どういうわけか少年も絵日記を描くようになったようだった。 その原因に自分が絡んでいるとは知らないまま、少年の絵を目にする機会があれば、上手いな、なんて手放しで褒めていたに違いない。 少年との出会い頭のついで、頭を撫でてやるのが何時の間にか青年の悪癖と化していた。
それが。全て終わったのがあの日>>1:301のこと。
青年が暴れる音は直ぐに気付かれて 廊下に緊急時のサイレンが鳴った。その時のこと。
青年は何処か他人事のようにそれを見ていた。 自室から廊下へ引き出されて。両手を拘束される自分。 首筋にはしる微かな痛みと、滲んでボヤけた視界と。
人の顔。顔。顔。 シーシャを見る無機質な目と、白い壁と。
遠く、遠くに見えた、烏のはね。>>45]
(55) 2015/06/07(Sun) 19時半頃
|
|
[次に目覚めたのは空っぽの部屋。 腕に刺さる針と落ちていく水滴の音だけが煩かった。
目覚めて、意識を失ってを繰り返すだけの毎日。 混濁した頭では時間の経過のほども理解には至らなかった。
その部屋を出る時まで青年は知らなかった。 ――今も、知らない。
白く並んだ扉の向こう側。 センセーの部屋の直ぐ近くのその部屋>>1:229が、 一時的とは言え紛れも無く"シーシャの部屋"であったことを。]
(56) 2015/06/07(Sun) 19時半頃
|
|
[やっと自室へ戻る許可が出された時にはシーシャの自室であった場所はすっかり様変わりしていた。
何に対しても、およそ何かを記録し得るものは何一つない。
「 カクリされなかっただけ いいんだよ 」
青年を部屋まで送り届けたセンセーは言った。 カクリ。かくり。――隔離。
その言葉は風のようにシーシャの横を通り過ぎていった。 ある朝、起きると消えている誰か。 目の前で連れて行かれた誰か。 今まで見送ってきた幾人もの顔が過ぎて、消えた。
まだ思い出せる顔。思い出せない顔。 残しておけないものならば、在ったところで。
それは青年の胸の内に巣食った諦念。 何時か"私"が蝶の翅の少女に口にしたことと同じもの。>>1:57 壁に残すキズが唯一の"記録"になったのはそれからのこと。]*
(57) 2015/06/07(Sun) 19時半頃
|
|
[記憶を横切った烏の羽は瞬きひとつで消え 青年は部屋に置かれたラックに目を遣りながら、]
酒って気分じゃあねぇよ。 …それに。 ――オレが飲めねぇのは知ってるクセに。
[酒の誘い>>39には断りの言葉を入れ、茶があるなら茶がいいと強請ってみせた。 促される前に椅子には座っていただろう。 足を組むのは癖で、ついでに膝の上にでも本を置いて。]
…コレは、…ぁー… 、…ん。粗大ゴミ。かな。
[問われたなら一度は置いたそれを手に持ってひらひらと振ってみせる。中身まで開けてみせるつもりはないが、見せる程度ならば問題はないと思っていた。]
(58) 2015/06/07(Sun) 19時半頃
|
シーシャは、メルヤから紅茶を受け取れば口に含んだ。
2015/06/07(Sun) 21時頃
|
だったら正直にそう言えって――よ、
[渡された缶に触れた青年は冷てえなどと口にしつつ、プルトップを開け、口元へ運ぶ。 目線はコップに注がれる酒の音に>>63。]
…一気に飲んで倒れても、センセー、呼んでやらねえから。
[悪戯めかしてそう繋いだのは、 図書館で言われたこと>>1:116への青年のささやかな反抗だったかもしれない。 医者嫌いが呼んでくれなんて言うとも思えなかったけれど。]
(78) 2015/06/07(Sun) 21時半頃
|
|
…そうか。 しばらく話してねえ気がしてたが、元気ならいい。
[言い淀むのはらしくなかったかなと自らの態度>>58について振り返りながら、常に俯瞰的な立場を取っているような眼前の男へ視線を移す。 一部の相手を除いて俯瞰的な態度を取ることが多いのは知っていた。その理由までは聞いたことがあったかなかったか、どうだったろう。
キルロイとは最近声を交わした記憶が無く。 それでも元気にやってるならと青年は口元を緩める。]
……まァ、そうだな。 出来損ないの駄文だ。
[手にした本はシーシャではなく"私"のもので。 捨てようと持ってきたのは矢鱈と表へ出ようとする"私"への仕返しのつもり。中身は読んでいないために、知らない。]
(79) 2015/06/07(Sun) 21時半頃
|
|
あァ?…いいよ。 悪ィだろ。
[捨てておこうか>>64などと申し出られるとは想定外。 此方を見つめる鳶色の瞳と視線が合わぬよう、青年は暗赤色の視線をすっと壁へ逸らした。
対する男は不干渉を信条としているようでありながら誰のこともよく観察している。 忘れない。シーシャのことも、――"私"のことも。
…だからこそ、今は目を合わせたくはなかった。]
(80) 2015/06/07(Sun) 21時半頃
|
|
痛み止めねぇ。 強いヤツでイイなら、持ってるぜ。
[酔いが回ってきたのか話題が変われば>>68、青年は好都合とばかりにそちらへ乗ることにした。 頭に根を張る角の痛みは時折涙が落ちるほどに強い。
多用しないようにと言い含められて処方された紫色の薬は青年の服の中のケースに余っていたと記憶していた。]
多用は厳禁。 センセーには…内緒で、な?
[取り出せば余りは32錠ほどあるよう。 シートから半分切り取ってメルヤの方へ差し出す。*]
(81) 2015/06/07(Sun) 21時半頃
|
シーシャは、ケイトに本を貸していたかどうか思い出そうとした。
2015/06/07(Sun) 22時半頃
|
[紅茶に酒が混入されたことには気付かず。 メルヤが笑い声>>83を零したことに青年は少しばかり瞠目したが、直ぐに気怠げな半眼へ戻ったのだった。]
ハ。そん時は、床に転がしといてやるさ。
[軽口には肩を竦めて聞き流し、それでと続きを促した。
毎日誰彼とでも話をするわけではない青年にとっては、時間を惜しんで誰かといようとするメルヤの存在は貴重なものだったから。
…その彼が自分の様子を訝しんでいるとまで気付かないまま、 彼の顔を合わせた何人かについて話を聞いた。]
(105) 2015/06/07(Sun) 23時頃
|
|
[鳶色の視線の伸びる先を知らぬ青年は、自らのくすんだ色の髪に目が向けられているなど思い及びもせず。 本を片手に髪に手を伸ばそうとして、何時ぞやと同じように"角"に指先を遮られ、渋々指を引っ込める。
その様子には、対する人の声は飛んでこない。 ――不干渉。 何故、メルヤが不干渉を貫くのか。その理由を聞いたことがあるとすれば、まだ白い部屋>>56を知らない日のことであったろう。
ある時から青年もまた人に対して不干渉を貫いている。 きっとそれはメルヤの"理由"とは似て非なるもの。 厭世的。その言葉で終わりそうな……不干渉。]
余計な気遣いは無用ってな。 気持ちだけ受け取っとく。 サンキューな。
[本の話が過ぎ去ってしまえば、それだけ礼を述べる。 何処か強ばったような顔が多いメルヤが顔を綻ばせるなんて珍しくて、そう遠くない頬に手を伸ばせば、ふに、と無造作に摘んだ。
後に残るものが無いというのは悲しいことだけれど、残らない方がよいものもあるのだとは――口にしなかった。]
(106) 2015/06/07(Sun) 23時頃
|
|
…あんまり、ひでえならさ
[センセーのとこ行けよ。と言いかけた口は噤む。 同じことを口にしたところでメルヤは頑なに拒むだろうと思ったためだった。>>85]
――…いや、なんでもねえ。 …俺? まァ…、ぼちぼち、かな。
[多用は厳禁と何度も告げられた薬。 それを大量に持ち運んでいる理由は。使うため、なのだが。 それを素直に言うことなんか出来なくて、青年は適当にお茶の濁るような言い方をした。]
(107) 2015/06/07(Sun) 23時頃
|
|
ちょっ、おま、何やって――!!
[直後、酒で薬を飲むなんて蛮行をメルヤが始めたものだから、そんな打算はどこか彼方に吹き飛び、メルヤの手を止めるべく立ち上がったが、時既に遅し。 メルヤの手元から紫色の錠剤はさっぱり消えていた。]
(108) 2015/06/07(Sun) 23時頃
|
|
ばか、オレは飲まねぇって言ったろうが。
[しつこく酒を勧められた>>112なら、コレがあるからと紅茶の缶を振ってみせ、ちびりと缶の端から液体を舐めとった。 ……どこか、消毒液の味がしたような気が、したのは。 …気のせいだったに違いないと頭から払い除けた。
見た目は素面のようではあるが、これは酔っているなと 青年が相対したメルヤに向ける目は、実際冷淡であった。]
(129) 2015/06/08(Mon) 00時半頃
|
|
定期検診ねぇ… 誤魔化すくらいならサボりゃあいいのに。
[嫌だ嫌だと医者へ嫌悪を示す様子>>113には軽々しくそんなことを提案してみる。 強制的ではないのだから、厭ならば逃げてしまえと。 センセーに聞かれたら唆すのはやめなさいとかなんとか怒られそうな気がするが、青年はお構いなし。]
オマエが勝手にやってようと、 お節介でも心配でも、なんでもよ。 俺にとっちゃあ大した違いじゃあねぇのさ。
[気にかけられるうちが華ってな。と笑ってみせたところで、 続いた本をくれ>>114、の言葉に眉を顰めた。]
(130) 2015/06/08(Mon) 00時半頃
|
|
くれって……、オマエなあ。 駄文だと前置きしたのにまだ欲しいっての?
[タダでと言わないほど、この本の何に興味を持ったのやら。 青年には分からない。 中身は"私"の書いた何かなのは分かりきっている。のに。
それでも。欲しいと、そう言うのだ。]
…まァ、どうせ捨てるところだったんだ。 せいぜい枕の代わりにでも使ってくれよ。
[どこか釈然としないながらも、求められれば青年は手にした本をメルヤへと渡すことにする。 その際ぐらりと視界が傾いたように感じたが、一瞬で収まったために気にしなかった。*]
(131) 2015/06/08(Mon) 00時半頃
|
|
[酔っ払いを見つめる青年の瞳は冷淡であったが、頭の中がふわふわと浮くような感覚が薄らと湧き始めていた。 それがよもや酒のせいなどとは思わない。
普段のメルヤであれば、他人の飲み物に知らぬうちに酒を継ぎ足したりなどしないから。 ――…普段の、メルヤならば。
体調崩したかな…と青年は浮いた頭で考えた。]
いーんだよ。気が変わったって言っとけ。 大体な、具合が悪くなったらセンセーに見てもらえ、ば
[ぐらり、視界が霞む。回る。 体が浮いているのか、地面が沈んでいるのか。 どちらともつかず、気持ちが悪い。たまらず目を閉じて。]
(153) 2015/06/08(Mon) 01時半頃
|
|
[目を開ければ、光が瞳孔を刺した。 何かが逆流しそうな。けれど、胃の中は今は空っぽ。]
大事にしなくて…っ、いいから――、 捨てちまえよ。そんな、本(モン)…!
[酔っ払いに何を言おうが戯言であるのは青年とて理解している。 それでも、渡した本は大事>>140にしてもらおうなんて微塵も思っていなくて、それだけを何とか声にした。]
……今は、イイ…、 むしろ、やめろ…。
[立ったままではいられなくて、壁に手をついて爪を立てる。 マジックだとか。 そんなものを落ち着いて見ていられる状態では明らかにない。 ぐわんぐわんと頭の中で音が鳴る。 …ひどい気分だった。]
(154) 2015/06/08(Mon) 01時半頃
|
|
[嗚呼、この感覚は覚えがある。 ここに来て青年はようやく思い至る。 これとよく似たコトが以前にも起きたことがあった。
――――悪酔い。
食べ物にも飲み物にも然して制限のない青年の、唯一の苦手。 酒を飲むと、味や風味を味わう前に"こう"なるから。]
だから…、酒は飲まねぇと――あれ、ほど――!
[脇でメルヤが何か楽しげに述べているが聞こえない。>>146 聞いている余裕もなかった。 白い布切れが視界に入って、消えた。 その様子を目にして、…目にして。
目眩に身を任せて、椅子に倒れ込めば――――暗転。]
(155) 2015/06/08(Mon) 01時半頃
|
|
[寝てはいなかったハズなのだけど、あくびが口から漏れた。 居眠りをしていたらしいと合点する。 口の中にはアルコールの味。 お酒に弱いクセに飲んだのかしらとため息を吐いた"私"の頭に何か>>147がすこーん!と当たった。]
いった…! …部屋の中になんてものばら撒いてるの!!
[思わず大声で言えば、くらりと。 傾いたけれど、私はシーシャほどお酒に弱くない。 ばこんばこんと部屋の中で跳ね回るボールの群れに呆れ返りながら、履いていたスリッパを脱ぐ。 手近にやった目線に使えそうなものはなかったから。]
(156) 2015/06/08(Mon) 01時半頃
|
|
ご覧あれ!じゃないわよ!!
[起きた時に聞いた>>147声に突っ込みを入れて。 スパーン!とスリッパをザ・酔っ払いの方へ投げつけた。
当たれスリッパ。そして、酔っ払いの目がこれで覚めればいい。 私にボールを当てたツミは重い。*]
(157) 2015/06/08(Mon) 01時半頃
|
|
[投げたスリッパは見事命中。したものの。 酔っ払いはぐるぐると目を回して倒れてしまった。>>158]
ちょ!ちょっと、アナタ!ミイラちゃん二人目!
[慌てて呼びかけるけど、返事がない。しかばねみたい。 私は沈黙しているミイラちゃんのところへ寄ろうとして、]
あで! いて! …いたい! いたいわ!
[すこーん すここーんとボールが当たり、悲鳴を上げた。 幾つ跳ね散らかしているのだろう。 当たれば激痛というほどではないけど、痛い。]
(165) 2015/06/08(Mon) 02時頃
|
|
コラ! 起きなさい!まだ寝る時間じゃあないわよ!
[漸く辿りつけば、二人目のミイラちゃんの頬を平手でべしべしと叩いた。起きる気配は……無い。]
もう、シーシャの馬鹿! こんなトコで何してたのよ!!
[苛立ち混じりに吐き捨てれば、ちょうどその時。 …酔っ払いの胸ぐらでも掴み上げたところだったかも。
扉が開いてボールを叩き落とす音がした。>>164 手にしている絵本に見覚えはある…気はしたけど。 今はそんなことよりボールが跳ねなくなったっていうことのほうがよっぽど大事!]
(166) 2015/06/08(Mon) 02時頃
|
|
ナイスケイトリン!やっちゃって!
[ボールを叩き落とす手腕には無駄のない動き。 そして、その顔は私もよく知っている、ケイトリン。
大感激。この恩は忘れないでおくわ。…10分くらい。]
私 は 酔 っ 払 って な い わ よ! よぉく見て、酔っ払ってるのはこの!
[酔っぱらいと一括りにされるのは心外だったから、その点には訂正を求めることにする。 掴み上げたミイラちゃんの顔をびしっと指差して。]
(167) 2015/06/08(Mon) 02時頃
|
|
ミ イ ラ ちゃ ん!!
[そんな風に、感情豊かに主張してみたわ。]
(168) 2015/06/08(Mon) 02時頃
|
|
[とりあえずは這いよる混沌のような声で呻くミイラちゃんの顔をトドメにとびしばし叩いておいたわ。 グーで殴らないだけ優しいとおもうの。]
這い寄る混沌みたいな声を出さないでくれるかしら。
[呻き声>>169が五月蝿いから睨んだけど、鳶色の瞳が濁っていたから、ああもうダメかしらなんてミイラちゃんの頭の上に天使の輪っかを作ってみた。指で。]
この酔っ払いが酔っ払ってマジックを始めやがったのよ。 ジャグリングだとか。 …その結果がこれ。
ヒドい目に遭ったわ。もう!
[ぷんすかと愚痴調で改めてケイトリンに告げれば、意識の戻ったらしいミイラちゃん>>170を床に投げ出した。]
(174) 2015/06/08(Mon) 02時半頃
|
|
冷蔵庫?冷蔵庫のなかに水があるの?
[とぎれとぎれの声が聞こえたから>>173部屋の中を見渡した――ら、直ぐに目に付く冷蔵庫。 病院の三種の神器。 …シーシャの部屋には無いのがザンネン。本当に。
冷蔵庫まで歩いて、扉を開けば水がこれみよがしに置いてあって、そういえばさっき飲んでいた>>114んだっけと思い出す。
それを持ってミイラちゃんの近くまで歩いて。]
取り敢えず飲んどきなさ、――いっ!?
[がくんと膝が折れて水の入った容器をその場に落下させた。 嗚呼、呪うべくはお酒に弱いシーシャの体。 シーシャほど悪酔いはしないけど、私も強くはない。]
(180) 2015/06/08(Mon) 02時半頃
|
|
[その時、ケイトリンが指示を出しているところだったかも。 こんな惨状を見ても動揺しないなんて、さすが。
冷静にそんなことを考えていた私の手元の真下には、酔っ払い。 零れた水の行方は――どうなったかしら。]
どうも飲み物にお酒を混ぜられたみたいでねぇ。 私、お酒には弱いのよ。困っちゃうわ。
[嘆息しながら遅れてそんなことを言って。 言われた通り>>179に床に散らばるボールのひとつひとつを指で拾い集めることにした。]
(181) 2015/06/08(Mon) 02時半頃
|
|
何するんだ、じゃないわよ! この! よっぱ、らい、が!
[ミイラちゃんの酔いは覚めたらしい。 水も滴る悪いミイラ>>184の額を私は、ぴ!と指で弾いた。
寒がっているように見えるけど、自業自得ねと放置する。 ボールはあらかた集め終わったので、ベッドの上にでも適当に放っておいた。]
私?私は大したコトないわ。 お酒の量もそう多くなかったみたいだし――?
[調子を聞かれた>>186ならミイラちゃんの方を睨みながらそう答えて、手のひらでぱたぱたと自分の顔を仰ぐ。 少しだけ火照っているみたいだった。
視界の端に、般若>>187が見えた気がしたからそっと目を逸らすのは忘れない。 覚えておきなさい。女を怒らせるとアトが怖いのよ。]
(191) 2015/06/08(Mon) 03時頃
|
|
[上気した顔も、キルロイの翼から送られた風で少しはマシになったようだった。 私はわざとらしく大きく嘆息して、やれやれとジェスチャーをしながらミイラちゃんの謝罪会見>>196を見ていた。]
センセー、呼んできたげようか?
[へらへらと笑いながら告げた言葉には嫌味成分をたぁっぷりと混ぜ込んで。 ミイラちゃんが医者ギライ>>83なのは私だって知っている。 だから、お酒を飲ませてくれたお返し(嫌がらせ)のつもり。]
ほんっとーーーーーに、ね!! …酔っ払いの相手なんて二度とゴメンよ。
[ケイトリンからかかった言葉>>198にそうなのよ〜と相槌を打ちつつ、ぎろりとミイラちゃんを睨み落として、 今更だけど二人の来訪者の方へ訝しく目を向けた。]
(200) 2015/06/08(Mon) 15時頃
|
|
……ところで、二人ともどうしてここへ?
[自分に用があるなんて思い当たる節も無くて ミイラちゃんに会いに来たのかしら。と、私は内心首を傾げた。
その時に喉の奥で低く笑ったのは、同じような質問を投げたミイラちゃんへのキルロイ>>188とケイトリン>>189の息が余りにも合っていたことを思い出したから。でもそれは私だけの秘密。**]
(201) 2015/06/08(Mon) 15時頃
|
|
[八つ当たり気味に…とはいえ、跳ね返ってしまわぬように力加減を加えながらラックへボールを投げつけていたら、ミイラちゃんは冷静さを取り戻したようだった>>207のを見れば、まだ怒りは収まらないけど、つーんとそっぽを向いて文句をいうのはヤメにした。
…ちなみに、コントロールが悪い私の投球は4割ほどハズして床の上に散らばっていた。]
飲むのはいいけど私を巻き込まないで頂戴。
[最後に一言。 追い打ちとばかりに付け加えて、私のお説教は終わり。]
(219) 2015/06/08(Mon) 21時半頃
|
|
[用があるのは私>>213だと聞けば目を瞬く。 続いて、本と聞けば――本? 誰かに貸したことなんかあったかしら。 と、怪訝に眉を寄せながらも、渡される>>214のなら素直に受け取っただろう。]
記憶?…そんな本(モノ)貸した覚え――…
……ああ。あの時の。
[自分の手元に本が渡ればぱらぱらと捲って。 中身を見れば漸く思い出す。>>1:279 …どうしてケイトリンに貸したのかは覚えていなかった。]
(220) 2015/06/08(Mon) 21時半頃
|
|
私には必要のないモノだから、 要らなくなったら捨ててって、言わなかったかしら。 …律儀なんだから。
[本当に言ったかどうだか知らないけれど、中身は"私"には要らないものだったからそんな風に口にして。 でも、この場ではどうすることも出来ないから、後で処遇を決めましょう。と持っていくことにした。]
これを私に返すってことは、…ケイトリン
[本人から聞いたことはあったのだっけ。 脳に過ぎる微かな違和感。 ――返さなくていいと言ったものをわざわざ、返しに来た、 その意図。
余計な想像を口から出しかけて、やっぱりやーめた・なんて口を噤むことにする。詮索無用。それは、私もシーシャも、きっと同じ。 代わりに、頭の端で本の中身についてちら、と考えていた。*]
(221) 2015/06/08(Mon) 21時半頃
|
|
― "私"とシーシャ ―
"私"がシーシャの中に起きたのは何時だっただろう。 何処で、だっただろう。 そんなコトはもう覚えてはいないけど。 気付いたら"私"はシーシャの中に"私"として存在していた。
シーシャの体で"起きる"たびにシーシャが"私"への嫌悪感を募らせていることは何も知らない・知らなかった"私"にだって分かった。
忘れたくない。失くしたくないとシーシャが願うもの。 感情も、思い出も、記録も、記憶も。 全てを吸収して"私"は育つ。
でも、記憶に残る景色も、人の顔も。 それに抱いた感情も、全てがシーシャのものなのは変わらない。 "私"はシーシャじゃない。シーシャは"私"じゃない。
シーシャの中の"私"がそれまでのシーシャの記録を受け継いで 代わりとして"シーシャ"が私の中から消えていく。
(236) 2015/06/08(Mon) 22時半頃
|
|
それでも、誰も彼もが名前を呼ぶのは"シーシャ"。 "シーシャ"ではない名前のない"私"には誰も目を向けない。
シーシャ自身ですら、自分が少しずつ削り落とされていく、 無くなっていくその感覚に怯えて 恐怖して "私"を嫌悪した。"私"の存在を認めようとしなかった。
だから、"私"もシーシャを嫌う。 "私"ではないシーシャを嫌う。 シーシャがいなくならない限りは"私"は存在していない幽霊と変わらない。シーシャの中にいる"私"は。
シーシャの記憶を 記録を それが記された全てのものを 消してしまおう、捨ててしまおうとするのは 消えてしまうシーシャの痕跡が少しでも残ることを "私"じゃないシーシャの足跡が何処かに残されることを
――――誰かが"シーシャ"を覚えていることを
(237) 2015/06/08(Mon) 22時半頃
|
|
何よりも、なによりも ――…恐れている。*
(238) 2015/06/08(Mon) 22時半頃
|
|
[嗚呼、どうして。どうして。 こんなにも"シーシャ"を欲しがるのだろう。>>225>>228
彼らが見ているのは"シーシャ"で、"私"じゃない。 適当に目を通した本の中身は、紛れも無く。間違えようもなく。 "私"の字ではなく、シーシャの字。シーシャの記録。 きっと、シーシャ以外には価値のない記録を、シーシャ以外の人間が、こんなにも。なぜ。
…私は逡巡する。 シーシャの残した足跡。今は私の後ろに続く足跡。 "私"が決めることだと達観するケイトリン。>>232
メルヤは…唯の気紛れだったのかも知れないと思った。>>229
それでも、烏の子が"私"を見る目は真剣で。 どうしようもなく――シーシャ"だけ"を見ていて。
それが私の劣情を、黒く、暗い部分を刺激する。]
(239) 2015/06/08(Mon) 22時半頃
|
|
――…別に、欲しいならあげる。
でも。
[私は唇を噛む。 漸く手にしたシーシャの最後の"希望"。 これを渡してしまったら、私は。…私は。 …言いかけて、口を止めて。息を吸って。]
二度と、それを"私"のところへ持って来ないで。
――…次にその本を私が見たときは、 捨てるまでもなく直ぐに燃やすわ。
[低く囁いて、烏の子へ本を手渡そうと。 身を焦がす焔のような何かが私を動かさないうちに。]
(240) 2015/06/08(Mon) 22時半頃
|
|
[本はケイトリンから烏の子へ。>>241 結局、"私"の元へは戻ってこない。…勿論、シーシャの元へも。
礼を述べる濡れ羽色の髪の子を見下ろしながら、私は苦々しく顔を歪める。……それしかできない。 ケイトリンに本を渡した時にもこんな心境だったのかも。 そう思うと、何故貸したのだったか余計に分からなくなる。 苛立たしい。――…とても。]
お礼なんか、よして。 …ゴミをあげて嬉しそうにされても、困るから。
[奇しくも口にしたゴミという言葉はシーシャが"私"の記録に対して言ったこと、なんて私は知らない。 ただただ、述べられた約束の言葉に頷いて、 烏の子が部屋へ戻る>>246というのなら、それよりも先に]
(250) 2015/06/08(Mon) 23時半頃
|
|
……私も今日はこれくらいでお暇するわ。 アナタ、次、"私"にお酒を飲ませようとしたら許さないから。
[名指しはしないものの、ミイラちゃんを指差して。 随分と大人しくなった…と睨めば、ミイラちゃんが鳶色の瞳の奥で何を考えているか>>245なんて知りっこなく。]
――…また、ね。 ミイラちゃんと烏の子、それとケイトリン。
…また会えることを楽しみにしているわ。
[軽く手を振れば振り向くことなく、視線を逸らしてその場を後にする。引き止める言葉があったとしても足を止めない。
歩く先はどこだろう――そう、今度こそ中庭にでも向かって。*]
(251) 2015/06/08(Mon) 23時半頃
|
|
[中庭へ向かう廊下の端々には硝子が埋め込まれた壁がある。 嵌め込まれた硝子からは中庭の巨木>>60が見えた。
その場所。誰もいない廊下の片端。 昔にこの場所にいた気がする桃色の花が好きだった誰かに似た 花が植えられている花瓶の傍に私は立っていた。 嗚呼、なんて。……な んて]
( 気持ちが悪い )
[体の奥でごうごうと流れるそれを言葉にもしきれない。 本当は。――本当は、渡さないと叫んで、その場で捨ててしまいたかった。>>239 激情に任せて破って千切って、跡形もなくしてしまいたかった。 あんなもの。あんなもの。あんなものが。 "私"ではなくて、じきに消えてしまうシーシャの存在のカケラ。
"私"が忘れてしまっても、シーシャは誰かの中にいる。 そのことが非道く私の心を揺さぶる。吐き気がする。 嗚呼やっぱり、あげる。>>240なんて言わなければよかった。 頭を過るのは後悔。後悔。後悔。後悔。二文字きり。]
(273) 2015/06/09(Tue) 01時頃
|
|
[直ぐに撤回して、無理矢理にでも奪ってしまえば良かった。 それが出来なかったのは、烏の子が。あの子が。 ――あまりに必死だった>>225から。
…元はシーシャのものだった、要らない情。 そんなもの必要がない。シーシャと一緒に消えてしまえばいい。 "私"はシーシャじゃない。シーシャは"私"じゃない。 呪文のように同じこと、ひとつを繰り返す。
嵌め込まれた硝子に映るのは――シーシャの顔。 "私"が大嫌いな。…"私"を大嫌いな、シーシャの――
衝動的に硝子に叩き付けた拳をもってしても分厚い硝子が割れることはない。知っている。識っている。嗚呼。それでも!
一度二度、三度と廊下を写し取る硝子を殴る。 四度、壁をキズ付けることを覚えた爪が容易に血を流す。 五度、六度。拳の痛さよりも、ずっと、ずっと。
――――胸の、何処かが痛くて。]
(274) 2015/06/09(Tue) 01時頃
|
|
[…硝子が赤く曇る前に止めとばかりに引っ掻いた。 それでもキズは残らなくて。――…残せなくて。
透明な板の上に残る赤い汚れを指で引き摺って壁に寄り掛かれば、頭を穿つ角の端がこつんとぶつかった。 ……お酒を飲んだ時より、酔った時よりずっとひどい気分で。
体重を白い壁に寄せて。 誰かに見られてなければいいのに。
なんて。 …その時ばかりは本心からそう、思った。]
(275) 2015/06/09(Tue) 01時頃
|
|
["私"も、シーシャも未だ知らない。 廊下を忙しく歩き回る白衣の足音>>190も、
"見送る"ことも叶わないままに行ってしまった 誰か>>268の後ろ姿も。*]
(276) 2015/06/09(Tue) 01時頃
|
|
[それから何処をどうやって歩いたのやら。 中庭へ歩いていたハズだったのに、ふらふらと揺れる私の足取りは勝手に自室へと向かっていた。
幸いなことに、廊下で誰かに呼び止められることはなく。 リノリウムに赤い音を響かせながら私は歩いていた。 胸元で金属と金属の擦れる音がしたけれど、確かめようと手を伸ばすほどには至らない。
…数年前までは、 シーシャが"私"でいる時間も、"私"がシーシャでいる時間も数日を跨いで何度かあるか、ないか。 "私"が起きていることの方が珍しいくらいだったのに。
何時の間にか"私"の起きている時間の方が、もしかしたらシーシャがシーシャでいる時間よりも長くなっているかもしれない。 多くの顔を見ることが増えて、多くの顔を見ることが減った。
シーシャの記憶と感情と。 手放してしまった記録の殆どをもう私が持っている。]
(290) 2015/06/09(Tue) 01時半頃
|
|
[シーシャには何がどれだけ残っているのだろう。私は知らない。 私が"眠っている"ことが減った分、シーシャが何をしているのか、していたのかを知ることは出来なくなった。
…もしかしたら、"私"の知らない間に逆に"私"の残した足跡を、記録の全てを消そうとしているかも。 そうだったとしても私には止めることも、その資格も全くと言っていいほどに、無いのだけれど。
だって、"私"は知っている。 シーシャの中に"起きた"時から知っている。
シーシャはいつか"どこにもいなくなる"。
誰が覚えていても、覚えていなくても。 シーシャが望んでいても、望んでいなくても。
――――私が望んでいても、いなくても。*]
(291) 2015/06/09(Tue) 01時半頃
|
|
― 鍵の掛かった表紙のない絵本 ―
[自室に戻れば、青年は眠りにつく。 胸元にかかる鍵の意味を"私"は知らない。
机の引き出しの片方が閉められていたことにも、 そこに刺さっていた鍵が無くなっていることも、気付かない。
窓からは夜の明かりがしんしんと降り注ぐ。 鍵の掛かった絵本の中身を知るのは、青年と、そして。*]
(297) 2015/06/09(Tue) 02時頃
|
|
なにかを言おうとした女の子は黙ってしまいましたが すぐに口をひらきました そして
『 わすれないで 』
そう 女の子は男の子に言いました わ た し を わ す れ な い で つのの生えた女の子はとても綺麗な笑顔でした 涙をぽろぽろ ぽろぽろと落としながら笑っていました
そして 男の子の手をにぎって繰り返すのでした
『 わすれないで わたしを わたしのことを みんなが忘れても ×××× だけは
――――…それが、一生の おねがい 』
そういって 女の子は震える手で銀のナイフをくびにあてると
(299) 2015/06/09(Tue) 02時頃
|
|
女の子の部屋に赤い花がさきました とても綺麗で 恐ろしい花でした あたたかくて つめたい花でした
とてもかるい かるい音をたてて 女の子は倒れてしまいました 男の子はおどろいてかけよりました
女の子のからだからいのちが流れていくようでした ささえたからだがどんどんと つめたくなっていきました
そのとき女の子の今にもきえてしまいそうな声を聞いていたのは すぐそばにいた男の子だけでした
(300) 2015/06/09(Tue) 02時頃
|
|
いやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌――――!! しにたくないしにたくないしにたくないしにたくないしにたくないしにたくないしにたくないしにたくないしにたくないしにたくないしにたくないしにたくないしにたくないしにたくないしにたくないしにたくないたすけてたすけてたすけてたすけて―――…… ……………。
(301) 2015/06/09(Tue) 02時頃
|
|
男の子はこわくなって女の子からはなれました つののはえてきた女の子の髪は空のつきのいろでした 赤くなってしまったその髪のあいだから ふたつのくらい赤いろの目が男の子をじっとみていました
なにも 言わずにただ じっと 視ていました
(302) 2015/06/09(Tue) 02時頃
|
|
とびらをたたく音がしました 男の子はへんじをしませんでした 女の子もへんじをしませんでした
とびらを開けたのは《 パパ 》でした ひめいを上げたのは《 ママ 》でした
赤いなみだの海がへやの中にできていました 男の子はぎんいろの鎖をにぎりしめて震えていました
《 ママ 》がとてもかなしそうに泣きだしました 《 パパ 》はどうしていいかわからないようでした
女の子の赤い目が いっそう くらくなったようでした
(303) 2015/06/09(Tue) 02時頃
|
|
それから 女の子はいなくなってしまいました 女の子のへやはかたづけられ 新しいものおきになりました
《 パパ 》も《 ママ 》も さいしょのうちはかなしそうにしていましたが すこしずつ すこしずつ 忘れていくようにして なにもなかったように暮らすようになりました
それでも 男の子はさむい冬の日のことをわすれませんでした 春がきて夏がすぎて秋がかおを出してまた冬がおとずれても ずっと わすれませんでした
夜になるとそっとへやをぬけだして 女の子のへやだったばしょまで行き こっそり 女の子のために泣きました ひとりで なきました
(304) 2015/06/09(Tue) 02時頃
|
|
やがて なんどもなんども冬がすぎて 男の子には《 おとうと 》ができました
《 パパ 》も《 ママ 》もたいそうよろこび 《 おとうと 》をとてもかわいがるようになりました 男の子にもそれまでとおなじように接していましたが 男の子は《 おとうと 》ができたことを喜べませんでした
女の子のなまえをだすと《 ママ 》はかなしみ 《 パパ 》はおこって男の子をひどくぶちました 家のなかの女の子のものもすっかり なくなってしまいました
そんな《 パパ 》と《 ママ 》が男の子はきらいでした
(305) 2015/06/09(Tue) 02時頃
|
|
《 おとうと 》が女の子の年になったときでした 男の子の髪のいろがどんどんとうすくなり しまいには空にういたつきのいろのようになりました
あたまがずきずきと痛むようになり 男の子のあたまに羊のつののようなつのがはえて すこしずつ すこしずつ伸びはじめました
それを見た《 パパ 》と《 ママ 》は不気味におもい こんどこそ 男の子をびょういんに入れることにしました
女の子のようなことがおきないようにと 男の子の知らないうちに男の子のもちものを捨ててしまいました のこったのはいくつかの本>>1:273だけでした
(306) 2015/06/09(Tue) 02時頃
|
|
「 あなたたちには ×××× が いるから 」
びょういんへ行くことが知らされた日 男の子は《 パパ 》と《 ママ 》へ言いました
「 よかったね これでめでたしめでたしだ 」
それは とおい日に聞いたものを そっくりまねをしたことば>>1:167でした ただし ひとつだけ ×××× の名前だけが変わっていました それが 男の子が《 パパ 》と《 ママ 》を見た最後でした
男の子も 女の子もいなくなった《 かぞく 》は 《 パパ 》と《 ママ 》と《 おとうと 》で そのあともしあわせに暮らしていくことでしょう
(307) 2015/06/09(Tue) 02時頃
|
|
おしまい。*
(308) 2015/06/09(Tue) 02時頃
|
1
2
3
[メモ/メモ履歴] / 発言欄へ
情報
プロローグ
1日目
2日目
3日目
4日目
5日目
エピローグ
終了
/ 最新
視点:
人
狼
墓
少
霊
全
トップページに戻る