258 【突発誰歓】鬼渡し弐
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みんな帰ってきた。一人も欠ける事なく、帰ってきた。 呪われた伝説に終止符が打たれたんだ。
[あれから、明之進君を消防団の人達と協力して大病院まで運んだり、地元の新聞社から取材を受けたりてんやわんや。 あたし達にとっちゃ大きな出来事だったけれども、どうせ半年もすりゃ世間からはすっかり忘れられて。きっとあたし達の体験も、いつかは信憑性の無い都市伝説の1つになってしまうのだろうな。]
さて、あたしも過去とすっぱりオサラバできた事だし、大団円といったところかな?
(13) きたきつね 2016/11/23(Wed) 00時半頃
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[本能が警戒心を生み出すその声に、ぞわりとなって振り返る。 そこには何も無い。せいぜい後ろにいた人が首を傾げるだけ。]
本当に、決まっているさ。そうでなきゃ、困るんだ。
[鬼の声、あたしの声。その声に耳を傾けてはならない。これ以上振り向いてはいけない。]
(15) きたきつね 2016/11/23(Wed) 00時半頃
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そうさ、うちに帰ればみんな同じ。どんだけ怖い目に遭ったって、後になってみれば良い思い出でしかないんだ。
[拳をぐっと突き出してみる。
大変なのはこれからだ。環境を変えるってのは、それだけ労力がかさむ。 いい年してんだから、やる事はいくらでも。]
よーし、頑張るぞー!
(22) きたきつね 2016/11/23(Wed) 01時頃
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あたしはとうに振り返ってしまったのさ。あんまり楽しすぎたもんだから。
[人として築き上げてきたものが多すぎる。それが彼女が彼女でいられる唯一の理由。 それがもし無くなったら? それは美夜子本人ですら想像がつかない。]
大人ってのは辛いものだよ。あたしがあと30年若かったらねえ。
また
(23) きたきつね 2016/11/23(Wed) 01時頃
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それにしても、あの鬼も不憫なもんだよね。
[他人事、といった風にぽつりと呟く。それは独り言であったか、それとも誰かが耳にしたか。]
幽霊って事は何か未練でもあっただろうにさ。それについちゃなーんにも解決していないんだよね。 鬼は交代でやっていたなら、最初の鬼は一体全体誰なんだい?
だって、誰も鬼になっていた時の事覚えちゃいないんだろう?
[口元が小さく緩んだ。]
(24) きたきつね 2016/11/23(Wed) 01時半頃
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あたしは子供の頃から卑怯な事は十八番なのさ。
[あの時と同じ、底抜けするような笑顔で。]
(25) きたきつね 2016/11/23(Wed) 01時半頃
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ふふふ・・・・・・
(26) きたきつね 2016/11/23(Wed) 01時半頃
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曼珠沙華、来年はちゃんと季節通りに咲いてくれるかな。
[美夜子は遠い目をして空を見上げる。
桜を折ったって、夜に足を濡らしたって、土用に土仕事したって、三隣亡に家を建てたって何も起こらなかっただなんて、誰が証明できる?**]
(27) きたきつね 2016/11/23(Wed) 01時半頃
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[一陣の風が身を切っていく。意味するものは嵐の前触れか、それとも。]
今年もさっぱりだったなー、曼珠沙華。
[年々曼珠沙華の姿を見る事は少なくなっていった。水が汚れたのかは知らないが、シーズンでもなかなかお目に掛かることはできない。
何か忘れ物がある。けれど、それが何だったのかはもう思い出せない。もどかしい。]
(78) きたきつね 2016/11/24(Thu) 00時頃
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・・・・・・・・・・・・? 空耳か。
[小さな声は、大きな風にかき消された。
頂上からあたしを呼ぶ娘を追って、ゆっくりと石段を登っていく。]
(79) きたきつね 2016/11/24(Thu) 00時頃
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[───ついに、彼女が帰る事はなかった。**]
(80) きたきつね 2016/11/24(Thu) 00時頃
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