75 サプリカント王国の双子
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―応接室―
[>>1:205固まった様子に、首を傾げる。 何かまずいことを言った、にしては、気分を害したとも違うような。]
ええ、どうぞ …… ?
[答えようとするが、それも待たず、彼はさっさと出て行ってしまった。 一体どうしたのだろう。 様子のおかしい彼をみれば、何かあれば使用人の誰かが動くだろうから、あまり深くは心配していなかったが、シメオンの紅茶を味わってもらえそうもないのは、少し残念だった。]
……。
[ひとりきりになってしまえば、雨音がやけに大きく聴こえる。 窓際へ歩み寄り、激しい雨の振りつける曇天を見上げた。]
(1) 2012/01/12(Thu) 00時頃
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(この髪飾りを、ドレスを、全部捨てて、 この雨の中、飛び出していけたなら)
[叶わぬもしもを思い描くも、一瞬。 誰もいないこの場なら何でも言える気がして、けれど本当にひとりでは、何を言っても悪い方向にしか行かない気がした。 すぐに投げ捨て、今後を考える。]
…あの御三方の中から、姉様の伴侶が決まるのかしら…
[一人ひとり思い浮かべ。 誰になっても、本当は男性であることを明かすという壁は大きいだろうなと、気は重かった。]
(5) 2012/01/12(Thu) 00時頃
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[誰か戻るやもしれない、と。 一人で立ち尽くし、見上げ続ける。 使用人たちも、重要な会談の行われるとわかっている応接間には近寄るものもいないのか、静かなままで。
いつの間にか、両腕で浅く自分を抱きしめるようにしていた。]
…… ぁ、 シメオン… ?
[>>31足音と、声。 聞きなれたそれに振り向く顔から、表情は抜け落ちていて。 最も近しい者の姿に、安堵したように微笑んだ。]
大丈夫、です。 ありがとう。
[円卓の方へ、歩み寄る。 笑みの弱々しさは、羽織を受け取る頃には落ち着いているだろう。**]
(36) 2012/01/12(Thu) 01時半頃
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[深く考え込みすぎていたらしい。 >>37シメオンの曇った表情を見れば、映しだす鏡のように。 自分の曇りにも気づき、ハッとして苦笑した。]
…いいんです。大丈夫ですから。 ありがとう。
[渡された羽織を抱きしめた。 交換を頼めば、またこの場には――]
……エゼルレッドさんは、先程部屋を出られました。 せっかくのお茶が冷めてしまうのは、もったいないですが…
[円卓に置かれた紅茶へ手を伸ばす。 ぼうっとしていたせいか、時間経過もわからなくなっていて 遅かったとも思わなかった。]
(49) 2012/01/12(Thu) 12時半頃
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[>>44姉が戻る頃には、いつもの笑顔で迎えられた。]
はい。みなさん、ご家族に連絡や何やらで。 母様も、戻って来られてはいません。
…すみません、不注意で。
[眉を下げ、小さく頭を下げた。]
ぁ。 ハンスは、 ……はい、いってらっしゃいませ。
[>>46自ら行くと聞けば首を傾げるが、急いでいるのだろうか。 引き止めることもできず、ぽかんと見送った。]
(50) 2012/01/12(Thu) 12時半頃
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母様… 調子、お悪いのかしら。
[紅い羽織を身に付け、お茶を口にする。]
母様にも、お茶をお届けするのはどうかしら? 暖かいお茶を飲めば、元気が出るものだけれど…
[女は知らない。 何が起こっているのか。 目の前の彼が、何をしたのか。]
(51) 2012/01/12(Thu) 13時頃
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[候補者たちは、部屋へ戻ってきていただろうか。 女王の居室と応接間の移動は、さほど難しくない。
>>48 悲鳴は、豪雨にかき消されず。 僅か、届く。]
姉様 ……?
シメオン、今、聞こえた…?
[聞き間違いかと思うくらいの。]
(52) 2012/01/12(Thu) 13時頃
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ミッシェルは、シメオンの言葉にまたたいた。
2012/01/12(Thu) 19時半頃
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[既に紅茶を運んだと聞けば、嬉しそうに笑んで、それからまた顔を曇らせる。]
もう?さすが、気が利くのですね。 まだ、具合はよくないようですが…
[二人、静かな時間を切り裂いた悲鳴。 聞き間違いかと思えど、世話役から返るのは肯定。
悲鳴?母の様子を見にいった姉に、なにが。 待てと言われても、首を横に。]
(70) 2012/01/12(Thu) 20時頃
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私も、いきます。
[胸が、ざわめいた。 行かなければ、知らねばならないと、何かが訴える。]
何か…嫌な予感が、するんです。 危険があるならなおさら、一人になど、なれません。
[ついていく、と。 決めた意志は、口で止められてもゆるがない。]
(71) 2012/01/12(Thu) 20時頃
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[>>76神妙な顔で頷く。 信じて疑わない。 最も安全な場所は、彼の傍だと。
姉の声を、シメオンの背を追うようにして辿り着いた場所には、取り乱した姉と、その世話役の姿。]
母様… ?
姉様!姉様、此方を見てください。 私です。ミッシェルです。
[事情を知ろうにも、>>74任されてしまえば、姉を置いていくことも出来ず。 聞き出すよりも落ち着かせようと、その肩をつかむ。 衣装に隠されてはいるが、がっしりした肩。]
(81) 2012/01/12(Thu) 21時半頃
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[けれど。母の部屋から、そう遠くないこの場所。 部屋からも、母の遺体を揺さぶったシルヴァーナからも、かき消し切れない、血臭。]
この、 におい……
ねえさま…?
[姉に問いかけを重ねようとして、ドレスや手に、紅いいろ。]
これ ……?
[声が、表情が強張る。 おそるおそる、部屋を振り返った。
>>83そして、姉の声を聞く。]
(84) 2012/01/12(Thu) 21時半頃
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ミッシェルは、サイラスの肩を掴んでいた手が、するりと落ちた。
2012/01/12(Thu) 21時半頃
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母様 ………?
[殺された、ときいて。 咄嗟に足は、 動かなかった。
青ざめた顔で、シメオンを見て、シルヴァーナを見て おかしな表情に、青い困惑顔を横に振る。]
ぅそ、 だって…… つい、さっきまで、お話されて…
[不確かな足取りで、シルヴァーナの悲鳴を聞いて駆けつけた使用人たちを尻目に、母の部屋へ向かおうと。]
(86) 2012/01/12(Thu) 21時半頃
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[青い顔、こわばった表情を、他の使用人からも心配する声が上がる。 止める手があっても、結局女は、母の部屋へと。]
どいて、ください。
[ハンスの指示か、事態に驚く人々をすり抜けた。 そして、見てしまう。 惨状を。]
―――― ぁ、
[身体が硬直する。 涙も、悲鳴も、何も出て来なかった。]
(89) 2012/01/12(Thu) 22時半頃
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かあ、さま
[搾り出すように、事切れた女王を、呼ぶ。 真っ白になった頭。 何か、なにかしなければとただ空回りして。
動き出すことが、できない。]
(97) 2012/01/12(Thu) 22時半頃
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[立ち尽くすミッシェルへ、使用人が何度も声をかける。 何度名を呼ばれた頃だろう、ようやく視線を動かして。]
………… おきゃくさま、を おまたせ、してるかも…
[なんとか紡いだのは、王女としての責務。 どんな理不尽を感じても立場を捨てられずにいた、責任感が身体を動かした。
廊下へ出たときには、既にシメオンやシルヴァーナの姿もなく。 紅い羽織を握り締める手は微かに震えながらも、心配そうに一人の使用人が後をついて歩いたが、そちらを見ることなく応接間へ向かった。]
(116) 2012/01/13(Fri) 00時頃
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―応接間―
[使用人の一人が、応接間の入り口へ立っていた。 それが用件があれば即対応するためでもあり、 また、容疑者の見張りという役割も兼ねているなんて、気づくことなく。
真っ青な顔のまま中へ入れば、客人3人と見知った世話役の姿。]
ハンス。お客様のお相手、を? ありがとう。
[微笑みかけようとして、引きつった表情に。 自分の席へ、ふらりと腰掛けた。 矜持で、背筋を伸ばしたまま。 けれど、青い顔もその憂いも隠すことはできず。]
(119) 2012/01/13(Fri) 00時半頃
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叔母様から… そう、ですか。 ご報告は、あなたが。
[>>122ありがとう、とか細い声で返し。 席について、癖のように上品に両手は膝へ重ねるも、すぐに羽織をつかむように、浅く身を抱くようになった。
先にシメオンにいれさせた紅茶は冷えていたが、それでもカップが未だ有ることに気づけば、落ち着こうと少しずつ口へ運んだ。 震える手、カップと受け皿がぶつかり、かちゃんと音をたてる。]
っ すみま、せん…
(126) 2012/01/13(Fri) 00時半頃
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[>>120ハンスから、「殺害」と。 明確に告げられたそれはやはり、悪い冗談や見間違いでなく、 事実なのだろう。 きつく目をつむる身体には、痛々しいほど力が入り、震えていた。
詳しい話は、何も知らない。 拒絶するようでいて、しかし耳は、ハンスから告げられる 全てを聞き逃すまいとそばだてられた。 それが、どんなに残酷な現実あっても。]
(128) 2012/01/13(Fri) 00時半頃
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ミッシェルは、暗い顔で、"客人"たちちらりとだけみて、また視線をおとした。**
2012/01/13(Fri) 01時頃
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[実の母ではなかった。 しかし、この10年というもの、母として、女王として君臨していた女が、殺された。
己を保つため、責務を心に任じて応接間へ戻ったけれど、少しずつ染みこむ事実。 容疑者、と、聞こえなかったか。 客人は今、女王殺害の容疑が、かけられているのか。
そんな客人たちの元へ、王女が戻ることが、止められなかった理由は?なんてところにまで、思考は及ばず。]
(160) 2012/01/13(Fri) 12時頃
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[ぐるぐると、混乱する中。 周囲の音は、近いのに遠い。 >>157話しかけられれば閉じていた目を開くが、 どこか遠くを見ているような。]
…… シメオン、
[名前を聞くと、ぱちりと瞬く。 殆ど唇の動きだけで、名を繰り返して。 いつものベルへ手が伸びかけ、止まった。
今彼は、姉についているはずだ。 優先順位という言葉が浮かべば、手は引っ込められる。]
(161) 2012/01/13(Fri) 12時頃
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…すみません、お客様のお相手も、できず…。
[エリアスへ、笑みらしい形はつくるも、先の対談時とは比べるべくもない。 >>146ハンスの申し出をありがたく受け、彼が出ていくところまでは見ていなかったが、>>154更に声が聞こえた。]
…… 不審者、ですか? 城に?
[その後ろのほうに、姉とシメオンがいると気づくには、もう少しかかるか。 立ち上がって近寄るほどの気力はわかず、対処はハンスに任せるとして。
女王は、殺された。 その犯人は未だ、この城の中にいるかもしれない。 誰だと疑う気持ちより先に、シメオンや、姉を案ずる気持ちが胸をかき乱した。 胸元で両手を握り、震えを落ち着けようと。]
(162) 2012/01/13(Fri) 12時頃
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[>>163ハンスに届けられた紅茶。 ありがとう、と受け取る際の、小さな「激励」。 は、と目を見張り]
…… はい。
[沈んでいた表情を固く強張らせ、頷いた。 思いつめるよう、きつく眉根を寄せる。]
[>>164伝えられた「不審者」の情報へ、顔を上げて]
このあたりで、彼は、不審な行動を? …… まずは、状況と、彼の話を聞かなければ。
[冷静であれと、何度も心に言い聞かせる。 連れられた男を見るが、使用人一人ひとりの顔まで覚えているわけではなく、とりわけ彼は若い。新人だろうか。 犯人かもしれないと思うほど、問い詰めたい気持ちがわくが。 青い顔をハンスへ向け、]
(168) 2012/01/13(Fri) 20時半頃
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私の前では、彼が緊張してしまうかも、しれません。 ハンス、あなたか、他の方から話してもらえると良いと思うのですが…
[そう伝えて、自身は席へ戻る。 ハンス自身が彼から話を聞こうとするだろうか。 他の使用人にせよ、情報はそのまま此方へ持って来られるだろう。
そうしているうちに、姉やシメオンもやってくるだろうか。]
(169) 2012/01/13(Fri) 20時半頃
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[姉と、シメオン。 二人の姿を認めたなら、安堵に膝から崩れそうになった。 なんとか立ったままだったけれど、肩の震えはそのままで。]
姉様、……シメオン、 無事で。
[落ち着け、と自制が働き。 酷く取り乱すことはなかったが、作れた笑みは泣きそうな歪み方をしていた。]
変わりは、ありませんか。
[二人についてのことでもあったし、犯人探しなども含めた問い。 姉のドレスが変わっていることから、先ほどの紅い袖や手を思い出す。 こみ上げる想いを押しとどめるよう、片手が口元をおおった。]
(171) 2012/01/13(Fri) 21時頃
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よか、た。
[最も厳重に守られているだろう、女王が殺されたという事実は、 誰が殺されてもおかしくないという不安を駆り立てていた。 二人が失われてしまえば、今のミッシェルを支える根元が危うくなる。]
大丈夫、で す。… ありがとう。
[姉がいる。客人が居る。 そして、ハンスにかけられた、レベッカの言葉もあった。 この状況で弱音を口に出せる人間ではなかったのは、宰相候補としては良い点なのかもしれなかったが。 手を伸ばすこともできず、もう片手は羽織を握り締めている。]
(175) 2012/01/13(Fri) 22時頃
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[姉へも、気を張り詰めた答えを返す。 場を預けられる人が来たことで、少しだけ気は楽になっていたが。 >>181警察が来るのであれば、後は任せられるだろうか。 はい、と頷いて、二人を出迎えに出ていたが、席へ戻る。
>>180ディーンの言葉に、ハッとして]
っ、 すみません、気が回らなくて…
[お客様の応対を、とここへ留まっていたのに。 姉のてきぱきした指示に、小さく唇を噛んだ。]
(192) 2012/01/13(Fri) 22時半頃
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[問い詰められる新米庭師。 動揺の大きさを、どこか壁越しのような遠い気分で見ていた。 此処でなら、さほど恐ろしいことにはならないはず。きっと。 だって彼らがいるんだから、と思うのは、二人の世話役で。
しかし、>>200シメオン自身が場を離れようとすれば、目を見開いて]
ぇ、
[視線で、声ですがりそうになる。 当てていた手で口を咄嗟に押さえているうち、彼は去ってしまうだろうか。
追うように足を進めた、頭痛がするといった青年は。 と。
心配と、密かな嫌悪のような澱みを以て視線をやったが。]
(212) 2012/01/13(Fri) 23時半頃
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どう して…
[>>208青年のこぼした名前、聞き間違えるはずもない。 ただの少女であった頃の、ミッシェルの元の名前だった。
今度こそはっきりと凍りつき、塞いだはずの手の隙間から、 混乱におちた声がもれる。]
(213) 2012/01/13(Fri) 23時半頃
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[繋がる。 彼に聞いた話。庭。手を引いて。 金髪の、おとなしい男の子。 偶然だなんて思えない、その名前をここで呼べるのは。]
……ぅそ、
[掠れた声。 ごく小さく、少しでも離れていれば届かないほどの。 唇の動きさえ手に隠れただろうが、首をわずか、左右へ振った。
>>214姉の声、ハッとして。]
なん でも…… あり、ません……
[あまりにも下手なごまかしだった。]
(220) 2012/01/14(Sat) 00時頃
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