270 食人村忌譚
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[>>85名前を呼ばれる。 敬称のない、いつも通りの名に、 酷く、懐かしい気持ちになった。
今更ながらに気付く。 彼女も、ゆりも、こんな気持ちだったのだろうか。]
わぁ、ありがと! そんな、気を遣わなくてもよかったのに。
[洗われた割烹着と弁当箱。 食うた後そのままに返してくるものも多い中、 丁寧に畳まれた服たちは、彼自身の性格を表しているよう。]
(122) 2017/11/30(Thu) 22時頃
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[信じても、いいのだろうか。]
(123) 2017/11/30(Thu) 22時頃
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[頭に過った希望を、振り払う。へらりと頬を緩めて見せた。]
……ホント、敵わないなぁ。
[――“餌付け”と称される>>86のは、 普段なら頬を膨らませるところだろうけれど、 今この時は、言い返すこともしなかった。
所詮、全て、自分の為だったのだ。 巫女になる努力もしなかったくせに、 好かれよう、愛されよう、などと。
それでも、確かに、誰かの助けになったのであれば こんなに喜ばしいことはない。そう思った。
息を吐く。煮えたぎるような怒りを、 泣きだしたい気持ちを吐き出すように。]
(124) 2017/11/30(Thu) 22時頃
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……大丈夫だよ。 志乃は、確かに許されないことをした、けど、 けれど、だからって、同じことをしたら 誰も幸せになんかなれないもん。
[そんなことをしたなら、 きっと、ゆりに怒られてしまうだろう。]
だから、大丈夫だよ。 私一人の恨みで、妙な真似はしない、から。
[ありがとう、と、頭を下げた後、 じっと彼の眼鏡の向こうの眼を伺う。]
(125) 2017/11/30(Thu) 22時頃
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[ややあって、私は口を開くだろう。]
……源蔵さん。 進には、気を付けてね。
[それは、愛理を殺した痕跡を残した者の名前。 それから――。]
信じたい相手は、いつだって裏切るんだよ。 ……だから、気を付けてね。
[謎かけのような、不明瞭な言葉。 けれど、問われたところで答えることはなく、 私は踵を返しただろう。*]
(126) 2017/11/30(Thu) 22時頃
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発明家 源蔵は、メモを貼った。
2017/11/30(Thu) 22時頃
抜荷 錠は、メモを貼った。
2017/11/30(Thu) 22時頃
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[>>71向けられた疑いの視線には、鼻で笑ってみせた。]
聡明な石動先生にしては、 随分と視野を狭くされているんですね?
愛理を殺した人間と、 江津子おばさんを殺した人間。 ……同じとは限らないでしょうに。
[昨日の彼の言葉をもじって笑う。 私も、彼へ疑いの眼差しを向けただろう。
昨夜の石動の行動は、裏を返せば、 進を守っているかのよう。そう見えたから。]
(127) 2017/11/30(Thu) 22時半頃
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少なくとも、江津子おばさんを殺した犯人が 進だとは思ってないよ。私も。
[――だって、ねぇ?
この目で、見たんだもの。 信じていた人が、命を失う様を。 家畜に食らわれる様を。
――その命を、奪った人を。]
(128) 2017/11/30(Thu) 22時半頃
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−容家付近− [土を掘る道具は農家ならあるだろう 思いついた家は二つ。 ススムは迷わず容の家へ向かう]
鍬か……これで良いかな。
[収穫の為に目立つ所に置いているだろうと かって知ったる何とやら 拝借して、来た道を引き返す*]
(129) 2017/11/30(Thu) 22時半頃
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先生も、いい加減、本気で下手人を探してよ。
閉じこもってばっかりで、 疑わしい、怪しいばかりじゃなく、 行動を起こしてからモノを言ってよ。
……大切な人がいなくなってからじゃ、遅いんだよ。 何もかも。
[大袈裟なまでのため息と言葉を吐いて、 彼の返事に耳を貸すことなく、踵を返す。 彼に、構っている暇はない。
ひとり、向かった先は神社の方向。*]
(130) 2017/11/30(Thu) 22時半頃
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どうしてって、そりゃ…… ゆり様は巫女様だろ。巫女様が間違いなんて起こすわけがないじゃないか
[村の人間としての当然の認識、それ以外など知らず 食い違っている等とは夢にも思わない]
そうだな。シノは間違えたのかもしない 江津子さんは豚小屋で見つかったよ。愛理みたいに腹を裂かれて、豚の餌みたいに……
……シノ? [江津子の詳しい様子を伝えながらも、シノの様子がおかしい事に気付くとシノの顔をのぞき込もうとして]
(131) 2017/11/30(Thu) 22時半頃
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――…!? シノ!どうしたんだ!シノ!!
[突然叫びだしたシノに驚きながらも、肩に手を置くと何度もシノの名を呼び続ける]
(132) 2017/11/30(Thu) 22時半頃
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真剣師 鬼丞は、メモを貼った。
2017/11/30(Thu) 22時半頃
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―翌朝/集会所への道中―
丞さん、お手数かけます せめて、食べられる部分だけでも召し上がって、 精をつけてくださいね
リツさんも、昨夜は危なくなかったですか ご無事で安心しました ありがとうございます
[丞>>56やリツ>>40に掲げられ、 集会所へと向かう自分を、とぼとぼと追いかける リツについては、自宅に帰っていたこと>>35を知らないため、 やや、見当はずれな言葉をかけてしまっていたかもしれない 歩き、進んでいく最中、 ふと、自分を追いかける視線に気がついた]
(+25) 2017/11/30(Thu) 22時半頃
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……こういうことだったんですね
[視線の主は、道端にお座りしていた猫 あの時、ちょっとした交流>>1:49>>1:263のあった小さな命だ]
おかしいとは思っていたんです たまぁに、宙を見ていたり 何もないのに、ぼんやり視線を巡らしていたり
[小さく手を振って微笑むと、 猫が立ち上がり、追いかけてくるのが見えた]
追ってこられても、なにもございませんよ 今日は、卵もありません 体だって、ないんですから
[ごきげんよう、と一礼をすれば、 そのまま前を向いて、先行く躯をおいかけた*]
(+26) 2017/11/30(Thu) 22時半頃
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[鼻で笑われたとて動揺する事も憤る事もせず。 相も変わらぬ真顔で容を見る。]
私は元より不器用な性質でね。 残念ながら物事を幾つもの視点から見られる程優秀な頭脳も持っていない。
愛理を殺した人間と、江津子さんを殺した人間が同じとは限らない。 それはそうですね。 複数犯の可能性は多分にある。 しかしそのような恐ろしい人間がこの場に複数いるなどと考える事すら恐ろしい。 私は臆病なのです。
[疑いの視線を向けられてすう、と目を細める。 こうやって疑いが広がり、皆が皆を疑っていけば。 それだけで大事な仲間の生き延びる道が作られていく。]
(133) 2017/11/30(Thu) 22時半頃
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行動を起こせという事は貴女を殺せという事ですが。 いいでしょう、私は今夜貴女を殺しに行きますよ。
死に様は選ばせてあげましょう。 勿論弔わねばなりませんから毒殺はしませんし豚の餌にもしませんよ。 絞殺がいいですか、それとも刺殺がお好みですか。
(134) 2017/11/30(Thu) 22時半頃
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どの方法にせよ私は今夜容さんを殺します。 楽しみにお待ちください。
[溜息をつき、去って行く彼女の背中に言葉を投げる。 動けというのならば動くまで。 誰が死んでもいいのだ、どうせ皆死ぬ。
これは仲間にすら言っていないが。 恐らくどうあっても皆殺されるのだと、どこかで分かっている。 例え本当に下手人を告発し殺したとしても、残されれた者も殺されるに違いない。 故に今考えるべきはいかにここから逃げ出すか。 そう考えるのはきっと己がどっちつかずの裏切者だからに違いない*]
(135) 2017/11/30(Thu) 22時半頃
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いやに大人しい
[かちあった視線で牙を立てるように >>115>>116男は、薬師の返答へ、かえした。 血肉あばくほどの苛烈さはなく、児戯じみた声音で。
日頃と正反対の視線差、 見下げる景色を、懐かしいと、そう眼は告げる。 いつの時分とも限らない、己よりもなお目線の低かった、その時と、―― 求めたものが手に入らなかったをおもい、眼鏡の奥、]
俺ぁな、
(136) 2017/11/30(Thu) 22時半頃
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――― 俺は、俺とも、あれとも同じ時間を、 ガキの時分をすごした>>1:132お前に会いに来た “ミナカタ殿”のままのお前に、頼みがあって、じゃない
[ミナカタの名を受けて>>1:150>>1:165 伺えることの少なくなった“貌”>>1:176
覆う仮面のはぎ取れるかと―― ――はぎとらずとも、覗けば、と。 常の“不意”の強襲めいて口にしたそれは、 けれど、能わずに、指の薪を離れて終わる。]
(137) 2017/11/30(Thu) 22時半頃
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―― ――……
[置いた薪を見て、 一度口を開き 閉じた。 結んだそれは、同じ形ではもう一度は開かない。 かすか浮かんだものを、飲み込むようにして]
(138) 2017/11/30(Thu) 23時頃
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あれは、儀式で死ぬを“尊い死”>>31と口にした なら 俺が殺さんとするに 抗い続けることもないだろ
それにな、 “ミナカタ殿”のお知恵なら、 もうすでに昨日から借りている
[そう付け加えたのは、 >>36薬師の昨夜補充が必要だった原因にもなる“拝借”だ。 袂から抜き出したのは、彼なら見て分かろう、 >>1:71ねむりを誘う葉の乾いた形。]
(139) 2017/11/30(Thu) 23時頃
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[容が、進を下手人だと言ったらしい。 それは、兄の口から初めて知った。 >>71だが兄の言うとおり、進はたしかに昨夜、己らの家に泊ってい足し、怪しいそぶりも見せなかった。 なので、兄の話に頷いて、ただ容が疑わしいかどうかについては、困惑の眼差しを向けていた。]
えぇ……。 じゃあ、誰が? やっぱり、志乃……なのかな。
[しかし、志乃ではないと知れば、更に困惑と焦りが深まった。]
(140) 2017/11/30(Thu) 23時頃
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[自分には死んだ者の声は聞こえない。 故に、後ろ毛が乱れている事など、知らぬまま。 鍬を手に、集会所への道をゆく。 途中。 神社の方へ向かう容の姿を見て、脚を止めた]
うん、丁度良い……殺そっかな。
[まるで今晩の献立でも決めるかのような軽い思考。 彼女が一人だったから、後ろをそっと歩いていく。 振り返られたら、農具を借りた旨話せば良いだけの事。 江津子が死んだ今、見張りのついていた自分は 下手人から外れた筈だと、そう思っていた]
(141) 2017/11/30(Thu) 23時頃
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[使うかは知れん。 そう口にして、 それを言うなら、刃物を振るうかも、わからなかった。 最初に男が石動への懸念を示したとき、 それを告げた相手が、石動の弟が、返した言葉を覚えている。 男への疑いの芽>>3:31。 それから、心得はするとの、>>3:35その言葉を。]
(142) 2017/11/30(Thu) 23時頃
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はぁっ!はぁ‥… 酷い……酷いよ‥…
[豚小屋で腹を裂かれ餌と変わった江津子に、自分が殺したユリ。 残酷なその死の説明が、認めたくなかった心を壊して強烈な罪悪感へと変わっていく。]
私…‥どんでもないことしたんだね…… ユリ、ユリ……姉……
[ポロポロと涙を流して過ちに気付いてリツ兄に強く泣きついていく。 感情がわっと押し寄せてユリの死に、自分が犯した罪を悔いた*] ]
(143) 2017/11/30(Thu) 23時頃
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―神社内:自室にて―
[殺風景なその部屋は、 長らく主が不在にしていたとは思えないほどに、 片付けられていた。
きっと、あの子が掃除をしてくれていたのだろう。 畳まれた布団に、埃が積もっている様子もない。 その横に腰を下ろす。膝を抱えて、うずくまった。]
(144) 2017/11/30(Thu) 23時頃
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[ただ、見ていただけだった。]
(145) 2017/11/30(Thu) 23時頃
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源蔵は、言葉を切り、指を視界から外すように腕を組みもし*
2017/11/30(Thu) 23時頃
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―回想:昨晩―
[漸く動くことが出来たのは、 “その人”が去ってからだった。
豚小屋に駆けこんだ私は、両手で口を押さえた。 鉄のような臭いと、獣の臭い。 鼻をつくような異臭に、胃液がせり上がった。
何とか助け出そうと、力なく横たわる彼女の手を引いた。 それでも、悲しいかな。小娘一人の腕では 群がる豚をかき分けることも、 彼女を引きずり出すことも出来ない。 巨体に押しのけられ、私は情けなく尻もちをついた。
熊を倒したと言われる憧れの人が 丸々と太った家畜に食われる様を、 私は茫然と見ていることしかできなかった。]
(146) 2017/11/30(Thu) 23時頃
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[ただ、見ているだけだったのだ。
江津子が首を絞められる様も、その首を絞めた“彼”のことも。 悲鳴を上げないよう、口を押えて。 物音を上げないように、ただ、震えているだけだった。
きっと、地獄というものが存在するなら あの光景を指すのだろう。
いや、むしろ、 “ここ”が、地獄だったのだろうか?]
(147) 2017/11/30(Thu) 23時頃
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[私が、一体何をしたというのだろう。]
……私は、私は、 私ばっかり。
[ぽつ、と歌うのは、いつかの歌。 意味の分からなかったそれが、今ならわかる気がする。
信じていた人は奪われ、信じたい人には裏切られる。 見たいものは見えないくせに、見たくないものばかり見てしまう。
下手人は、一人じゃあない。少なくとも、三人。 志乃と、進と、それから――。 けれど、何人いるのかは分かりやしない。]
(148) 2017/11/30(Thu) 23時頃
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[ふ、と、視線を机へ向ける。 丸い鏡の中に写っている、憔悴しきった顔の女。 母とは似ても似つかない、可愛げのない女の顔。 笑みすらも抜け落ちたような その顔に手を伸ばして、
――それを、床へと叩きつけた。*]
(149) 2017/11/30(Thu) 23時頃
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