231 獣ノ國 - under the ground -
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― 第一棟 医療室 → 第二棟 庭園 ―
……ノア。 今回のことで。あまりあなたを責める気はないけれど。
[庭園へ向かう道すがら、そう声をかけるだろうか。 自分には自分の信じる考えがあるように、 彼にも彼なりの考えがあって行動しているのは分かる]
いまいち、私はあなたが良く分からないわ。
[悔しいけれど、この同僚の才能は認めていた。 同じ方向性で、研究に打ち込めば。あるいは。 そんな感情が思わず口をついて出た。 ヒトにも動物にもなれない中途半端な存在である“彼ら”。 そんな“彼ら”が幸せなはずがないと、彼女は信じていた]
(57) 2015/07/10(Fri) 19時半頃
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[彼女はこの同僚の行動ひとつひとつが、理解できない。 中途半端な同情は偽善だと断じる彼女は、 やはり自身が偽善的であるという矛盾に気付けない]
―――どうして。あなたはここにいるの?
[率直な、疑問だった。以前からその思いを抱いていた。 もしもノアの表情が曇ったのならば。「ごめんなさい、無遠慮だったわ」と話を打ち切って、曖昧な笑みでも浮かべようか。 ノアが何らかの言葉を紡いだなら、黙ってそれを聞いただろう。 そうこうしているうちに、庭園が見えてくるだろうか**]
(58) 2015/07/10(Fri) 19時半頃
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[クラリッサによろしくされてしまった>>48けれど、さて、私は何をしたらいいのだろう。 己のことを「邪魔」と言うのには「そんなことはないわ」と言ったけれど、別に引き止めることもしなかった]
自由って、そんなにいいものなのね。
[浴槽に浸かりながら、脱衣所での会話>>46を思い出して、呟く。 私はここしか知らない。ここに来る前のことを覚えていない。だから、自由がどんなものかを知らない。 なぜか懐中時計は“大切なもの”という気がするから、大切なものを持っていた私は、それなりに幸せだったんじゃないかと思うのだけれど、想像の範疇を出ないのだ]
なるほどね。 背中の傷は大丈夫?
[器用に髪を洗う様子>>47に、相槌を打つ。よろしくされてしまったけれど、やっぱり私の出る幕はなさそう。 ジリヤの髪は不便なこともあるけれど、そこは伊達に18年も付き合っていない。洗い方も利用法もばっちりなのだろう。……怪我をしない対処法はまだのようだけれど]
(59) 2015/07/10(Fri) 19時半頃
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私?
[質問を返される>>47と瞬いた。後ろを向いて、少しばさばさと翼を動かしてみる。私の首は、人間より少しばかり良く回るのだ。 鳥籠の中では役に立たない私の翼]
だって、梟はわざわざ入浴したりしないでしょう?
[せいぜい水浴びするくらいだと思う]
だから、翼はそんなに念入りに洗ったりしてないの。
[熱いシャワーをかけて、乾かした後、少し念入りに整えるだけ。洗うことよりも、洗ってからの方を気にしている。多分こういうのを羽繕いというのだろう。生憎私には、脂肪を塗る嘴はないけれど]
(60) 2015/07/10(Fri) 19時半頃
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[浴槽で茹るのに飽きて、上がった後、髪と体を洗った。 その後翼に熱いシャワーをかける。やっぱり私の翼は水をよく弾いた。脂肪を塗ったりしていないのにお利口な私の翼。 ばさばさと羽ばたけば、水滴を振り落としてしまう]
背中を洗うくらい手伝いましょうか。
[傷のあるジリヤの背中。クラリッサによろしくお願いされたことを思い出せば、珍しくそんなことを申し出てみたけれど、ジリヤはどうしただろう。 どちらにしても、入浴を済ませば、ふわ、と私の口からはあくびが漏れた。 懐中時計を見れば、こんな時間まで起きていたのは初めてかもしれない、という時刻]
私、部屋に戻るわね。
[手を上げる代わりに、ぱたりと一度羽ばたいてみせたのは、単なる気まぐれ。 そして、私は大浴場を後にした]
(61) 2015/07/10(Fri) 20時頃
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マユミは、ジリヤの白衣姿が女医に見つかったら、またひと悶着あるんでしょうね…と考えながら、廊下をゆっくりと歩いていく。
2015/07/10(Fri) 20時頃
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ああ、どこにだって行けるし、何だって出来るかは別にして試せる。世界の果てをいくら目指しても、終わりが見えねえ。必ずどっかに知らない事がある。自由ってだけで、人生退屈しねぇし、どんな驚きもも、自分が選び取ったモンだから生きてるって実感につながる。
[自由は、ハリネズミにとって何よりも大事だ。だって、それより大事なものは手に入らないのだから]
傷は…まぁ、大丈夫だ。こンくらい。
[沁みるが、これくらいは慣れてるし、他に対処法があるわけでもなし。実際、問題は何もない]
ああ、そうか、そりゃそうだな… あー、この髪も洗わなくて済むなら楽なのによ。 [鳥は羽を洗わない>>60と言われれば確かにそうだ。髪の毛はハリネズミのように鋭いが、人の髪のようにほおっておくと脂でベタつく。嫌なところが混ざってしまった、とは思う。]
(62) 2015/07/10(Fri) 20時頃
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ン、…ああ、頼む。流石に、背中の傷に石鹸が沁みるのは、嫌だ。
[出来る、と言いかけたが、背中に傷があるのを思い出す。 傷を確認しながら洗うのは、少しもどかしい。洗ってもらうと自分も上がって。]
すまねーな。こんな時間まで付き合わせて。
[相手が夜行性だと考えれば、こんな時間まで付き合わせてしまった事は申し訳ない。感謝と謝罪を不器用にぶつけて見送った]
(63) 2015/07/10(Fri) 20時半頃
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―第一棟・廊下―
[ジリヤからの謝罪>>63には、「私が勝手にしたことだから」と返した。 どういう風の吹き回しかと自分でも思うけれど、気が向いた。ただそれだけだ]
世界の果てを目指しても、終わりが見えない……。
[ジリヤに聞いた自由の話>>62を思い出して、呟く。 私はこの鳥籠の中しか知らない。覚えていない。 見知らぬ自由な外の世界は、私には途方のないものに思えた。 私はこの鳥籠に、閉じ込められているけれど。 人間たちは、閉じ込められているわけじゃない。 選んで、ここにいる。その意味がわからない。 それだけでも、相容れない存在なのだと思う]
(64) 2015/07/10(Fri) 20時半頃
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[ 怯えるように引いた一歩>>0:190は まるで伸ばされた彼の手>>18を拒絶でもするようで それは、あながち間違いでもないのだけれど
”同じ”と言った ”同じ”奇異なるもの同士ならば 拒絶がどれだけ痛いものかも知っているから 握りしめられた指先は 僕の胸に微かな後悔を生む。
「ごめん」 そう言いたいのに 喉はこくりと鳴ることしかできず
僕は胸の内に ある種の恐ろしさを抱えたまま 「いっしょ」だと繰り返す手へ、蒼碧のそれを重ねた。
明るい光差す庭の中で ひやりと湿度を保つ手は ”ヒト”のそれとも確かに遠くて もしかしたら 僕の名は誰かから聞いたのだろうか、と 彼の手へ視線を落としながら 思案していた。]
(65) 2015/07/10(Fri) 20時半頃
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[ ―――それだから、ひどくびっくりしたんだ。 ]
[ 謎解きのように「名を知る理由」を僕に問う姿に 夢の狭間へ誘うような「鍵」をちらつかせる言葉に
( それじゃあ まるで… きみは )
僕等は ヒトではないから”管理”されている のだと 半ばあきらめていた何かを根底から覆すような ひとつの仮定が 太陽の無い空から降る。
既に乾ききった唇は震えて 浅い息が ひぅ、と空気を切った。
僕の目は、玉蟲のように定まらぬ瞳>>20に縛られ 含みを持って閉じられた口元が また 笑った気がして
重ねたままの蒼い手が 彼から跳ねるように逃げた。]
(66) 2015/07/10(Fri) 20時半頃
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[ 逃げ出した手を胸元に抱える。 抱えていないと 朧の中に見えた人影も 赤い鸚哥も どちらも見えなくなってしまいそうだ。
「何」と問うた僕に 彼は十分すぎる答えを残し、
最後に 「 なんてね 」 と>>21 全てを反故にするようで 全てがほんとうだと言うような こどものような笑みに 僕は ]
……………っ、
[ 素直に こわい と思う。
彼が取った距離を広げるように 2歩 3歩 大きな爪が後退りながら 地面をえぐる。
ひら、と両手を翻し 彼に背を向けて。 背後から引き留められる事がなければ、 走る事に向いていない脚で 逃げ出すことだろう。*]
(67) 2015/07/10(Fri) 20時半頃
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[ ( こわい こわい こわい ) ( いかなくちゃ 兄さんのところに )
( 今すぐ走って 馬車を追いかけなくちゃ ) ( どうして僕には 兄さんには )
( 追う為の 逃げ出す為の、翼が無いのだろう )
僕と同じ姿の兄だけが人間に連れ去られた日 僕だけが 雨が打つ地面に捨て置かれた日
記憶に蓋をした程の ふたつの恐怖に比べたら
彼の笑顔は まだまだかわいいもの、だけど 。**]
(68) 2015/07/10(Fri) 20時半頃
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[作業着を着て、上に白衣を羽織る。半分は挑発だが、もう半分はとげの先がよく当たる肩や背中を守るためだ。]
さってと。じゃ、イカレ女医をぶん殴りに行くか。おとなしく戻ってやるつもりなンてねーからな。
[鎮痛剤はもう抜けきっていた。体はもう思い通りに動くはずだ。…が、肝心の女医の行く先に見当がつかない。適当に廊下あたりをぶらつく事にした]
(69) 2015/07/10(Fri) 21時頃
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お針子 ジリヤは、メモを貼った。
2015/07/10(Fri) 21時頃
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僕らしくない…かな それは僕に言われても、なんとも返せないってハナシ
[誰かのために尽くすような、そんな人間にでも見えていたのだろうか。自分にはさっぱりわからないけれど フェミニスト、だなんて言われれば自分が言った言葉に対してふと笑ってしまう]
誰にでもは言わないぞ…と デリカシーの無い事は言うけど
[確か件のハリネズミの彼女に対して胸が見えるだのなんだの言ったなぁ、と思い出して 赤くなった彼女の顔は見てみぬ振りをして。意見が合うだなんて言われれば]
…ボカァ別に意見が合って嬉しいとは思わないけどね
[なんて捻くれて返すだろう**]
(70) 2015/07/10(Fri) 21時半頃
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―第一棟 医療室 → 第二棟 庭園―
責められるつもりも無いけれど
[相手の言葉に重ねるようにそう話す。勿論、彼女もそんなつもりじゃなかったのだろうけれど どうしてか売り言葉に買い言葉を返してしまう]
わかってほしいとも思ってないぞ…と
[そう、ボソリと呟いて この施設で監視者として、誰かと深い関係になったり、過去の話をする事はそう無いし、自分も話した事が無かった 故にこんな事を聞かれるのは初めてで、一瞬戸惑い、足を止めてしまう]
(71) 2015/07/10(Fri) 21時半頃
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どうして…か
[別段隠す必要も無い。けれどどこから話したら良いべきかと、少し思案して 歩きながらポツリポツリと話していく]
昔、好きな子が居てね。その子には“尾”があったんだ
[その子が獣人だと後から知った事。それでも、一緒に居たかった事 彼女はヒトになる事を望んでいて、自分はそのために勉強して、学者と呼ばれるくらいまでになって]
(72) 2015/07/10(Fri) 21時半頃
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毒の可能性があるけれど、ヒトになる可能性がある魔法の薬 少ししか作れなくて、材料が集まるかもわからない
――キミなら、どうした方が良かった?
[過去形。その意味を彼女は理解しただろうか それ以上語る事も無く、廊下に差し掛かれば見たことのある問題児>>69くらい見付ける事が出来ただろうか]
…お話は終わりみたいだぞ、と 話しかけてみるかい?
[先に気付くのは女医か、それとも獣二匹か どちらにしても自分がやる事はいつも変わらず平和的解決なのだが(尤も、そうしないと自分が責任問われるのだから)**]
(73) 2015/07/10(Fri) 21時半頃
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庭師 ノアは、メモを貼った。
2015/07/10(Fri) 21時半頃
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[ジリヤが女医に見つかってしまったら、ひと悶着あるだろう。そう思ったのに、ジリヤはむしろ積極的に女医を探しに行くつもりらしい>>69。 すっかり薬の影響も抜けきったらしい元気な様子に、そっと息を吐いた]
ジリヤは、元気ね。
[私はというと、正直もう眠くて仕方ない。夜行性なことに加えて、体力もあまりない方なのだ。 ジリヤのような速度で歩くことすら難しくて、我ながらふわふわとした足取りで。当然、先を行くジリヤとの距離もどんどん開いていく]
……う。
[かくん、と。 とうとう歩きながら、うたたねしそうになってしまう。 入浴後の就寝がぐっすり眠るのに効果的、というあの本はとても正しかったらしい。 けれど、今は困る。せめて、自室まではもってくれないと。 そう思うのに、とうとう私は立ち止まってしまった]
(74) 2015/07/10(Fri) 21時半頃
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[ 回想・秘密棟 庭 ]
……あーあ。 逃げられちゃった。
[ 僕は至極残念じみて、声をこぼした。
土が抉られ、また抉られた土が周囲へ跳ぶのを見ながら。 >>67遠ざかる背中に、―――背中に、また、ぼくはひとりになる。
寸分、重なった「獣」と「獣」のてのひら。 どれ位の間、僕以外の誰かに触れなかっただろう。 僕はまだ温もりの残るそこを、今度は柔く握りしめた。
拒絶。容認。そして、―――拒絶。
繰り返されたことだ。いつだって、その渦中に僕は居る。 ――ああ、こうだから早く、『排他』が無くなったら良いのに。 そう思っても、どうせ実験はまだまだ、まだまだ。続くんだろう。 ]
(75) 2015/07/10(Fri) 22時頃
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[ 故郷のにおい、おと。もう全てが遠い。 今はただ、何の色とも分からない、>>66僕に背中を向けてしまった彼が僅かに吐いた息が、音が、耳に残る。
鮮やかな腕を抱き込んだ姿は、まるで人形を抱き締める、人間の幼子みたいだった。 …そんなことを思いつつ。]
―――…そう。まるで、「奪われそうな何かを守る」、みたいな。
[ 僕はてのひらを開いて、やがて元の位置へ戻した。 そのまま、抉られた土穴を尻目に僕も背を向ける。 彼との距離が、遠くなる。……その距離が、そう。 外の世界まで広がらなければ、いい。それで良いんだ。僕の立場は 。
だって、さみしいのは、僕だけじゃない 。 彼の瞳が、震える唇が、ひどく心を抉る。 ]
僕はいつまで、此処に居るんだろう?
[ ほたりと長く見ない、雨が落ちた気がした。 ]*
(76) 2015/07/10(Fri) 22時頃
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…お、さっきはよくもやってくれたじゃねーかイカレ女医。探す手間が省けたぜ。
[猿共二人を見てニヤリと笑う。髪が役に立つ数少ない時だ。ここぞとばかりに髪を解く。…これで、髪は他人に刺さりやすくなる]
なンど眠らせたって同じだよ。なンどだって殴りに行ってやる。
[体は楽に動く。今使っている鎮静剤に対する抗体は出来上がりつつあるようだ。時期に、気絶すらしなくなるだろう]
(77) 2015/07/10(Fri) 22時頃
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マユミは、壁にもたれてうとうとしはじめたが、やがてずるずるとその場に座り込んでしまった。
2015/07/10(Fri) 22時頃
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[顔色はそこまで悪くない。 口よりもよく物をいう目は、今は痛みを騙らない。 それでも騙されてしまったのは、 縋るように袖を掴んだ掌の所為か。>>52
彼は『コッチ』といわれるまま、 フィリップの背を支え、部屋までつれていく。 扉を開けば、いっそ気持ちが悪いくらい真っ白な部屋に ぽつんと孤独にベッドが横たわっていた。
とんとん、と胸元を叩かれたならば、 そうっと、フィリップをベッドに座らせて]
――冷えたのだろうか、布団を、…………
[顎を上げて、こちらを見据えた瞳は 鳥の真っ黒な目に似た濃紺の色。]
(78) 2015/07/10(Fri) 22時頃
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[薄桃の唇が紡ぐ詮索の言葉に、 (痛みを訴えてはいなさそうな表情に) 彼は一瞬、口を開いて
――は、と軽く息を吐き、瞬き一つ。 (瞼の裏に黒髪揺らし彼女が笑う) フィリップの兄が沈黙に差し込んできた 茶化すような言葉を聞いて失笑した。
彼はフィリップの前に軽く膝を折ると、 微笑を浮べて濃紺を見上げる。]
いまは、遠い天の向こうに飛んでいってしまったよ。 彼女に鱗はあっても、翼はなかったはずだが。
(79) 2015/07/10(Fri) 22時頃
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[天津風は天女がゆく道を閉ざすことはなかった。 ある朝、風のように消えてしまった彼女を思い、 少し、迷って]
……彼女は活発な人でね。 君たちのような獣人、または人種、職業、 なんであっても、平等に平和に暮らすべきだと そう、しきりに言っていた。 出会ったのは丁度私が君の歳くらいの時だったな。
[恋人というにはあまりにも離れた関係だったと、 さっきの兄の質問に答えてから、
薄笑いを浮べて小首を傾げる。]
……ところで。 腹は、実はさほど痛まないのかな?
[真っ黒な瞳にフィリップの顔を映し出せば 果たして相手は、どんな表情をしていただろうか。]*
(80) 2015/07/10(Fri) 22時頃
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落胤 明之進は、メモを貼った。
2015/07/10(Fri) 22時頃
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[戸惑いの表情>>72を見せるノアに、しまったと顔を顰めた。 入ってはいけない場所に。 土足で踏み込んでしまったのかもしれない。 やがて、ぽつりぽつりと紡がれるノア言葉に。 ズキリと胸が痛むのを感じた]
……好きな子が。そう。
[どこかで聞いた話だと思った。 自分の場合、それは兄であったが。 身近な者が獣人であることの苦労は、容易に想像ができた]
(81) 2015/07/10(Fri) 22時頃
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私なら意地でもその薬を作って、試すわ。
[きっぱりと、言い切った。 目の前の男は、果たしてどちらを選んだのだろうか。 過去形で語られる重さを分からぬほど、彼女は愚かではない。 どちらにせよ、幸せな結果を生まなかったことを察した]
例えそれが、魔法の薬か毒か分からなくとも。 可能性が少しでもあるのならば。
[それでも、今の彼女はそう答えるしかない。 自分の行いを否定するわけにはいかないのだ。だから]
……お話は。終わりって。
[ノアの言葉に視線を前に向ければ、獣二人が目に入るだろうか]
(82) 2015/07/10(Fri) 22時頃
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[ 現在・第一棟廊下→ ]
[ ちかちかと電球が頼りなく光る、渡り廊下を通って、僕はひたりひたりと足音を鳴らし歩いた。 道中振り返ると、少しばかり、土の跡が付いていたけど。 …まあ、いいか。
そのまま真っ直ぐ進んで、お腹のなるのを他所に、プールの方へ。 ――ああ、でも。腹拵えするのも良い気がする。…けど、どうせ動くなら後の方が、いいかなあ。 なんて思ったりして。
………良く作り上げられているこの施設は、便利で、不便だ。
きっと何千年もこの中で生きていけるだろう。 たとえ上で戦争が起きても、ウチュウジンが侵略しに来ても。 だって 何百年、既に僕はここで過ごしたのだから。]
(83) 2015/07/10(Fri) 22時半頃
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[ BGMも何もない廊下には僕の不気味にさえ思う足音だけが響いた。ひたり、ひたり。 真夜中だれかが見たらホラーじみて、怖がられたかな 。
僕はそのまま突き当たりを右に曲がった。 ……プールの入り口に入れば、既に誰か先客が居たかもしれない。
そしてプール行く途中、長髪を揺らめかす影を見付けることさえ。もしかしたら。 ]
……かさつく、なあ。
[ ……衣服の下を指先で撫ぜると皮膚がめくれた。 はらはらと皮が落ちるのを放って、滲む赤をゴシゴシと拭い広げる。すると鈍い痛みが、内部に広がった。
…ああ、だめだ。施設には鮫が、居るんだった。 僕は慌てて( と言っても、そんなに素早く動けてないけど。)水で流して、ハンカチで縛った。――これで何とか、彼の嗅覚を誤魔化せるだろうか。
…亀のクリームとか、無いのかなって。 あまり普及されない「ぼくたち」の道具を恋しく思う。
―――そうして、それから。 何も無ければ、僕はのろのろとプールに体を浮かべてみただろう。 その差中、人影を見たなら、様子を見てその場から去ろうとすることだって 。]**
(84) 2015/07/10(Fri) 22時半頃
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チェビイは、マユミの影をどこかに見た気がした。
2015/07/10(Fri) 22時半頃
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あら、もう薬が切れちゃったの。 量が足りなかったのかしら。
[減らず口を叩くジリヤ>>77に、眉を顰めた。 思ったよりも回復が早い。薬量を誤ったか]
殴るとは穏やかじゃないわね。 いい加減、私たちに反抗するのをやめた方がいいわ。
[その口調は、あくまで冷静で。諭すように]
大人しくしていれば。 少なくとも“あそこ”に入れられることもないのよ。 どっちの方が得か。分からないあなたじゃないでしょう。
[言ってから、じろりと隣のノアを見遣った。 だいたい、荒事は苦手なのだ。 やっぱり少しは罪悪感を覚えてほしいとは思う*]
(85) 2015/07/10(Fri) 22時半頃
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おめーが穏やかじゃねーことやってるからだろ。穏やかじゃねーのはよ。 大人しくしてここにいるンじゃ、あそこにいるのと変わらねーよ。 お前さンの顔に傷でも作れたら、大人しくするより何倍も得だな。お前のやってる事振り返れよ、イカレ女医。それがわからねーおめーじゃねーだろ? わかるだろうがッ! [ザッと踏み込んで、殴りかかる。髪が大きく揺れる。洗い立てのそれは光を反射して]
(86) 2015/07/10(Fri) 22時半頃
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