88 吸血鬼の城 殲滅篇
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手伝い クラリッサは、メモを貼った。
helmut 2012/05/04(Fri) 00時半頃
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―― 地下聖堂 ――
[城で流れた血が地下聖堂に在る灰に滲みこみ力となる。 器は満たされ本来の形を取り戻してゆく。 トクリ、と脈打つ感覚。 遠く遠く呼ぶ声の欠片が耳朶を擽る。 棺に横たわるクラリッサの身体には 薔薇のあしらわれた深紅のドレスが纏わっていた。 燭台の炎が揺れて頬に落とす影を滲ませる。 伏せた睫がピクと小さく震えた]
――…、
[花弁思わすくちびるが淡く開き 双丘が浅く上下を繰り返す。 やがて深紅の双眸がゆるゆると開かれて映す景色は――**]
(12) helmut 2012/05/04(Fri) 01時頃
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―― 地下聖堂 ――
[眠りから目覚めたばかりのようなぼんやりとした深紅の双眸。 ややして定まる焦点の中心に在るのは逢いたいと願っていた主の姿。 薔薇の芳香に混じり甘い血の香りが鼻腔を擽る。 頬に触れる手の優しさに女はくすぐったそうに目を細めた]
ヘクターさま
[夢現の様子で身を起こし その両の手は主の肩に絡めようと伸ばされて]
ただいま、戻りました
――…ずっと、ずっと、 こうして再び逢えるのをお待ちしていました
[待ち焦がれた主の迎えとその笑みに 女は安堵と歓喜の入り混じる微笑みを浮かべる]
(43) helmut 2012/05/04(Fri) 23時半頃
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―― 地下聖堂>>48 ――
[悪いなというヘクターに小さく横に首を振る]
迎えに来て下さった それだけで十分――…
[待っていた間の苦も忘れてしまえるほどに 彼が蘇り此処に在るという事実だけでも報われた気がする。 寂しかったとは口にしない。 口にせずとも主は全て分かってくれているように感じたから。 導かれるままに彼の首筋へと縋ればふわりと浮くような感覚。 二つの腕に抱き上げられていると知れば羞恥に頬を染めて 深紅の眼差しが微かに伏せられる]
また以前のように傍に居ていいのなら ずっと、許される限り、お傍に在りたい
[頬と頬を重ね、女はそっと耳朶に囁く]
(51) helmut 2012/05/05(Sat) 00時半頃
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―― 大広間>>60 ――
[ヘクターの笑む気配が触れ合う箇所から伝う。 頬に触れるちくりとした感触さえ愛しむかのように 一度摺り寄せ甘える仕草をみせた]
――…嬉しい
もう必要ない、と、手は足りていると言われたら、と ……少し不安に思っていたので
[血を分け与える様を鏡越しに見ていた女は 抱いていた不安を口にし安堵の吐息を零す。 離れる気配に、首筋に絡めた手を緩め]
何処にもゆきません ヘクターさまのお傍にいます、から もう置いてゆかないで下さい、ね
[覗き込む視線に軽く顎を引き上目に見詰め、願う]
(62) helmut 2012/05/05(Sat) 01時頃
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―― 地下聖堂>>68 ――
[主の腕に籠もる力とその言葉に 必要とされている悦びを感じる]
そんな風に言って貰えるなんて、嬉しい まるで幸せな夢をみているようで……
[幸せだと言わんばかりの笑みが零れた。 力強い約束に安堵したのは一瞬。 名を呼び言葉紡ごうとしたくちびるには 薄くもやわらかな感触が伝う]
――……ン、
[甘く鼻に掛かる音色を漏らし 女は主からの誓いの印を受け入れ眸を閉じた]
(71) helmut 2012/05/05(Sat) 02時頃
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[誓いに誓いを返すかのように 僅かに首を傾け角度を変えて押し当てる所作。 女の手が触れる首に近い肩の傷から 服に隠れた脇腹、胸から背にかけての傷に 白といわれる魔力が干渉し其れを癒そうとする。
どちらからとも知れず離れるくちびる。 とろりと蕩けるような深紅が再び主の双眸を見詰めた**]
(72) helmut 2012/05/05(Sat) 02時頃
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―― 大広間 ――
[献花の如く亡骸に散る白百合。 女はエリアスの器へと歩み寄り傍らに膝をつく。 手を伸ばしエリアスの頬をなぞれば 白百合の花粉が指先を金に染めた]
――…エリアス 私の血をあなたに
[紡げば風が女の掌を裂き深い傷を残してゆく。 漂う百合の芳香に生々しい鉄錆の匂いが混じった。 溢れる薔薇色が指先を伝いを青褪めたエリアスのくちびるへと落ちる。 吸血鬼の血が人であったエリアスに満ちるまで其れは続けられた]
(73) helmut 2012/05/05(Sat) 02時頃
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[満ちたと感じれば掌の傷は塞がり流れた赤が残るのみ。 エリアスのくちびるに残る赤を親指の腹で拭い取り]
エリアス……、私の愛し子 目を覚まして、私の許へ――…
[眠る我が子に目覚めを促す親のように優しくその名を呼んだ**]
(74) helmut 2012/05/05(Sat) 02時頃
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手伝い クラリッサは、メモを貼った。
helmut 2012/05/05(Sat) 02時頃
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―― 地下聖堂>>92 ――
[記憶にある重力を再現するかのように レオナルドの指から零れた亜麻色はさらと肩に流れる]
――…まあ 八つ裂きだなんて、こわい事を
[驚いたように目を瞠り、女はわらう。 狂気が彩るその双眸を静かに見遣り]
そう、ね 貴方の言葉も心に留めておきましょう
[焦らすかのように確たる約は口にせず 彼の言葉を遠く聞きながら 纏う明るさを眩しがるようにふっと目を細め、消えた]
(102) helmut 2012/05/05(Sat) 13時半頃
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―― 大広間 ――
[暫し時を置き、エリアスと共に並んでいた遺体に目を遣る。 復活するその直前まで話していたレオナルドの器が在るを確認すれば 少しだけ考えるように首を傾げた後、彼の許へと歩み寄る]
私の血は――… 貴方の望みを叶えるに相応しくないかしら
[尋ねに似た響きをそと漏らし エリアスに血を与えた時と同じ箇所を傷付け レオナルドのくちびるを指先で開かせて その口腔へと赤い雫を流し込んでゆく]
物足りぬなら…… 彼の方に願ってみると良いでしょう ここから先は、貴方の心が望むままに
[血を分け与える行為を終えて 女は手指に残る血をぺろりと舐めとる*]
(103) helmut 2012/05/05(Sat) 13時半頃
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手伝い クラリッサは、メモを貼った。
helmut 2012/05/05(Sat) 13時半頃
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―― 大広間>>104 ――
[初めて血を与えたエリアスが目覚める気配に 女は安堵したように目許を和ませた。 ぼんやりとしていた眸が焦点結んでゆくを見詰める]
エリアス
[呼ぶ声に、名を呼び返し 頭を垂れる彼女の髪をそろと梳き撫でた]
――…ええ、勿論 あなたが傍に居てくれると嬉しいわ
[髪に触れた手をそのままエリアスの前に差し出し 顔を上げ立ち上がるよう促して]
主さまにも私の可愛い娘を紹介しなくては、ね
[微か弾むような音色で愛し子に笑いかける*]
(105) helmut 2012/05/05(Sat) 14時頃
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[吸血鬼と討伐隊。 立場の違ったあの頃は見られなかったエリアスの笑みが 今はこんなにも近くにある。 問うような響きにはたりと瞬き]
此処の城主、ヘクターさま 私の“親”にあたる方なの
[城主の名を彼女に告げて。 レオナルドの許へと歩んだのはその後の事*]
(107) helmut 2012/05/05(Sat) 14時半頃
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―― 地下聖堂>>112 ――
[甘美な誓いに酔いを覚え溺れ掛けるは 焦がれ続けた存在と交わす口接けゆえと知る。 主の言葉に魔法の効力がみえると安堵の吐息を零した]
痛みが少しでも和らいだなら良かった ヘクターさまに何かあればと思うと、怖くて……
[交わる視線。 主の紅の双眸に見惚れていれば 歩みの為の振動が腕の中にある女にも伝わり 己が未だ抱き上げられたままであることに気付く]
――…ッ、ヘクターさま…! 私、自分の足で歩けます、から…… もう、大丈夫ですから、……
[おろしてください、と頬を朱色に染めた女が 消え入りそうな声で囁き彼の肩口に顔を埋めた*]
(130) helmut 2012/05/05(Sat) 18時半頃
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[ヒューが騎士となる一年ほど前の事。 彼の姉であるリンダが侍女として傍に居た頃、 午後になると彼女と共にお茶を飲むのが日課となっていた。 テーブルを挟んだ対面に座るリンダを見詰める女が じっと彼女の眸を見詰める]
最近またきれいになった リンダ、若しかして、恋でもしたの?
[好奇心と期待に満ちた眼差しのまま、尋ねた。 彼女は一瞬きょとんとして それから頬を赤らめ慌てる様子を見せた]
図星ね ――…それでどんな人? ヒューにはもう言ったの?
[尋ねを重ねて彼女の答えを待つ。 彼女とこういった話をするのも楽しみの一つだった]
(151) helmut 2012/05/06(Sun) 00時頃
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「とっても楽しそうですね。 あまりからかわないで下さいよ」
[そんな前置きするリンダは何処か幸せそうで微笑ましい]
少しくらいいいじゃない それで――… ?
[女がヘクターとの思い出を語ると リンダもまた好奇に目を輝かせていたから お相子だと笑いながら先を促した]
「お城に出入りしている貿易商の方なんです。 あ、弟にはまだ、言い辛くって」
[彼女の語るその彼はとてもいい人のように感じた。 何より彼女の声や仕草から好きだという感情が滲んでいて それから時折、彼女の恋の相談に耳を傾けるようになった]
(152) helmut 2012/05/06(Sun) 00時頃
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[それから半年が過ぎた頃。 いつものお茶の席でリンダの様子がおかしいことに気付いた。 溜息の数が増え、思い悩んでいるようで 口を開き何か言いかけては言えぬまま視線そらしの繰り返し。 大事な話をしようとしているのが分かるから 女は彼女自身の心が決まるまで口を出す事はしなかった。 カップも空になりお開きという頃、リンダが重い口を開いた。
貿易商である彼が旅に出るということ。 その彼からついてきて欲しいと言われていること。 此処から離れたある村で妹に似た娘を見掛けたという噂。 行方知れずの妹を捜すためにも、共に行きたいと思っていること。
ぽつぽつと語る彼女の言葉を聞いて]
それがあなたのしたい事なら応援するけれど ――…寂しくなるわね
[溜息まじりに呟いて女は困ったように笑う]
(153) helmut 2012/05/06(Sun) 00時頃
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その事、ヒューには……?
[尋ねればリンダは首を横に振る]
「妹をみつけたら戻ります。 弟には余計な心配かけたくないから。 その時まで秘密にしてくれませんか」
[これまでいくら捜しても見つからなかった彼女らの妹。 漸く得た情報に期待も大きかったはず。 期待が大きい分、見つからなかった時の反動は計り知れない。 だから、彼女は自らのみで抱える事を選んだようだった]
ヒューはあなたと同じで優しいから あなたが居なくなったらきっと心配するわ 約束して、落ち着いたらヒューに無事を知らせる、と 約束してくれるなら、――…
[交わす約束。 お守り代わりであった髪飾りと対の首飾りを彼女に贈る]
(154) helmut 2012/05/06(Sun) 00時頃
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[翌日、侍女の一人が居なくなったと知らせを受ける。 クラリッサのお気に入りであった彼女。 後日、それは駆け落ちであったとそんな風に噂された**]
(155) helmut 2012/05/06(Sun) 00時頃
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[ヘクターが肩を竦めれば>>143 女はくすりと小さく笑み零した]
――…はい ずっと、お傍に居るとお約束しましたから 何があろうと、今度こそ 最期の一瞬までヘクターさまと運命を共に
[主が長く眠りにつくことになったあの時は 何も分からず守られるだけで果たせなかった事。 もし次があれば少しでも助けになりたいと思いを綴る]
(175) helmut 2012/05/06(Sun) 11時頃
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[女の訴えは聞き届けられず長い通路を抜ける間も 抱き上げられて距離は密となったまま。 おずおずと顔上げて主の紅を見詰める。 今はその優しさに甘える事にしたかコクンと一つ頷いた。 少しばかり過保護な気がするが 大事にされているようで、恥ずかしくも嬉しい]
夜の王にしてアヴァロン治める我が主・ヘクターさま おかえりなさいませ 御帰還を、ずっと、心待ちにしておりました
[物見塔で二度目の死を迎えた女は あの時言えなかった言葉を想いこめて囁いた**]
(176) helmut 2012/05/06(Sun) 11時頃
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[事を成し終えた女の耳に澄んだ音色>>182が微かに届く。 不思議と惹かれるベルの音に誘われるように北の塔へと向かった。 通り過ぎはしても使うことのなかった一階にある部屋の 半ば開かれた扉に手を掛ける。 誰の為の部屋かは知れぬが使い手の趣向が窺える品々の中 深紅を纏う騎士の姿が目に留まる]
ヒュー ?
[何処か趣違って見えるその横顔に呼びかける声]
(183) helmut 2012/05/06(Sun) 12時半頃
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[潤みを帯びる騎士の眼差し>>184と呼び声に胸が熱くなるを感じる。 家族を除けば、一番長い時間を共に過ごした存在で その関係を壊しがたく魔性であると告げられなかった相手。 正体を知って尚、変わらぬ忠節を捧げて呉れた騎士]
――…ごめんなさい 騎士であるあなたに何も言わず姿を消して
[ゆっくりと歩み寄り手の届くほどまで距離を縮める]
――…ありがとう ヒューが呼んで呉れたから還って来られた 私を呼び戻す為に多くの血を流した事も、知ってる
[膝をつき俯く騎士の前で女もまた冷たい床へと膝を折る]
(186) helmut 2012/05/06(Sun) 13時半頃
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[嗚咽堪える気配は微かな肩の震えから伝わるか。 女は両の手を騎士へと向けると 彼の頭をそのまま自らの胸へと引き寄せる動き]
我慢しては身体に毒よ 誰も見ていないから……
[せき止められた騎士の感情をそと撫でる*]
(187) helmut 2012/05/06(Sun) 13時半頃
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[溢れる騎士の涙を受け止めて 落ち着くまで赤い髪を柔く撫でた。 語られる一つ一つの言葉に耳を傾けていたが 騎士が退く気配に女は腕を解き、それを胸もとで重ねて]
――…全て私を想ってして呉れた事でしょう ? 貴方の手を血で染めてしまったのは私の弱さが招いた事 罪深きは、この私……
[祈るかのような姿勢で眸を伏せる]
私もまた貴方に逢えて嬉しい
[拳で拭われた涙の跡残る騎士の双眸に深紅を交え あいたかった、と小さな紡ぎ]
(192) helmut 2012/05/06(Sun) 15時頃
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――…変わらぬ忠節をありがとう 私の真を知って尚、変わらずにおもって呉れたこと感謝します
[秘めた心を汲むような騎士の言葉にふと目を細める]
闇を知るのは私一人だったけれど ヒューとリンダが傍に居て呉れたから 孤独感も寂しさも、癒された 貴方に護られていたのは確か――…
[自負は錯覚でないと伝える声は真摯 騎士の掌が添わされた胸へと視線落とし]
(194) helmut 2012/05/06(Sun) 15時頃
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叶うなら永久に我が騎士として傍にいて欲しい ヒュー、あなたを頼りにしています
[騎士の忠節に応えるように 儚さが滲む声に深く確かな響きをのせて 女はそろと立ち上がり、 白き手の甲を騎士へと差し伸べた*]
(195) helmut 2012/05/06(Sun) 15時頃
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[分け隔てられた騎士の心と身命。 胸に僅かな疼きを感じ女は柳眉を寄せた。 誓いが嬉しいと思うと同時に寂しさと切なさを感じる]
あなたの働き、期待しています
[形にならぬ思いは言葉にすることなく 騎士を前に女は主の役割を演じるように言葉を掛ける。 其の手に騎士の口接けを受けた女は微かな笑みを見せ 自らの手を引き寄せようとするが其れは騎士に阻まれる]
………、
[ヒューに繋ぎとめられた細い手首。 流れるような連なる指先がピク、と小さく跳ねた]
(219) helmut 2012/05/06(Sun) 17時頃
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お願い……?
[仰ぐヒューの眸見詰め続く言葉に耳を傾ける。 その内容に驚いたように女は二度三度瞬きを繰り返した。 彼の動きを追うように深紅の眸が仰ぐかたちとなる]
騎士であるあなたが望んで呉れるなら 我が血を、あなたに捧げます
[琥珀の双眸を見詰め答えると 女は肩に掛かる髪を後ろへと流して首を僅かに横に傾いだ。 白く頼りない首筋を騎士の眼下に晒し、瞼を閉じる*]
(220) helmut 2012/05/06(Sun) 17時頃
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[騎士が礼をすれば其処に留まる空気が流れる。 肌で其れを感じながら待つのだけれど動きの感じられぬ間があった。 呼気に混じる音に思わず伏せた睫が震える。 声を掛けようとくちびるが僅かに開かれるが 音を結ばぬまま閉じて、断りの声を聞いた。
顎へと触れる指に促されるまま顔を上げる。 傍からみれば口接けを待つ乙女の姿にも似るが 幸い周囲に人目は無く気付くものも無く。
騎士の髪が頬へと触れる。 くすぐったそうな吐息を漏らし ヒューの白き牙をその身に受け入れた]
(238) helmut 2012/05/06(Sun) 19時頃
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――…ン、
[チクと刺すような痛みは一瞬。 吸血という行為が齎す甘い痺れがその背に奔る。 女の手指が縋るように騎士の胸へと纏わるも 震えるくちびるがそれ以上の音奏でるを耐えるように結ばれた。
肌に感じるは信頼寄せる騎士の息遣い。 穿たれた牙が引き抜かれる気配に軽く喉を反らした。 女は絡めた手を下ろし蕩けかけた深紅の双眸を露にする。 彼が口にした血の量は僅かで 礼には及ばないと、ゆるゆる首を振ってみせた]
(239) helmut 2012/05/06(Sun) 19時頃
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