204 Rosey Snow-蟹薔薇村
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―居間― [>>0眉間のしわが 何故刻まれているのかを知らないトレイルは ニコラの不満も、わからぬまま プリシラとディーンの様子を見ていた。
視線が向かうのは、ニコラの方 ディーンの唇が震え、けれど音を発しない。
トレイルがよく訴える際にみせる仕草だ 彼が言いたいのは―― 手のなかの、殆どなくなったインク瓶を握りしめ 後ずさる。
台所の方から、フランシスの姿が見えた>>10。 眉間のしわについての説明も ――ニコラの抗議と共に、彼等に向けられて]
(13) 2014/11/17(Mon) 12時半頃
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―居間、入口傍― [――今のディーンに、謝罪するのはどうだろう。 タイミングが悪かったかもしれない。 トレイルはそう考えた。
そっと後ろ手に 瓶とペン、黒く染まった紙を隠す。 ペチカの方へ、近づくことをせず 入口傍で二の足を踏む 俯いたその横を >>11通り過ぎる音があった]
(14) 2014/11/17(Mon) 12時半頃
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[食べたい――そんな衝動は、いまだ感じたことがない。 喉の渇きは、幾度も感じ ひとを見つめながら舌なめずりする事はあれど
それは、無意識 衝動とは、思わず
いまは、それよりも どうやったら、もう一度 あの音を手に入れられるのか それが、食事のときにしか発しない音なのならば
たべられたいと
トレイルは、願う]
(24) 2014/11/17(Mon) 14時半頃
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[親しいほど、食べたい それが衝動だと教わっていた。 ノックスの昔話も、フィリップからの告白も 聞いたのは、「食べたい」という衝動の話
だからきっと、これは別のモノだ]
(25) 2014/11/17(Mon) 14時半頃
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[肉を裂かれ まだ温かな血で彼の喉を潤し 骨を押し分けて 柔らかな内臓を食まれる
その時、 どんな声で鳴いてくれるだろう
ディーンに謝罪を。 でも、今は そんな葛藤の中でも、燻り続ける衝動
きっと、未発達なこの身は 骨と脂身ばかりで美味しい所は少ないかもしれないけれど 望む音を手に入れられるなら 手足の1、2本、くれてやっても良いのに。
ノックスは嘆くだろうか ニコラは? ああ、二人はどんな声で鳴くんだろう**]
(26) 2014/11/17(Mon) 14時半頃
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[プリシラはニコラの行動をどう捉えたろう。 怯えているなら、トレイルはかれをなぐさめる為に微笑みかける。
大丈夫 こっちへ
唇のゆっくりした動きで、彼がトレイルの透明な声を聞いたかどうか 両手は罪の隠蔽に使っているから、差し伸べられない**]
(39) 2014/11/17(Mon) 16時頃
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[美味しそうな匂い。 すん、と鼻をならす。
けれど
両手は、使えない。 隠さなくては*]
(49) 2014/11/17(Mon) 17時半頃
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[トレイルは、静かに居間を出た。 瓶もペンも、紙も 全て持ち去る。
ディーンの意識はこちらへ向かず プリシラには保護者がきて ニコラは、トレイルを忘れている
居場所がないな、と思った瞬間
ひどく、胸がざわめいた。
喰われたい 喰われたい 喰われたい 喰われたい
消えてしまいたい]
(89) 2014/11/17(Mon) 21時半頃
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[静かに、階下へ。 物音は立てない
寒さが肌を突き刺すけれど
ゆっくりと、階段を下りて 貯蔵庫の、荷の後ろへ
直ぐには、見つからないだろう ここは音が少なくていい
来たときと同じように 生成りの布にくるまって 小さな身を更に縮めている**
(90) 2014/11/17(Mon) 21時半頃
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ー貯蔵庫ー
[暗がりに、無音
居間の、騒ぎを知らずにすんだのは、幸運か不運か 故に、トレイルの内にあるおもいは 音が優先されている。
無意識に選んだ場所は 鳥を連れたフィリップとあった場所 ノックスが抱き上げてくれた場所
ーーーーいまは、独りだ]
(193) 2014/11/18(Tue) 01時頃
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トレイルは、音は、立てない。静かに、布の中。
2014/11/18(Tue) 01時頃
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[音のないトレイルを探すのは、気配でも読めない限り 移動する可能性があるだけ、失せモノ探しより難しい。 今は貯蔵庫を出ることなど思い浮かばない。 胸の内にあるのは
生成りの布から、埃のにおい。 持ってきた紙は真っ黒に染まって もう、トレイルの声を読み取れはしない 瓶をあけて、ペン先でつつく。 インクがついたかどうか、うす暗くてわからない。
芋の入っていた箱の横で、座り込んだまま 床に広げた紙に、文字を綴る]
(207) 2014/11/18(Tue) 01時半頃
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[読み取れはしまい。
”ノックスは、過保護な兄 きっと、二人が一番大事
ニコラは、大きな子供 可愛くて手のかかる、残酷な”
――――弟 と、続けようとして 止めた。
じわ、と視界がかすんで、鼻がつんと痛い。 ぐしゃりと紙を握りつぶした。
よく懐いた飼い犬が突然他人にじゃれはじめた時 きっとこんな気分になるんだろう]
(209) 2014/11/18(Tue) 01時半頃
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―貯蔵庫―
[きっと、 ニコラはトレイルを忘れてしまった。
もう、いなくなっても 嘆かれない。
あとは、ノックス。 彼がトレイルを忘れたなら
その時は、フィリップにお願いしよう 食事の際に発した あの声をもう一度、聞かせてほしいと。
あつい滴がほとほとと、紙におちていく。 ペンを握ったまま、膝をかかえた]
(214) 2014/11/18(Tue) 01時半頃
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[彼が死ななくて済むなら、食べて貰えるはず。 でも、彼の衝動は起こりやすいから
例えば、あれがトレイルでなくても 食べようとしたんだろう
――――雫の落ちる音 テンポが、上がった]
(217) 2014/11/18(Tue) 01時半頃
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―貯蔵庫― [トレイルが、ノックスに会ったのは 声を失った後だ。 有象無象の顔など一々認識していないが故に。
だから。 きっと彼は、トレイルの本質を知らない。 そう 思っている。
どれほどの時間が経ったろう。 身体が冷え切って、指先の感覚がなくなって ペンがころころと転がっていくくらいまでは 待った。
静寂]
(235) 2014/11/18(Tue) 02時半頃
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[締め切った扉は、音を遮断してくれていて 小屋にたどり着いてからずっと騒音に悩まされていた耳は 少しだけ休息をとれたよう。 ずっと感じていた頭痛も、今は収まりつつある。
空腹感を覚えたけれど 居間に戻る気はなかった。
トレイルを忘れたニコラを見る気にはなれない。
思い出す、という可能性を考えないのは 父の所為 記憶の蓋が、じわりと溶けている]
(237) 2014/11/18(Tue) 02時半頃
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―貯蔵庫― [しんと静まり返っていた、貯蔵庫の扉が開く音。 続く声は、知っている。
落胆と、安堵。 トレイルは、動かない。 生成りの布の塊。少し先に転がったペン。
このまま、空腹をかかえて 眠ってしまえば 朝には冷たくなっていられて
干し肉にでもしてくれれば 暫く彼の衝動を抑えられるんじゃないかと ぼんやり思う
――音を聞く、望みが 抜け落ちている]
(239) 2014/11/18(Tue) 02時半頃
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トレイルは、ノックスが呼びかけている間にも、頬を伝う雫は止まない。
2014/11/18(Tue) 02時半頃
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[生成りの布でできた小山がある場所は、同じ。
声にこたえる体力は、 欠落した身体には、残っていない。
それもあって トレイルはぼんやりと、にじむ視界の先を見ているだけ]
(241) 2014/11/18(Tue) 03時頃
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[じゃり、と何かが潰れるに似た音。 衣擦れ それから 熱が触れた。
瞬き、涙をこぼしたまま笑う 唇は、彼の思う名を告げているだろうか
――――ニコラ そう、形取る]
(243) 2014/11/18(Tue) 03時頃
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[トレイルが見たのは、固まったディーンに近づくニコラ プリシラを迎えに、細工師が来た所まで。 その後の騒ぎは、あずかり知らない
知ればきっと 今頃こんなところで震えてはいない]
(244) 2014/11/18(Tue) 03時頃
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?
[首を傾いだ。 どうしてノックスが泣くのか、トレイルにはわからない。
フィリップは違うよ、と首を振る。 衝動の証は、指輪の下 この薄暗い中では見つけにくい。 何かしたのは――それは、内緒の話。
ニコラは、僕を忘れたみたいだ。 ノックスはいつ、僕を忘れるの いつ僕を捨てるの? 父さんみたいに。
唇から音はこぼれない。 くしゃりと握った紙は、書く場所なんて残ってない]
(247) 2014/11/18(Tue) 03時頃
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[布から顔を上げたノックス 雫は見えない 触れられたくちびるが、少しあつい。 冷え切ってしまっていたから、感覚がおかしい。
ノックスはいつ 僕を捨てるの。
沢山の思いを抱えて、選んだ言葉はひとつ 彼に対しての問いかけ。 その日はいつか来ることを いままでずっと考えずにいた。 ニコラが離れて 漸く、思い出した 黒く濁った、記憶]
(249) 2014/11/18(Tue) 03時半頃
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[どれほどのつながりがあっても 捨てられる時は、あっさりしている。
一音一音、ゆっくりとはっきりと 唇は形作れど、音は今日も出ない]
(250) 2014/11/18(Tue) 03時半頃
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[いつ、捨てられるだろう 寒さに身を震わせ、音を待つ
あの時は、風の音がしていた 今は、他に音はない
ショックで声を失ったトレイルを 父は忘れ 痛みと熱から、逃げるように 彼の元から離れたのは、もうずっと昔の話
知らぬ女に指差され 知らぬ男に引きずり込まれたゴミ捨て場 くろい衣服はその時から しろい汚れをびしゃりと浴びせられ 玩具のように扱われるも、父は助けに来なかった]
(262) 2014/11/18(Tue) 10時頃
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[死ぬのかもしれないと思ったのを覚えている。 下卑た音が去って 噛みちぎられた痕のこる下肢をむき出しに 月明かりの下に転がっていたら 痛みと声が降ってきたのだ
今振ってくるのは、あの時から耳に馴染んだ質の音 頬をたたく痛みでなく、涙をぬぐう暖かい手]
……
[そんな日は、来ないのか。
困ったな。
彼の口癖。 真似て、眉を下げる。 彼はまだ、二人が大事なままなんだろう 吐き出す息とともに、涙は止まる]
(263) 2014/11/18(Tue) 10時頃
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[あの時は耳障りだったフォルティッシモ ぼんやりと見上げた先に、明るいいろ 月明かりの下で最初に告げたのは、罵倒
不愉快な音をまき散らすな 耳が痛い
しかし空気が漏れる音以外が唇から毀れる事はなく 結果、弱り切った身体は彼に庇護を求める事になった そんな始まり。
今聞こえてくるのは、カルマンド 混じるのは、悲壮か懇願か。 怖いという言葉の意味は、この状況にか それとも。 トレイルは、じっと彼を見つめる]
(266) 2014/11/18(Tue) 11時頃
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[いけない兄 そうだろうか 彼が居るから、ニコラもトレイルも こうして生きている それは、感謝すべきことだ。
ただ、彼がゴミの中から拾ったモノは はたして、彼にとって価値があるものなのか 不器用で、生業ひとつ身につける以前に 生活力すら低い トレイルももう幼いだけの子供ではないから 自分がどれほど彼らに負担をかけているかは、気付いてる。
ゆっくりと首を振った。 彼らがトレイルにするように 頭を撫でてやろうと、冷えた手を伸ばす]
(268) 2014/11/18(Tue) 11時半頃
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トレイルは、ノックスの心の内読めず、仕草に瞬く。
2014/11/18(Tue) 11時半頃
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[少し困ったことになったと、髪に触れながら思う ニコラは まだ、ノックスを忘れてはいないだろうか
トレイルはニコラほど器用ではないから。 弱った様子のノックスに どうしていいか、わからない。
ありがとう お礼の言葉は、彼らに出会ってから覚えた音の羅列 でも、良い兄でいる必要はないんだ そう告げたいけれど、音は出ない。 抱えあげられそうになって、はっと思い出す。
駄目だ。 居間には行きたくない。 理由は二つ。 トレイルは、傍に転がるほとんど中身のなくなったインク瓶と、真っ黒な紙を指さし、ノックスを見て、それから視線をそれらへ向けた]
(275) 2014/11/18(Tue) 12時頃
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[ノックスもニコラも、よく触れ合っていたから いつのまにかそれが習慣。 彼の意図知らず ニコラもよくじゃれるから 意味合いは同じ
今も 彼にとってのトレイルが 酔狂で拾ったゴミ以上の価値を持っているのか、わからない。
いらないもの。 インク瓶と自分がダブった気がして そこから視線をそらせない
音を言葉と認識しないまま、頷いた]
(278) 2014/11/18(Tue) 12時半頃
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[冷え切った身体を美味く動かす事が出来ない トレイルは、抱えられるに任せて 冷たい貯蔵庫から、温泉へ
湯のある場所は ふと思い出した、そう遠くない過去に 落ち着かない様子で辺りをみわたし
見つけた二人の音 眉を顰めかけたのを誤魔化すよう 一度ゆっくりと瞬く。
温泉に入りに来たのか 問いかけに、抱かれたままノックスを見あげる。 どうするつもりだったのか]
(282) 2014/11/18(Tue) 13時頃
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