人狼議事


253 『はじまりの むら』

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【人】 水商売 タバサ

[宴は既に3日目に入ろうとしていた。とは言え、こんな辺鄙な村だ。勇者が王都へ凱旋した折の、1週間とも1ヶ月とも続いた祝祭に比べれば、ささやかなものだろう。]

 カルヴィン!女将さんとこ行って魚追加で仕入れてきて!あとニールのおやっさんのとこで、明日の肉も!昨日仕入れた分もうなくなっちゃった!
 ザーック!悪いけど新しい酒樽、裏から運んで貰えるかしら?口開けの一杯、とっときのいいとこ、呑んでいいからさ!

[今日は臨時で手伝いを頼んだザックと、変わらず酒場で働くカルヴィンに発破を掛けて活気に満ちた店内を回しながら、酒場で育った娘は感慨に耽る間もない。]

 あ、ねえじーちゃん、ほらそんな端っこで呑んでなんかないでさ、もう!眺めてるのが楽しいだなんて、今日はひっさびさにじーちゃんが大物釣ってきたんじゃない。一番美味しいとこ食べなきゃあ。

[勇者が故郷の村へ帰還するにあたり、食糧や、酒や、溢れんばかりの物資の寄進があった。が、ようやく光を取り戻した空の、海の、川の、有り触れたばかりの村の食物が、何よりのご馳走だった。]

(9) ameya 2016/09/21(Wed) 02時頃

【人】 水商売 タバサ

[使いを済ませたカルヴィンに、伝票を切って寄越す。この数年で彼の身長もすくすく伸びて、今やタバサの背にも追いつくくらいだ。もう、夜が更ける前に酒場の灯りから遠ざけて眠らせることもない。あと数年もすれば、彼も村の大人の仲間入りをするのだろう。

店の外から、一際賑やかな歓声が漏れた。あの日少年が旅だった日のまま、ひとつだけ色の異なる窓硝子の向こうに、一団が見えた。その中央。人いきれに取り巻かれた一際背の高い姿。あの小さなオスカー坊が、あんなに見違えて戻ってくるとは。

いや、ずっと小さい坊やとの思い込みで、思い出の中の彼の背丈は、本当は旅立つ頃には随分と伸びていたのかもしれない。]

(10) ameya 2016/09/21(Wed) 02時頃

【人】 水商売 タバサ

[結局女には、世界の危機など、こうして救われた今でさえ、あまり実感はなかった。確かに空は曇り、物資に窮した時期もあったけれど、現にこうして無事に誰変わらぬ顔で宴を行い、歌い、そしていつもと何変わらぬよう今日も酒を注いで酔顔の合間を泳いで回っているのだから。

平和な村は、この先も変わることはないだろう。

けれど随分とあの旅立の日との隔たりを感じるような気がするのは。彼が世界をその剣で救った勇者となったからでなく。
まるで大人になって戻って来た彼のその姿が。時の流れを感じさせた。

いつまでも変わらないこの村で過ごしてきた。少年期の終わりを。]**

(11) ameya 2016/09/21(Wed) 02時半頃

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