308 【R18】忙しい人のためのゾンビ村【RP村】
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少
霊
全
ヤカモトに1人が投票した。
クシャミに8人が投票した。
ビアンカに1人が投票した。
クシャミは村人の手により処刑された。
時は来た。村人達は集まり、互いの姿を確認する。
ビアンカが無残な姿で発見された。
現在の生存者は、ヤカモト、フローラ、ヘイタロウ、ワット、みょんこ、ハルミチ、エニシ、ヨーランダの8名。
大切な人を、ペットを探して、
あるいは救いの手を、情報を求めて
人々はすがるようにインターネットをのぞきこむ。
(#0) 2020/10/24(Sat) 00時半頃
「犬の吠える声に反応した」>>*2:15
「体液に触るとだめ」>>*3:17
「呼びかけても反応がない」「知能が低い」>>*3:42
ぽつり、ぽつりとそんな情報がかきこまれるなか、
ログインが途絶える人も現れてきた。
(#1) 2020/10/24(Sat) 00時半頃
――――5日後。
(#2) 2020/10/24(Sat) 00時半頃
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― 秋葉原 ―
[街のあちこちにバリケードが作られ始めていた。 時間を稼ぎ。
その間に狙撃するなり、逃亡するなりすればいいと。 そして、この街の住民たちはどこまでも逞しかった。]
ああ、じゃあそっちも頼むわ。
[釘バットや銃で武装した自警団。 おかえりとばかりに街のあちこちでメイド姿の少女が出迎えていて。
飲んでいかないかと誘う様は。 まるで戦時中のようでもあり。
四浦自身もテイクアウトのケバブを買って。 店に戻って食べるつもりでいた。]
(0) 2020/10/24(Sat) 07時頃
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[見上げると。 秋葉原で一番高いバリケード。]
ウオールオブゾンビ……か。
[進撃のなんとか。
或いは、特務機関と称して。 地下のスペースに基地を作る者たちもいた。
共通しているのは。 この日常から逃げたいという思いか。
あの頃のように、まとめサイトが取り上げるだろうと言って。 画像をSNSに上げるものたちもいた。]
(1) 2020/10/24(Sat) 07時頃
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〇〇〇
_________
ウオール・オブ・ゾンビ!
[秋葉原の片隅に天高く積み上げられたバリケードの画像があった。]
#秋葉原
#進撃のゾンビ
#ゾンビに負けるな
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[宿のおじさんが、宿の入り口に椅子やテーブルでバリケードを貼ってくれた。 警察の機能していないこの国では、ニュースになるよりゾンビが目の前に現れる方が早かった]
…もう、これじゃあ空港も機能してないんだろうな…
[帰国予定日になったが、そもそもまずここからでられる状況じゃない。 ガラス越しにこっちを見てるゾンビ達は濁った目でガラスを引っ掻きながら押しかけてきている。 その様子を写真に撮って]
(2) 2020/10/24(Sat) 10時頃
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@heytaro
遂にこの国にも来ました。
世界中どこでも似たような状況のようですね
数人の宿泊客と籠城中です。
[椅子やテーブルのバリケードの向こうで、おしくらまんじゅうしているゾンビの写真を添えて]
@heytaro
@_SneezeΣ:3X 謎の猫X
なるほど、体液に触れたらだめなんだな。
なるべく接触しないように気をつけよう。
目は良くない、足は速い、頭部殴打で死ぬ…
有益な情報をありがとう。
[どうしてこんな情報を知ってるのか、聞く気もなければ知る由もなかったが、次の投稿を見ておおよその察しはついた]
……各地の情報の寄せ集めですが、こういう状態になってしまうともう「呼びかけても反応がない」そうです。
つまり本人の意識は無くなってしまっているのかと。
[だから人殺しではないだろう、…と書きかけてやめた。断定して言う勇気がない。書きかけのまま送る]
@heytaro
皆さん、の拡散ご協力ありがとうございました。
おかげで情報もたくさん集まりました。
下のリプ欄を見ていただければゾンビ対策に役立つ情報載ってると思います。参考にしてください。
そのうち僕も自分でまとめてみようと思います。
[そう言ってから、自身も他のアカウントの人探しや猫探しの情報を拡散する]
@heytaro
ミドリ @fate824
…噛まれた後、消息不明になってる人が多くいます。
とりあえず洗浄消毒して患部から相手の体液を拭い去り様子を見るのはいかがでしょうか
万が一のため、お兄さんと少し距離を取って様子見るといいかもしれません
[家族の感染…、これは、とても辛いだろう。
感情を抑えつつ返信ボタンを押す]
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[朝、目が覚めて。
部屋を出て真っ直ぐ暖炉に向かおうとする。 パパが出してきた段ボールの箱と、ホームビデオのテープが散乱している。
途端に、違和感。]
おはよう…?
[何だか、家の中が静かに感じた。 いつもキッチンからは、パパとママの話し声と、ママが淹れたパパの飲むコーヒーの匂いがするはずなのに。]
パパ?…ママ?
[キッチンを覗いても誰も居なかった。]
(3) 2020/10/24(Sat) 11時頃
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[パパたちの寝室の扉を開いた。]
おはよう、まだ寝てるの?
[2人は居なかった。 でも部屋がなんだか散らかってて、写真立てが床に落ちててガラスが割れていた。 それを拾い上げると、赤ちゃんのわたしをママが抱っこして家の前に並んでパパとママが笑顔を向けている写真が見えた。いつもベッドサイドに立て掛けてある。 この2人の笑顔はどこにいったんだろう。
そんな時、ジリリリリリッと玄関の呼び鈴がなった。 わたしは飛びはねるように玄関へ向かう。 もしかしたらパパたちが戻ってきたのかもしれない。
でももしそうなら、なんで鳴らすの?]
(4) 2020/10/24(Sat) 11時頃
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[玄関の扉の前までやってくると、外から微かに荒い息息づかいが聞こえた。 除き穴から見てみようと思ったら]
「むやみに直ぐ開けなくなったわね。偉いわっ…」
[扉の外から聞こえてきたのは、ママの声。]
ママッ!
「ダメよ!開けないで!」
[更に息苦しそうになったママに止められる。]
「パパね、ゾンビになっちゃった。街に行った時に、かまれちゃったんだって」
[ママはまるで何でもないように話を続ける。]
(5) 2020/10/24(Sat) 11時頃
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「ママもね、ゾンビになっちゃうみたい。 だから…あなたはちゃんと戸締まりしてお家にいるのよ? お腹が空いたら、冷蔵庫のご飯温めて食べなさいね…」
…ママ…マ、マ…
[信じられない。信じたくない。大好きなパパとママが居なくなっちゃうなんて。]
(6) 2020/10/24(Sat) 11時頃
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[涙があとからあとから流れてきて止まらない。]
「ご飯がなくなったら、お料理するのよ。 包丁は気を付けて使ってね。ママのお気に入りのお鍋、底が焦げ付きやすいの……ごめん、ね」
ママァ!行かないで!いやだよ!
[なんでこんなことになっちゃったの? なんでゾンビなんて出てきたの? なんで大好きな2人とは、もう一緒に暮らせないの?
なんで?なんで?……なんで!?]
(7) 2020/10/24(Sat) 11時頃
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[ガタンッ、と何かが落ちる音がすると、ママの荒い息が一層強く聞こえた。]
「ママ、もう行くね。絶、対…絶対に外に出ちゃダメよ あなたは、ちゃんと、生きなさいね…いいこでね。」
[まるで、どこかにお出掛けしに行くみたいに言う。
ママの息づかいが遠くなっていく。
ママは"出掛けて"いった。 パパもいつか"帰ってくる"。 わたしはちゃんと"お留守番"する。]
(8) 2020/10/24(Sat) 11時頃
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[悔いのない選択って、どうすればよかったのかな]
(9) 2020/10/24(Sat) 11時頃
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[わたしは、扉を開けて外へ飛び出した。]
ママァーーー!!
[ママの姿は、もう見えなかった。]
パパァァーーーー!!
[こんなに大きな声を普段出さないから、直ぐ喉が痛くなった。 でも気にせず、叫び続ける。
分かりたくないけど分かってた。 2人はもう帰ってこないんだって。
とうとう、わたしはその場で膝をついてわんわん泣いた。]
(10) 2020/10/24(Sat) 11時頃
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[パパはいつもニコニコしてて、わたしのわがままは何でも聞いてくれた。 でも、悪いことをするとなんで悪いかちゃんと教えてくれた。
ママもいつもニコニコしてて、お料理とお洗濯とお掃除が完璧で、パパに怒られたあとは甘〜〜〜いのケーキと強めのバグで慰めてくれた。
ちょっとウザイくらい…あんなに優しい2人だもん。 わたしをゾンビにしないように、生き延びられるようにいなくなったんだ。
でもね。 独りぼっちになるくらいなら、2人にゾンビにされたほうがマシだったって思ったわたしは悪い子かな。]
(11) 2020/10/24(Sat) 11時半頃
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[涙で地面き水溜まりを作りそうだった。 叫び続けて、もう身体に力が入らなくて。
だから、それが近付いてくるのに気が付かなかった。
直ぐ側で呻き声を上げたものに、わたしの肩を乱暴に押されて地面に倒れてしまった。 見上げれば、ママでもなくパパでもなく知らない人だった。
わたしは恐怖に襲われて悲鳴を上げた。 何とか立ち上がり、その手を振り切って家へと逃げ込んだ。 玄関の扉を閉めて鍵を閉めると、扉を背をついてヘナヘナと座り込んだ。]
…いたっ
[さっき押された左肩、服が切れて少しだけ赤く染まっていた。]
いたい
[そんなに出血してないみたいだけど、痛かった。 そんなことより、この一人には広すぎる家に独りでいる方が、心が痛かった*]
(12) 2020/10/24(Sat) 11時半頃
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[何日か経って。 その間、お腹が空けば冷蔵庫の中の、ママのご飯を温めて直して食べた。
独りで食べると涙が出た。 寝るときはパパとママのベッドで寝て、やっぱり涙が出た。
怪我した肩がずっと痛い。 我慢できる痛みだけど、なんだかそこだけズキズキする度に熱さを感じる。
何日かぶりにSNSを開く。 世界は混乱がおさまっていない投稿で溢れていた。
まさかと思っていたけど、わたしゾンビにならないよね? 噛まれたわけじゃないんだもの。 ゾンビになったら、ママたちが悲しんじゃう。
スマートフォンで文字を打っていく。]
(13) 2020/10/24(Sat) 11時半頃
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フローラ
_________
パパとママがゾンビになってどこかにいっちゃった。
肩を知らないゾンビに引っ掛かれて痛いのが治らない。
さびしいよ。帰ってきてよ。
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[気が付いたら、また泣いてた。
涙を手で拭って、ホームビデオの続きを見始める。 暖炉の薪がパチパチ音を立てていた**]
(14) 2020/10/24(Sat) 11時半頃
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[部屋はもう、使える状態ではなくなってしまった。 もう動かなくなったお隣さんは毛布でくるんで ベランダから下へ放り投げたから。 お隣さんはもう部屋にいないけれど、 割れた窓や血しぶきは残ったままだ。
―――ゾンビを殺したら、人殺しになるのだろうか ならないと、言ってくれる人は居るのかもしれない。
……優しい、お兄さんだったんだ。 深夜に夜食を買いにコンビニに行けば、 仕事帰りにお酒と夕飯を買い込むその人に出くわせば こんな時間に悪い子だなあ、なんて笑われた後、 「飲むかい?」と、棚から取ったビールを見せられ へらりと笑いを向けられて 近くの公園で二人、他愛もない話をしたものだった。]
(15) 2020/10/24(Sat) 12時半頃
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[ベランダの下を、見下ろす。 毛布からはみ出た腕は、血に濡れて赤黒く。 血の匂いや落下した音に反応してか、 そっちに寄ってくる人影が見えた。
見えた人影は、 スーパーで見かける店員さんだった気がした。 お隣のお兄さんだって、あの店員さんだって。 なりたくてなった訳じゃない。 僕だって、兄貴だって……仕方なかったんだ。
兄貴と一緒に簀巻きにした毛布を持ち上げた感触が まだ両手に残って居る。 僕は少しの間目を瞑り、きつく、拳を握りしめると やるせない気持ちで、踵を返し、部屋へと引っ込んだ。]
(16) 2020/10/24(Sat) 12時半頃
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[その日、僕の部屋は片付けず 二階ベランダに通じる僕と兄貴の部屋は封鎖した。
部屋から出した箪笥をドアの前に置いたりして もしゾンビが入り込んでも簡単に出てこないよう バリケードを念入りに作る。
必要な物だけを持って一階へ降りて それからは……毎日。 居間のソファーで、兄貴と一緒に眠った。]
(17) 2020/10/24(Sat) 12時半頃
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[兄貴は日に日に、何かに耐えるように頭を抑えたり、 自分の身体を掻きむしることが多くなっていった。 時には、何を言うこともなく、 ぼんやりと僕の方を見ているだけのこともあった。
「自分が自分じゃなくなる気がする」 「俺、どうなるんだろうな…えーくん、怖い……」
僕より全然大きくて、 いつも頼れるばかりの兄貴だったのに。 お隣さんを撃退したときの気迫や強さは もう、見る影もなくなって。 泣きそうな声で漏らすのは、そんな弱音だ。
こんな兄貴は、今まで一度も見たことがなかった。 胸が破裂するんじゃないかってぐらい、辛い。]
(18) 2020/10/24(Sat) 12時半頃
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[痛みで発熱する身体が辛いのか (それとも、動いてると考えてしまうことがあるのか) ソファーに横たわったままが多くなった兄貴は 僕が水と焼き鳥とか肉の缶詰を持ってきたのを見ると ぽつ、ぽつ、と。決まって弱音を吐く。
兄貴は「連絡がつかない友人が毎日増える」と。 「次は自分の番なんだ」と。
「俺はもう、駄目だからさぁ…… えーくんは、安全な場所に逃げてよ」
……そう、震える声で、何度も言うけれど。 僕は笑って、言うんだ。]
(19) 2020/10/24(Sat) 13時頃
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[他に行くところも、向かうところもないんだ。 最後、一人になんてするもんか。]
大丈夫だよ、兄貴。 僕は……最後まで一緒に、居るから。
[兄貴の、指先の冷えた手を握る。 それは自分でも驚くほど、穏やかな声だった。]
(20) 2020/10/24(Sat) 13時頃
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[騒動からずっと、苦しいばかりが積もる毎日で 僕にできることはなんだろうと考えていた。 いつかSNSで見た"悔いのない選択"。
大丈夫。悔いなんてない。
そう信じて。手を、強く握った。]*
(21) 2020/10/24(Sat) 13時頃
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[ソファーに横たわる兄の横にしゃがみ、SNSを見る。
まず来ていた返事を見て、ついでに彼の他の返信も見た。
これは、この騒ぎを乗り切るのに有益な情報だ。
注意しなければならないことも、わかった。
わかったけれど。]
@heytaro
ミドリ @fate824
ご心配、ありがとうございます。
そして、ごめんなさい。
兄も逃げろと言ってくれてますが、
僕は傍にいてあげると決めました。
あなたも、どうか、気をつけてください。
["噛まれたらだめなんだと、兄を見てて思います。"
途中、そう書こうとして消したのは、
引っ掻かれたという投稿を見たから。
噛まれたり引っ掻かれたした人も見ているこの場所で
いくら確信を持っていても、そう言いたくは無かった]*
|
[ビデオを見ていたら、いつの間にか眠っていたみたい。 テープがも終わってた。
わたしはソファに横になってて、スマートフォンが床に落ちてるのが見えた。
熱くて目が覚めた。 覚醒しくてると、肩がジワジワと痛みを増してて、我慢できないくらいだった。]
きもち、わるい…
[頭も痛くて息苦しかった。 今何時かわからないけれど、窓の外は暗かった。 暖炉の火も消えかけていた。
急にこんな風になるのなんて、もう1つしか考えられない。]
(22) 2020/10/24(Sat) 19時頃
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パパ…ママ…ごめん、わたし…
[わたし、きっとゾンビになるんだ。
パパとママがゾンビになって、もう一緒にいられないって思った時より落ち着いているのは、どうしてだろう。
肩は泣きそうなくらい痛くて熱いのに。 頭は痛くて胸は苦しくて気持ち悪くて死にそうなのに。 涙が出ないのは、どうしてだろう。
ここ数日で、一生分の涙出しきっちゃったかな。
床に落ちていたスマートフォンに、必死に手を伸ばした。]
(23) 2020/10/24(Sat) 19時頃
|
フローラ
_________
わたし、ゾンビになるみたい。
折角パパとママが守ってくれたのにごめんなさい。
もっと、生きたかった。
ゾンビいなくなれって思ってたけど、みんな人間だったんだよね。誰かの大切な人だった。
元通りにはならないけど、これから、幸せが世界中に増えていきますように。
|
[懺悔と希望を込めて。
そういえば、たくさん(じゃないけど)投稿したなぁ。 以前のわたしが知ったら驚くだろうな。なんて。
時間は巻き戻せないけど。 地獄になった世界に、幸せを願いたかった。 もし少しでも世界に幸せ成分が増えたら、パパとママにも会えるかもしれない。そんな奇跡を願ってもいいよね。
消えそうな意識の中で思い出すのは、 過ぎ去りし"日常"**]
(24) 2020/10/24(Sat) 19時頃
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マル得情報さん
サングラスを買ったら、
あなたのところに、
食べ物が、届く仕組みなんですか?(・・?
ヘイタロウさん
ありがとうございます。
今は、スマホから話してますが、
次にまたパソコンを使うときは、
試してみたいと、思います。
ビアンカさん
東京、ですか。
僕は長野にいるので、わかりませんが、
僕も同じこと、聞いてみますね。
[シェアのやり方など知らない。]
東京で、Stephen Walker
5ft9inくらいの身長で、
太っても痩せてもいないそうです。
出張で日本に発ってから、連絡がとれなくなったそうです。
心当たりの方は、ビアンカさんまで。
[とにはgoodを。
そんな投稿をしたのは、
健司たちと連絡がとれなくなってから
まだそんなに時間が経っていなかったころ。]
|
[少し遅れているのだろうと、 まだそう思っていたころには SNSを眺めたり、町に住む他の住人に電話をかけたりして 情報を集めたりしていたけれど。 1日たち、2日経った頃には焦燥ばかりが募っていった。
何も食べる気がしない。 それでも体力は残しておかないと、と 無理やりにのどの奥へ押し込んだ 梅干しがはいったはずのおにぎりは、 何にも味がしなかった。
テレビはもう、何も映さなくなっていた。 どのチャンネルに変えてもノイズが走り、 耳障りな砂嵐ばかりが鼓膜を揺らす。]
(25) 2020/10/24(Sat) 19時半頃
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文章が、抜けていました(-_-;)
Stephen Walkerさんという方を、
知ってる人は、いませんか?
出張で日本に発ってから、連絡がとれなくなったそうです。
心当たりの方は、ビアンカさんまで。
|
[まったく、生きた心地がしない。]
(26) 2020/10/24(Sat) 20時頃
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[美奈子の時は、病気だった。 だからある程度覚悟はできていた。 だけどさ、このまま息子たちに会えない、 なんてのはあんまりじゃないか?
あの、大切な人を失った時の、 とてつもない喪失感から 立ち直れたのは、あの子たちがいたからだ。]
『お客様のおかけになった電話は、 電波のないところにいらっしゃるか、 電源がはいっていないため……』
くっそ、なんででないんだ……!
[もう67(0..100)x1回ほど耳にした その機械的なメッセージに さらにイライラが増す。]
(27) 2020/10/24(Sat) 20時頃
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どなたか、神奈川から、長野方面へ向かう、
青い車を見ませんでしたか?
男性と、女性と、子どもがふたり、
乗ってるはずなんです。
数字までは、覚えてませんが、
横浜ナンバーだったと思います。
[人探しや、猫探しの投稿も見かけていた。
彼らも大切な人たちを探しているのだろう。
俺も同じように、藁にもすがる思いで、SNSに投稿した。]
百姓 ワットは、メモを貼った。
2020/10/24(Sat) 20時頃
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[その頃。 グループLINEは騒然としていた。]
……マジだ……。
ここ、写ってんの……サダじゃねぇか!!
[ダチのひとり、ニシが見つけたネット画像のなかに、サダミツらしき人物……いや、ゾンビが写っていたのだ**]
(28) 2020/10/24(Sat) 20時半頃
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[前にゾンビが二階に入ってきたときは 僕が寝ぼけて壁を蹴ったりしたのが原因だろうと。 不必要に音さえ立てなければ、 奴らは中に入ろうとしてこないだろうと。
兄貴のその推測は当たっていた。 それから今まで、ゾンビは家に入ってきていない。]
(29) 2020/10/24(Sat) 21時頃
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……兄貴。もう、大丈夫だよ。 じっとしてれば……ゾンビは、来ないんだ。
[一階の居間の横の、両親の寝室。 そこにあるクローゼットの前で体育座りをして 目の前で鈍く光る銀色を見つめる。]
「えー、くん………… そ、か……よ、かっ た……」
[獣が唸るような音が混ざった兄貴の声が、 クローゼットの中から聞こえるのに、 僕は膝の間に顔をうずめた。
クローゼットは中から簡単に開かないよう、 外の二つの取手同士を紐で結んである。]
(30) 2020/10/24(Sat) 21時頃
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[兄貴が噛まれてから、五日。
兄貴は最初、僕に逃げるよう何度も頼んで、 僕が逃げないなら、自分を殺してくれと言った。
――まだ、ゾンビになるって決まった訳じゃない。 なってもいないのに、殺すなんてできるもんか。
僕は毎回、そう言って断った。 ワクチンの開発とかが間に合って ゾンビになった人も助かるかもしれないじゃないか。
その言い分が何の気休めにもならないのは、 僕自信がが一番よくわかってた。 だって。毎日、テレビをつけてみても、 ネットのニュースを漁ろうとしてみても。 ここ数日は何の情報も流れてこなくなっていたから。]
(31) 2020/10/24(Sat) 21時頃
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[対策を練る筈の政府や医療機関の人だって 今どうしているかの情報が、何も無いんだ。 今一番、リアルタイムの情報が流れてくるのはSNS。 それも悪い情報ばっかりで、 事態が良くなりそうな兆しは欠片も見当たらない。
両親だってもうゾンビになってしまったんだろう。 兄貴ももう、助からないんだろうか。 ゾンビになってから助かったという情報はない。 こんなんで、希望を持つことなんてできなくて。]
(32) 2020/10/24(Sat) 21時頃
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[そして、兄貴は僕に言った。]
「多分もう、俺には猶予がない。 今のうちに、手を縛って。閉じ込めてくれ。 俺……えーくんや、他の人達を、 食べたりなんて、したくないんだ。 だから、えーくん。こんなこと頼みたくない、けど 逃げないなら……俺のことを、]
……ゾンビに、なっちまったら、だからな。 まだ、ならないかもしれないじゃないか。 でも―――、兄貴。約束、するよ。
[閉じ込めるのは、僕へ考える時間をくれたからだ。 ゾンビになって暫くは、迷えるように。 逃げるか、……兄貴を、殺すか。それとも。
僕は全部わかってた。もう避けられないことだって。 わかってて、兄貴を閉じ込めた。 けれどまだ僕は、どうするか何も決められてなかった。]
(33) 2020/10/24(Sat) 21時頃
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[クローゼットに背を預けたまま、話す。]
なぁ、兄貴。
「な、に……えーくん、」
兄貴は……心残りとか、悔いって、ない? 僕は……後悔ばかりだよ。
「……あるけど、さぁ………… でも、俺は、最後、 えーくんの声聞けて、良かった。 あぁ……そうだ。この後のこと、かな、 俺の分まで、えーくんに生きて、ほし、、 ……げほっ!!ごほ、っ……!!」
[ぜぇぜぇと、背中の下の方から蒸せる声。 クローゼットを開けようとして立ち上がりかけ、 "殺さないなら何があっても開けるな" 兄貴の言葉を思い出し、その場にまた座り込んだ。]
(34) 2020/10/24(Sat) 21時半頃
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[背中からは、辛そうな息遣いに、笑い声。 僕がしたことは筒抜けだったんだろう。 その後また、咳き込む声と唸り声が続いて、]
僕は、……兄貴だけだったんだ。 兄貴が居なくなったら、僕、
[背中から聞こえてくるのは呻き声ばかりになった。]
(35) 2020/10/24(Sat) 21時半頃
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[……ポケットで、震える感触がする。 SNSの通知だろうかと、スマホを取り出し。] [通話相手の名前を見て。嘘だ、と思った。]
―――父さん…?
[酷い雑音の中で。発砲音や、呻き声がする。 その中でも近くで聞こえる、荒い息遣い。]
『……エニシ。良かった、無事だな。 ヨスガも、無事か。』
[父親と話したのは、本当に久しぶりだった。 間違いない。本人だ。でも……なんで、"僕"に。]
(36) 2020/10/24(Sat) 21時半頃
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[こみ上げてきた涙を堪えて 数秒の悩む間を置いてから、震える声で答える。]
大丈夫。僕も、兄貴も、無事だよ。 ……母さんは?
『そうか。……良かった。 母さんは…………無事だ。』
[心配するな、とその後に続いたけれど 僕は、気づいていた。 僕が答えるまでの間と、父親が言い淀んだ間。 その意味が、殆ど同じものだってことに。 父親も気づいていたに違いないのに、 そのことに触れてこなかったのは、優しさなんだろうか。]
(37) 2020/10/24(Sat) 21時半頃
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『やっと電波が入るところにこれたんだが ヨスガに電話する暇は、もう無さそうだ。』
[ (え、…………) 言葉を、失った。 兄貴に電話してから、僕に電話したんじゃないのか。 僕は大学に入ってから学部に馴染めなくて、 苛めにもあった挙句不登校の引きこもりになって。
たまに家で顔を合わせても父親は僕には文句ばかり。 僕も食卓で父親と会っても一言も会話せずに 二階に上がることが殆どだったっていうのに。]
(38) 2020/10/24(Sat) 22時頃
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『……最後に、お前に言わせてくれ。』
[最後って何だよ。 僕は父さんに、まだ聞きたいことが、]
『俺も、母さんも。 お前のことを本当に大事に想ってた。 ヨスガだって、お前が居ないところで あいつは自慢の弟だって、いつも言ってた。 だから―――お前は、胸を張って、生きるんだ。』
待、っ…………!!!
[プツッ……ツー……ツー……ツー……]
(39) 2020/10/24(Sat) 22時頃
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|
――――パリーン!ガッシャン!!
(40) 2020/10/24(Sat) 22時頃
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|
[けたたましい音があたりに響いた。
3階の事務所の窓を体当たりで蹴破り そのまま路上へと転がり落ちる。
衝撃。胃が浮く嫌な感触。落下。
素人が香港映画のスターのように 受け身を取れるはずがない。 男は無様に肩を強打し、血反吐を吐いた]
(41) 2020/10/24(Sat) 22時頃
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|
ち、くしょう。 死んで……たまるか、よぉ。
[落下の衝撃で、眼鏡のレンズが割れた。 よく前が見えない。
ぼやけた視界の中で、 コンクリートジャングルを歩き出す。
強打した全身が痛かった。 刺さった硝子の破片が痛かった。 痛くて、痛くて、ぐずぐずに涙が溢れた]
(42) 2020/10/24(Sat) 22時頃
|
|
なんで、こんな目に。 ちくしょう。ちくしょう。ちくしょう。
[情けなかった。 あんなに必死になって金を稼いでいたというのに。 結局のところ、金なんて何の意味も為さない]
(43) 2020/10/24(Sat) 22時頃
|
|
(オレは今まで、何をしてきたんだろう)
(44) 2020/10/24(Sat) 22時頃
|
|
[嗚咽した。 泣きながら走って、無様に転んで、立ち上がって。 無人のコンビニにやっとのことで辿り着いた。
眼鏡のレンズには蜘蛛の巣状の罅が入り、 無精髭は伸び放題。スーツはボロボロだ。
消費期限なんてとっくに過ぎた、 腐りかけのパンを齧る。 何日ぶりの、ちゃんとした食事だろう]
(45) 2020/10/24(Sat) 22時頃
|
|
……おいしい。
[乞食のように、貪る。 子供のように泣きじゃくりながら、 ただパンを齧り続けた]*
(46) 2020/10/24(Sat) 22時頃
|
|
[ ] [ ]
[電話が切れてから、どれだけ経ったのか。 僕は呆然と、画面がついたままのスマホを見ていた。
打開策を調べる気力ももう起きなくなっていて ここ数日、SNSを見る頻度は落ちていたけれど。 それでも、数日間充電をしていないスマホの電池は 後数%だと表示されている。
かりかりと、ドアを齧るような音を背にしながら いつもスマホを持ったらするように、 僕は無意識に、SNSを開く。]
(47) 2020/10/24(Sat) 22時頃
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[ぼんやりとSNSを眺めながら、
人探しの投稿をシェアした後に。
見えたのは、ある言葉だった。
ふざけたような本文だったけれど。
ついているタグに、はっとする。
『ゾンビに負けるな』
当たり前のことだった。
諦めた人ばかりじゃあ、ないんだ。
今もゾンビと戦っている人が居るのを見て、
この世の終わりのような気分だったところに、
少しだけだけど、勇気を貰った気がしたんだ。]
[そして僕も、
モンスターがかっこよく必殺技を放って、
勝利を収める一場面のイラストを何個か投稿する。]
ミドリ @fate824
諦めないで。皆、負けないでください。
生きて。また全部終わったら、ここで会いましょう。
#ゾンビに負けるな
ミドリ @fate824
頑張ってる人達を見て、勇気を貰いました。
僕も、……がんばってみます。
[そう投稿した瞬間。
ぽつりと、涙がスマホに落ちて……画面が、消えた。]
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[本当は、兄貴に噛まれてしまうのもいいと思ってた。 兄貴を殺す勇気なんてないし、 一人で生きていく自信もないから。 約束までした頼みを聞けないのは悪いけれど、 僕は、臆病で何もできないやつなんだと、思ってた。
でも。これが最後かもしれないっていうなら 託された想いに応えるのもいいかもしれない。 だって、今頑張らなかったら、もう。 僕は本当に、兄貴のただのお荷物になってしまう。
僕は生きていていいのかと そう思っていたのは間違いだった。 兄貴と、両親の言葉を、思い出す。]
(48) 2020/10/24(Sat) 22時半頃
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[生きていていいか、じゃない。 がむしゃらに、生きないといけないんだ。
僕の大好きな兄貴の分まで。 父さんと、母さんの分まで。]*
(49) 2020/10/24(Sat) 22時半頃
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[健司たちを迎えに行くべきかとも思ったが、 今どこにいるかわからず、行き違いになる 可能性がある以上、家で待っていることしか できなかった。]
くそ……、
[毎朝毎朝、仏壇の前に座って、 美奈子にあの子たちを守ってくれと祈った。
いや、あの子たちだけでなく、 俺の家族の健康を願ってくれた 心優しい少女やその家族も。 SNSを始めてほんの数日だが、 何かの縁で繋がって、知り合った人々が、 みんな無事で過ごしているといいと。]
(50) 2020/10/24(Sat) 22時半頃
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[いくら情報が遅いとはいっても 世界がもう日常からかけ離れた場所に なってしまっていることは、 町中の人が理解していた。
八重ばあさんの家や沼太郎の家、 他にも応援にいった人々の家の方面には 行かないようにと通達が回ってきた。 親戚の子どものうちの一人が、既に感染していたのだと。
ああ、やっぱり。
その知らせを聞いた時に、 俺は間違っちゃいなかったんだと思った。 思わずにはいられなかった。 見殺しにしたのと同じようなものだと、 わかってはいても。]
(51) 2020/10/24(Sat) 22時半頃
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[町長からの連絡だったが、 田舎だから、家と家との間には 数百mの距離がある。 そっち方面にさえ行かなければ、 いきなり襲われることはないはずだ、との考えらしい。
戸締りをしっかりして、家の外には でないようにと、ニュースと同じような 注意もされたけれど、 それでも毎日畑にいき、圃場管理はしていた。 毎日山ほど収穫しては出荷していた野菜たちが、 収穫しない分は少しずつ痛んでいったが、仕方ない。
7日目には、ごっそりと、 一部の区画の野菜がなくなっていた。]
(52) 2020/10/24(Sat) 22時半頃
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[猪よけの柵はしているが、 触れてもわずかにビリっとくるだけのものだ。 畑の敷地に鍵なんてかけるわけもないから 人の出入りは止められるもんじゃない。]
……食うもんがなかったんだろうな。
[実際、SNSの向こう側でも、 そんな言葉があふれている。 見も知らぬ人たちだが、 この野菜たちを届けられたらどんなにいいか。
健司たちが来ても困らないだけの食料は すでに収穫して、 保存がきくように加工もし始めている。
このまま畑で腐っていくよりはずっといいかと、 いくらか収穫して、青いゲージにいれ 畑の前の道路の隅に置いておいた。]
(53) 2020/10/24(Sat) 22時半頃
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『好きなだけお取りください』
[そんな看板もそえた。]
(54) 2020/10/24(Sat) 22時半頃
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[コンビニのカウンターの奥から 商品の煙草を数箱拝借して、懐の中に入れた。
髪を掻き上げ、大きく溜息を吐く。 誰もいないコンビニの床に、ずるずると座り込む。 煙草に火を点し、男はのんびりと紫煙をくゆらせた]
……どーすっかな。
[あてもなく、コンビニの白い天井を見つめた]
(55) 2020/10/24(Sat) 23時頃
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[ それから、同じことの繰り返しだった。]
(56) 2020/10/24(Sat) 23時頃
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[このコンビニの出入口はひとつ。 逃げ場所も隠れ場所もない。
長居してはいけない、と 理性は警鐘を鳴らすのだが、 どうにも一向に足が動かない。
煙草片手にスマホを開き、SNSの投稿を追った。
ふ、と口元を微かに緩ませ返信を打つ。 スマホからの手動投稿だ。 スパム文はその発言から消えていた]
(57) 2020/10/24(Sat) 23時頃
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___________________
■マル得情報■
ワットさん。
あなたは、純粋で良い人ですね。
わたしみたいな詐欺師に騙されずに、
生き残ってください。
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[投稿ボタンを押した瞬間、 スマホに影が差した。
見上げれば、口から涎を垂らし 瞳から理性を失くした女が こちらを見つめていた]
う、うわああああああああああああ!!!
[咄嗟にパンの入った戸棚を手で倒し、 女を下敷きにしようとする。 足がもつれ、うまく立ち上がれない]
(58) 2020/10/24(Sat) 23時頃
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[――――食料を。
床に転がった菓子パンを ひとつふたつ拾い上げてから ゾンビから逃れようと、出口へと駆けだす。
あまりにも必死すぎて、 男は周囲への警戒を怠っていた。 それが仇になった。
死角から、今度は老婆のゾンビが飛び出して 男へと飛び掛かったのだった]**
(59) 2020/10/24(Sat) 23時頃
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[ ビルの非常階段で、眠りに落ちかけては目覚めた。 せめてもの護身用にと抱えたモップの柄。 何度目だろう、がくりと体が揺れて、頭を振る。 ビルの隙間の空は白んできていた。
朝日の差す空をぼんやり眺めていると、 "何か"が非常階段の扉を突然叩いた。]
ひ───
[ ここにもこれ以上いられない。]
(60) 2020/10/24(Sat) 23時半頃
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[ モップを持ったまま、階段を駆け下りる。 路地を出ようとするとその先には"何か"の姿が ちらりと見えた。 こちらはダメだ。 踵を返し逆に走り、通りへまろび出る。 できるだけ安全なところへ。
でもそんな所どこにあるんだろう?]
(61) 2020/10/24(Sat) 23時半頃
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[ 逡巡し、足が止まると斜め後ろから呻き声がした。]
や───
[ 思わず振ったモップの柄に、鈍い感触が響く。 そこにいたのは呻き声を上げる"何か"で。]
───っ!!!
[ 声にならない悲鳴を上げながらモップを引く。 "それ"はぐらりと後ろに大きく揺れた。 私は通りを走る。走る。走る。
ビルの路地、エントランス、自販機の陰。 非常階段、駐輪場、マンションの裏。 止まっている車は大抵ロックが掛かっていた。 他人の家は──どうしても罪悪感が消せなかった。
つまり、私の居場所は今この世界には どこにもなかった。]
(62) 2020/10/24(Sat) 23時半頃
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[日が暮れる前にはいつも家に戻り、 インターネットで情報を集める日々だった。
対策を練りたい、そんな投稿も見かけたが、 俺自身はこの目でまだ見てはいない。 なんの有益な情報も出すことはできないでいた。
SNSで告知されていた配信、とやらもみていた。>>3:56 同じように見た人が保存していたものが YouTubeなどにもあげられて、 繰り返し見られるようになっていた。
これが親切に教えてくれた謎のX君なのか。 マスクと長く伸びた前髪のせいで、 表情や顔つきまではよくわからなかったが、 本当に、現実にいる誰かが あれらの投稿をしていたのだなと なんだか不思議な感じがした。]
(63) 2020/10/24(Sat) 23時半頃
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[それと。 ゾンビが、本当にいるのだということも。 それまでにもニュースや動画も見かけてはいたが 俺が目にしたのは、どれもヤツらが遠目で 映っていたものばかりだった。 荒れ果てた都会の光景の中、 カメラ?をもつ謎の猫X君の走る音が響く。]
よじ登るのは、時間がかかるのか……。
[謎の猫X君が言っていた台詞と同じことを口にして ヤツらがどんな動きをするのかを、 つぶさに観察した。 綺麗な空をみたい、というセリフには>>3:85 なんだか無性に目の奥が熱くなった。]
(64) 2020/10/24(Sat) 23時半頃
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みず……欲しい……
[ 何度目だろうか、小さなコンビニの裏手で 座り込んだ私は思った。 水も、食べ物もない。 頼りのスマホもバッテリーが心許なくて。 そもそもこんな状態でスマホの決済も 使えるのかどうかわからなかった。
きっと私は"あいつら"と変わらない目をしていた。 そのまま横に積んであったコンテナに少しだけ 身を預けると。
ごとん。
コンテナの影からコロコロとココアのボトルが 転がり出た。 恐らく廃棄予定だったのだろう。 いくつかは袋が破られていたが、賞味期限切れの おにぎりも落ちていた。]
(65) 2020/10/24(Sat) 23時半頃
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余計、のど乾くじゃん───
[ へへへ、と笑い声が漏れているのに、涙が出る。 ココアを拾い上げて飲み干すと、やっぱり甘くて 喉に絡まって仕方なかった。 乱暴におにぎりのパッケージを開けると、 海苔が全部持っていかれてただの白いおにぎりに なってしまった。
何もかも滑稽で、笑いが止まらない。 早く飲み込まないと、またあいつらが来るのに。]
(66) 2020/10/24(Sat) 23時半頃
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[ そうして、何度も同じことを繰り返して、 やっと自宅だった場所に帰り着けたのは 4日目の夕方だった。]
(67) 2020/10/24(Sat) 23時半頃
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[ひっかかれた、噛まれた。
そんな投稿も見かけたけれど、
治療薬だとか、特効薬のようなものを
俺が作れるわけでもない。
諦めないでほしい、なんて、
希望的な観測でコメントをすることもできなくて。
そうしていたら、どこか都会で
壁を作って戦っている人たちの画像が見えた。
それから、同じはっしゅたぐ?とやらをつけて、
次々に投稿されていくイラストや、文章も。
それら全部にgoodを押した。]
[拡散されているにgoodを押しつつ
のイラストにもgoodを押す。
…そう、こんな風にかっこよく勝利を収められたらいいのに]
大丈夫。
きっと解決策があるはずです。
少なくとも僕らは頭を使い、情報を共有し、戦う事ができる。
諦めたらそこで試合終了です。
生きるために頑張りましょう
#ゾンビに負けるな
[良いタグだな…と思いながら投稿した
その、直後。]
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[ どうして家へ戻ってきたのか自分でもわからない。 でも、もしかしたら──あの猫がいる気がした。
マンションは、半焼というレベルだろうか。 火の手の出ていた東側は真っ黒になっているが、 私の部屋近辺は多少煤けているだけに見えた。]
う、わ。
[ エントランスに人気はない。 プラスチックが焼けたような臭いがあたり一面 充満していた。
あまりの焦げ臭さに口元を手で覆いながら とぼとぼと階段を上る。 あの時猫を連れて逃げ出せたのが奇跡かもしれない。]
(68) 2020/10/25(Sun) 00時頃
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ガシャーーーン!!!!!
(69) 2020/10/25(Sun) 00時頃
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まだ、ここらへんにはゾンビはあまり、でていません。
農家が多いので、食べ物も、あるはずです。
僕も、ゾンビのことで、何かわかったことがあったら投稿します(^_-)-☆
#ゾンビに負けるな
はっしゅたぐ?ってなんのために、つけるか、
わかりませんけど、つけてみます。
マル得情報さん
あなたも、生き残って、心を入れ替えて、
これからは、まっとうに生きましょう。
一緒に。
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『逃げろ!!!!』
[聞き慣れた宿屋のおじさんの、叫ぶ声が響く]
(70) 2020/10/25(Sun) 00時頃
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[家の本棚から地図を引っ張り出し、 健司たちの家からここにくるまでに 通るかもしれないルートを書き込んで。
9日目には、朝から玄関に張り紙をした。]
(71) 2020/10/25(Sun) 00時頃
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[ 家に帰ってこれたのも、運が良かったと思う。 そう私は自分に言い聞かせる。
日常を失っても体が無事で良かった。 火事になっても家が焼け残っていて良かった。 せめて猫を外に連れ出せて良かった。
今までずっと、自分にかけてきた呪いの言葉を また自分に向けて唱える。]
(72) 2020/10/25(Sun) 00時頃
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『健司へ お前たちを探しに行ってくる。 夕方には一度戻るつもりだ。 もし入れ違いにここについたら、 家の鍵はポストにいれてある。 番号はお前の誕生日だ。 勝手にあがって待っていてくれ。』
(73) 2020/10/25(Sun) 00時頃
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[ゾンビは知能がない。 SNSの情報をもとに、そんな内容をつづった。
これなら鍵のあいた玄関から、 ゾンビに勝手にあがりこまれる心配もないだろう。
武器になりそうな鍬や鎌を積んで、 もし健司たちが見つかれば、 乗せてやらなきゃならんだろうと、 仕事用の軽トラではなく、バンへと乗り込んだ。
きっと、ここに向かっている途中の健司たちと どこかで会えると信じて。**]
(74) 2020/10/25(Sun) 00時頃
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ただいま。
[ 誰もいないはずの私の部屋。 そろりとドアを開け、中に入る。 電気のスイッチは反応しない。 部屋中にもやはり焦げた臭いは充満していた。
部屋の鍵を後ろ手に閉めようとした時、 「みゃおん」と声がした気がした。]
──アーサー…──!!
[ 私は声を上げて部屋に入った。 最後の最後で神様は]
(75) 2020/10/25(Sun) 00時頃
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