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[何を言っても、態度が崩れない。
段々と、本当にどうしていいかわからなくなる。
いっそ、放っておけばいいのか、と、思うけど、
それだけができなくて……。
なぜだ、と考えて……。
またその姿を見て……。]
――……そうですね。
君に何か与えてあげよう、とか、無理かもしれない。
だけど……。
[そこまで言いつつ、言葉に詰まる。]
[与える、その言葉に眉根を顰め、
迷うような沈黙と揺れる視線に、苛立ちをまた誘われる]
理由も言えぬとは、
つまらないこと―――己の意思もないのですか。
はっきり仰いなさい。
いまだ己の浅はかさを認めがたいのですか。
[白き薔薇は飽いたように眼差しを流す]
――…だから、憐れみとか、そういう気持ちじゃないんだ。
[そして、はっきり…といわれ、向き直り……。]
憐れみじゃない、
護ったのも、そして、君に、あんなことをしたのも。
私は、君を……。
愛してるから。
[白薔薇は重たげに、
その睫毛を瞬かせながらゆるやかに首を傾いだ]
――……ああ、
ああ、なんて都合のよい言葉。
[男を覗き込む白薔薇の双眸は濡れて]
あなたはただの欲望に、
そのような名を付けるのですね。
―――よいでしょう、ならばそれが違う、と。
証明して差し上げればよいのでしょう?
[両の腕は男の首に絡められて、薔薇は微笑む]
[白薔薇の手が首に絡んで…
そうか、絞めるのかと思った。]
――…ただの、欲望じゃな い。
[否定の言葉を絡みつく前に吐き出して……。
そのまま、濡れた眸を見た。
そう、
瞬時に護ったのも、最初に欲しくなってしまったのも…もうそれしか理由が浮かばなかった。]
[絡んだ指先、一度だけ力が込められると
その指先は掠めるように這わせながら背へとまわされた]
――お黙りなさい。
[白き薔薇の口唇、口付けは甘く
されど情欲を煽るみだらなもの――離れて、吐息を零せば]
[消えない憎悪、それはただ欲望に踊らされるを暴かれたが切欠――男自身はそれをごまかしているというのに。それは同属ゆえの嫌悪にも似て]
ならば、あなたも貴方の言葉を証明なさい。
……私は貴方の浅ましい姿が見たいのです。
[薔薇はその執着の名を知らず]
[その指先は首に食い込むが、すぐに離れ、悩ましげに身体をすべって…
その指先を目が追った時、口唇が濡れる。]
セシ……
[黙れといわれて、でも黙る意思の前にそれは塞がれて……目は一瞬見開かれる。]
――……
[そのまま、抵抗などするわけもなく……。]
[証明しろといわれて、目を細める。
もう二度、戯れた躯。離れた口唇をまた追いかけて、押し当てた。]
――……
[沈黙は肯定。
そういわれるまま、無言で……。
欲望の牙を見せて…。**]
[不意に城主の聲が響きます。
呼ばれた名は私が人であった頃の響き。
私のローズ、と慈しんで呉れた名残は感じられません。
感傷的になっていた心が冷静になってゆくのを感じました]
私はドナルドの血を頂いたばかり。
今は渇きなどありません。
貴方はもう私に興味などないのでしょう?
貴方の寂しさ、私には埋められないのですよね。
愛しいお兄様……
私に時間と慈悲を与えて呉れてありがとう。
――…お別れ、です。
[客人の事には触れず、
必要とされなくなった私は幸せを願った魔性に
別れを告げたのでした]
【人】 墓荒らし へクター―― 煉獄 ―― (70) enju 2010/06/27(Sun) 01時頃 |
【人】 墓荒らし へクター
(71) enju 2010/06/27(Sun) 01時頃 |
【人】 墓荒らし へクター
(72) enju 2010/06/27(Sun) 01時頃 |
【人】 墓荒らし へクター[それは未来につながる希望。 (73) enju 2010/06/27(Sun) 01時頃 |
【人】 墓荒らし へクター[狼の帽子で膝を払って立ち上がる。 (74) enju 2010/06/27(Sun) 01時頃 |
[追いかける口唇が重なる、
それはかつての官能の記憶を呼び覚ます。
冷たい熱が甘く溶けて重なりゆけば、薔薇の香は漂う]
[布を噛んで押さえ、手袋を外す、
その指先は男の胸元を弄り――触れたのは刻印
がりと爪を立てる 欲望が迫る 目元だけで微笑えめば]
――――……ん、 ぁあ……
[咥えた手袋は落ちる]
[白き薔薇はその執着の名を知らず、
されど男に標した刻印は決して消えることはない]
[甘美なる地獄に、救いがたき魂がふたつ
行為を愛と呼ぶ者 行為を欲と呼ぶ者
薔薇の褥に、艶やかなため息は、零れる――**]
――…何処へなりと、好きに行くが良い
お前は……自由だ。
[低く暗い音
興味が無いと
埋められぬと
其れは城主自身にもわからぬ事
答えは其れだけしか返せなかった]
私の愛しいローズは――泡と消えた
そう、思う事にしよう。
お前の墓は作らぬ。
[ざわ、と風が森を騒がせる。
何時しか霧は弱く薄く
魔の結界はとけて消えた。
喰らってしまうぞと脅しにも屈する事の無かった彼女は
何処まで行くのだろう
もう人には戻れぬ其の姿で。
霧の先を見通す事は、出来ない]
この黄昏の向こうは……別世界
あの者とて、数十年か数百年もすれば戻ってくるだろう
此処より先に
ひとの住処には我等は立ち入れぬ。
我等が城に、人が足を踏み入れられぬと同じように
永遠を願うひとと、終幕を求める魔と
決して双方が相容れることなど、無いのだ
ベネット
私の大事な息子よ
外を眺めるのは、止めてしまえ。
黄昏の色も周囲を再び閉ざす霧も
我が力続く限り、永遠に変わる事など無いのだから
この城にいる限りは
お前を怯えさせている魔物狩人も
獣たちも
誰もお前を傷つけることは出来ぬ。
――そう、私以外には……な
――…私の望みは『自由』ではなかった。
けれど、後悔はしていません。
これは私が望んだ事だから。
[兄と慕った魔性の聲は女の耳には届かない。
それでも時折女は語り掛けるように独り言ちる]
ねぇ、お兄様――…
貴方の『望み』は叶いましたか……?
貴方は今、しあわせですか……?
[薔薇は微笑った、男の愚かさに]
――嗚呼、 ああ……
実に、実に愚かしいことですね。
それが貴方の語る 愛 なのですか。
[声をあげて薔薇は哂えば]
―――欺瞞もここまで限度を越えれば、笑うしかありませんね。
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