94 眠る村
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[背に聴こえた、猿の声―― 振り向くことに、勇気が要ったか。 長い間の後、虚ろな顔で――ブローリンを、見た。]
……――私を、 ころしに きたんですか。
[声は震えない。 諦めと絶望を含む声で――そう、語りかける。]
(69) 2012/06/18(Mon) 21時半頃
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[男の、低い声。 あの日は、あんなにも優しく落ちてきた、声。]
疑えれば、きっと ずっと 楽、なのに。
[悲しいかな、クラリッサはブローリンを信じている。 その死刑宣告に、 ――こわれてしまうほど。]
しにたく、ない。
[小さな声は、昨日と言葉を変えない。]
(76) 2012/06/18(Mon) 22時頃
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[ゼロがすること]
[それは、クラリッサを、演じきること。
エイトが――かしこいエイトがうまくやると。]
[粉々に砕いた心はただただ空虚。]
[ゼロが宿主を壊す理由――
成り代わりに感応しすぎて、
意志を奪わねば感情のコントロールが、効かない。]
[エイトに語らぬ、秘密。
これまでそれで、うまくやってきた――今度もきっと。]
[――――朝]
[恋人と触れ合う、女を演じる間]
[一寸だけ意識が途切れた瞬間があった]
[それはほんの一瞬]
[刺青に触れ、触れられたときの]
[エイトはまだ、それが 何かは解っていない]
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[フィリップの声に投げる表情は、疲れ切った微笑。 儚げな姿は、きっと、いつもよりずっと儚げに見える。]
私 人狼なんかじゃ、――ない。
[泣き笑いに近い顔。 ローズマリーの声に、ぽろぽろと、零れる涙。]
信じて、なんて 言えないけど―― 違う、もの。 違う。
[違うのか、 認めないのか、 境界のわからぬ言葉で返すことば。]
(80) 2012/06/18(Mon) 22時頃
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[顔を背けたブローリン。]
おや?
案外、泣き落としでいけるのかな。
[ここまできても、なおも楽観的な声。]
フィリップは――クラリッサを救いたいんだって、さ。
[落とす余地はあるかとめぐらせる思考。]
[ゼロの語らぬ秘密は、知らずのまま]
[エイトは宿主の魂の欠片を残し弄んだまま]
[その宿主を演じきって魂の叫びを聞くを愉しむ]
――― ゼロ、…
ボクはきみを呪いたくなんて ない。
[同時に、仲間を失うことを忌み嫌う]
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[昨日と変わらず、 死にたくないと告げる声。]
私、死にたく――――――
[ 「しにたい」 ]
ない。
[空気を震わす音が、つたえた言葉と。
――――正体を見破った彼になら、 べつの おとが 聴こえたかもしれない。]
(86) 2012/06/18(Mon) 22時半頃
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―――――――――。
[死にたくない、と 言ったはず。
けれど、クラリッサの叫びが、 いやに近く 聴こえた。]
僕、今―― 変なこと言った?
[呪いたくないと、聴こえた声のタイミングがよすぎて
はたと、考えるけれど]
―――― … 、いや?
[聞こえていないと、返す言葉]
…ち。
フィルはいい駒には ならなさそうだな。
[エイトは獲物を見極める]
[本物様は憎い、けれど――いい聲で 啼く]
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フィリップくんも、 私のこと 呪うん だ。
[少年が使わなかった言葉を、わざわざ使う。]
私、 皆に、 嫌われて、 疎まれて、
ひとりで、 私――
違うのに、 違うのに
…消えちゃう、の?
(92) 2012/06/18(Mon) 22時半頃
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[―――――と、 はらはらと涙顔を見せながら、聴こえた声に 驚いたように、ブローリンを見た]
ど、して?
私、そんなこと―― 言ってない。
[表情に映るものは、困惑。 言ったつもりはない――つもりはない。 何故そんなことをと、思考が巡る。]
(94) 2012/06/18(Mon) 22時半頃
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邪魔、になっちゃったね。
じいさんも、何だか使い物になりそうにないな。
[そう漏らす、裡の裏側。
魔女がもらす声は、暗くて くらくて。]
[ なにか、][嫌な予感がする]
[ 護れないのではないのかと、いう 思いが ]
[ 『重なる』 ]
悪いけどさ…、年寄りは美味しくない。
[だから殺すとしても最期くらいに思考する]
[食べる気もあまりないといった口調]
ローズなら、まだ、
あのお爺ちゃんはァ つかえるかもしれないしねェ
五月蝿い――――
[ぼそり、つぶやく 声]
壊れたくせに、
壊れたくせに、
[おそらくは初めて聞かせる、イライラとした声――
乱されているのは、魔女に引きずられる前兆。]
エイト、 どうしよう。
[困り声で助けを求めたまま、ゼロの感情が乱される]
――― …ゼロ、?
[緊張の糸を張ったような聲]
おい、 クラリスはもう いないんだろ?
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聞き間違えた、にきまって――っ
[ふらり、よろめいたのは 演技ではない。 膝をつく衝撃も遠く くらくらとする頭を押さえて 意識をたもつけれど]
しにたくない――
けど、 いきてたく、ない
["音"は、小さな――とても小さな声で、空気を震わす]
(100) 2012/06/18(Mon) 23時頃
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ゼロ、どういう ことだ ッ。
[護りきれない状況だと冷静に判断するエイト]
[このままでは ゼロを救えないと]
だめだ、諦めるな。…、ゼロ。
壊せ、クラリスの魂を完璧に 喰らえ。
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死にたく、なかった――
でも、今は それさえ――……
シメオンくんの、 おなか―― かじった わ。
はきだそうとしても 拒んでも……
[生理的な涙と、こみ上げる吐き気を全て無視して のどをならし、胃袋へと飲み込まれていった。]
この体 さえも、私のものじゃないんだ、って
知った。
(106) 2012/06/18(Mon) 23時頃
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[どうしたい―― 聞かれて、 こんな時でさえ、望みを口に出すことは躊躇われた。
祖母が眠った時。自分はひとりになった、と想った。 祖母は守られているという自覚の前に 自分を一人、置いて眠ってしまったことを呪った。
仲の良い友人が居たわけじゃない。 嫌われたくなくて、でしゃばることも出来ずにいて。 他人の好意に疎い女は、差し出される手にも気付けず。
たった一人、たくさんの念に呪われながら死ぬことを、 今も尚、怖いと――想う。
けれど望みを言葉にすることは、 娘にとって恐怖でしかなく―― 霞む意識に笑うけど]
(108) 2012/06/18(Mon) 23時頃
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[かくりと、膝がおちた。 一瞬、気絶したかのようでいて、
続く言葉は]
ひとりで、しぬのが怖い。
[フィリップとシメオンのような友情も ローズマリーを囲むような愛情も 気を赦せる、血縁も――
死ぬ時に、手を握ってくれる人さえ、 祖母以外にいないと、笑う。
音にした言葉は クラリッサには言えない言葉。]
(109) 2012/06/18(Mon) 23時頃
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[――――引きずられる。]
[魔女の 暗い 感情に。]
[ひとりで死にたくない]
[エイトはそれがゼロの言葉ではないと解る]
[だから]
クラリス、聞こえてるか。
おまえが一緒に死にたいと願うのは
目の間のその男、―――ブローリンか?
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[今しがた音になった言葉は人狼の気まぐれではない。 ――魔女に、言わされたのだと知る。
フィリップの告白に、仄かに笑い 唇が、 "ありがとう" と "ごめんね" を囁いた。
そしてその後響く絶叫も―― 重ねる 謝罪。
目を閉じて、浅い息。 ぎろりと睨むような目線は、ブローリンに。]
(113) 2012/06/18(Mon) 23時半頃
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――予想外の、 アクシデントってやつ だね。
[身を起こして、汗ばむからだから見据える目]
おもしろがって、 君を生かしたのが 間違いだった。
――――せめて
[" " 呪いの発動と、吐き捨てた言葉はどちらが先だったか*]
(116) 2012/06/18(Mon) 23時半頃
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エイト――
ごめんね、
魔女様に、逆らえなかったよ。
[同胞の問いには、 ゼロの口からYesを *返す*]
そうか、
クラリスの願いならボクは
―――― 叶えないよ。
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