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お褒めいただき嬉う存じます。
……旦那様、私はもっと己の魔を深くしたいのです。
深く、深く。
忘れてしまえるように。
[それが唯一つの絶望を忘れる縁。
白薔薇は憂いのため息をひとつ]
[自分に血を分け与えた吸血鬼の言葉に、血がざわつく。咬み付きたい、飲み干したい、今すぐにと。
続けて聞こえる白薔薇の言葉に冷や汗が流れる。体が震える。我を忘れて噛み付いてしまえば加減もできない。そうなって、本当に命を奪ってしまったら]
……間違えなければ……
[頭の中でぐるぐるとその言葉ばかりが回り続ける]
嗚呼、ならば後で私室へ来ると良い
直接にこの血を循環させてやろう。
下らぬ世迷い事など、全て消し去るほどに与えてやる。
[憂いを帯びた溜息を零す白薔薇へ
己の領域へ踏み入ることを許す。
未だ決心のつかぬ様子の眷族へは、後押しするように
薄く笑みを零した]
あまりに乾きに囚われ続けると
血だけを求め続ける……
理性の飛んだ、人の言うただの化け物に変じるやもしれんぞ?
――……ッ
[城主の指摘に息を飲む。
確かにあの時、彼女を選んだ。
言い訳など出来るはずもなく。
ふ、と過るのは諦めにも似た色]
[眷属が呟く声には微笑う気配]
――……旦那様、
[その許可の言葉に、白薔薇の声音は震えて、
今しがた、女の呟きに乱れた心が、ただ闇の救いを求める]
とても……とても、
ありがたく、存じます――…
嗚呼
[在り難いと
震えた声音に、城主は柔かに囁く]
お前が望むままに、与えよう
人との境から飛び立てる魔の翼を。
……部屋で待っている**
【人】 執事見習い ロビン−墓場− (125) 2010/06/25(Fri) 04時頃 |
【人】 執事見習い ロビン−墓場 >>106− (127) 2010/06/25(Fri) 04時半頃 |
[蝕む絶望は深く]
翼を、
――私にお与え下さい、旦那様。
[こんなにも求めたことなどなかった。
それは、救いを求める祈りにも似て非なる。
白薔薇には宵闇の他、縋るべきものはない。]
【人】 執事見習い ロビン−墓場− (128) 2010/06/25(Fri) 04時半頃 |
嗚呼、お前の
望むままに――…私の愛しい白き薔薇
[薄い微笑みを口元に湛え、薔薇の香を其の腕で包む]
堕ちた天使に与えてやろう
私と同じ
闇の翼を
[甘い囁きは、呪縛でもあり解放でもある。
やがて彼が意識を飛ばすと、城主は窓辺に向かい空を見上げた。
霧の立ち込めた其処からは、蒼天など見えるはずも無い**]
[呪いのような甘き囁き、
幾度も聞いた彼女への言葉が、今は己に向けられる]
――……、旦那様……
[昂揚に思考を霞ませたまま、白薔薇は不思議そうに首を傾いだ。
未だそこに残る枷のしゃらりと鳴る]
………同じ、翼を
[白薔薇は天上が色を映したその双眸を滲ませて、
嬉しげに微笑み、まどろみの中へと耽溺すれば――己が目覚めの時を待つ]
[御伽噺の正しい道筋。
そんな終焉は訪れない。
白薔薇の囁きを思い出し眉を寄せる]
私達は間違ってしまった。
何処から運命の歯車が
狂ってしまっていたのかしら。
[小さな呟きは深い闇に溶けた**]
愚かな情など捨てるが良い、同胞達よ
……お前たちは最早ひとではない
同じものを見る事など叶わぬ
[淡い微笑みを白の薔薇に見る。
意識が戻るまえ、耳の傍で戯れに囁くこえ**]
ひとの思う幸せとやらは
我等には訪れぬ。
我等は我等の歯車があろう。
間違えたと言うならば、其れは私に見初められた事と思え。
[白薔薇は恐らく初めて人を憎んだ。
信仰と祈りを礎となし、善美を求めたその心の博愛、
それは生ける者に区別なく平等に齎されるべきもの。
無為なる日々の中、罪を犯しながら己のあり方を捨てられぬ。
自死に至らなかったのは、己の本質に染み付いた嫌悪より。
既に信仰も祈りも失くしたのだから、形だけ戒律に沿うても意味などないとわかっているのに――そう、どこかで捨てきれぬ何かがあった。それが己の血ゆえかどうかは、知らない。
罪深き優しさ。案ずることも優しく接することも、それはそのように造られているのだから当たり前のことなのだ。本質を失った紅茶のように、優しいだけの欺瞞。
けれど、白薔薇は初めて人を憎んだ。]
[そして憎しみという糧は白薔薇を生かした。
対象が失われれば行き場のない感情だけが残った。
―――ただ、それだけのこと]
【人】 執事見習い ロビン――ど阿呆。 (148) 2010/06/25(Fri) 20時頃 |
[漂うは虚無感。
女はただ静かに聲に耳を傾けるのみ――]
【人】 執事見習い ロビン[白き薔薇に惹きつけられるように (180) 2010/06/25(Fri) 22時半頃 |
【人】 執事見習い ロビン―城門― (186) 2010/06/25(Fri) 22時半頃 |
[遠く最上階にありながら、
届かぬはずの声を聞き、薄く囁きを零す]
優しくして欲しいのか?
――…此処に居れば、
本能に抗わずに生きてさえ居れば
私はお前を傍に置き、愛でよう。
立派な吸血鬼に育ててやろうぞ。
この闇の城で咲き誇るといい。
血縁を喰らった吸血鬼の、傍らで。
【人】 執事見習い ロビン[黒薔薇は、紅色の月を背にして、口角を上げた。] (197) 2010/06/25(Fri) 22時半頃 |
……やっぱり筒抜けなんですか。
[むっとした声で囁き返す]
……。
[もう人間に戻れないことは分かっている。それでも、自分はどうするべきなのか――未だに答えを出せず]
【人】 執事見習い ロビン――…ひどく愉快だ。 (198) 2010/06/25(Fri) 23時頃 |
お前は私と血を分かつもの。
何処で何をしていようと……手に取るようにわかるぞ?
[其れはドナルドが扉を開くタイミングにあわせて]
――…さあ。
何も悩むことなど、無いだろう
お前は最早人にあらず。
本能のままに、貪り喰らうが良い。
ひとの情など、捨ててしまえ。
[其の後で、あの薔薇のように苦しいと泣き叫び縋り付いて来るならば、其の記憶まで喰らってやっても良い。
思えども未だ口にはせず、揺れる心情を見つめている]
どうした……
お前まで私の命に背くのでは、あるまいな?
其れを我が眷族に。
お前が喰らわぬなら、私が――…
[ベネットへ
追い討ちをかける聲]
ドナルドを、眷族に……?
[声に怯えと、恐怖の入り混じる。友人を、自分の手で吸血鬼にしろというのか。怒りがこみ上げてくる]
……嫌だ。誰が貴方なんかの言うことを聞くもんか。
お前がせぬのなら、私が直接手を下すまで。
彼の行く末はもう決まっている。
ならば、せめて
お前の手で生かせて遣るが良いだろう。
そのために、お前に血を分け与えたのだからな?
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