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……彼女達の行く末が良きものでありますように。
[暗闇に慣れた眼差しでコップのある方向を見て呟く。二度寝が遅かったせいか、眠気はあまりない。
ゾーイの背を何度も何度も撫でる。せめて少しでも良い夢が見られるようにと。**]
聞き手が減ってしまいましたが―――
今日もお話は続けます。
[童話には愛のお話以外も沢山ある。その中から抜粋しているようだ]
今日はこんなお話です。
124ページ、「人魚姫」。
深い深い海の底には、サンゴで出来た綺麗なお城があります。
そのお城は、人魚の王様のお城です。
王様には一人の娘がいて、とても美しい少女でした。
人魚の世界では、十五歳になったら
海の上の人間の世界を見に行くことが許されます。
誕生日を迎えた姫は、嬉しそうに海の上へ、上へと泳いで行きました。
そこで見たのは、大きな船でした。
甲板の上では盛大なパーティーが開かれています。
それは、十六歳になる王子様の誕生日パーティーでした。
「なんて素敵な王子様なんだろう――」
人魚姫は王子様に見惚れ、暫し様子を見つめていましたが、
海に異変が起こります。
稲妻がごろごろと鳴り響き、海の波は高くなり、暴風が吹き始めました。
「嵐だわ!」
水夫達は急いで帆を畳みますが、嵐は酷くなる一向で
ついに船は横倒しになってしまい、船に乗っていた人々が海に投げ出されます。
「た、大変!王子様……!」
人魚姫は慌てて海に潜って王子様の姿を探し出し、
ぐったりしている王子の身体を抱いて浜辺へと運びました。
「王子様、しっかして、王子様!」
人魚姫は王子様を懸命に看病しました。気がつけば朝になるほどに。
そこへ、不意に若い娘が走ってきます。
「あ、いけない!」
人魚の姿を見られてはいけないと、人魚姫は慌てて身を隠しました。
若い娘は王子様に気づいて、周りの人を呼びました。
王子様が意識を取り戻すと、目に映ったのは偶然駆けてきた若い娘。
「嗚呼、ありがとう。君が、僕の命を救ってくれたのですね」
王子様は目の前にいる娘を、命の恩人だと勘違いしてしまいました。
しょんぼりして城に帰った人魚姫は、
どうしても王子様のことが忘れられません。
恋をしてしまっていたのです。
「素敵な王子様――。ああ、そうだ!
私が人間になれば、王子様にまた会えるかもしれない」
そう思い立った人魚姫は、海の魔女のもとを訪ね、人間にして欲しいと願いました。
魔女はその願いを聞き入れましたが、人間になるには条件がありました。
「一言たりとも喋ってはならない。
もし喋ってしまったら、海の泡となって消えてしまうよ」
それでも構わない、と頷いた人魚姫は、人間の体になり、
人間の暮らす陸の上へと向かいました。
王子様の城を訪ねると、王子様は人魚姫を一目見て気に入り、
側近の召使として、妹のように大事にしました。
しかし王子様の心は、あの時浜辺で命の恩人だと勘違いした娘に奪われ
近々婚礼の儀をあげるということでした。
人魚姫は喋れないけれど、婚礼の儀までいつも王子様と一緒でした。
王子様は人魚姫をとても可愛がり、
一緒に山に山菜を取りにいったり、いつも下から見ていた船に乗ったりと
王子様と過ごす時間はかけがえなく、幸せな時間でした。
王子様の婚礼の儀が翌日に迫った、夜。
人魚姫は拙い文字で、王子様に浜辺に行きたいと申し出ました。
王子様はこれからも召使として人魚姫を可愛がるつもりでしたが、人魚姫は結婚してしまい、愛する妻とともに過ごすようになると思うと、もう我慢が出来なくなったのです。
海岸を歩いていると、王子様は貝殻を拾っていいました。
「この貝殻はとても綺麗だ。アクセサリーにしたら君にきっと似合う」
人魚姫は淡く微笑んで、小さく唇を開きました。
「王子様。今まで可愛がってくれてありがとう」
王子様は人魚姫が喋ったことに驚きましたが、次に、人魚姫の足元から、ぼんやりと消えていく様を見て呆然としました。
「今まで沢山、一緒に過ごしてくれたよね」
人魚姫の体は淡く光を発し、どんどんと足から上へと靄のように消えてゆきます。
「幸せだったよって、伝えたかったんだ」
人魚姫は泣きそうな顔をして笑い、
そして遂には、その姿は完全に、消え去ってしまいました。
「ああ――神よ、こんな無慈悲なことが起こるなんて」
王子は泣きながら、しばしその場に立ち尽くしていました。
人魚姫も自分の体が空気のように軽くなり、
空中にのぼっていくのに気づきました。
「私、どこにいくのかな?」
すると透き通った声が答えました。
「あなたは空気の精となり、世界中の恋人たちを見守る存在になるのです」
人魚姫は自分の瞳から涙がひとしずく零れるのを感じながら、
風とともに雲の上へと登っていったということです。
悲恋と呼べる作品でしょう。
人魚に生まれてしまったばかりに、王子様に自分の思いを伝えられず
しかし魔女の魔法によって、人間になった人魚姫の最期。
伝えたかった、たったそれだけの、
だけれどそれは大きな大きな愛でした。
さぁ、もしあしたがあれば――またお話を続けましょう*
シメオン先輩とノックスくんがうらやましい。
お互いを想い合って、気遣い合って、
わたしもそんな風になれたらと思う。
[取り上げた論文に、僅かに双眸を伏せて]
妬んでいたのかもしれません。
二人の邪魔をしたくなかったんじゃなくて、
二人が、にくかった。
わたしを差し置いてしあわせになりやがってーって
最低ですよね、わたし。
ひとりぼっちはさみしいよ。
イリスせんぱい。
イリスせんぱいが、傍に居ない時間は
いろんなことを考えて
だけどイリスせんぱいを目の前にしたら
そんなの吹っ飛んじゃって。
ただ、
ごめんなさい。
わたしは―――イリス先輩の気持ちを
ちゃんと考えてなかったね。
【人】 受付 アイリス― 朝・イリスの部屋 ― (167) 2013/01/27(Sun) 18時半頃 |
【人】 受付 アイリス― 朝・外食 ― (168) 2013/01/27(Sun) 18時半頃 |
【人】 受付 アイリス― 赤紅大学 ― (169) 2013/01/27(Sun) 18時半頃 |
【人】 受付 アイリス メール? (170) 2013/01/27(Sun) 18時半頃 |
【人】 受付 アイリス なんでやねん。 (172) 2013/01/27(Sun) 18時半頃 |
…―――
[携帯を、ぼぅっと眺めている。
話、したいな。
誰と? どうして?
そう考えてしまうと、行動にはうつせない。
だから、ぽちぽち、ボタンを操作して。]
『寂しい』
[と、短いメールを送った。]
[
昨日はゾーイさんとメレディスさんがお邪魔していた事もあり、あまり部屋にお邪魔していなかった事を思い出す。昨日のメールでも弱気だったけど何時も、強いプリシラ先輩だったから、大丈夫と思い込んでいたのかもしれない。]
プリシラ先輩。
その、今は寮ですか?
私でよければ、話し相手にはなりますよ。
[朝の姿をみて安堵したけど、そうメールを返した。]
[メールの返信があった。
甘えているんだろうな、と思いつつも。
レベッカには、妙な安心感がある。
かっこいい先輩で居たいとか、お世話してあげたいとか。
そういう感情も、確かにあるけれど。
誰に一番甘えたいかと聞かれれば、きっと彼女だろう。]
『寮だよ。少し話がしたいな。
[飾りっけなんて、ない。
不器用な男の子みたいな、メールだけど。]』
分りました。
えっと、今、大学なので。
すこし待っていてくださいね。
[
ん…――――
[待っていろ、と言うメールが届いた。
ダメだな、私は本当に。
自己嫌悪になりながら、目を閉じる。
寂しいのは本当だし。
どうにもならないのも、間違いない。]
少しだけ、ほんの少しだけ
寂しかったから
[大の字に寝転がったまま。
天井を見ていた視線が、顔をみる。]
もう、寂しいって――。
何かあったんですか……?
[天井を見詰める様子に、静かに告げる。]
うんと、な
昨日、フィリップにその
き、きす的なことを、されてだな
どういうつもりだって、今日聞いたんだけども
私を傷つけてみたかったんだと
[ひざまくらー、なんて言いながら。
レベッカの傍に、また寝転んでみる。]
え、バードマンさんと……。
[突然の告白に吃驚した。大学での噂とかほんと信じらんないとか思ったり。]
傷つけて……?
それって――。
先輩はそれでいいんですか?
[続く言葉にさらに分らなくなったけど、少しきつめの言葉が出た**]
さぁ、どうだろう
でも、怒る気にはならないかな
初めてだったから、ショックとかの方が大きくて
ずっと考えてたけど、わからなくて
今までは、ただの後輩としてしか見てなかったけど
これからは、ちゃんと男としてみてやろうって
そう言う所に、落ち着いた感じ
[身体より、むしろこちらの方がきつい。]
私って、そんなに女としての魅力がないのかね
唇をあわせて、少しもドキドキしないような
そんな人間なんかね
ちょっとだけ、悲しくて、寂しかったかな
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