157 南十字四丁目
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何かに気を取られていたら……、か。 例えば寝ていたら、とか?
[ただ、こんな状態で寝ようなんて無理な話だ。 クリスがいたなら睡眠薬の一つでももらえたかもしれないが]
あら?
[何処かから声がする。 でも、麻由実のものでもないような、]
志乃ちゃん?
[麻由実は志乃のことこう呼んでいたっけ? いや、違う、志乃はもう旅館にいるはず]
ねえ麻由実…、 今、志乃のこと、呼んだ?
(24) 2013/12/25(Wed) 14時頃
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[いいや、違う。麻由実の声じゃない。 どこからか聞こえてくる声は、だんだんと悲愴を帯びてくる。 これは幻聴だろうか。 気を張りすぎたのか。 けれど、聞こえる内容が、]
じしん……?
[あまりにも、具体的すぎる。 どういうことなのだろう。 悲壮めいた声は、やがて泣き声へと変わっていく]
(25) 2013/12/25(Wed) 14時半頃
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そうよね。 だとすると……、ああ、もう、分からない。
[ラジオが一瞬混線したような感覚。 これ以上はなにか聞こえてきそうにもない]
……ただの幻聴ならいいのだけれど。 私が考えていることが正しいなら……、今の南十字村は、地震で酷いことになっているの。 たぶんね。 でも、誰かは生きているの。 多分、他にも。
[幻聴だったらわからないけどね、とつぶやいて]
もし本当なら、私は早く戻りたいわ。 ……死ぬことで戻れるのなら、ね。
(27) 2013/12/25(Wed) 20時頃
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そうね。 窈のいうことを100%信じるわけじゃないわ。
[いくらなんでもね、と。 今だって心の底から信じているわけではない、けれど]
けれど、本にあたった限りでは、戻れるみたいだし。 そりゃあ、伝承だから嘘っぱちかもしれない、とは思うわ。
そうねえ…、70%くらい、かしら。
(37) 2013/12/25(Wed) 23時半頃
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ええ、だから……
――――え?
[どう死ぬか考えようとしていたその矢先。 麻由実の口から出てきたのは、信じられないような言葉]
貴女……、何を言っているの……?
[浮かべられた笑み。 それは普段見かけるような柔らかいものだけではなくて どこか、すこしおかしいような]
人殺しになるのよ? それでも……、いいの?
[かといって。 この場から走って逃げて、一人で死ぬだけの度胸はない。 怖いような、このまま任せて死んでもいいような。]
(52) 2013/12/26(Thu) 19時頃
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役目?
[なにを言っているのか、一瞬分からなかった。 どんな役目だっていうのだろう。 ただ、なにかふざけての物言いには思えなくて。 首筋を撫でる指に、びくりとする。
そして、手を引かれるままに、麻由実についていって。 お風呂場で何をするのだ、と首を傾げた]
(55) 2013/12/26(Thu) 20時頃
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服、を……、
うん、分かった。 でも……、恥ずかしいな。
[他人に裸体を晒す機会などそうそう訪れない。 コートにシャツ、スカートまでは脱げたものの、その先が、]
……脱がないと、だめかな。
[下着姿のまま、若干顔を赤らめて。]
(57) 2013/12/26(Thu) 23時頃
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そ、そう。
……ん? ああ、うん、聞いたことはある。
[バスタブに溜まる湯を見る。 ああ、失血多量か。 ぼんやり死ねるのかな、などと考えながら。]
(59) 2013/12/26(Thu) 23時頃
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うん、まあ、聞いたことだけ、ね。 詳しくは知らない、けど。
[少なくとも、首を吊るよりはいい気がする。 心持ち緊張する。 死んで元に戻れるのか。 今更ながら、すこし不安があるけれど。 いつまでもいるわけにいかないから]
ありがと、麻由実。
[抱きしめられれば、大丈夫というように、笑った]
(61) 2013/12/26(Thu) 23時半頃
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………、うん。 お願いね?
[剃刀が場違いに見える微笑みに頷いて、湯船に足をいれる。 ああ、温かい。 曇り始めたメガネを外して、裸眼で麻由実をみて。]
ねえ、麻由実。
――――最後に、キス、して?
(63) 2013/12/26(Thu) 23時半頃
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ありがと。
[柔らかくて、あたたかい。 薄い皮膚越しに体温を感じて、暫し。 深呼吸をひとつして。]
ん。
おねがい。
[いつでも、と。 最後に一つ深呼吸をして、目を閉じた]
(68) 2013/12/27(Fri) 00時頃
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