157 南十字四丁目
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琴弾き 志乃は、メモを貼った。
2013/12/25(Wed) 00時頃
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――旅館――
[先に眠りに落ちた怜歌の顔を見つめる。>>2:120
彼女は、ずっと迷っていた。 帰るべきか、帰らないべきか。
怜歌には家族がいる。愛してくれる家族が。 私とは違う―――]
(3) 2013/12/25(Wed) 01時半頃
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帰りたい?
[小さく問いかける。 寝入った怜歌に、その問は聞こえないだろう。 決定的な違いが、これから、彼女に迷いを生じさせるのならば 私と怜歌は―― 想いを繋げることなど、不可能なのかもしれない。]
……。
(4) 2013/12/25(Wed) 01時半頃
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私。怜歌が好き。
垢抜けて帰ってきた怜歌を見て、 憧れも抱いたし、純粋に可愛いと思った。 内面は変わっていない怜歌に安心した。 ずっと子供扱いしかしていなかったけれど 怜歌はちゃんと大人になっていたのね。
そんな怜歌のことが、好きなの。
[つ、と頬を伝う温かい液体。 自分は、そんな想い人を この手で―――]
(5) 2013/12/25(Wed) 01時半頃
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――ごめん、ね
[眠りについている今が、一番好機。 そっと怜歌に馬乗りになる。微かに怜歌が唸りを上げれば、ひとつ呼吸をして動きを止め、そして静かに、怜歌の首に手を添えて――]
……怜歌、怜歌。 もっと貴女と行きたい場所もあった、 もっと貴女と交わしたい言葉があった、 だけど、それを続ければ続けるほど 私と怜歌はすれちがってしまうのでしょう―――
[だから]
さよ、なら。
[つらい別れの言葉。 一気に怜歌の首を締める手に力を込め、全体重をかける。 見開かれる怜歌の瞳。 意識が明確になる前に、このまま―――終わらせてしまえ]
(7) 2013/12/25(Wed) 01時半頃
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琴弾き 志乃は、メモを貼った。
2013/12/25(Wed) 02時頃
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はぁっ……はぁ
[怜歌の身体に力が入らなくなった頃 後ずさるように怜歌から距離を置いて ぺたん、と座り込んだ。]
……どうして
[涙が溢れて止まらない。 大切だった少女を、この手で殺めた。 その事実が目の前にある。]
私は怜歌を幸せにしたかった、……だけど ……私じゃ、出来ない。
(11) 2013/12/25(Wed) 02時頃
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怜歌……ごめんね……ごめん
[そっと薄いシーツを怜歌の身体にかけると 頭まで、覆ってしまおうと――。]
……。
[する前に、体を落とし、怜歌の唇に 自分の唇を重ねる。 ひんやりとしたキスだった。
惜別の口づけの後、シーツを被せれば さよなら、と小さく呟いて、旅館を後にする**]
(14) 2013/12/25(Wed) 02時半頃
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琴弾き 志乃は、メモを貼った。
2013/12/25(Wed) 02時半頃
琴弾き 志乃は、メモを貼った。
2013/12/25(Wed) 04時頃
琴弾き 志乃は、メモを貼った。
2013/12/25(Wed) 21時半頃
琴弾き 志乃は、メモを貼った。
2013/12/25(Wed) 23時半頃
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[きっとあちら側の世界に 明日なんてないんだろう。 あったとしてもそれは 悲惨な世界だろう。
私だって本気で、 この世界に永住したいとは言わない。
それが理想だったのは、 きっと怜歌がいたからで――]
(38) 2013/12/26(Thu) 02時頃
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……私は、 生きていますか、死んでいますか。
[誰も答えの持たぬ問いを中空に投げかける]
怜歌はあちら側で、ちゃんと生きている?
[弱く笑った。 そうならいいと願いを込めるように。]
(39) 2013/12/26(Thu) 02時頃
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――旅館前――
莉奈さん。
[車を停める彼女に声をかける。 困ったように視線を落として、]
怜歌が死にました。 ……いえ、あちら側に帰ったといった方が 正しいのでしょうね。
[無意識に拳を握っていた。]
―――私が、殺したんです。
(40) 2013/12/26(Thu) 02時頃
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[半ば独白に近いのに 誰かに聞いて欲しかった。 莉奈は話されても困るだろうに 言葉が吐いて止まらなかった。]
私、怜歌が好きでした。大好きでした。 恋愛感情かどうかなんてわからないけれど あの子と幸せになりたいって、そう思えたんです。
だけど
だけど怜歌は現実を切り離せなかった。 私はね。そんな怜歌を見ていて、 自分が悔しかった。 怜歌を幸せにできない自分が。
せめて――怜歌の幸せな未来を、祈りたいです。
[ごめんなさい、こんな話をして。と頭をもたげた]
(41) 2013/12/26(Thu) 02時頃
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私もいつか、帰るべきなのかもしれません。 ……現実から逃げている。窈さんの言う通りです。
だけど、叶うなら
本当に帰りたい人たちの背中を押して、そして ……それから帰りたいと思います。
[殺す覚悟ならできていると。 どんなに血で汚れても構わない。 どこかシニカルな笑みを浮かべて、つぶやいた]
私って、本当にばかだ。**
(42) 2013/12/26(Thu) 02時頃
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琴弾き 志乃は、メモを貼った。
2013/12/26(Thu) 02時頃
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――車内――
[海辺へ向けて走る車。 莉奈の助手席に乗ることになるなんて 普段の生活からは思いもしなかった。
私と彼女はどこか――正反対の人生を 歩んでいるように思えていたから。]
(65) 2013/12/27(Fri) 00時頃
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[話したいことは山ほどある。 この南十字四丁目に来る少し前、義父に犯されたこと。 以前からそんな義父が大嫌いなこと。 こちら側に来てよかったと思えたこと。 そして悲しい別れの話。
けれどそれは思考として纏まらずに ただ時々莉奈の横顔を見ては、 また窓の外へ視線を送る。
莉奈は元々おっとりしていてよく喋る方ではない。 だから沈黙でつらいということはなかったし むしろ頭を冷やせる分、彼女との時間は有難かった。]
(66) 2013/12/27(Fri) 00時頃
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[そして長い沈黙の末に、唇を開いた女は]
莉奈さん。 そろそろ帰ろっか。
[夜の海を眺めながら、まるで外出から家に帰るような調子で そう提案した。 それは旅館に帰る意味ではなく ―――本当の世界へと。]
(67) 2013/12/27(Fri) 00時頃
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私、ここに来れてよかった。 普段話さない人とも話せて ううん、そんなことじゃなくて なんていうのかな。
愛しいっていう感情を、たくさんたくさん抱いたの。
[海辺の急カーブ。 このままハンドルを傾ければ道なりに進めるけれど 女はそれを阻むように、ハンドルに手を伸ばそうと――]
(69) 2013/12/27(Fri) 00時頃
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