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たかだか数年でこうは成らないからな。
俺に流れた時間を知りたい。
[
死を望んだことはない。だが、先にある時間は有限なものであって欲しかった]
まだ死にたいのだったか?
[流れる金の髪を見つめる]
[じぇれみがもし囁きかけられる位置に居るのなら、こう囁いたろう。]
お前さんは「真実」って物に興味は有る類の人間かい?
さあ、あなたは知ってるの?
[知ったその真実が、不幸なら
どのみち忘れてしまうのだろうか?]
[そう、あっしの部屋で。
そこにあっしは真実を記している筈だ──]
……僕?
[口調と一人称の、の違い。
騙したのはお前だと、なじる言葉。
伏せていた視線を彼に向けた時
一瞬、あの写真でだけ知れた
繕わぬ表情の彼が居た]
ニコラス…
[自分は会話している相手のことを名前で呼ぶ事はほとんど無い。だけど、ついて出た彼の名前。]
そうだとしたら、俺はお前に、
「俺」を殺せって命令したのかもな…
俺の生き死にんなんて
どうでも良いと言ってなかった?
[まだ、死にたいのだったかと問われて、テーブルに頬杖をし、伺う様に笑い。]
そういや、あんたは俺と寝た事ある?
あはは、一度くらいは、
俺はあんたを口説いたかもしれないね
[ニコラスとの会話を思い出しそう笑い。]
―或る日―
[雲が途切れ、また陽が入り。
昏く翳っていたその場所を照らす。
男は足許に転がるものを見る。
揺れる金の髪。
蒼ざめた膚は、最早生者のものではない]
……ぁ……。
[目の前掲げた、痺れて色を失くした指先が、
小刻みに震えるを不思議そうに眺める。
『それで良い』耳を打つ、囁きの気配に振り返れど、
黒衣の魔女はもうどこにもいない]
[やがて遠く喧噪の声がする。
森を抜けた先に或る城には吸血鬼が棲むと謂う。
其処に城があったか、其れがいたか、真実は不明。
だが、まともな人間は誰もその場所に寄り着こうとはせず。
だから、其処へ逃れようと走り出した。
生き場所を願ってか、或は逝き場所を願って**]
ー或る日ー
[握り返した手は吸血鬼である私のそれよりも冷たかった。
私の記憶はあの日からでいいのだと思う。
それまでは孤独な死という日々を生きていた。
古城を訪れる影一つ。
この吸血鬼の城をわざわざ訪れるとは誰だろう。
迷い込んだ妖精か悪魔か。
吸血鬼である自分以外に幻想を体現する存在は
目にしたことはなかったけれど。
ともかく私のことを恐れもしなければ迫害もしない
彼が人間であるとはその時は思わなかった。
だから彼に手を差し出した。*]
【人】 石工 ボリス─自室─ (324) 2014/12/29(Mon) 23時頃 |
[最初に自分が手を差し出したあの子。
あの子と出会ってから、それまでの孤独とは違う時間が流れるようになった。
あの子が人間だと知り、いつかその日々が終わりを告げてしまうことを知った時、私はそれに抗う術を考えた。
その結論が吸血鬼である自分の血を少しずつ取り込ませて彼を不老にすること。
ついでに彼の記憶を失くさせて吸血鬼だと思い込ませれば、
彼はきっと自分と永遠に一緒にいてくれるだろうと思った。
だからそうした。]
[それから、自分とあの子が安心して暮らせる場所を
探して世界中のありとあらゆる場所に行った。
途中訪れた島国は閉鎖的な所でとてもじゃないが
吸血鬼の隠れ住むような余地はなかったが、我が子が増えた。
いつしか身を落ち着ける場所を見つけ、
「クラン・ドゥ・サン」と名付け、
仕事を任せられる執事も見繕い、
平穏で安寧な日々を過ごし……………]
私を独りにしないでくれ……。
[見上げた姿は、想像していたものよりずっと優しいものだった。
差し出された手は、冷ややかなものではなかった。
ただただ、寂しげに見えて、その手を握り返した時。
孤独な紅い眸に、仄かに揺れる灯の見えた気がした]
『いい子だ』
[何百回、それとも何千回となく繰り返し耳にした、
何時もの声。
永い間、その声の届く場所が己の居場所だった]
【人】 石工 ボリス ん、…? (341) 2014/12/30(Tue) 00時半頃 |
【人】 石工 ボリス そうじゃな。 (352) 2014/12/30(Tue) 01時半頃 |
【人】 石工 ボリス 覚えとるかのぉ。 (353) 2014/12/30(Tue) 01時半頃 |
【人】 石工 ボリス 早い方がええなら。 (357) 2014/12/30(Tue) 02時頃 |
【人】 石工 ボリス そ、『インスピレーション』。 (359) 2014/12/30(Tue) 02時半頃 |
[かつて、その本を読んだ時、似たような話もあるものだと思った。
だから、きっとありふれた事だったのだろう、下働きの者を酷く扱う事も。
物語と異なる点は、幾つもある。
例えば子供は奉公にでたのではなく、物心ついた時から既にその地位にあったこと。
追い出されたのではなく、酷く傷を負った夜、支え合うように“友人”と二人、月夜に駆け出したこと。
月夜の荒野で地を潤したのは、その一人の血液だということ。
抜け出した一人は、今も尚生き延びているということ。
酷く飢え、渇いた身体にその血液はよく沁みた。
美味だと、その時確かに思ったのだ。]
その後に、主と会って、吸血鬼という存在を知った。
……それで、その衝動が抑えられないならと思って、薬を飲んで、きて。
[けれど、自分が本当に怖かったのは、血を口にすることではなく、生き延びる為に友すらも利用する自分の浅ましさなのではないか。
掌で、顔を覆う。
不思議なもので、言葉にするとそれらは連鎖的に途切れずに連なっていく。
そこで一度、言葉を切る。]
【人】 石工 ボリス 次来るときは、もっと綺麗に片付けとこわい。 (366) 2014/12/30(Tue) 03時頃 |
[男は隣に座り、スケッチブックを開く。
彼の口から落とされていくのは、『怖い夢』の話だろうか。
まるで民話にでもありそうな物語。
赤い血を啜った、働き者の少年の行く末。
“友人”を糧にした、吸血鬼の話。
話を聞いている間、男は声を出さなかった。
真っ白なスケッチブックの中にペンを走らせていく。
ただ、時折隣に視線を向けては
彼がどんな顔をしているのかを、見つめて。]
[止まることなく語られた話。
やがて、顔が覆われて言葉は途切れる。
同じように一度手を止めてペンを置いた。
無意識に手はのびる。
肩へと伸ばし、軽く抱き寄せようと。]
【人】 石工 ボリス[スケッチブックにはきちんと、その疑問まで書き連ね (367) 2014/12/30(Tue) 03時半頃 |
[───人を殺した記憶。]
…………。
[少しずつ、ゆっくりと、靄のヴェールが外れていく。
生きるために友人を手にかけたのであろう彼の話を聞きながら。
思い出すのは、男が『誰か』を殺めた理由。]
[語る表情には、笑み一つない。
彷徨う視線の先は、自らの言葉を追う。
恐怖よりも、嫌悪の勝る記憶。
けれど、その嫌悪を恐るならば、それすらも“怖い”夢となるのだろうか。
指越しの視線は、ペンの手の止まる方を見る。
伸ばされた指を拒むことなく、抱き寄せられるままに身体を預けた。]
……本当は、もっと沢山、覚えていないといけないんだと、思う。
けど、……もう、あいつの顔も、思い出せない。
[年の頃も、性別すらも、
恐怖ばかりが勝ってしまい、それ以上を覚えていられない。]
今話せるのは、ここまで。
……今晩も、薬、抜けそうなら、抜いてみるから。
朝になってまた何か思い出したら、書いて貰えるか?
[最後にそう付け加えれば、微かに笑う。]
[自らの記憶に向き合おう、自らを記録していこう。
そう思った切欠は、何だったか。
例えば、覚えていられない愛の言葉だとか。
例えば、温かな食事の味の良さだとか。
例えば、書き留められない旋律だとか。
きっと、そんな些細の事の積み重ね。]
……うん。
[笑みもなく落とされていく言葉に、小さく頷いた。
体重を預けるようにする体を抱き寄せて。
本当なら強く抱き締めてしまいたかった。
ぐっと、堪えて肩をとんとんとあやすように叩く。]
そか。
……、…。
[今己は、酷いことを口にしようとしている。]
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