人狼議事


194 花籠遊里

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視点:


営利政府 トレイルは、メモを貼った。

2014/09/17(Wed) 02時頃


[ひらひらと、ひらひらと。

朝にひらめく蝶の行方は誰も知らない。
お互いに干渉せぬが蝶の了解。

されど、されど。
虫の知らせが鳴いたなら、最後の花夜として。
運命は女衒の御心を、掬い上げてくれるやもしれない。**]


── 東雲の頃 ──

[ベルさまとの閨、その『蝶』が飛び去ってしまわれて
 後片付けをと動き出せるようになるまで
 丸窓を見上げていた頃にございます。

 花主さまのお気配は、淀んだ空気にてすぐにわかるのでございました。

 宵闇色をした長いお髪が少し何かで焼けておられるようでした。
 僕は着物を纏い直して、花主さまへと正座し
 彼の歪んだお言葉を、今日も耳にするのです。]


[慈しみに満ちた、歪な言の葉
 僕はこれをもう幾歳聴いてきたことでしょう。

 愛でるだなどと、しもしない癖に。
 愛しいだなんて、思いもしない癖に。

 本当のところなど、どうかは判りませんが
 僕はいつも、そう思っておりました。

 花吹雪のように舞い散るは
 今宵の僕につけられた値でしょう。
 幾らのものであったのかなんて、知ろうとも思いませんでした。

 ただ、見下す花主さまの足元。
 落ちた花弁を数枚手に取り、恭しく頭を下げたのでございます。]


 花主さま。
 櫻にこの対価で、花の苗を与えては下さらないでしょうか。

 庭に、秋を迎えたいのです。

[花の苗を与えて頂くには数枚で事足りるでしょう。
 それ以外はいりませんと、僕は足元に跪きます。
 膝を揃え、内股を『蝶』の残り香に染めたまま。
 頭を地につけ指をつけ、願い請いました。

 其の姿はきっと他の『花』たちも
 この地下牢で幾度か目にする、東雲の光景だったでしょう*]


[暁にもならない頃、蝶は翅に弁の一欠、されど弁より重い何かを引っ提げて、まずは巣へと這いずり帰る。

その時は、他の蝶に出会っても口を効く気にならなかっただろう。

虫の知らせが鳴いたのは子が夢から醒める刻を回った頃。時間さえも稚拙だと、朝日に背を向けて鼻で一笑。
運命に沿うよう、脚を進める。*]


[暁が宵闇切り裂く頃、花主が白の紙吹雪を花に降り注がせた後――東雲の空から昇った太陽が中天の陽になった頃、ようやく割れた鏡は目を覚ます

虚空を見つめ瞼を下ろした友、其の身を清め別れた後、逢いに行く事が中々できずにいた
見ないでほしいと願った。自分が狂い咲き乱れる姿など。それは友も同じだったかどうか、それはわからない

暫し無心に琴の音奏でていれば、花主の使いだろうか禿の背格好の花見習いが花主の言葉を伝える。曰く――]


鏡が割れたならば、他の花を傷つける前に捨てねばならぬ


[……と]

[然様でございますか。そう返す言葉はか細く途切れ途切れだったろうか
ほろ苦く笑いながらもその前に、一目友にあいたかった
当てもなくふらりふらり宵闇迫る冷たい廊下を歩く
友の部屋へ行くまではできたもののその襖を開けるのはどうしても躊躇われ、一輪の勿忘草の押し花の栞をそこに挟んで踵を返した

逢いたいのに逢いたくない
忘れられたくないのか、否、忘れてほしいのか
嗚呼今宵も夜が来る。また花は乱れ咲き狂うのだろう

明日には下町の娼館に払い下げられる身、こんな身で面と向かって逢う勇気が、持てなかった]


─暁の空─

[確かに、確かに花は綻んでいた──…]


[鳥の囀りも届かぬ薄暗い籠の中。
気怠い身体を沈めつつ、鼻先埋めるは背を預けた白い空。

すん、と鳴らしたその先で蝶の残した鱗粉にぐしゃりと顔を歪めさせて。

もう温もりの無い手のひらを何度も握り締めては、幾ばくか大きな翅を思い出そうと吐息を漏らす。

昨晩の宴の気配を感じさせる匂いはすれど、乱れる淫靡な囁きは成りを潜めたその場所で]

──……。

[ぎゅぅ、と。手のひらを握り締めては、暫し残り香に顔を寄せては目蓋を閉じる。
ほんの少しだけ、夢の続きを見ようと。

人の顔が刷られた花吹雪には目も暮れず]

………貴方なんか、大嫌いです。

[囁いては、揺蕩う意識の中、されどもしかと耳にした言の葉とはにかみ笑みを浮かべたその人を掻き消して。胸に咲いた花を*手折った。*]


[この世には、ちょこれいとの匂いのする花があるのだそうです。
 その色を、その香を、知りたかったのですが
 どうやら手に入らなかったらしく
 置いてあったのは、似た色の
 オレンジ色をした秋桜でした。]

 …────。

[細く、少し長い息を吐き。
 僕は中庭で、秋をお迎えする準備をしていたのでございます**]


庭に、秋を?

そうかい、ソウカイ。
花が花を愛でるとは、いくぶん滑稽だねえ。
ならばアレを植えておくれよ。
秋と言えばアレだろう。

“死人花”。


[頭を擦り付けて乞う様に喉を鳴らした。
花が花をとは、また滑稽で退屈しない。
この櫻の梢は他に媚びるよで、媚びぬ花。
それがこうして頭を下げる。
草花ひとつのためだけに。

狂気に染まった笑みで嘲笑する。
花植のリクエストを呟きながら。]


なんだい、なんだい。

こんなにも対価を貰ったというのに
お前の価値には見向きもしないかい?

嗚呼。

余り私を落胆させないでおくれ。


[櫻の梢も、拾うのは数枚であった。
淡き藤も、紙幣の吹雪に目もくれない。

つまらない。

心底、といったように男は重い溜め息を吐いた。
人のプライドなど屑折れた姿で、大枚をかき集める花が見たいのに。

それでも男は笑っていた。

なに、楽しみはまだまだある。]


法泉、おいで。

お前が一番慕う花は誰だったかねぇ?
私には興味もないが。
その花に伝えておいで。

“鏡が割れたならば、他の花を傷つける前に捨てねばならぬ”

安心おしよ。
丁度、下町のひとつに穴があって困っているそうな。
其処で丁重に扱ってもらうさ。

丁重に、ね?


[男が言伝てたのは早朝。
法泉という花見習いが、伝えに向かったのは昼頃。
その間、花見習いも心を割く思いにあっただろう。

何時の頃からか、花は花が教え育てることが増えた。
“丁”という花もそうだったか。

法泉もまた、藤の花に尊敬の念を抱いていたのだろう。

知っていてこそ、男はその花見習いに伝えさせたのである。]


さあて、愛しい吾が子達。
今宵も狂い咲いてお見せ。

蝶を惑わせ、夢をみせ
たんまりと搾り取っておしまいよ。

愛も金も善も悪も。

毒花のよに。




くは、ははハハハッ!
 
 


[高笑いは、宵闇に *溶け消ゆ*]



[ゆうらりゆらり。朝焼の陽を浴び蝶の翅影は地に揺ぎ。
リンと鈴虫が鳴いたのを聞けば、ふと心にさえ影が差しただろうか。
  ――悪寒、一筋。
其れが何を示した物かは到底分かり兼ねるけれども、唯背筋を上る感覚にはぶるりと躰を震わせ。]

 …なんだよ、

[よもや風邪でも引いたのかと、泡沫の夢を、宴を思い出しながら。
否其れもあり得ないかと、軈てその翅で躰を支えたなら、眉を顰め困惑の吐息を吐いて、ひらひら、影を揺らしまた虫籠へと戻りにけり。]


営利政府 トレイルは、メモを貼った。

2014/09/17(Wed) 11時頃


[あるいは、あるいは識る相手は蝶だっていいのだけれど。]


【人】 営利政府 トレイル


[風に唸る玄関先を背に、厚底を響かせ廊を渡る。
薄明りは昨日と変わり無く、まるであの晩あの宴が真に夢であったかのような錯覚すら覚え、ただ胸に虚空が包み。]

 …――まあ、別に、

[言い噤む口先は果たして何を伝えたかったのか。
冷えた壁に言葉は吸い込まれ、その先は口先に乗せられることはなく。
言い繕う事に苦渋し言い淀む様にも見えただろうか。

虫籠に戻った躰はいつかの中庭、硝子戸の内側に止まり。
隣に月が出で無いことには僅少寂びしさを覚えただろうか。
今や何処かで蝶>>2や花>>3やが御告げを受けているとは梅雨知らず。
ぼんやりと他に何を考えることも無く、庭に咲く花々を見詰め。]

(9) 2014/09/17(Wed) 12時半頃

【人】 営利政府 トレイル


 ……あ、

[以前手折った朽ち花が新たな花へと変えられているのを見たならば>>5
その色彩には聊か目前さえ覚え、花に囲まれ、まるで上機嫌に揺れる髪飾りにはじとりと視線を押し遣った。]

 …花、か?

[爪先にて少し身丈を伸ばしたならば、庭花に囲まれるその姿を、忙しく動くちいさな、…ちいさな体を漸く視界に捉え。その召し物が特有のものであることに気が付き、思わず聲を上げる。

――そうして脳裏に瞬くには、今宵も開かれる享楽の宴。
此処に来たからには、矢張り己は未だ未だ蜜を欲して居るのだろうと、こくりと咽を鳴らしては黒衣の手を握り、その蝶頭で今宵の餌の目星を付け始める。
それは花か、はたまた――

――其処まで思考を廻らしては、「蜜を吸えるなら誰でも」と。強欲に胸を*高鳴らせた*]

(10) 2014/09/17(Wed) 13時頃

営利政府 トレイルは、メモを貼った。

2014/09/17(Wed) 13時頃


営利政府 トレイルは、メモを貼った。

2014/09/17(Wed) 13時頃


[紙吹雪が牢に舞うのも、ちょうど聞こえた櫻の花の行動も。
今や見慣れた光景だとゆるりと瞼を持ち上げる。
白を拭うもされるがまま。
本当ならば手を伸ばし、藤の花へと触れたかったのだが。
俺には側に居る権利もましてや手を伸ばすことさえも、許されぬ事のような気がして。

顔の穢れが友のおかげで粗方清められれば、後片付けと己の身を清めに行っただろうか。
藤の花には小さく礼を一つこぼして。]


[真昼の月がぼんやりと見えた頃。
朧は目を覚まし慣れた手つきで身支度を整える。
花の見習いが手伝いに来たかもしれないが、いらないと追い返すのも何時もの風景。

部屋の中央で煙を漂わせ、時間をもて余すのもまた変わらぬ日常。
ただ、一つ違うことといえば。

友が訪ねてきた事を知りながらも招き入れる事が出来なかった事だろうか。

顔を見たかったのは確か。
しかし、顔を合わせたくなかったのも嘘では無い。

藤の花に告げられた事実など露知らず。
花の思いもまた、知らぬまま。]


【人】 営利政府 トレイル


 ――…櫻子、サン。

[硝子戸の内にて。付近に歩みを寄せて来た>>14の黒髪と、揺れる髪飾りに視線を向け。
告げられた花の名を鸚鵡返し。
次には彼女から何かを手向けられた細身の>>12へと視線を移せば、仲睦まじく身得る其れに申し分程度に眉を下げては肩から力を抜いた。

そうしてまた問われた言葉には、自分の名を返す事も忘れ、薄口を開き、空気を食す。]

(15) 2014/09/17(Wed) 15時頃

【人】 営利政府 トレイル


 ――花よりは、月が好きかな。

[含む意味は二つを兼ね。ただ目前の花が庭花のことを問うていることなど、知ってはいるけれど。

何処か居心地悪そうに視線を逸らしたその脳内、泡沫に思い浮かぶ記憶は銀月。夜空に揺蕩うその姿を如何にして捕まえようかと思案を巡らした後の――宴。
ただ窮屈さに心を滲ませれば、無意識に掌を握り込んだだろうか。

そうして再三視線を向けた先は>>12
格好からして自分と同じ、花を求めて翔ぶ蝶だろうか。
自分よりも幾ばくか色素の薄い金色は、夕闇の中にも薄く煌いているようにも、見えた。――其れはまるで、夜空に瞬く星の様に。]

 キミ達は……んん、野暮なことを聞くのは止そうかな。

 俺はトレイル。…トレイル・ペティンガー。
 よろしく、ね。

[ゆらり首元に掛かる髪を揺らし、寄り添う蝶と花に首を傾げては微笑んで魅せた。
そうして細身の蝶が何か素振りを見せたならば――翅同士の握手を求める様に、黒衣のそれを差し出したことだろう。]

(16) 2014/09/17(Wed) 15時頃

営利政府 トレイルは、メモを貼った。

2014/09/17(Wed) 15時頃


[我らが主の、散らす"モノ"。
拾わずして、花である価値は、己には見出せない。

命令であれば恭しく傅き、従うまで。

其れが己の、花である理由。]


[周囲の評価は如何であれ、己は艶も無い花だと思う。

貼り付けただけの愛想。
曝け出さぬ、媚びぬ性格。
どちらも、花であるに相応しいとは思わない。

花らしく振舞わねばと思うだけの、花。

此の花籠に来たのは、10年も前ではなく、それ故に己には外の世界の常識があった。

"ふつうのしあわせ"を、知っていた。

どうせならば、あの櫻のように。
何も知らずに花籠で育って、此の場所をしあわせだと思い込めれば良かったのに。]


[男でありながら愛抱く訳でもない男を相手に。
其れは己の在り方を酷く、酷く揺らす生き方だった。

身に架せられた膨大な金額に囚われて、
花の役割に徹するしか無いのだと脳に無理矢理理解させ。

自分が選んだのは、
辛くない事だと自らに言い聞かせ笑顔で居る事だった。
選ばれる筈もないこの身を、蝶に選ばせる手段でもあった。

嫌悪感を露にする生き物では、選ばれないだろうから。


とうのすけ、おぼろ、かめよし、おうじ。


同じ役割を持つ花たちは、この毎日を、どのような気持ちで過ごしているのだろう。]


[気味が悪いと男色を嫌っていた筈なのに。
同性との快楽に溺れる事を知ってしまった己は、気持ちの悪い存在だろうか。








――聞けるはずもない。*]


【人】 営利政府 トレイル


[耳に入った彼の名>>17と、柔な声色には警戒する気さえ無く。
叮嚀な挨拶と共に飾られた言葉には、しぱりしぱりと大きく睫毛を揺らし瞬き。
隣で自分達を物静かに見詰めている花>>25は一体どんな気持ちで蝶の交りをその漆黒の瞳に捉えているのか、すこうし気になりはしたけれど。]

 …天然たらし、だなァ。

[重ねられた手の感触が温く残る黒衣で、がりがりと頭を掻く。
然し殊の外強い力には、僅少驚きの色を隠せないけれど。

そうして暫く彼等が言葉を交える>>18のを横目に、淡藤の住まう籠へと一瞥くれ。不躾だと知りながらその襖を開いたならば、ぽちゃりぽちゃりと波に揺られる金の魚のみを視界に捉え、無性に寂寥を感じては静かに籠扉を閉める。
苗に足を付けた花が、何処かへやら逃げれるはずは無いと知ってはいるけれど。羽ばたく先に足付け場がなかった時の不安は、どうしようもないと、ただ顔を伏せては襖の木目を指先になぞった]

(42) 2014/09/17(Wed) 21時頃

【人】 営利政府 トレイル

 ……ところで、なんで笑ったんだい。

[軈て蝶の翅音が遠く>>23なれば、ゆうるりそちらへと顔を向け、蝶の背を無機質に見詰める。
「追い掛けたら、」なんて。視界の端に映っていた蝶の微笑み>>18が脳裏に張り付いていたならば、そんな言葉も投げて遣りたくはなったけど。
花がその首を垂らし>>27綺麗に蝶を見送っているのを見れば、その言葉はこくりと腹の底に沈んでしまった。

そうして何とか新しく言葉を生み出そうとして、絞り出した言葉は。
先の自分の「月が好き」との言葉に笑みを浮かべた、その理由を問う物だった]

(43) 2014/09/17(Wed) 21時頃

─閑話・書斎にて─

[──花びらが水たまりにひらひらと舞い落ちては、水面を泳ぐ。
夢と現の狭間。覚醒せぬ思考はゆったりと遥か昔後ろへと遡る。

親の手の代わりに造花の吹雪をこの身に浴びていたのは十と少しの瀬。

生まれて間も無く異端だとこの色を嘆いた親が、唆されるまま少しの銭と引き換えに売り払い閉じ込められたその場所は、華美な装飾で造られた檻の中だった。

朝昼夜問わず、現れては食事を与えるために訪れる“飼い主”
必要以上に口を開くことは許されず、ただ脂ぎった富豪家の指にて媚びることをせがまれる。]


[それに嫌気が差したのはいつ頃か。
女中の同情心を煽って隙を見て脱走を試みた。

愛玩対象であった銀糸を少しばかり切り落とせば、物珍しさから門主も潜り抜けた。

右も左も分からないその場所を彷徨うことほんの少し。
頭上を見下ろす蒼白い月の美しさに唯々見惚れていた、そんな夜。

怒り狂う主人に腕を取られるまでつかの間の自由に焦がれるよう腕を満月へ伸ばしていた。]


[闇を切り裂いたのは怒号。
乱れた髪をほつれることも構わないというように引っ張られた先がこの遊郭。

年ももう二十近く男の愛玩としては歳を取りすぎていた玩具は、適当に売られては咲き乱れる瑞々しい花々を散らし、その代金を全てこの身につけさせた。

莫大な金。金の単価すらマトモに知らなかった青年から花へと変わり行くことも知らずに。

初めて世界にて見咎めた美しく根を下ろす花。
視線が合えば薄い桃色の花弁はそっと綻び、気づけば楼主に頷き──…*]


【人】 営利政府 トレイル


 銀花、…嗚呼。

[眉尻を下げることで、その幼気の残る表情を僅に瑜伽ませる花>>51を見下ろしながら、ひとつ、息を吐く。

其の様に譬喩される風貌を持つのは唯一人。
そうして、自分が昨夜、夕闇に笑く月の下、戯に触れた花も一人。

印象強く残る花頭の淡藤は、矢張り銀と比喩されるのだなと脳の隅で独りごちたならば、寸分の差を置かれて追討された言葉には、驚嘆か、はたまた図星か。吐くはずの息を吸い込み咽を引き攣らせ。]

 気に入っ…!そんなんじゃ、

[思わず身体を前に傾けて、はくはくと唇を開閉し。
ただ意味も無く空気を食したならば、咽喉に詰まった言葉をこくりと飲み込んで。
否定し切れなかったその事実には、ただ気まずそうに視線を庭へと向けた。]

(68) 2014/09/17(Wed) 22時半頃

【人】 営利政府 トレイル


 ――キミこそ、さっきの…ニコラスって人と、
 随分仲睦まじいように見えたけど。

[秋に姿を溶け込ませる風>>56は、赤熱の太陽が当たる頃よりは大分冷たく、肌を冷やし行く。
視界の真中に捉えた花々は、その細い線をゆうらりゆらり、夜に踊らせ。

多種の色が形作るその庭は、真黒な自分にはただ眩しく。思わずに目を細めながら、再度花に問い掛けた。
――その言葉に籠められた水面下の感情は、音色を随分低く、そうして妬ましい様な言の葉の形を作ってしまったけれど。茫然にも似た様子で庭を眺める自分では、気付く筈も無く。]

 花って、蝶と寄り添う合うこと、あるの。

[「一夜」では無く、「永久」に。
唯好奇心から来たその疑問に、花はどう反応を返して来ただろうか]

(69) 2014/09/17(Wed) 22時半頃

【人】 営利政府 トレイル


[――そうして間も無く花が背後に身を隠して来たのを見た>>62ならば、先の言葉も途中で空気に溶けてしまっただろうか。

どうしたの、なんて問う間も無く、視線の先を眺めに眺め。
やがて一匹の蝶>>59がひらりひらり、夜花に揺蕩うのを見付けたことだろう]

(70) 2014/09/17(Wed) 22時半頃

トレイルは、ニコラスに話の続きを促した。

2014/09/17(Wed) 22時半頃


営利政府 トレイルは、メモを貼った。

2014/09/17(Wed) 23時頃



‘Tis better to have loved and lost

 than never to have loved at all.

[それは『愛』を知り、そして亡くなった。
 僕を育ててくださった、丁という『花』の言葉でした。]


[蝶が全て集まった。
館のそこかしこで羽ばたく音がいやに響く。そんな中、男も静かに今宵止まる花を値踏みする。

昨晩割れた藤色の鏡。
番いにされた朧月。

この二本は踏みしめられたのか。
はたまた、それとも、違う理由か。
まァそれも良し。それも花の本分だ。
男が知りたいのはその更に、奥。

おうや、おうや。
遊びを始めよう。
今日の夜が耽るのはとても早い。*]


― 地下への道 ―

[さて、早速銀月を曇らせてしまったが上等。

性質の悪い夜蛾は一歩、また一歩と踏み出し、
中庭で櫻の色を愛でる若い蝶目当てに寄り道。
語りかけるなど野暮は起こさぬが、
まるで悦楽先んじるよう、会釈を送った。


さて、彼が今宵、見ていない月は何処に隠れたか。
さて、彼が夢想抱いた花は、誰に購われたか。


聡い青年からしてみれば、想像は余りに容易かろう。
無論、この男の悪質さも、見れば知れる業深さ。]



[しかし、哀しいかな。

 花を伴わぬ蝶に、*地下の門扉は抜けられない。*]
 


[僕は誰に言い聞かせているのでしょう。

 傍にいる『蝶』に?
 傍に来ぬ『蝶』に?

 ………咲くことを拒む『櫻』に?]


[中庭彩るは秋の色。
 夕焼けのような橙色。

 秋に咲く櫻。

 自覚してしまう前に、眸を伏せましょう。
 僕はこの廓に咲いた『花』。
 散った『丁』の教えの元に。

 微笑み絶やさず色香を放つ、『花』の一輪であるために。]


【人】 営利政府 トレイル


[先の揚羽とは異なる僅な翅音を羽ばたかせながら、歩み寄る白蝶に、何の色も浮かばぬ瞳を向け。軈て窓枠からその顔がはきりと見えたならば、「彼」とは異なる灰青の蝶頭を見届け。

ぷかり。
自分の顔を煙が覆ったならば、ちいさく驚愕に瞳を染めては見開いて、顔を背けてはけほけほと咳を零したのだったか。
其の後其の白蝶に向ける瞳は穏やかな物では無く。
唯小綺麗に貼り付けた笑みの上、視線は真冬の雪の様に。]

 ――キミが花でないことが、いま酷く悔やまれるよ。

[暗に花であったならば、夜宴の裏その口先から教えを遣ったというのにと。言の葉の裏滲ませた色には、白蝶は気付いただろうか。

そうしてゆうるり黒の花>>80へ向き直る途中、黒服の心配をされたならば。動きを止めては自身を見下ろし、暫く動くことを止め。
パチパチ、またたき二つ。
其のあとに、漸く「何もない」と。飾らぬ言葉を投げ。

視界の隅、窓枠の中。煙を授ける白蝶には呆れの息を吐き。
これ以上は野暮だろうと、フイと視線を完全に花へと向ける。]

(108) 2014/09/18(Thu) 01時頃

【人】 営利政府 トレイル


 ……?
 先の…ああ、花と蝶は寄り添えるかってやつかい。
 
 それが、どうかしたの。

[瞳の中。秋風が絹糸の様に繊細で綺麗な射干玉の髪を揺らしているだろう、其の中で。
自分も少しだけ肌寒さを感じながら、先の明るい様子とは違い、花頭を地へと向けるそのさまに小首を傾げる。
ゆうらゆうら、花頭の飾りは風に踊り。
長い髪はその表情を覗くことを拒んでいる様で、唯焦燥感のみを感じる]

 ――もしかして、聞いちゃダメなことだったかな。

[ふと。花の先、廊下の向こうに見えた影には眉間を歪めてみたけれど。ちいさく犬歯を魅せたならば、今一度ちいさな花を視界に収め。

「ここ、寒いから、中入ろうか」
なんて。 せめてもの余裕を見せようとした言葉は――宵闇の中、その薄い唇から紡がれた言葉の数々>>103->>106に、堰き止められる。]

(109) 2014/09/18(Thu) 01時頃

【人】 営利政府 トレイル


 …ゆ、…め。

[まるで何か言い聞かせている様だと、ごちた言葉は自身に届かず。
ただ胸中に刺さる痛みを何として吐き出そうかと、眉を下げては、情けなくも震えを帯びる黒衣の手にて口元を抑え。

――嗚呼、宴の夢に溺れていたのは、蜜に翅を奪われたのは、自分だったのだろうか、

困惑か。憤怒か。はたまた、ただの嘲笑じみた自虐か。
何が愉快いわけでもないのに、ゆうるり弧を描く唇はまるで三日月。
宵闇に混ざり行く自分の姿を見下ろしては、その目元に黒衣を移し。]

 はは…、――うん。……解ってた。

[伏せる瞼に合わせる様に、また自分もひとつ。瞬きを。
三日月の口元とは相対して、眉は情けなく泣いて居たけれど、俯く花にも、自分にも、それはきっと分からない。
ただ虚しさを帯びてきりきり悲鳴を押し堪えるこころを服上から抑えたのなら、秋風を肺に送り込んで。]

(110) 2014/09/18(Thu) 01時頃

【人】 営利政府 トレイル


 ……夢物語は、いつとハッピーエンドな筈なんだけどなァ…。

[ちいさく紡いだ言葉は、誰に言うでも無く、ただ宵闇に融けた。]

 …ね。夢物語、キミは嫌い?

[そうして震えを抑えた聲は、ちいさな花へと。
花頭より垂れる髪を耳に掛け遣り、その手を掬い上げたならば。
「…ちょっと、今夜、俺とずっと話してようよ。」そんな誘い言葉を花に与えた。]

(111) 2014/09/18(Thu) 01時頃

 
 
[微笑むことなんて、今は出来そうにありませんでした。]
 
 


[早く散ってしまえば良い。
未だ散れぬというのならば、咲いて咲いて咲いて。
毟り取られてしまえば良い。
胸に救う種も何もかも。
痕を残さぬように全て。

全て 全て 夢であれば良かったのに。]**


── 追憶の一片 ──

[それは歳を遡ることいくつの事であったでしょう。

 ある日、新しい花見習いが来ると告げられることも無いままに
 突如この廓にやってきた一輪がありました
 何も知らず、何も判らぬまま
 髪を乱し乱されやってきた花は
 銀月の色を有した、淡藤の一輪でございます。

 僕には彼が、怯えているように見えたのです。
 何も知らぬ世界につれて来られ、困惑しているように見えたのです。

 眸が触れ合った気がしました。
 ですから僕は、安心させるようにと
 彼へ微笑んだ事を覚えています。]



 「大丈夫ですよ。」


[そういって、手をとり。
 小さな身体で彼を庇い立ち。
 『花』には『花』になるための規則があると教育係を買って出ました。

 『花』は美しくなければならないと
 ですから乱暴に扱わないでくださいと
 連れてこられた御方のその手を、無理やりに剥がしたことを覚えています。]



[――額に僅に浮き立った青筋を、黒の花はきっと見ていなかったことと願う。

秋風揺蕩う中庭にて。
気紛れに、偶然に花と共に添っていたならば、その先に見得た「影」に――何の意味が込められてか、下げられたその蝶頭には唯無性に熱を抱え。
彼が――そう、気儘な彼が、何の理由も無く自分へと”挨拶”をする筈が無いことなど、短い間に既に質など視え。
まさか実はとても真面目な性格でした、そんな事さえあり得ない。

ならばならばと思考の障害を取り除き、視えた其の先解った其の意味。
――あれは「挨拶」ではあるけれど、あくまで「挑発」の挨拶だと。]



 〜…本当に、遊び癖が酷いんだ…?

[巷に聴いたかの噂。派手な風貌派手な戯れ。
犬歯を魅せた唇は、軈て吐き捨てるように言葉を形作っては透明の声へ成る。

そうして遊び人の事実を遠回しに識り、頭に浮かべた朧の銀月。空の花籠。
じとりと服を滲ませた雫は、一体どんな意味を持ってか。
ただ月を追う理由を作る為にと――黒の花を誘い上げた。

そうして、夢物語でも、良いと。
夢の中だけでも、其の月を手中に入れられたのなら。其れだけで、自分は満足し得るのだろう。]

 ―――

[せめて月の代わりに自分が翅を差し出したならば。…否、されとてそれも、毒蝶を喜ばせるだけになるだろうか]


[その『花』が、手折られてしまうかもしれないのです。
 きっとそれを、花主さまは許しなどしないでしょう
 昨夜も一人、『花』が姿を消しておりました


 行方など、知れません。


 亀吉さんがそうならぬ為にも、お伝えしなくてはなりませんでした。
 もしもまだ、『夢物語』に終わらせられるのならと。
 余計なお世話を、焼いたのでございます。
 そこに、自戒を含めながら。

 僕自身へと、言い聞かせながら。]




[其の度にあの呪詛が
 『丁』の涙が
 中庭に植えた秋櫻が

 心を締め付けていくようでありました。]
 
 


【人】 営利政府 トレイル


 …良いよ、別に…、…謝らなくて。

[紡がれた負の言葉>>114には、ただ無機質に笑み返し紡ぎ返し。
秋風を肺に誘い先よりかは落ち着いた頭は、ただ星色の蝶と、目前の花の交わりを思い浮かべて。

――夢物語なら良かったと。果たして誰が思うだろうか。

然し花の心中を尋ねる不粋な真似は到底出来ず、漸く上げられた花の表情にはただ三日月を。
わかりやすいのは、どっちだと。そんな文句を綴る事さえ憚られ。]

(118) 2014/09/18(Thu) 02時半頃

【人】 営利政府 トレイル


 …――地下、かなァ。

[問われた場所には、ぼんやり空に咲く月を見上げて囁いた。
その近くにまた銀月が咲き、あの儚い瞳に薄膜が張っていることなどついには知らず。
ただ刹那の銀月を追う心をままに、低く掠れた声色は、何の色も覗かせずに。

「…ちょっと、気になることがあるんだよね」

其れは正しく、”夢物語”の頁に亀裂を入れることにさえなり得るだろうけれど。ただ空の花籠を想い出しなから、庭花を愛でる花には其の本意を伝えぬ様、曖昧に暈しては追及されぬようにと笑みを硬くし。]

 嗚呼、でも。着替えるのが面倒なら、どこでも。

[――申し訳程度に尾鰭を付けた言葉には、印象誘導をかける様に美麗なそこに苦笑を滲ませ謀ってみたり。
そうして何れとも返事を貰えたならば、土に濡れた軍手を除かせ、自分の手に乗ったちいさな手を引き廊へと足先を乗せ、また同じ場所に花の体を引き上げてみせただろうか。]**

(119) 2014/09/18(Thu) 02時半頃

営利政府 トレイルは、メモを貼った。

2014/09/18(Thu) 02時半頃


─追憶の一片─

[生まれてこのかた外にあまり出たことのない青年は、一目見た瞬間桜の美しさに見惚れてしまっていた

手を取られながら向けられた言葉と笑み
困惑するより先に自身より頭二つ分は下の身体を見下ろして。

呆然と彼が自分の教育係を受けようと名乗り出てくれる様子を耳にしながらも双眸はただ射干玉色を捉え釘付けに。]

…アンタの名前は?

[敬う言葉を知らない世間知らずは、状況よりも先にその日見た花の名を請うて、取られた手に僅かばかり力を加えた。
それは、青年が花となる前の話。]


[ふわりと首筋から香る櫻は、あの時も香っていたでしょう。

 小さな身体を見下ろす、二つの眸。
 呆然としたような表情には、射干玉の眸を向けました。]


 僕は櫻子と申します。
 櫻の子と書いて、おうじです。


[力の加わった手に、そうともう片方の手を乗せました。
 体格が違えば、手の大きさも違うでしょう。
 片手では溢れてしまう彼の手を、両手でしっかりと包み込んだのです。]


【人】 営利政府 トレイル


[花が着飾る間を待ちながら、足早に花主の方へと向かう。
揺り籠に沈むその姿には又ひとつ、瞼を伏せ。
ちいさく花買いの言葉を唱えたことだろう。――今宵は昨晩の様に、快楽に任せた事を強いるつもりは毛頭無いけれど。

其れから手土産にと――銀月に添えるつもりだったマカロンは、箱の取っ手に片黒衣を結び付け、花を待つ差中銀の住まう花籠へと置いて行く。]

(124) 2014/09/18(Thu) 15時半頃

【人】 営利政府 トレイル

― → 地下牢 ―

[相も変わらず空気は静かに震え、秋風よりも幾許か温く感じられる風が頬を撫で。擽ったさに、手袋の外された手は頬を二三擦る。

地下からでは丸窓から見える月もあるのだろうか。ただ慣れない視界にて、別所の丸渕を見れば、――視界に止まった淡藤>>115には、睫毛が数度揺らぎに揺らぎ。

――されとて地下籠に。自分とは異なる籠へと収められた花を、出す術は知らず。
変わらぬ歩幅で、別所の冷たな牢へと翅を落ち着けた]

 …それ、風邪引かないの。

[暫くの後に姿を見せた射干玉の花は、その頭を僅かに湿らせて>>122切なに咲む。
黒に咲く白の髪飾、そうして躯を包む真白の其れには、矢張り夜に似つかわぬとゆるり眉下げ笑い。
布団の上に落ち着けた腰をズラしながら、並べられた玩具を余所に、また白いタオルを手に取ったならば。
宵闇に微笑む花へと顔を向け、空いた手にてぽんぽんと自分の足の間を叩いた。]

 おいでよ。

[瞼を伏せ、蝶は花へと唄い始める。**]

(125) 2014/09/18(Thu) 15時半頃

営利政府 トレイルは、メモを貼った。

2014/09/18(Thu) 16時頃


[あゝ、それでも。
 追憶の一片にある頃の僕の眸と
 今し方向けた射干玉に、差異が無い事をと願います。

 淡藤の花を見詰めた射干玉は、悲しげに伏せられた事でしょう。

 呪詛に侵されつつある僕の心に蓋をして
 瞼を伏せて、僕は僕自身に見て見ぬ振りをしたのです。]


おう、じ……。

[貧しい家の出。そして主人の趣味から母国の読み書きさえ対して教わらなかった男は、ただ耳に捉えた音を繰り返す。

重なる手のひらに一つ、またふんわりと櫻の花弁が触れ合えば温かな感触に目を僅かに見開かせながらもやがて小さく瞳を伏せて]

……かめよし。

[確かそう呼ばれていた自身の名を告げれば、息を一つ吐き花は綻びを見せた。

それかまた花籠というだけで同じ檻の中であると知るのは、また少し後のこと。

その時ばかりは伝わる両の手の温もりと櫻の香りに破顔して喜んでいただろう。]


[それからどれほどの時を重ねただろうか。
片手で事足りるくらいの年数ではあるのだけれど。

花になるための規則や教養を伝えられ、八分咲きであっても人前にやっと出れるようになって数年。

愛も幸せも曖昧な記憶しかない花はそれでも、それなりに飽くことなく同じ日々を繰り出し。

それがあの豪奢な館の暮らしと繰り返しであることに気付いていながらも、その末路を知っていた彼は足先を外へ忍ばせることは無かった。

何故なら自分は花であるから。
青年であった頃のように自由な足は、蝶のような翅は無く。
あるのは根に絡み付くだけの蔦。

諦念から、慰めに魚を飼ったのはそれからのこと。
きらきらと輝く水面を揺らす金魚を眺めていると肩の力が抜ける。

それは自身と同一視することで慰めているのだと気付いていたけれども。それ以外の気持ちの昇華法など知る由も無く月を眺めていた昨夜の晩。

自身より少しばかり大きな手のひらに引かれて、『外』に連れられた。
花は花であることを、少しの間忘れてしまっていた。]


[けれどもそれも今日で終わり。
地に根を張り巡らせる己が自身を見やりながらごちる。

傷のついた手は、ありし日櫻の花に触れられていたその手。「花は美しくなければいけない」と告げられた片手でもあった。

微笑みを形どりながらも睫毛を微かに震わせる。

それは人の気配を感じる前であったけれども。]

…ちゃんと、咲きますから。

[掠れた声で囁いたのは、誰に対してでも無く。唯々口元には月を乗せた。]**


 亀吉、さん。

[僕は、銀花の名前を呟きます。
 あの頃は
 「とても佳いお名前ですね。」と、微笑みました。
 目出度いお名前だと教える事になるのは
 それから数日後の事になりましょう。

 今の刻、僕は緩やかにその瞼を閉じていました。
 微笑む事は難しく、悲しむ事も難しい。
 心に蓋をしてしまっているからか
 僕の表情は、どこかで迷子にでもなっているかのようでした。]


[『花』である僕は『外』を知らず。
 『花』でしかない僕は『花』以外にはなれません。

 『ふつうのしあわせ』を知っていれば
 『人』になる事が出来たのでしょうか。

 何も知らずに育った僕は
 毎夜、毎宵、『蝶』に望まれる事こそが『しあわせ』なのです。
 それ以外を求めてはならないのだと、謂い聞かされて育ちました。

 男と謂う性に生まれたにも関わらず
 殿方を満足させるためだけの、命です。

 それが僕の、『花』である理由なのでございます。]


【人】 営利政府 トレイル


[――また、笑われた。
髪と着物の色が相反する花は、二度。其の口元へと笑みを咲かせた。
何を以って笑むのかなんて、首を傾げてはみるけれど。軈ては立て直して――然しされとて、面と向かって腰を下ろされた事>>127に、しぱりしぱりと瞬き二つ。呆け顔晒し。]

 な、にって…、髪…

[逆に何をするのかと、はたとその唇に視線を止まらせ邪な…否、この籠では当然の事を思いはするけれど。
タオルを持った掌を気まずそうに二三揺らすと「…そんなに見ると、キスするよ」なんて。

無論――言葉を最後まで紡ぐこと無く、花は前を向いて>>129しまったけれど。]

(136) 2014/09/18(Thu) 21時頃

【人】 営利政府 トレイル

 …キミ、そういう面もあるんだね。

[振り向き様に魅せられた笑みは、何とも言えず。
幼稚だと鼻で嗤う者も居るだろうか――然しその奥、笑みの裏。
妖艶に色香を流すその姿が視えたなら。笑う飛ばすことなど出来やしない。
してやられた、とばかりに咽を鳴らし、それでも蝶の誇りを保つ様に減らず口を叩く。
…―其の言葉が花に届いたかは、定かでは無い。

向けられた花頭にタオルを被せたなら、その上からゆうるり撫でる様に水気を吸い込ませ。
花が独りでに唄う詞が鼓膜を柔らかに触れるのを感じ得ながら、その言葉をパズルの様に組み合わせる。

無言。
ただ花が紡ぐ唄声が、嬌声やら響いてるだろう、地下牢の雰囲気を拒絶し。
まるでここだけ隔離されたかの様な錯覚さえ覚える。
花と蝶。
鉢と籠。
囚われる場所さえ違うけれど、囚われた刹那に始まる取り巻く夢想。醒めることを望まれない幻夢。

こくりと。また一つ咽喉が俄かに大きく鳴ったのは。
――互いを人とする唄>>132が耳を擦り抜けた為か。]

(137) 2014/09/18(Thu) 21時頃

[それならばどうして、あんな独り言を語散てしまったのでしょう?

 『外』の世界知る方なれば
 きっとその世界へ戻れるのではないかと。
 そして『外』の世界の方が
 幾分幸せなものではないかと僕は思っているのでしょうか。

 判りません。
 知りません。

 自覚(わ)かりたくなどありません。

 僕はそっと瞼を閉じます。
 『花』としてあるために。]


【人】 営利政府 トレイル


 ……考えたこと、無かったな。

[そうだ。此処に来た時から、自分は籠に囚われる人を――花としか思わなかったのだから。
人の仮初め花と蝶。咲く苗床さえ陽の当たる場所であったならば、彼の銀月と――どうして出逢っていただろうか。]

 …外は、そうだね。
 ――イイ所ではあるけれど、ワルイ所でもあるから。
 外に咲くなら、蝶をちゃんと引き留める蔦を持たなきゃ。

[ぼんやり頭を埋める夢想。花の言葉もまた幻夢なのだと心の隅で知りながら。されとて夢は追い続け。射干玉が目蓋に隠されてしまったことなど、その後ろからでは知ることも無く。
花が花として芽吹いた所以を尋ねたくはあったけれど、其の言の葉を紡ぐには躊躇いが残ると、髪を拭う指先にちいさく力を込めながら。

牢の中、ぼんやりとした薄暗さの中、寂寥さえ交えた笑みを蝶は浮かべて。籠に来る前外の景色。ただ綺麗な「恋愛」物語だけでは無いと、譬喩を飾りながら宙に吐いた。]

 籠の外、行って見たいと思うことはあるの。

[どうせ今宵の此れもまた夢の続き。
微温湯に浸かる様な微睡みの中、蝶は花に夢を綴る。]

(138) 2014/09/18(Thu) 21時頃

営利政府 トレイルは、メモを貼った。

2014/09/18(Thu) 21時頃


[悪辣なる男には数多の噂が纏わりつく。
購われた徒花は、行方知れずになっただとか、
大金に任せ、見世から見世を渡り歩いただとか。

当人に問いかけても箔がつくと嗤うばかりで、
根も葉もないと、花を喰らう。
手癖も手口も優美でなく、洗練でなく、作法を知らぬ。

そんな男の手に今宵堕ちたのは、花にしては未熟な銀月。
月下蝶を尻目に、夜蛾がひら、ひら、飛んだ。]


[本当に待っていたのは月ばかりではないけれど、
それは男が張り巡らせる誰も知らない秘密の姦計。

月下蝶に櫻花の君。
狙いままに下りくれば、同じ蝶にのみ届く音階で笑気を漏らす。]

 そう、物欲しそうにしなさんな。
 今宵の月輝は俺が買った。

[挑発の声色が伝える理。
望まれれば銀月は身体を開き、心を砕く振りする。
誰にでもこうして、蜜を与えるのだと思い知らせるように。]


[櫻の花と黒蝶の交わす囀りを。
毒蛾の漏らす笑気を。

僕はただ聴いていた。

花に留る蝶を演ずるならば慣れねばならぬのだろう。
毎夜訪れる夢が一度限りの誠であることに。
眠りに落ちて見る夢がそうであるのと同じように。]


 
‘Tis better to have loved and lost
 than never to have loved at all.

(一度も愛したことがないより、
 愛して喪った方がどれほどしあわせか。)
 




[呪詛に軋んだのは、僕の心だったのでございます。]
 
 


[面と向かい合わせ、とはいえど彼が此方を向いたかどうかは分からない

背を向けたままだったかもしれないし、対面していても視線は合わせてくれなかったやもしれぬ
さらりと焦げ茶の髪が夜風に揺れる
今宵も蝶は舞うのだろうか。色鮮やかな花の上に
だとすれば今宵この月を割れた鏡で蝶から覆い隠してしまったのかもしれない

明日には逢えなくなる月
友と呼んでもらえる資格ももう無くなる
下町の娼館に払い下げられる]

――朧

[小さく、友の名を呼ぶ
その声はきっと不安と、哀愁に満ちていたろうか
下町の娼館はここほど甘くない
金を返せなければ薬漬けにしても、日に何度客をとらせてもいいとばかりに無体を強いるらしいと噂に聞いた
ならば最後に彼に覚えていてもらえるなら綺麗な笑顔のままの自分で居たい
忘れてもらえるなら、酷く醜い藤のままで居たい]


[だから、今から云うのは凄く身勝手な願いであるとわかっていた
栞の花言葉に込めた願いが本当のものであると、悟ってほしくなかった]

私の事は、忘れて下さい

[忘れないで。ずっと友として傍にいたかった]

――――月と藤とでは、住む世界が違ったんです。

[貴方の年期が明けるのを、共に祝いたかった]

貴方もそう、思うでしょう?

[お願いそう思うなんて云わないで]


だから、私の事など、いなかったとお思い下さい。
根腐れする花など――最初からいなかったのですよ。

[囁き落としてくるりと踵を返す
彼に最後向けたのは、極上の笑みだった
踵を返した後、頬を伝い零れ落ちる雫は見ないふりをして]

では蝶が呼んでおりますので、これにて。

[さようなら、と泣きそうな色を帯びて小さく呟いた声は、彼の耳に届いたろうか]


――ああそれとも。
"また一緒に"向かわれますか?

[問う声は、震えていないと信じたい
着物の袖を握る手は、酷く冷たい]


[小さく、名を呼ばれる。
何処か気まずそうに、それでも確りと藤之助を正面に見据え瞳を覗き込むように見る。
黙って我が友の話を聞き進めていけば、段々と表情は暗くどこか苛立ちの色が混ざっていく。

事情は知らぬが、何かがあった事くらいはいくら鈍感な朧でも察することができた。
そのくらいの情報は、朧の手元にあったのだ。

それゆえの、苛立ち。]


 藤之助。言いたい事はそれだけか?


[全てを話せとまでは勿論言わない。
だが突然、そんな事を言われてしまえば驚かない筈が無い。
何時もならば確りと言葉を選び発するが、選ぼうともせずに口を開く。
背を向けた藤の花に、問いかける。
女々しいものだと分かっていながらも僅かに声を荒げる。]


 ――お前を唯一無二の友だと思っていたのは、俺だけだったんだな。


[懐に仕舞った栞の花言葉の意味と真逆の言葉を吐く藤之助を、ただ真っ直ぐに見つめた。
それでもそのまま歩みを止めないようならば、静かにそれを見送るのみ。

一つの花に『月』如きが心を開いた結末がこれならば。]


[震え声も知らぬふりをしよう、泣きそうな声も自分の幻聴だと言い聞かせよう。
『最初から藤色の花などありはしなかった』と瞳を閉ざそう。

向けられた極上の笑みは、笑み、は……]


【人】 営利政府 トレイル


 ――……

[酷く強く、耳に、脳に浸透した「負の言葉」>>150
思わずぴたりとタオルに掛かる手は動きを止め、また息を吸うことさえ。

――朽ちると、ちいさくちいさく囁かれたその綴。
かの中庭の夏花のように、月光に照らしても生き返ることは無く
…この花も、苗床を喪ったならば、その身を――綺麗な花弁を、ぼろぼろと零してしまうのだろうか。
  其れはまるで、雫を垂らす人の様に。

されとて強い拒絶の裏、伺い見た花の顔は、「いつもの笑み」
雫の気など毛頭見せずに健気に咲く花。夜の櫻。
何処から見ても美しく、軈て散る花。刹那の夢。

ぱちり。ぱちり。
瞬きふたつ。牢に囚われた翅の代わりに狐色の睫が宙を跳ね。
枯れ朽ちるのならば水を遣ろうかと、開く唇は静かにこくりと腹へと下った。

どうせ今宵も、蝶は蜜をば吸う側、花を枯らす元なのだからと。]

(163) 2014/09/18(Thu) 23時頃

【人】 営利政府 トレイル


 …籠は窮屈で仕方が無いけどね。

[花が何に想いを馳せ、何を抱えるのか。
上を向いては月が煌き、下を向いては土色が咲く。
唯只管それを繰り返す真の花の気持ちなどは到底分かり兼ねるけれど
――夢物語ならば、いつかは王子が迎えに来るのに。なんて。

そうしてゆうるり再度手を動かし始めると、今度は髪先へと締めに上がる。
水分を無くした髪は、先よりかは柔らかに成っただろうか。
片手をタオルから外して見れば、その髪に触れては直に撫で――

――その際視界の隅にて見えた光景、淡藤が毒蛾の翅に抱かれている>>143事を知ったならば。紺瑠璃を大きくさせては揺らしたことだろう。]

 …の、…毒蝶…

[掠れる音色は、震える声は、誰の鼓膜を突ついただろうか。
自分が欲した銀月に、安安と触れる蝶に抱くは嫉妬か、はたまた別の感情か。
その銀月が此方を見た>>160事など、狭まった視界では目にも入らず、ただ乾いて行く脳内と喉を自覚し得ては唇を噛み。]

(164) 2014/09/18(Thu) 23時頃

【人】 営利政府 トレイル


 ……月は誰にでも優しいから。

[――それはまるで、幼子の対抗心を露わにしたもの。
睨む様にそちらを見詰めたならば、直ぐに逸らしては目前に揺蕩う蝶へと視線を落とし。
その射干玉の毛先から布がするりと抜けたならば、震えを抑えた声色で「出来たよ」と。…花に終わりを告げた。]

 ねえ、キミ達って普段、何してるの。

[そうしてまたも紡がれるは、花の事。
空気を変えるかの様にまた、話題をすり替え。
その布団にごろりと寝転がったのならば、頬杖をついては丸窓を見上げて。また坐る花へと視線を移せば、ぽんぽんと先の通り自分の横を無言で叩く。]

 キミはさあ、さっき中庭を手入れしてたみたいだけど。
 …秋の花、なのかな。綺麗だけど、色彩が眩しかったよ。

[記憶を思い巡らしながら、視線を牢の床へと移し。
脳裏を彩る花々を思い出しながら、再び唄う]

(165) 2014/09/18(Thu) 23時頃

[言いたいことはそれだけか?という言葉
違う、と咄嗟にでかかったものを飲み込んで
嗚呼振り向きたいのに泣きぬれた顔では振りむけない]

……――

[一瞬、最後の言葉に歩みは止まる
でも覚えておいてほしいのは、こんな泣き顔じゃない

心を切り裂く言葉には背を向けて、振り返らずに歩もう
月を陰らす雲であってはならないと、唇を血が出るほど噛みしめて
やがて曲がり角に差し掛かればがくり、と崩れ落ちて嗚咽を零す]


……私、だって
貴方の事を唯一無二の友と……っ朧―――

[ぱたぱたと涙が転がり落ちる
藤の着物は、濡れにぞ濡れて
本当は其の背を、追いかけてほしかったなんて、言えない]


[そんな笑い方をするのはやめろ、と。
肩を掴み止められれば、どれ程良かったか。

一度歩みは止まったが振り返る事も無く、音も無く去っていく背を見送って。
崩れ落ち泣き濡れている事など知る由も無く。

もしも俺が『蝶』ならば。
もしも、俺が友となる事が無かったのなら。

藤之助にあんな顔をさせずに済んだのではと、ズキリと痛む胸を抑えながら逃げるように逆方向へと歩きだした。

宵闇が裂け、朝日が昇り、事の次第を知れば。
………生涯藤色の花を忘れる事は無いのだろう、忘れられないのだろう*]


[昔々のお話。
朧と言う名の花が一つ花籠に加えられました。
手を引かれやって来たのは9つの年の頃、花主へと手渡したのはその子の父親でした。
酒浸りの女浸りの毎日に嫌気がさし、母親は我が子を置き去りにしてゆき、
そしてとうとう、その日に暮らすための金さえも確保できなくなったのだそうです。
暮らしに困らない程度の金を手に、息子の姿を振り返ること無く花籠を去っていったのでした。
残ったのは親に捨てられた子供らしくない幼子と花主。
『朧』という名を幼子に与えたのは花主だったか、様々な知識を分け与えてくれた花だったかは覚えておりません。

外の世界を望まなくなったのは、はてさていつ頃の話でしょうか。
花としての心得、話術、知識を充分に蓄えた頃には、既に花弁が開き始めていたのは確かです。
そして幾つもの季節が通りすぎ、いつの間にやら完全に根を張り花を育てる手伝いをするようになっていたのです 。
めでたし、めでたし?]


ー回想・そして今ー
[幼い頃の自分は、とかく元気だったという
雪山の麓に生まれた自分は、他の兄弟姉妹と同じく白い肌と黒い髪をしていた。しかし冬が厳しい場所で暮らして居れば、金子も食べ物も足りなくなるのは世の常……親はいくばくかの小金と引き換えに、子の一人を売り渡した

売り渡す際に藤色の髪留めで子の髪をひとつに束ねた母親は、子供にこう告げた]

――鏡でありなさい。人の心を映す鏡
そうすれば傷つくことも何もない――

[子供はその言葉を覚えていた
花主に連れられ雪の峠を越えて花籠に来た時も。その時結んでいた髪留めの色から藤と呼ばれるようになった時にも鏡であり続けた。客の、先輩花の、花主の。望む鏡花であり続けた

そんな鏡の面が細波揺らめく様になったのはいつ頃だろうか
それは初めての友ができた時からだと思い至る
月の様に美しい横顔、月光の様に柔らかく笑む姿がまこと麗しい人。どこか人づきあいが不器用そうに見えるが後輩の花にも親切で優しい人
その先輩花に懐き、心開いて。いつの間にか互いに友と呼ぶようになっていた。それが幸せだった]


[いつか年期が明けたら自分の故郷を見てみないか?なんて尋ねたこともあったろうか。雪山にかかる月が、それは見事に輝いているのだと

そういえば、母はあの言葉の――鏡の様であれという言葉の後、何かを云っていた
ああそれは何だったっけ

今宵の客は煙草の煙が薫る蝶。自分の花としての最後の客
明日には下町の陰間として払い下げられる身。銀蝶の揶揄には苦笑しか零せない。何せ最後の最後まで自分の心の声は、友に言えなかったのだから]

――鏡でありなさい。人の心を映す鏡
そうすれば傷つくことも何もない――でもね

[月の光が地下牢に届く
今宵朧月は見えるだろうか。無意識に虚空に手を伸ばす
月を欲しがり泣く子供ではない。そんな無邪気な季節は過ぎ去った
そんな折、別れ際に聞いた母の声が蘇る]

でもね――自分の心に嘘をつけば
嘘で割れた鏡の破片は相手も自分も傷つけるのよ――

[思い出した時には、既に――遅かった*]


【人】 営利政府 トレイル


[緩やかに尖ったこころを花に肯定、包まれたのならば>>177
その尖りも少しは落ち着いただろうか。

ごろりと横に転がる花から漂うのは、微な櫻の香。
鼻をついたその香に目蓋を休め、その蝶頭に春先の桜を辿らせながら
それでも夜咲く櫻には叶わないだろうと、ちいさく吐息を洩らした。

擦り寄る躯は如何にして受け容れようか。
まるで幼子だと先の自分を棚に上げ、乾いた髪を一撫で。
その髪飾りを指で摘まんだならば、世辞のひとつでも投げただろうか。]

(194) 2014/09/19(Fri) 01時半頃

【人】 営利政府 トレイル


 琴…嗚呼、ここに初めて来た時、ちいさくその音を聴いた気がする。

[――それに乗る、まるで溶けて消えそうな歌も。

軽やかな琴の音に乗った愁いを帯びた柔らかな聲。
琴の音もまた、夕闇に生えて綺麗なものであったと。

そうしてころころと隣から鳴る鈴の音に、心地良さそうに目尻を緩めては目蓋の裏にて視線を当てる。
宴の間に響く嬌声など弾いてくれそうなその鈴の音。
ころころ。ころころ。
先の悲しい話とは変わった音に、暫し安堵さえ心持に。]

(195) 2014/09/19(Fri) 01時半頃

【人】 営利政府 トレイル

 おぼろサン、っていうのは分からないなァ…
 お茶、美味しいんだ?
 ならその琴の人と共にすれば、良いひと時を過ごせるんだろうね。

 部屋に飾る花はキミが生けてさ。

[空気に乗せる言葉はただ夢言葉。ふよふよと甘泥な蜜に脚を付け、微温湯にこころをふやけさせる。
――そこまで花を揃えるのは、大変そうではあるけど。
蝶方の聲を思い出すと、咽を鳴らす。

軈て続けられた唄には釣られるようにはにかみ笑い。
蝶はその翅を花頭に当てて、またもや手を滑らせた。]

 チョコレート…?

[そうして手に入らなかったと悔やまれた庭花の事を、なにとか頭に埋まる知識で探しては見るけれど。花のことに疎い自分は到底分かるはずもなく。
「お腹が減りそうだね」――なんて。
そんな浪漫の欠片も無い事を、花へと告げ。

長閑な夜は、緩に過ぎて行く。*]

(197) 2014/09/19(Fri) 01時半頃

[煙草の香りはいつも彼から薫る刻み煙草のモノとは違うが一時溺れ忘れ去るには十分な刹那の香り

黒衣の背越しに見上げる月
せめて雲に隠れぬ様にと、懇願するように見つめるも――やがてそれは雲に隠れて見えなくなって

一筋、涙が零れ落ちた]


営利政府 トレイルは、メモを貼った。

2014/09/19(Fri) 01時半頃



[蛾に毒された月を、男は果たしてどう取るだろうか――

櫻と話すその横、近くの牢。
冷たい籠の中にて咲く月は毒に侵され犯されて。
月の口から紡がれる言葉はどんなものか、気にはなるけれど耳は届かず。

先の蝶声にて囁かれた挑発には、思わずに大きく顔を瑜伽め口先から厭味に似た負けず口を、「――月は誰にでも優しい」と、優美な銀月を想って只々口先を切る。

そう。花は誰にでも蜜を遣る。
されとて月も、拒む術無く誰彼を照らす。

ただ其の事実を櫻の唄を通して解ったならば――胸に燻らせる思いは、そう。怒りなどでは無い。妬みなどでも到底無い。
ただ銀月を手中に収め切れずに居た自分への恥と、――僅かな寂寥。]

 …明日は蛾でも、愛でてみようかな。

[ぺろり。口端に舌が這った。*]


可愛い、可愛い吾が子達。
今宵も大層疲れただろう。

部屋でゆっくりと休むがいい。

[男は今日も地下牢へとやって来ては、吹雪を降らせて花々を見下ろす。
優しげな面持ちで、或いは非道な笑みで。
一輪、一輪、狂気を含んだ声が撫で付けた。]


丁よ。
お前は屈折していて可愛らしい。

吾が子に相応しき、素直な焔花。


亀よ。
お前は夢見がちで悩ましい。

銀月映す、儚き水面花。


櫻よ。
お前は頑なでいて微笑ましい。

散るを知らぬ、咲かない櫻花。


朧よ。
お前は動じぬ姿が誇らしい。

陰る貌こそ、艶かしい月花。


藤よ。
お前は磨かれた心が、美しい。

割れれば綺羅綺羅、光はなつ鏡花。


明日も甘い毒抱きて、蝶を誘い惑わせるがいい。

愛しい“罅割れぬ”花たちよ。

[口許に三日月を浮かべて嗤い、男は消え行く。
一輪切り捨てることを、暗にして。]


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