42 廃棄人形ーeverlasting love marionetteー
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[どうしようも無いときは開き直れ。
というのは己のポリシーの1つなのだが]
…今回ばっかは墓穴掘った気がする。
[心に余裕の無いときにやるもんじゃなかった]
もし。ただの友達で居続けてくれたなら。
[己はこんな歪んだ感情を抱くことは無かっただろう。
こんな苦しい思いをすることも無かっただろう。]
―夢―
[それはまだ東方の島国に居た頃の記憶。明るい光や音が溢れる縁日の神社。そんな中、少女は光や音から逃げるように境内の裏で蹲る。]
・・・・・・・・・
[ただ虚空を見つめ、己が朽ちるのを待つ。そのまま誰にも気づかれず死んでいくのだと、そう思っていた。]
・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・?
[突如、虚空を見つめていた少女の目の前に鏡が現れる。だが、鏡に映るのは自分とは違った。綺麗な着物を身に纏い、何が楽しいのか笑顔を浮かべる、そっくりだけどまったく違う少女]
[見たい姿を映す魔法の鏡だろうか?そんな事を考えつつ鏡を見つめていると鏡が動いた。鏡を追って視線を動かすと、そこには驚いた表情の男性の姿]
『こんな所で何をしているんだ?』
[男性の声。少女は答えない。しばらく男性を見つめていたが、それに飽きると虚空へと視線を戻す]
『両親は・・・』
[続けて聞こえて来た男性の言葉に静かに首を振る。両親は居ない。気付いた時には少女は一人だった。]
[声が途切れる。男性と鏡は去ったのだろう。そう考えていると、突如、頭に暖かいものが触れて]
・・・・・・!
[驚いて見上げると男性がすぐ傍まで近づいて来ていた]
『もし良かったら家に来ないか?』
[思いもよらない言葉。少女はどうしたらいいのか分からず、視線を虚空へと戻すと、小さく一度頷いたのだった**]
[ソフィアの言葉が、いちいち胸に刺さる。
苦しい。息が、できない]
・・・・・・そんな事が・・・
[サイモンの事は知っていたが、知らぬ振りをする。しかし、主人に嘘をついていると思うと胸が痛んだ。ケイトの話を聞くと昨日のサイラスの事を思い出したが、それも主人に告げることはなかった]
『――漆塗りの手鏡さ。正真正銘東方の島国産だぜ』
[ゾクリ。鏡という言葉に寒気が走る。そっくりだけどまったく違う人形を見ているようで、鏡は苦手なのだ。]
・・・・・・いや・・・
[鏡を見ていると、自分が誰なのか分からなくなる。人形なのか、人間なのか。]
・・・・・・私は・・・人間だ・・・
[自分に言い聞かせるように呟き、ひたすら逃げるように喫茶店までの道を走る]
…昨日のは、俺。
ちょっといろいろあって……
[ぼそぼそ、夕顔の耳元で囁く]
大丈夫。迷惑はかけない。
・・・やっぱり貴方でしたか。
[ココアを受け取りながらサイラスの言葉を聞く]
いえ、気にしないで下さい。
私だけ手伝ってもらうのは不公平ですから
・・・・・・私も手伝える事があるなら手伝います。
…そうだな、そう言ってくれると助かるよ。
[ひとつ頷いて]
今のところ、俺は他に誰が人形なのか分からない。
「次」があるなら、それが分かってからになる。
・・・残念ですが、私も誰が人形なのかは分かりません。
[サイラスに答えて微かに視線を伏せる]
・・・・・・「次」・・・ですか。私は・・・あの時はただ必死で・・・・・・
「次」があるかは・・・まだ、分かりません・・・・・・
そうだ。私は人間だ。
・・・・・・人形なんかじゃ、ない・・・
[自分に言い聞かせるように小さく呟く]
…そうか。
俺は、また恋がどーたらうるさいのがいたら……多分、また。
[それは既に目的ではなく、昨夜の自分を正当化するための手段に成り代わっているけれど]
[夕顔の呟きが耳に届くと、何か言いたげに口を開いて]
……。
[結局、何も言わない。
こちらにも詮索されたくない事情がある。それはきっと彼女も同じだろう]
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