147 書架の鳥籠
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[彼女のさいごの願いほろりと明かされ]
――…、
[――あの静かな最後の時間が思い返さる。 願われていたのは。少し、気づいていて。 なんとなくだけれど。少し、そんな気がしていた]
神様に、どんなお礼をするのかね?
[伏せた目の邪魔にならぬ声量。 側頭に頬を寄せたまま尋ね聞く。
尋ねの合間も男の指は髪を梳き、 編み込みの絡みを解いてゆく。
さらさらさら と、零れる金糸雀]
(72) sin 2013/10/11(Fri) 01時半頃
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…たとえば。
[やがてぽつりと]
神様がもうひとつも魔法のように叶えてくれると… そんな風に言ったら君はどう想うか。
[そんなことを*聞いた*]
(73) sin 2013/10/11(Fri) 01時半頃
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[ 皆と違う場所。
墜ちていく声は拾いづらく]
――…、また 逃げるのかい。
私の前からも消えて、誰の前からも消えて…
逃げる事で罪を背負うと、 いうのかい。
[疑問符のつけず語尾を上げない聲。]
シメオン君、
[説得する言葉はいくらでも出てくる。
敢えて自分の身の上話もしてこなかった。
あるはずのない命の天秤にいくつも命を乗せてきた。
同情を誘うつもりなど毛頭なくて
唯、思うままに言葉にするなら ―――]
…シメオン君。
君が逝ってしまっては、私は さみしいよ。
――……。
[それは違う、けれどそうとしか見えないのだろう。
敢えて何も言わなかった、理解される必要は無いと、自分のことなど忘れればいいのだと。
やがて諦めるだろうと思っていたから]
……悪いね。
来世があるなら、こんな大人の言うことを聞かない子供は持たないようにね。
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―書架の中>>74>>75>>76―
[抱くグロリアが零す笑みと久しぶり]
ならば私の役得だ。
[撫でつ男の声も笑う。 胸に過るさいごのひととき想う手は背に添う]
――…ああ、
[まるで、ゆるされぬと、秘める声に零す吐息。 彼女はきっと彼女ゆえに自分をゆるさぬまま]
それは、困る。…困ってしまうよ。
[途方に暮れた声は、苦笑を添えて] [震える肩をぎゅっと抱く]
(97) sin 2013/10/11(Fri) 23時頃
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うん…、 もし、君が、
明るい道をゆけぬのなら。 私もきっと同じになろう。…同じなのだ。
[背に罪があるが故に堕ちるならば。 ここに立つ自分も、生き残る彼らも、同じこと]
私はちゃんと、生きていくから。 どうか君は明るい先を示してはくれないか。
それが私のさいごの願いさ。
[前を向くまま願いを告げて。 抱く腕の力をそと抜けば、抱擁の終わりを示し 彼女の顔がおのずと上がるを静かに待つ]
(98) sin 2013/10/11(Fri) 23時頃
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謝ることはないさ。
…、来世、か。
そのようなものを
考えてもいなかった。
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ところでね。
[そのタイミングはいつだろう。 彼女が答えた魔法への想い受け取り紡ぐ言葉>>76]
先ほどの魔法の話だけれど。 君の家名を私にだけは教えてはくれないか。
魔法のように叶えられるかは判らんが、 君といたから見つけたものを。 届けに行きたいと強請るのさ。
[視線促す先は胸元に眠る小瓶ではなく。 彼女と開いた数多の書を示してから]
(101) sin 2013/10/11(Fri) 23時半頃
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君は、
がんばりやさんの私が がんばる姿は好きだろう?
[向けた笑みは悪戯。片目を瞑ってみせた*]
(102) sin 2013/10/11(Fri) 23時半頃
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―書架の中>>104>>105>>106―
[抱擁のひとときは過ぎ去り対面の今。 男は彼女の言葉、ひとつひとつ受け取って]
本当に――困ったひとだ。
[紡がれる名。首傾ぐ彼女へと眉を下げて]
けれど私は、そんな君が好きだよ。
[微か浮かべた笑みはいつかと同じ観念の色] [揺るがぬ意思持つ戦友へ抱くは誇り。 男はすくりと立ち上がる]
(124) sin 2013/10/12(Sat) 00時半頃
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…戦い行く君へ。
[手を伸べる] [座り込むままは君の出発に相応しくない]
私は私の行くべき場所へ。戦いにいこう。 君が背負ってくれるから。 辿り行く先はきっと明るいのさ。
君もそこに居ると信じているよ。
[伸べた手に触れるものはあったのか]
(125) sin 2013/10/12(Sat) 00時半頃
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[やがて彼女の幕が先に降りる] [さらさらと。砂時計の砂零れ落ちるように] [笑み浮かべ見届ける男に残されたもの]
ほんとうに…きみは…
こまった ひとだな ――グロリア。
[呼ばわる名に応える声はもうない。 俯き拾う一輪の薔薇。そっと胸元添えて、手を置くかたち。 深々とした礼はいつまでもいつまでも――*]
(126) sin 2013/10/12(Sat) 00時半頃
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[やがて男は、先を行く]
[胸に添える一輪の薔薇。時の終わりは近い] [足が向かう先はいつか友と並んだ吹き抜け] [手すりへ背を凭せて佇む時間。 壊れた大時計とこぼれ落ちる満点の星を見上待つ]
(127) sin 2013/10/12(Sat) 00時半頃
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―吹き抜け―
ふむ、洗濯屋。 ご機嫌はまずまずだが。…まあ――
[あの時と同じ場所。 待っていたそぶりなど見せず。 続く言葉あの時から欠けるに任せ]
なかななに。 ロマンチックというやつさ。
[小さく笑い肩を竦める。 降る星に、漂う蛍火。魂の静音。 どこへとなく視線は流れる]
…、もうすぐ終わりだな。
(134) sin 2013/10/12(Sat) 01時頃
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夢の続きは――… どこ、だろうな。
[宛てなく探すここではない何処か] [もの想う瞳は、やがて友へと降りて]
家に、帰るさ。
[これからを問う声に、答える声は迷いなく]
おまえはどうする?
[願い叶わぬ友へ、男も先を問う]
(141) sin 2013/10/12(Sat) 01時半頃
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そうか。
[ガキどとも零されるもの。 線引きの向こうの友の生活の欠片に触れる]
ふむ…、
[いつもと変わらぬ口調の友へ。 寄り道の先、しばし心当たりを胸に問う間]
ここで、好いさ。
[まなざし、ここが好いと。友へと留まり] [名残惜しさはまっすぐ交える視線の中に]
(148) sin 2013/10/12(Sat) 01時半頃
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ああ、ここが好い。
[笑みに細まる男の瞳が映すのはただひとり]
けれど私は、家に帰るよ。
私は、良家の跡取りとして 私は、妻を残す夫として 私は、生まれて来る子の父として
残された時間をあの場所で幸せに過ごす。 たとえそれが偽りからものものであっても。
惜しまず愛し、惜しまず尽くし。 やがて来る不在の時へ、 幸せの足跡を残しにいくさ。
(152) sin 2013/10/12(Sat) 02時頃
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――ところでおまえは、
[おもむろ男は話を区切る]
そんな私の大舞台にあがる気はないか。
すじがきはあるが、 そこから先はなにもない。
[なにもないと]
なにもないのさ。
[重ねるそれへ、笑みに微か灯る]
(153) sin 2013/10/12(Sat) 02時頃
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参加資格は根気と”いい性格”。
キャストは自分で選び取るのさ。 さあ、乗るか?
[小さな悪巧み、笑みへと乗せて。 内ポケットから取り出した小さな小瓶。 一度宙に放るとスナップを利かせぱしりと掴む。
秘密の小道具はこの手の中に]
(154) sin 2013/10/12(Sat) 02時頃
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[ 君の手の中には何がある? ]
(155) sin 2013/10/12(Sat) 02時頃
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[子犬の目は道行く人間達に注がれている、誰かを探すように]
(迎えに来てよ、待ってるからさ――*)
…、ありがとう。
[ひと言、ようやく出てきた言葉は 感謝の言葉。
ひと言に含まれた意味は幾重。]
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[ 遠く潮騒の音が聞こえる ]
(162) sin 2013/10/12(Sat) 02時頃
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[開けたままの窓からは海風。 白いカーテンが心地よさげに揺れている。 透き通るような陽射しがくすぐるのは 君とともに描かれた肖像画。 写真立ての前には一輪薔薇が添えられて*]
(164) sin 2013/10/12(Sat) 02時頃
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