56 いつか、どこかで――狼と弓のワルツ――
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[バーナードと話している間、表には出さずにムパムピスへ必死に声を掛け続けていた。]
なんで、だよ……。嘘だろ。
死んだとか許さねぇ。
何で此処に居るお前が先に殺されるんだよ。
先に逝くのは俺の方だろ?
なぁ、おい。
返事しろよぉぉぉ!!!
[しかし――いくら叫んでも、返事が聞こえることはなかった。]
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…引くぞ。
[ベネットを回収しようとこちらに駆け寄ってきたペラジーを目に入れて、衛生兵が出張ってくる事ができるまでに戦況が落ち着いている事を把握して。
ペラジーに大声で名を呼ばれているイアンを目の当たりにして、一呼吸置いて。]
(35) 2011/07/02(Sat) 12時半頃
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一時撤退だ! 余裕のある者は負傷した兵を連れて防衛線まで後退しろ! [戦場で今なお牙を向いている同胞に向けて、鋭い咆哮をあげた。]
(36) 2011/07/02(Sat) 12時半頃
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還るぞ。
[血で染まる大地に横たわる狼に小さく鳴いて。
血に汚れた手袋を外し、その狼の頬と額を撫でてやる。]
[目の前が赤に染まる。
頬と額を撫でられ、どこか穏やかな気分になる が]
俺は、…
ッ ――――――… !!!!!
[続きの言葉を紡ぐ代わりに、
出てきたのは、怒りとも、悲しさとも、形容しがたい咆哮。]
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あまり時間がない。 急げ。
[ベネットを運ぶと言うペラジーに声をかけて。 ペラジー達を先に向かわせた後にオスカーもまた、撤退しようと愛馬を呼んだ。]
お前も先に行け。
[イアンを先に行くように声をかけ、自身は数名の騎兵達と共に、しんがりを勤めようと。]
(38) 2011/07/02(Sat) 13時頃
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落ち着け。
[ベネットの死を前にして、自身を乱している様に見えるイアンにも、ベネットと同じように安心させるように頬に触れて。
続く彼の咆哮は、ひどく胸に響いた。]
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― 砦 ―
[生きている騎士たちを撤退させ、ようやく砦へと戻ってきたオスカーが耳にしたのは、フィリップと神父が自分の捕まえた捕虜に殺されたと言う話で。]
何だと…逃げた捕虜は何処に居るんだ!?
[オスカーらしくもなく、その情報を伝えに来た兵に大声で詰め寄ったのだった。]
(42) 2011/07/02(Sat) 13時頃
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…ああ。
[咆哮は収まり、息を大きく吐き出す。
赤みを帯びた瞳が、ブラウンに戻っていく。
それは静かに、静かに怒りを胸の内に溜め込むように。]
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― 遺体安置場 ―
――…
[安置場に横たえる彼遺体は数知れず。 オスカーは入口に立つと、散っていった仲間達に十字を切った。 そして並べられたフィリップと神父の遺体を探し、その前に立つともう一度十字をきり、額に手をあてた。]
(60) 2011/07/02(Sat) 22時頃
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[ふと、聞こえた彼女らしくない囁きに、顔を顰める。]
…誰のせいでも、ねーよ。
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[自分が捕らえた捕虜が、どんな人間だったのかはわからないが、少なくともまだ捕まっていないという事は、ある程度の技量の持ち主だろう事は予測されて。]
…っ、しょうがないか。
[顔を合わせる事を避けていた赤騎士団の参謀の姿を探す。]
(63) 2011/07/02(Sat) 22時半頃
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[その囁きは、自分で少し、吐き気がした。
“ベネットが死んだのは、誰のせいだ”
―――、考えるのが怖かった。
それは、オスカーへの囁きではなく、
自分自身への慰めかもしれないと。]
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[溢れる人々の中に、さらりと揺れる金髪を見つけて、オスカーはその男の元へと歩みを進めた。 参謀のディーンとは、昔から仲が悪かった。 オスカーが参謀方からの命令を全く無視し、団長だけの命令を聞いてきたせいである。]
…すまん、頼みがある。
[思ってもみない人物からの頼みに、男は眉間の皺を更に深くした。]
(65) 2011/07/02(Sat) 22時半頃
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[彼からの囁きには、無言でかぶりを振って。]
…俺は、やることがある。
お前は休んでろ。
[ベネットの事で、受けている精神的ダメージは大きかろうと。]
…俺が、守ってやればよかったんだ。
[自分を慕ってくれた彼の顔を思い浮かべて。
か細過ぎる程の鳴き声は、向こうには届かないだろう。]
[やることがある、と言われて何を思ったか]
なあ、お前、俺の傍に仕えるのが役目だったよな。
……何かあったら、タダじゃ済まねーぞ。
[それは、遠まわしの心配で。]
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俺が昨日捕まえた捕虜が、地下牢を抜け出して砦内で人を襲っているらしい。 もう、二人殺られた。
[そこまで言うと、ぎゅ、と唇を噛んだ後に言葉を続けた。]
砦中に知らせて、注意喚起参謀してくれないか。 あと、参謀やローズマリー様に、護衛を付けてくれ。 一人にさせるのは危険だ。 お前もだ、相手に狙いがあるのかはわからんが、狙われるかもしれん。
(68) 2011/07/02(Sat) 22時半頃
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相手を甘く見てた、俺の責任だ。
俺が、そいつを探して、殺る。
[最後の言葉は、ディーンの碧を見つめたままに、はっきりとした口調で。 それだけ言うと、返事も聞かずにディーンの前から立ち去った。]
(71) 2011/07/02(Sat) 22時半頃
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俺がいないと不安か?
[俺は大丈夫だと安心させる様な声音で。]
こう見えても、…寂しがりなんだよ。
[どこか余裕を持った声色に、
冗談なのか本気なのか取れないような言葉を。]
命令なら行ってやらん事も無いぞ。
[男に返す声音は、何時も通りの淡々としたもの。]
…俺が捕まえた捕虜が、脱走した。
フィリップと、神父がそいつに殺された。
お前も気をつけろ。
[いくら剣の腕が良くても、人を殺す技術に特化した人間を相手にする事は難しいだろう。]
へえ、んじゃいつでも命令される準備しとくんだな。
[いつも通りの彼女の返答に、
自分も少しだけ、いつもの調子を取り戻して。]
誰にモノ言ってんだ。
…見つけたら、殺す。
[睨みを効かせた瞳は、赤。]
お前には、無駄な危険を犯してほしくは無いのだが。
[殺気を漂わせるような囁きに、ゆったりとした口調で返して。]
…俺が殺るから。
オスカーは、捕虜の姿を探して砦内を歩いている。
2011/07/03(Sun) 00時頃
…なら任せたぜ。
[言って、今しがた公女から聞いた話を思いだし]
…どうも、姫様にも手ェ出してたらしいな。
領主護衛だって聞いたけど?
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