153 unblest blood
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[グロリアは優しい娘だったと記憶している。 一介の商人に対しても親身になってくれた彼女。 不穏な噂が流れる中、宴の誘いに応じる程度には情を抱く相手。 グロリアと親密である者の受けた衝撃は如何ばかりか。 知らず視線の向いた先にあったのは表情なくしたクラリッサの貌>>49]
クラリッサ嬢――。
[掛けた声も今の彼女には届かぬか。 ふらりと立ち上がり駆けてゆく彼女とそれを追うマドカ>>56。 男は二人から少し遅れてリビングを出る。]
(65) 2013/12/05(Thu) 20時頃
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[グロリアの部屋近くにはマドカとジリヤの姿がある。 ワイン呷るジリア>>62の傍までゆくと 中から女の泣き声>>51が聞こえた。]
――…。
[それだけでもサイラスの語った事が本当だと知れるが 扉をくぐり部屋の中に入ると寝台へと歩みよる。 寝台の上に残る灰とグロリアを示す赤薔薇のチョーカー、 それに黒のワンピース。]
くっ、誰が、こんな事を。
[哀しみに混じる奪われた悔しさ。 誰がという自分の発した言葉にはたとする。]
(66) 2013/12/05(Thu) 20時半頃
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[嵐が来て船は往来できぬだろう。 小島の屋敷に居るのはグロリアと招待客だった。 他の気配は感じられない。
ならば、集った者の中にダンピールが居る。 そう導きだすのにさして時間は掛からない。]
誰が、ダンピールで。 誰が、グロリアに二度目の死を――…、
[つぶやく男の表情は厳しい。]
(67) 2013/12/05(Thu) 20時半頃
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[まだグロリアの部屋に1人でいた頃。
灰になった彼女を眺めながら、同族の言葉を思い出す。
彼女だった物を睨みつけながら吐く言葉にどんな想いが詰まっていたのか。窺い知る事は出来ないが]
……迷惑、ね。それ、俺も入ってんのかな
[ひとりごちたところで、この場に彼はいないのだが]
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[クラリッサの嘆きの深さを泣き声から感じる。 だからこそありきたりな慰めを口にするのは憚られた。]
――…クラリッサ。
[彼女の名を紡ぐ。 薄桃のワンピースの肩へと手を伸ばし 浮かばぬ言葉の代わりに、触れようとする。]
(70) 2013/12/05(Thu) 21時半頃
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[視界に入ったクラリッサの顔>>79に表情らしきものは見えない。 震えた肩に触れる前に手は止まる。 胸ポケットからハンカチを取り出しクラリッサへと差し出した。]
――…。
[何処に、の声と殺意の篭る眸が鮮烈に映り込む。]
この屋敷に、居るのだろう。 少なくとも、この嵐じゃ島からは出られないはず。
[強い意志を感じるクラリッサの声>>81は これまでの彼女とは重ならず違和感を覚えはするが]
少し、落ち着け。 気持ちは分かるがダンピールの力は侮れない。 あの彼女でさえ、やられてしまったのだから……。
それに、キミに何かあったら グロリアは、きっと、哀しむ。
(82) 2013/12/05(Thu) 22時頃
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[涙拭うクラリッサの薄い笑みと声>>85に緩く頷く。]
逃げられないはずだ。
[それは島に残る者全てに言える。 脅威となる存在から逃げられぬから、戦うしかない、と思う。]
彼女の使用人が操る船は対岸に戻ったはず。 それに船があったとしてもこの嵐じゃ海にのまれるだろう。
[呪詛の話と彼女の経験を聞くと意外そうな表情が浮かんだ。 微かな揺らぎに、また、言葉がのまれる。]
――…。 仇討ちなら力を貸す。 一人で背負い込むな。
[浅く伏せた柘榴の双眸に静かに闘志を湛え低く囁いた。]
(88) 2013/12/05(Thu) 22時半頃
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[人間の子を宿したらしい知己の女吸血鬼はどうなったか。 最善の選択を、と彼女に言わなかった過去をずっと後悔していた。 ふとした折りにグロリアにその話をした事がある。 過去を肯定も否定もせずにただ手を握り傍に居た彼女の優しさ。 灰となった彼女を見て、そんな記憶を過ぎらせた。
先ほどよりも落ち着きが感じられるクラリッサ>>91に 仄かな安堵の表情を浮かべ]
――淑女だから好意を抱いたわけじゃない。 情の深さも激しさも、意志の強さも、 知らなかったキミの一面が知れて、嬉しい。
[軽い言葉を静かに紡ぐ。]
いきなり難題だな。 怪しいとするなら――…、直接の招待を受けずに来た者か。
[伸べられた彼女の手を掬うように下から重ねる動きをして 向けられた褐色を見詰め答えるが、術無き男に思いつくのはそんな事くらい。]
(97) 2013/12/05(Thu) 23時頃
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[探す力など無いから情報から手探りで探すしかないと思っている。 極端な話、敵意が見えれば戦うのが関の山だろうとも。]
ああ。
[短い音と共に首を傾げるクラリッサに頷く。 少なくとも幻滅する要素はないと伝われば今は十分。 彼女が浮かべた人物と男の考えた者は重なるがそれはわからない。]
今のところそれくらいしか浮かばない。 手掛かりがあればいいんだが――… この部屋にそれらしいものは見当たらないし。
[チラとフィリップの姿を目に留める。 唇を噛み締めるさま>>68からは何を考えるかは知れなかった。]
(107) 2013/12/05(Thu) 23時半頃
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[静かに触れて下ろされる手。 クラリッサの意識は既に別へと向くのが彼女の声>>105で知れる。]
――――。
[案じる言葉は掛けず、一度目を伏せ息を吐く。 扉の向こうへと意識向けるとまだ其処に気配と人影は感じられ]
レディーの部屋に長居してしまったな。 失礼するよ。
[グロリア、とくちびるのみで綴り、男は部屋を出る。]
(108) 2013/12/05(Thu) 23時半頃
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[マドカとジリヤ、サミュエルが話すのが見える。 彼女らの間を通り抜ける際に、ゆるく会釈をして そのまま歩み、玄関の方へと向かう。]
(109) 2013/12/06(Fri) 00時頃
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シーシャは、クラリッサ>>112の声が去り際聞こえ、「ああ」と是の響きを返した。
2013/12/06(Fri) 00時頃
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―玄関近く―
[同じ方向に向かうジリヤが立ち止まったのは 男が行こうとしていた場所と同じ。 途中から薄々そんな気はしていたからやはりという顔になる。]
海に還りたいのか?
[声>>115が聞こえて、思わず口を挟んだ。]
――…や、なんでもない。 邪魔をしたな。
[続く声に、ゆると首を振り、踵を返す。]
(117) 2013/12/06(Fri) 00時半頃
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―玄関近く―
[後ろ背に答えが返り足が止まる。 背を向けたままジリヤに顔を向けて]
切望するなら善処するが?
[困ったような笑みを薄く刷き、 冗談とも本気ともしれぬ言葉に答えた。]
俺も、此処に用があったわけじゃない。 ちょっと煙草を吸おうと思って、 人の居ない場所を探してただけだから。
[別段この場所に拘ってはいないとゆると首を振り、 去る必要はないと告げる。]
(120) 2013/12/06(Fri) 00時半頃
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――――…ふ。 冗談ならそれで良い。
[疑いの向く一人ではあるがどちらかといえばそれは未だ薄く。 ジリヤの応え>>124に小さく頷く。 歩んで来た彼女から差し出された一輪の花を見て 再び彼女の双眸を見詰めた。]
弔いの花。 十分に意味があるじゃないか。
[ジリヤへと向き直り花を受け取る。 立ち去る彼女の背を見えなくなるまで眺めていた。]
(125) 2013/12/06(Fri) 01時頃
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―玄関―
[人の気配が遠くなれば手元の花へと視線を落とした。 茎に指滑らせればくるくると花がまわる。]
花なんて俺には似合わない。 けど、これも、――…
[グロリアが来客の為に選んだ一つなのだろうか。 ちらと過る考え。 花がグロリアを思い出させ微かに胸を苛ませる。]
結局、挨拶くらいしか出来ないまま。 ――…土産も渡せやしない。 言付も、伝えられないまま。
[失って、寂しく思っているのだと、男は漸く自覚した。]
(129) 2013/12/06(Fri) 01時半頃
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―玄関―
[扉に背を預け天を仰ぐ。 嵐の激しさを扉ごしに感じた。 風の音が嘆きに聞こえ顔あげたまま目を伏せる。]
いつのまにこんなに絆されてたかな。 ほんと、困ったお嬢さんだ。
[グロリアへと向ける言葉。 彼女が聞けば綻ぶような笑みが見られただろうか。 共に過ごした時間を思い出し、花を握ったまま、俯いた。**]
(132) 2013/12/06(Fri) 01時半頃
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[潤してくれるのは「人」の血。
紛らわしてくれるのは「屍人」の血。
忘れさせてくれるのは―――]
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―玄関―
[グロリアに訪れた二度目の死。 ジリヤの言うように海に還ったかは知れない。 けれどある種の呪いのような、二度目の生が終わりを迎えて 人の輪を外れ人ならざる者となった寂しさから解放されていれば せめてもの救いであろうか。
けれど。 ダンピールの噂を口にし部屋に篭ってしまった彼女。 その様子からは二度目の死を微かでも望んでいたようには思えない。 ダンピールの存在を、二度目の死を恐れたゆえの行動に見えたから。]
――怖いなら守ってやる、って。 言ってやれれば良かったかな。
[呪詛から守る術など男は持ちあわせていない。 出来ぬ事を慰めとして言うのも酷だと思えば言えなかった。 花握る手を胸元までもってくれば、微かな甘さが香る。 男は俯いたまま、深い息を吐き出した。]
(138) 2013/12/06(Fri) 10時半頃
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[神に祈ることを忘れて久しい。 祈って救われることなど何一つなかった。 だから、グロリアの為に聖句を紡ぐ事もせず 失われた彼女に思いを馳せていた。]
折角の貰い物だ。 後で手向けに行くか。
[煙草を燻らせる気も失せて 上着のポケットに生花をさし扉を離れる。]
(139) 2013/12/06(Fri) 10時半頃
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[貿易商として様々な土地をめぐり 危ない橋もそれなりに渡ってきた。 何も持たぬ交渉の場で役立つ体術を身につけたのは自然の流れ。]
――ああ、けど。 得物はないよりある方が。
[便利だと考えて、荷物の置いてあるリビングへと向かった。**]
(140) 2013/12/06(Fri) 10時半頃
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―リビング―
[廊下を辿りリビングに入ると其処にはサイラスと 彼に話しかけるマドカ>>146の姿がある。]
……。
[一瞥して取り込み中と考え、 男はワゴン近くに置いていた荷物を手に取った。 それから椅子に掛けていた黒のコートを几帳面に畳み 鞄の中へと仕舞い込む。]
嵐が止むまで必要ないだろ。
[コートの代わりに中から取り出したのは繊細な装飾のなされたダガー。 実用品だが観賞用としても価値のあるもの。 一対を腰に携え、荷をリビングの入り口側隅へと下ろす。]
(147) 2013/12/06(Fri) 14時頃
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[人ならざる者でありながら 人の世でいきる為に人のように振舞い紛れていきる闇の眷属。 ある意味、演じるのには慣れているはずと思えば 親密でない者の嘘を見破るのは用意ではないだろう。 拭いきれぬ疑念の中でそれでも信じられる要素を探し選び取るほかない。
マドカはグロリアの知己、 サイラスは人を介してと記憶していた。
グロリアの死を知らせた彼が第一発見者であれば ミステリの常套で注視すべきかもしれぬと思うが、 真っ先にダンピールの存在を知らせた事が グロリアを殺したダンピール像とそぐわぬような気がする。
そんな風に考えて、視線を足元へと落とした。**]
(148) 2013/12/06(Fri) 16時半頃
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―リビング―
[一先ず用事は済んだ。 それでも直ぐに動かずにいるのは弔いが済んだか否かを気にしての事。 弔いの場に商人である自分は似つかわしくないと思っていた。]
嵐、いつまで続くんだろうなぁ。
[ぽつと独り言ちる。 この程度の声量なら、何やら話す二人にははっきりと届かぬだろう。 その程度の距離と認識するのは こちらからもあちらの会話内容までははっきりとは届かないから。]
(171) 2013/12/06(Fri) 22時半頃
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[別に庇い立てする義理もないけれど、
人生で初めて出会った「オナカマ」なのだ。
ジリヤが話したのは恐らく彼のことだろう。
何故、名前を出さなかったのか、本当に理解し難い。
理解し難いと言えば、
現場となったグロリアの自室の前で座り込んでいた「オナカマ」も。]
(おめぇも、……死にてぇのか?)
[チロリ、唇に残ったワインを舌で舐め取った。]
[吸血鬼の母も、「人」の父も、
子が欲しいと言った女吸血鬼も……。
皆死にたがりで、男の前で死んでいった。
男の気を惹くだけ惹いて、心に深く刻み込んでおいて。
少しずつ、男の人格は歪み始めた。
特に、
本能が囃し立ててくる時には、別人のように。]
(脅える友人に、終焉を。
愛する人に、 ――解放を。)
[「死にたくない」と声高に泣き叫ぶ者もあっただろう。
けれどそれすら、男に助けを乞う声に聞こえたのだ。]
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[玄関を飾っていた花ではあるが 手向けとして受け取った花をちらと見る。 土産の品は鞄の奥底に大事にしまわれたまま。]
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[天然石で作られた青薔薇の指輪と時を遡る懐中時計。 針が反時計回りに刻まれるだけの、職人の遊び心が篭る品。 非業の最期を辿り未練で蘇った存在が願うのは――。]
(181) 2013/12/06(Fri) 23時頃
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[部屋に残してきた「オナカマ」の様子では、
一人灰に返したところで満足などしなそうだったが――。
下手に複数人の前で呪詛を使ったなら、
次に呪詛を使うよりも早く、殺されてしまうかもしれないな、と。
思い切りのいい彼と比べ、
男は未だ、最初の獲物を決めかねていた。]
[熱に浮かされた身体に少しずつ現実味が戻ってくる。
恐らく、もう少しも時間が経てばまた次の呪詛を放てるだろう。
逃走も可能な狩場であれば、呪詛を放てない状況でも武器を使って続行しただろうが。
今のこの状況で相棒を振りまわす訳にもいかないだろう]
(……サイラスさんはどうすんのかな)
[数少ない同類の姿を思い浮かべ。
そういえばろくに言葉も交わしていない。
彼が何を想い、此処にいるのか。
それは未だに掴めないでいた]
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[灰となってしまった彼女が土産の装飾品を身につける事はない。 主となるはずの者をなくした品に新たな主を見つけてやらねばと ぼんやりと思うがそれもまだ先の話。 足元にある鞄から視線を外し、男は廊下へと出る。]
―→廊下―
(191) 2013/12/06(Fri) 23時半頃
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