22 共犯者
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記者 イアンは、メモを貼った。
2010/07/31(Sat) 00時頃
話はどれだけ進んだんだ。
首はもう見付かったのか。
[ 語り掛ける時、彼は名を呼ばなかった。
呼ばずともこの地に同胞は互いしかおらぬ故、混乱することはない。
彼はこれまでの数年間、幾度もなされた名乗りと名付けの要請を何故か拒み続けてきた。]
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>>1 生贄は生贄……ええ、確かにその通りです。
[うろたえるテッドを、じっと見つめる。]
「言葉」というものは、嘘をつきません。 その土地に住む人の生活や習慣、文化に沿うように発達する、いわば人々の「思考の枠組」そのものです。
何故この状況で「生贄」という言葉を口にするのか。 そして、何故「生贄」という言葉を口にして、貴方が狼狽えるのか。
村長夫人に聞いた限りでは、「生贄」は祭におけるただの「象徴的に演じられる役割」というような印象だったのですが……どうなのでしょうか。
何故でしょうね。 どうにも違う印象を受けるのですよ、少なくとも、私は。
(5) 2010/07/31(Sat) 00時頃
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[ニールの言葉に振り向き>>4、ふと笑う。]
そうですか。分かりました。 大昔に捧げられた「象徴的な供物」が「生贄」…と。
[バッグからメモを取り出し、それについて記述する。ひとつ溜息をついて、]
どうやら私の思い過ごしだったようです。 ……ありがとうございます。
[ノートを閉じながらそう告げるイアンの目は、別の場所へと向いていた。]
(9) 2010/07/31(Sat) 00時半頃
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記者 イアンは、メモを貼った。
2010/07/31(Sat) 00時半頃
記者 イアンは、メモを貼った。
2010/07/31(Sat) 00時半頃
[…哀れなソフィア。まだ見つけてもらえないなんて。
…哀れな人の子ら。まだ見つけられないなんて。]
体が聖地の樹にあったのだから、対になる頭があの泉にある事くらい、誰かがすぐ気付くと思ったんだがな。
そんな事も忘れちまうなんてよ!
…まあいいさ、これからじわじわと思い知る事になるだろうよ。
|
>>12 ……ええ。分かりました。 あまり深入りしては、村の長老の皆様のお怒りを買ってしまうやもしれません。くれぐれも慎重に、ですよね。
教えてくださり、ありがとうございました。 それでは。
[そう言って、イアンはニールとテッドの元から走り去った。]
(13) 2010/07/31(Sat) 00時半頃
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[イアンは、走りながら考える。]
(やはりこの村は何かがおかしい…… 何か、外に漏らしてはいけない「秘密」がある……
彼らの言う「生贄」とは何だ。 あれはきっと、ただの象徴的な「供物」ではない。もっと深い何かがある。
では「生贄」が象徴ではないとしたら……?)
[思考しながら走る記者の足は、不思議とある一点へと向かってゆく。彼を捕らえる者の元へと。]
(16) 2010/07/31(Sat) 00時半頃
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記者 イアンは、メモを貼った。
2010/07/31(Sat) 00時半頃
[ 吐き捨てるような同胞の声に耳を傾けた後。]
人間たちに違約の罪を思い知らせる。
罰を与えるのが、お前が儀式に参加する目的か?
[ 静かな声でおもむろに問うた。]
記者 イアンは、メモを貼った。
2010/07/31(Sat) 00時半頃
記者 イアンは、メモを貼った。
2010/07/31(Sat) 00時半頃
[生贄と聞いて、湧きあがってきた好戦的な感情を
抑えきるのがやっとだった。]
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>>22 [記者にしては随分と速く走り(おそらく足の速さではテッドには一生敵わないであろうが)、より真実を知っていそうで、喋ってくれそうな者を捜す。
村人は、すぐに見つかった。 事情を最もよく知ってそうな者が。]
あな……たは……
[宵闇色の髪が、イアンの視界の中で揺る。]
(23) 2010/07/31(Sat) 01時頃
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>>27 ……ええ、そうです。
[穏やかそうな笑みに、目を奪われる。 だが同時に、かれがあの言葉にしがたい『存在』であるようには感じられなかった。]
あの。 ……なんだか村が大変そうですね。
[緊張感が解けてしまったような、気の抜けた声が出た。]
なんだか生贄がどうとかいう話があって…… 何かご存知です?
(32) 2010/07/31(Sat) 01時頃
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報復か。いや…それも大義ではあるが。
人間と戦えるのも…楽しみなんだよな。
今からゾクゾクしてしょうがねえよ。
[銀髪の同胞が氷のように冷静沈着で在るのに対し、褐色の毛並みを持った彼は炎のような闘争心と激情を持っていた。]
アンタは前の儀式のときはどうだった?
参加したんだろ?
…俺はひどく人に混じり過ぎたみてえでよ。
「キツネ」に人の子の事は色々教わったが、
アンタの事、意外と知らないんだよな。
|
>>38 あ、どうも…… 私はイアン。イアン・マコーミックと申します。
[何故か初めてではない筈の自己紹介をしてしまう。 どうにも目の前にいる「彼」が、あの夜に見た「かれ」と同一人物には見えなかったせいかもしれない。]
そう、ですか。貴方もご存じないのですね。 「生贄」がどうとか、そういう言葉を聞きまして… どうもそれが、ただの祭の象徴のようには聞こえなくて…
ですが……まあ、当然ですけれど…… 村の方はどなたも私にそれを教えてくれそうにありません。
……奇妙な気分ですね。 私はこの場所で、どうにも孤独だ。 当たり前ですけれども。
(41) 2010/07/31(Sat) 01時半頃
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前の儀式のとき、か。
[ それが「この前の正式な儀式の時」を指すのであれば、60年は優に経っている。]
どうということはなかった。その時は。
[ その「彼が参加した以前の儀式」が何時の時代であるのか、語らぬままに答えた。]
儀式の本義は神々に生贄を捧げること。
常しなえに我が一族に繁栄が続くようにと。
だからこそ、儀式を成し遂げたものに栄光が与えられる。
それは忘れるな。
[ 同胞の熱過ぎる血に釘を指す如く。]
|
[ヴェスパタインという男の言葉を聞き>>44、自嘲気味に笑う。]
私は仕方が無いのですよ。 秘祭を取材に来た記者だなんて、胡散臭すぎてそうそう信じて貰えますまい。
でも……そうですか。 「貴方も」、ですか。
ここに居ると、まるで自分と同じ種族の者が誰もいないような孤独が、胸に突き刺さりますね。
まるで全ての災厄が私のせいになってしまいそうな恐ろしさを感じますし、目の前で恐ろしいことが起きているのに、私には何の情報ももたらされないどころか、尋ねれば口を閉ざされる――…
――…こんな「屈辱」は、他にない。 私は人間なのに、彼らには虫けら扱いをされ、疎まれる……酷い話です。
(48) 2010/07/31(Sat) 01時半頃
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……「キツネ」たちは何も言わなかったのか。
[ それは人間たちから儀式の詳細が忘れられたように、時を経てその伝承も喪われたのか。
それとも、外の同族たちが「伝えぬ方が良いこと」として教えなかったのか。いずれにせよ。]
知らぬのならそれは大した情報ではない。
俺は今お前の前にいる。
これから知る機会はあろうさ。
[ はぐらかすように嘯いた。]
|
>>51 ……え?
[一瞬、自分の声が揺らいだのを感じた。 しかし自分がそれを断る術を持たぬことを、彼自身が深く知っていた。]
あ……はい。 私でよろしければ、よろこんでお相手いたします。
[村に来て初めて、安堵の笑みを浮かべた。]
(55) 2010/07/31(Sat) 02時頃
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記者 イアンは、メモを貼った。
2010/07/31(Sat) 02時頃
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[ヴェスパタインの目を見て、静かに微笑む。 それは彼がこの村に来て初めて見せた表情。
その瞬間とは彼にとって、この村に来て初めて頬に触れる風が心地良いと感じた瞬間でもあった**]
(59) 2010/07/31(Sat) 02時頃
|
…悪い。アンタの言う通りだ。
我らの使命は儀式の完遂。
どうも最近特に血が疼いちまってよ…。
[彼がどのように獲物を仕留めるか。
まだ見ぬ力に軽い憬れもあるのだろう。]
へへっ、確かにな。
ああ、早くやりてえなあ!
[これから始まるであろう儀式を思い浮かべ、まるで遊技場へ行くのが待ちきれぬ幼子の如く、楽しげに囁く。
儀式への期待、高揚、己が命を賭けるスリル、興奮、まだ見ぬ生贄。]
二人づつ…だよな。
あの忌々しい結界さえ無ければ。
……。
さあて、生贄を選んでいくのも、随分久しぶりになるな。
誰にするかねェ…。
ああそうだ、それともう一つ。
アンタを俺は護らねえといけねえな。
[参加する狼全員が生き残った状態で儀式を終えるのが、最も名誉な事であると教わっていた。]
[ ほんの一瞬のあいだ、ほんの僅か。
戸惑いとも感嘆ともつかぬ沈黙。]
――……
ほんとうにお前は、儀式を待ち侘びていたのか。
[ 改めて気付いたように、しみじみと呟いた。
その時だけは、彼は思わず本音に近いものを零していた。]
[ だが、亀裂は瞬時に閉じられた。
首肯した彼は、同胞の知るいつもの冷冽に戻っていた。]
ああ。
逃れの地に入ることの出来た者がいなければ。
我らが供物として捧げる生贄は一夜にひとり。
朝(あした)には、生贄たちが死すべき者一人を選び出して殺すだろう。
[ 静かな笑いが零れる。]
次の生贄はお前に任せよう。
それほど焦がれるならば、存分に愉しめ。
俺ばかりが愉しんでは詰まらないだろう?
お前が獲物を仕留めるところが見たい……
お前がその腕で、生贄を引き裂く様が。
[ 命令ではなく強請るように。
淫靡な誘いのように囁いた。]
俺を守るより先に、自分を守れよ。
俺はそう簡単には死なない。
これでもお前よりは長く生きているのだから。
[ その声は、少しだけ真剣だった。]
|
−ランタン職人の工房−
……あ。すみません。
[そこはまるでお伽話の世界のようにも見えた。 彼にとってはよくわからない道具がたくさん置かれており、人が生きている予感をさせるのに十分すぎるほどの暖かさをもっていた。]
あの…… ここには、何年ほど住んでいらっしゃるんですか?
[どこか女性的な優しさを持ち合わせた雰囲気を持つ相手に、そう尋ねた。]
(82) 2010/07/31(Sat) 12時頃
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>>82 いえ……構いません。
[ぺこりと一礼し、椅子に座った。 そして、ヴェスパタインの顔をじっと見つめる。彼は確かに、あの夜に見た「森の神様」にとてもよく似ている気がした。
だが同時に、足を引きずる仕種は、あの時の力強さとは明らかに異なっている気がした。]
ここの「祭」は不思議ですね…… まるで村全体が何かに取り憑かれたかのようになっているような気がします。
こういう場所にいる方々はたいがい閉鎖的であることは知っていますが……村長さんから記者が来ると何も伝わっていなかったなんて。
ねえ、ヴェスパタインさん……「生贄」って、何でしょうね? とても不思議なんです。
(85) 2010/07/31(Sat) 13時頃
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[ 彼――「ヴェスパタイン」と名乗る男が現れて、偏屈な職人の弟子になったのは今から5年近く前に遡る。
だが、彼が同属として「ヘクター」に接触してきたのは、それより数ヶ月の後、前回の祭が終わった後の満月の夜だった。
彼は村と、村を囲む広大な森林――それは周囲に住む人間の伸張のために、近代に入って益々縮小していく一方であったが――に轟き渡る、声無き咆哮を放った。
『私はここにいる』と。]
記者 イアンは、メモを貼った。
2010/07/31(Sat) 13時半頃
|
ソフィアが死んだのが「生贄」? 神様が怒っている…?
……ええ、そうですね。 村人は、知られてはいけない秘密を抱えている。 記者に暴露されてはいけないというだけではない。 村に住む期間が短い人間にも知られてはいけない何かを。
……これは取材が難航しそうだ。
[ゆっくりと首を振り、溜息をつく。 その時、ヴェスパタインの疑問>>88が、難しい顔をしているイアンの耳を小突いた。]
……え? いえ、いいえ。 その……
[自分が彼の一挙手一投足をつぶさに観察していることに気づかされ、不意に視線を逸らした。]
……すみません。
(90) 2010/07/31(Sat) 13時半頃
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>>95 ……す、すみません…… 余計なご心配をおかけしてしまって……
[ヴェスパタインの言葉に、尚のこと萎縮する。]
その……何というのでしょうか。 どうして貴方はこの村にやってきたのですか?
いえ、排除したいとかいうのじゃなくて。 単純な……シンパシーですよ。 同じ孤独を抱く者同士の。
[にこりと笑い、ヴェスパタインの顔を覗き見た**]
(98) 2010/07/31(Sat) 14時頃
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>>109 そうだったんですか……
[一度だけ目を閉じ、噛みしめるように微笑んで、再び目を開いた。]
ああ、真鍮製の美術品のようなランタンは、この国に初めて来た時に見ました。芸術品のような美しいランタンは、森の奥深くにある小さな村で造られたものだと。だからこの村に取材に行くという事になった時、少しだけ嬉しかったんです。
伝統を守るという役割があるのなら、この村が閉鎖空間であることも納得がいく。そう思えば、この村のことが、今よりも少しだけ好きになれそうです。
[勿論、相手が話すその全てが別人のものである(>>111)ことなど、イアンには想像もつかないことだった。
それから2つ3つ別の話をしていると、ドアを強く叩く音が聞こえた。彼らは何かを話している。そして、何か情報をもたらしている方の彼が自分を凝視しているのを見て、反射的に礼をした。]
(140) 2010/07/31(Sat) 19時頃
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[会話を終える旨を告げたヴェスパタイン>>136の言葉を聞き、]
……いえ、いいんです。 どうもお邪魔いたしました。
それよりも、もしよろしければ……なのですが、私も同行させていただいてよろしいでしょうか?
[なんだかんだ言って、数年は暮らしている彼と、一晩しか居ない自分は、この村での信頼度が違う。自分ひとりが行っても、何も告げられることなく蹴り出されて終わりだろう。つまりこの機会を逃しては、この村の「秘密」はきっと分からないままなのだ。]
ええ、お邪魔はいたしません。 広場に行けばいいのですね。
―→広場へ―
(141) 2010/07/31(Sat) 19時頃
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記者 イアンは、メモを貼った。
2010/07/31(Sat) 19時頃
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―広場―
[さて、広場にたどり着いたものの、彼に何かをできるわけではない。何が起こっているかは分からなかったが、とりあえず人々の様子を観察することから始めることにした。]
……あ。ミッシェルさん。
[まだ祭が始まる前の頃に会った女性に一礼し、尋ねる。]
何があるんですか……この状況。 随分と村の方が集められているようなのですが。
(143) 2010/07/31(Sat) 19時半頃
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……そうですか。 「生贄」、ですか。 くじで決めるって……一体、何故?
村の伝承を知らない人間に説明するのは、村の掟に障るかもしれませんが……
[意を決したように、ミッシェルの目を真っ直ぐに見つめた。]
……知りたいんです。 いいえ、知らなければならない。 村長さんが「取材をして欲しい」とおっしゃったのは事実なのです。私がこの村から逃げ帰ってしまったら、かの方の意志はどこにいくのですか?
(146) 2010/07/31(Sat) 20時頃
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>>147 同じ姿で、木の下に転がってる……?
[一瞬驚いたような表情をしたが、すぐに表情を引き締め、頷いた。]
分かりました。 ミッシェルさんが伝えてくださることができる範囲で構いません。
[促しに応じて、彼女の後をついてゆく。]
(148) 2010/07/31(Sat) 20時半頃
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>>149 ……はい。 「生贄」と「祭」には何か関係がある……ということなのですか?
そして、それは村人にとって、受け入れることが恐ろしいものであるのでしょうか。
(150) 2010/07/31(Sat) 20時半頃
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>>151 「森の神様」……「ミツカイサマ」…… 「生贄」を捧げる儀式…… それゆえに、振る舞われる食事は「最後の晩餐」……
そう、ですか。 受け入れるのが大変なのは、容易に想像できます……。習慣として知っていても、「生贄」になれと言われたら、普通は……怖い。
ええと…… それでも「生贄」に立候補される方もいらっしゃるのですか? それが何故かを聞いても、差し支えありませんか?
(152) 2010/07/31(Sat) 21時頃
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記者 イアンは、メモを貼った。
2010/07/31(Sat) 21時頃
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>>156 「生贄」を捧げれば、代わりに村を守ってくれる。 そういう伝承は、確か欧州の或る国にもあるということを読んだことがあります。 とりわけ医療も発達しておらず、戦禍があちこちで起こっていた時代では、これはとても大きな意味があるでしょうね。
[彼はメモを取らずにに話だけを聞いている。今ノートを開こうものなら、村の者がミッシェルを咎めるのはほぼ確実だ。]
儀式での、役目。それを持つ家がある…… 「家」単位での技能の伝承…… なるほど、それで皆さんは「家」というものが重要視しているのですね。
ところで……それぞれの家の能力は、口外できないものなのですか?
(160) 2010/07/31(Sat) 21時半頃
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>>164 「生贄」を襲撃…… 貴方の家に口伝で継がれることがあるのなら……私の勝手な推測ですが、「人を護りに行く」という洗濯をするかもしれませんね。
[表情を曇らせて視線を落とし、足元の石をこつりと蹴る。胸の澱みを感じたせいか、イアンは顔を上げ、ミッシェルの顔を見つめて問うた。]
あなたは……怖くはないのですか?
[それは問うてはいけない言葉だとは知りながらも。]
(173) 2010/07/31(Sat) 21時半頃
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記者 イアンは、メモを貼った。
2010/07/31(Sat) 22時頃
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>>169 ……ヴェスパタインさん。
分かりました。 もしかしたら私もご一緒するかもしれません。 私も、村長夫人にきちんとお話を聞かなければならない。 今後の取材活動の可能性や、私がどこまで見聞きして良いのかを含めて、お話を伺う必要があるでしょうから。
(177) 2010/07/31(Sat) 22時頃
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>>180 そう、ですよね……
[額に手を当て、首を左右に振る。]
自分が死ぬかもしれないと分かっていて、気楽に参加すると言い切れる人が居るはずがない。それは戦争に引きずり出される「志願兵」と同じことだ。
[唇を噛んで、呟く。]
……すみません。私が無神経でした。
(184) 2010/07/31(Sat) 22時頃
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記者 イアンは、悔やむような表情で、ミッシェルに頭を下げた**
2010/07/31(Sat) 22時頃
記者 イアンは、メモを貼った。
2010/07/31(Sat) 22時頃
[ホリーの背中の血痕にいち早く気付く。
濃い血の臭いに包まれている為、接近している時から容易にそれは感じ取れていた。]
…この少女…、まさかな。
[自分たちと近い匂いを嗅ぎ取ったのであろうか。かつては同じ流れの源流にあった者らの。]
[月と太陽に照らされ、清められたその肉体は、また人の子らによって土に還るだろう。]
[歓喜の笑みを浮かべる。]
さあて、誰にしようか…。
儀式をないがしろにした者、余所者をこの村に招いた者、
我らの存在を忘却した者…。
我らの力を察知できるラトルの「視る者」は邪魔だが、彼らの力で我が眷属も覚醒する。
…まだ襲うのは時期尚早かねえ。
[ラトルは俺を視ようとするだろうか?杞憂だと良いのだが。]
記者 イアンは、メモを貼った。
2010/07/31(Sat) 23時半頃
[イアンがヴェスパタインから別れた直後、ミッシェルに会う前、その一瞬の合間にヘクターの姿があった。ちょうど木の陰になって、村人からは見えなかっただろう。
彼に近づくや否や、彼に向かって突進する。襟首を掴み、訊く。]
…アンタ、どういうつもりだよ?
あの余所者の人間飼ってどうすんだ?
前回は儀式の始まりだから大目に見たがよ、今回は見逃せねえな…!
なにか利用価値でもあんのかよ?
生かしておくだけなら兎も角、余所者と親しくなってどうする?
アンタの正体でも勘付かれたら…!
[ 宵月の瞳がすっと細まり、柔和なランタン職人の顔が一変して冷ややな獣の顔に変わる。
煩わしそうに、ヘクターの手首を押し退ける。]
考えあってのことだ。
お前は口を出すな。
|
−近くの林−
……「生贄」。
[青年記者はミッシェルと離れてから、ノートに記憶の糸を繋ぐための単語を書き連ねてゆく。今は詳述できずとも、後で見聞きしたことの全てを書けるようにするために。
「生贄、家に伝わる能力、惨殺死体 祭の本来の姿 恐れを抱きつつも、死を齎す儀式に行く意味とは?」
それを書くと、ノートをしまって歩き出す。 いくばくか歩いたところで、ハニーブロンドの髪の青年が、草の合間で息を潜めているのを見つけた。]
(232) 2010/07/31(Sat) 23時半頃
|
あいつには何も出来はしないさ。
[ そう嘯き、同胞を睥睨する双眸には、一片の迷いもない。]
同属に魅入られ、己が種族を裏切った人間は過去に幾人(いくたり)も出た。
あれの扱い方など、お前に言われなくとも充分に心得ている。
ちっ、そうかよ…。
アンタの強さは認めるが、あんまり無茶はしないでくれよな。
[彼の発する雰囲気に圧倒されたのか、不満そうながら手を引く。]
誰を襲うか見てくるわ。
[ 退く手を追いかけるように、逆にヘクターに身を寄せる。
もう少しで触れるほど近くに顔を近付け、]
今夜の生贄選びは、お前に任せてある。
俺は一切手出ししない。
[ 半眼に目を閉じ、同胞の瞳の奥を覗き込む。]
もし、手伝いが必要なら。
|
[ハニーブロンドの髪の青年の仕種を観察しながらも、とりあえず村長夫人の元に行き、取材の可否と書ける範囲について、そして祭について尋ねようと、青年記者は足を進めた。]
−→故・村長宅へ−
(246) 2010/08/01(Sun) 00時頃
|
|
−故・村長宅−
すみません、村長夫人はいらっしゃいますか? 少しお尋ねしたいことがあるのですが。
[女中に尋ね、村長夫人の居る書斎へと足を運んだ。]
(248) 2010/08/01(Sun) 00時頃
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記者 イアンは、メモを貼った。
2010/08/01(Sun) 00時頃
記者 イアンは、メモを貼った。
2010/08/01(Sun) 00時頃
|
>>252 その取材なのですが…… 私がこれ以上の取材をすることは、果たして可能なのでしょうか。
私は、できれば取材を続行したいです。 この村の「祭」が伝わることを望んでいらっしゃるようだった、今は亡き村長さんの意志を知るために。
ですが…… 様相が変わってしまったこの「祭」を取材することは、果たして可能なのか……とも思うんです。
(258) 2010/08/01(Sun) 00時半頃
|
[じっと同胞の眼を真っ直ぐ不敵に見つめ返す。]
…そりゃ、心強いねェ。
またアンタの話を聞かせてくれ。
「視る者」だけでなく、「結界主」や、他にも我らに対する力を持った人の子の血統はまだ続いているだろうからな。
[ゴッ、と自らの額を相手に軽くぶつけ答える。
自らの眷属はできれば屠りたくないとも思っているようだ。]**
|
>>262 要するに、「惨殺死体になる為の手段を踏むな」、と。村長夫人、貴女はそうおっしゃるのですね。
[唇の端を歪めて笑う彼女の様子を、観察するように見つめる。]
道路は封鎖された、ということは、村の中の出来事を村の中で全て収める……と。そういうことでよろしいのでしょうか。
[急に叫び出したミッシェルの顔が、声が、脳裏を過ぎる。]
……誰かが死ぬかもしれない儀式を、執り行うのですね。
(270) 2010/08/01(Sun) 01時頃
|
|
>>271 これは………。 [渡された原稿の束を手にして、その重さを実感する。]
もしや、これが…… 村長さんが私達に、取材を「依頼した」理由……
[この祭の取材は、新聞社側が申し出たものではなかったという話を支社長から聞いていた。それ故に、彼は村長の様子と、村の様子の間に温度差を感じていたのだった。]
わかりました。 この原稿は、生きて、必ず届けます。
[一礼し、バッグの底に原稿の束を捩込んだ。]
(276) 2010/08/01(Sun) 01時頃
|
|
ところで、お屋敷の入口に、先程見なかった札を見たのですが……あれは一体何なのでしょうか?あれも祭に関係があるのですか?
そして、「生贄」の意味とは……? 村の方にはそれを説明したがらない方もいましたが、その「生贄」という「言葉」は、額面通りに受け取っても構わないのですか?
(280) 2010/08/01(Sun) 01時半頃
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記者 イアンは、メモを貼った。
2010/08/01(Sun) 01時半頃
記者 イアンは、メモを貼った。
2010/08/01(Sun) 01時半頃
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>>284 「違い」……?
「生贄」は確かに「人が死ぬ」ことだと……そういうことなのですね。
[村長夫人の様子を見ながら、話の内容を噛み締める。]
では「生贄」になるとは、いったいどういうことなのでしょうか? 誰かに捧げるということなのか、それとも……
(290) 2010/08/01(Sun) 02時頃
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記者 イアンは、メモを貼った。
2010/08/01(Sun) 02時頃
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>>22 いえ…好む、というわけ、では……
[結果的にその言葉を多用していることに気づかされ、少しだけ俯いた。]
森の中に分け入り、夜通し歩く…… 村人同士の殺し合い…… 祈りの場であると同時に、私刑も赦された場でもあるのですね。
[頭の中で整理しながら、村の儀式の詳細をノートに記す。]
「森に還る」。 村に必要な儀礼を犯罪として考えさせない為の、村人同士の配慮と気遣いというわけですね。互いに怨まないようにするための安全弁ともなります。
ところで、「帰らない死者」とは異なる死者が出る祭……とは?
(293) 2010/08/01(Sun) 02時半頃
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「神」……
[イアンの脳裏に浮かぶのは、上弦の月を共に見た、あの黒い影の『獣』の姿。]
神と契約し、庇護される代償として、村人の命を差し出す……。 リンドグヴィスト夫人がおっしゃる通り、「悪魔」や「小人」ではなく「神」としてその対象と契約するというのは、ただ人間が一方的に契約したりそれを破棄できる自由さを持っている訳ではないものだと推測されます。
「神」は「人間」を護るものと考えられており、人々の生活のあらゆる面に浸透している。その身に根付き、死してなお決して離れることはない。己の意識が及ばぬ範囲まで支配するのが「神」というものでしょう。
もしご存知であり、かつ差し支えなければ…… その「信仰の対象」の正体は一体何なのでしょうか……?
(296) 2010/08/01(Sun) 03時頃
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記者 イアンは、メモを貼った。
2010/08/01(Sun) 03時頃
記者 イアンは、「ソフィアのような遺骸」という言葉に、ごくりと息を呑んだ**
2010/08/01(Sun) 03時頃
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−故・村長宅−
あまりに異教的で、あまりにロマンチック……
[言葉を失い、ぽつぽつと呟く。 己の口から何故そのような「正体を知っているのか」という疑問が出たのか。それはイアンが「信仰対象となる主体」の正体をあの夜に見たからであろうということは、彼自身の脳に、容易に浮かんできた。
そして、「それ」が彼の後ろに立っているということも。]
……そうですね。 信仰の対象が言い伝えられていくうちに、それの意味が曖昧になってゆく可能性は十二分にありましょう。
夫人がご指摘の通り、もはや現代では誰もラテン語で会話していないというのに、ラテン語由来の言葉を日常的に使っている。それと同じように、脈々と続く歴史とその謎を、ラテン語というヴェール……或いは箱に無理矢理押し込めていることになりましょう。
伝えられているうちに発生した矛盾や、歴史の中で生じた新たな意味をも、その中に含ませて。
それが、貴女達が言う「生贄」と、私がこれまで考えてきた「生贄」の間に浮かぶ差異であると思います。
そして、それはごく自然なことだと思うのです。
(302) 2010/08/01(Sun) 09時半頃
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ですが貴女達と祖先の方々は、一見ご自分達の概念をキリスト教的な言葉の枠組に押し込めながらも、実際はその言葉の発音なり形式を変容させることにより、その矛盾を解消しようと試みている。
そこに、「額面通りに受け止めてはいけない」という、言外に込められたメッセージを読み取れますし、私はその矛盾やズレを、変容した言葉の形のまま受け止めようと思います。
申し訳ありません。私も話が逸れました。 幾分懐かしい感覚が、私の中に込み上げてまいりましてね。 民俗学は専門ではございませんが……そういうものをかじっていた時期が、私にもございました。
……話を元に戻しましょう。
(303) 2010/08/01(Sun) 09時半頃
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神殺し……主殺し。 村人と神が同じ地に立ち、神の姿を見る……則ち、ヒトが神に文字通り「近づく」儀式。
しかし神は誰かが分からない。 「儀式」の中でのみ、逢うことができない。 「巡礼」……ひょっとしたら殺しを伴うかもしれない儀式の中で。
ですが、それを「蛮行」と呼ぶべきかどうかについて、私には判断する権利がありません。それは村の中にいる当事者だけが判断できることです。
……貴女方がこれから為そうとしていることについては、分かりました。ありがとうございます。
(304) 2010/08/01(Sun) 10時頃
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>>301 神が人を創る……? ソフィア嬢を殺しても……神にはなれない……
[村長夫人の言葉をメモする端に、ハニーブロンドの髪を持つ青年の言葉を記してゆく。]
(村長夫人の言葉は理解できる。 だが、村人達の動揺との温度差は気になったままだ。 ……今、早急な判断をするな。)
神が護るのは……村?
[ハニーブロンドの青年が呟いた言葉を、小さな声で呟いた。]
(305) 2010/08/01(Sun) 10時頃
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>>306 それは……私が無知であるが故に、その矛盾にすら気づけなかった。それだけのことです。
[村の中で、「生贄」になることを怯えていたミッシェルのことについては、口を閉ざしておくことにした。それを言っては、巡り廻って彼女が「祭」の「ドサクサ」に紛れて、村人に罰せられてしまうかもしれないと考えたからだ。]
私があなた方を裁いていた、と少しでも思われたのなら、申し訳ありません。「祭」のルーツを知った今になって、とても恥ずかしく思います。
そして……私もこの村の「伝承」に寄り添って、その意味を記してゆこうと思います。**
(308) 2010/08/01(Sun) 10時半頃
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>>307 村を護る為に神を創った。 神を殺すことは村を無くしてしまうこと。 貴方がそう感じられるのも、無理はない気がします。
私がこうやって「祭」のルーツと理由に近づいていけるのは、紛れもなく私が「部外者」だからです。故郷が無くなることの恐ろしさは、想像したくないでしょうし……
[彼は祭が怖いのか、或いは他のものが怖いのか。 今はそれを問わずにおくことにして、村人達の話をじっと聞くことにした**]
(309) 2010/08/01(Sun) 10時半頃
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記者 イアンは、メモを貼った。
2010/08/01(Sun) 10時半頃
「人の手」で屠る対象としてはピッパ・・・。
狩りの獲物としては・・・テッドかノックスか。
儀式を軽んじた奴らに、知らしめる為にはこの辺りがいいかもな。
なるほど?
良い選択だ。異存はない。
そのどちらかならば、出来れば、この、
[ とちらりと脇でパピヨンに話しかけている青年を見遣る。]
ノックスが先の方が、効果的ではあるように思うが。
[ 暗に、伝え聞くノックスの伝統への軽視を示唆しているのだろう。
アンタは・・・もしかしてずっと独り、だったのか?
俺が以前居た森では(同じような儀式があったのだが)
「狩り」は一人の獲物を、三人の牙で襲ったりしてたから、よ。
[かつての古き同胞を思い出したのか、一瞬の重い沈黙。
仲間の屍と引き換えに手に入れた独りの栄光も悪くは無かったが・・・。]
今度は・・・俺は、仲間を護りたい。
だから、アンタと一緒に、儀式を完遂してえ。
[今は、再び出会えた同胞がいる。
美しく気高き白銀の狼。
初めて出会った時のあの喜びは忘れられない。]
ほう…?
[ 同胞の過去に好奇心を掻き立てられたようで、静かな興味の気配が声に生じる。]
別の場所でもまだ儀式が残っていたのか……
森を捨てる同族が増えてからは、もう随分と廃れてしまった場所も多いと聞いていたが。
お前は、違う森の出だったのか。
──お前が人間に強い敵意を持っているのはその所為か?
記者 イアンは、メモを貼った。
2010/08/01(Sun) 12時半頃
そういやまだ話してなかったっけか。
俺が居た「森」はもう少し南の方でな。
この村よりも随分人は少ない所だったよ。
ドナルドとタバサと言う名で、俺と同じ赤毛の狼だった。
とある年の儀式で、ドナルドが「視る者」に告発されてな。
タバサは奴を庇って一緒に行っちまった。
[その後、独りで儀式を完遂したものの、村にはほとんど人が残されていなかった。
折も悪く、その翌年村は凶作と大規模な戦乱に巻き込まれ、ヘクターは護るべき場所を無くしてしまったのである。
近代兵器の前には、人狼であれど独りでは対抗しきれなかった。瀕死の状態で森を後にするのがやっとだったのである。]
[ 同胞の過去を聞いた後は、考え込むような沈黙が支配した。
少しの間の後、彼はおもむろに口を開く。]
俺はお前がずっとこの森に住んでいるのだと思っていた。
「キツネ」の家に入り込んでいるなら、てっきり幼少の頃に同族たちによってここに遣わされたのだ、と。
──この森は、特別な森なのだ、「ヘクター」。
[ 彼は、同族を敢えて人間として名乗っている名前で呼んだ。]
もう何百年も前から、人は森を切り払い、我らを吊るし、撃ち殺すようになった。
もう人間は我ら種族に敬意など払っていない。
多くの場所で、我らはただ狩られる存在となった。──狩るべき存在の我らが。
彼らは儀式に則って抵抗するのではない。
我らが邪魔だから殺すのだ。
そのことは、同胞を殺され、故郷の森を喪ったお前が一番良く知っているのではないか?
[ 距離を隔てて交わされる声に視線はない──だが、同胞は確かに、間近で彼に凝視されているのと同じ圧力を感じた筈だ。]
[大怪我を負った彼がこの村にやってきたのはもう何十年も昔の事になる。
当時は、現在のヴェスパタインとヘクターと同じく人の形でひっそりと暮らす先代の老狼が村を見守っていた。
ヘクターは彼に助けられ、彼の屋敷でひっそりと傷を癒していた。その老いた同胞はヴァンルナールの分家の当主でもあった。おそらく「キツネ」との契約にも関係していたのだろう。
やがて、老狼が天寿に近づき、緩やかに死に向かっていた頃、ヴァンルナールの本家には病弱な嫡子がいた。丁度赤毛の狼の傷も癒えてきた頃だった。
年恰好も丁度良いだろう。幸いその子供はひどく虚弱だった為、村の他の住人の目にもほとんど触れていなかった。
――そして、本来の「ヘクター」を密かに生贄に捧げ、赤狼が彼に成り替わったのである。
[そのような過程を経て、ヘクターは人と交わり、老狼が森に還った後、ヴェスパタインが現れるまで、たった独りでこの村を人の身と狼の身で守護していた。
積極的に人と交わったのは、好奇心旺盛な彼本来の気質も大きかったのであるが、彼らを知り、相互理解、もしくは対抗せねばと言う思いもあったのかもしれない。
彼は自らを尊ぶ者を愛し大事にした。「キツネ」との関係はその最たるものである。
ただその反面、「忘却」の罪を犯し、増長する人の子への愚かさには苛立ちもしていた。怒りは日増しに大きくなって行った。]
[同胞からの圧力を感じた。彼の静かで蒼い焔のような怒りが伝わってくる。]
もう…そんな所まで堕ちてしまったんだな…。
[嘗て、この村でも「正常」に人と狼の関係が築けていた事を彼はかろうじて知っていた。
現在のこの緩やかな堕落はどこから?
手元の銃器を見ながら、そうか。とぽつり呟く。
神聖な儀式では無い、一方的な殺戮。神の不在の中行われる蛮行。嘗ての森や無残な姿になった同胞らを思い出したのか、顔を歪める。]
我らが狩られる者…か。
それでも。
[やがて、少しの沈黙の後]
――ドナルドとタバサの仇で人の子が憎い訳じゃねえ。
儀式のしきたりの中であいつらは還ったんだからな。
ただ、最近の思い上がった人の子らには我慢ならねえな。
なんとか村の連中の目を覚まさせてやりてえとは思うが。
[まだ根底に人の子を愛する感情があるのだろうか。それは愛憎入り混じった感情か。
そして最後の呟きは、とても小さいものだっただろう。]
それと、もう繰り返したくねえ。
あんな情けねえ思いは。
[そして、広場の方を見ながら祈りを捧げる。
我らと再び共に…人の子がまだ聡明でありますよう。]
[ 繰り返したくない──すなわち、同族を死なせる苦痛を自分は再び味わいたくない。
言葉を換えて何度も繰り返し思いをぶつけてくる若い同胞を、彼はだが、一度も安心させる言葉を吐こうとはしなかった。
唐突に、」
赤毛の若い同胞よ。
ひとつ、宿題をやろう。
[ はぐらかすように全く関係のないことを言い出した。」
この森は、はじまりの地だ。
ここはいくつかある聖地の一つに過ぎないが、今も残る「生贄の儀式」はかつてここのような聖地で行われていたのが原型となっている。
それなのに、この森には我らの他には同属たちは誰も住んでいない。
今この地に同属たちが住んでいないのは何故だ?
何故、監視を兼ねた守り人だけをこの森に残して、皆いなくなった?
それを良く考えろ。
お前がそれを知っても良い時が、答えを教えよう。
宿題…?
[紡ぎだされるヴェスパタインからの問いの意味を、何度も反芻し、じっくりと思案する。]**
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−広場−
[夜の空を見上げる。 「エデンの園」に集められた人々の気配を背中で感じながら、青年記者はひとり物思いに耽っていた。最初に唇から零れたのは、ひとりの女性の名。そして…]
(この森に入ってしまったら、私は二度と君に会えなくなる気がするんだ。それでも私は行かなくてはならない。そんな気がするんだ。)
[視線を自分の頭の高さに戻し、溜息をついた。]
「巡礼者」は12人。彼等は森に入ったら最後、帰れなくなる可能性もあるという。
見ることはできるだろうか。近づくことはできるだろうか。それでも……
[電話越しに聞いた村長の生前の声と、森の中で見た『存在』の声が、イアンの頭の中で交互に再生される。]
……私は行かなくてはならない。「見に来てくれ」とおっしゃった村長との契約を守るために。
[イアンは祭の列についていくことを決意した**]
(349) 2010/08/01(Sun) 17時頃
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>>359 いえ……参加はしないですよ。ホリー。 あくまで私は取材をするだけなのです。
[いつも鉄仮面のように無邪気な笑みを浮かべる少女に、少しだけ強張った笑顔を見せた。]
それに、もし私が参加したいと言ったとしても、村の方々に受け入れられることはないでしょう。それが村に代々伝わる「伝承」というものです。
……お分かり戴けますか?
私には、「見守る」ことしかできないのです。
(387) 2010/08/01(Sun) 21時頃
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記者 イアンは、メモを貼った。
2010/08/01(Sun) 21時頃
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>>392 [ミッシェルの言葉に、視線を伏せて黙りこんだ。]
(彼女は怖いのだろう……それは分かる。 けれども、私がそれを代わることはできない。)
[そして再び視線を上げて、]
祭の詳細については、村長夫人から伺って来ました。そして、死者が出ない祭もあったと、そう聞きました。
だから……人死にが出ないことを祈ることしか……私にはできません。そして、それは嘘偽りの無い、私の本音なのですよ。
(396) 2010/08/01(Sun) 21時頃
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[聖ヨハネ像の前にゆっくりと歩み寄り、像の顔と月を見上げる。]
この村の部外者に言われるのはお嫌かもしれませんけれど……私もこの村の祭を見つめることになった以上、もはや「無関係」ではないのかもしれません。
[胸の中に渦巻く澱みの正体が分からない。分からないけれど、とても不快な類のものであることは確かだ。]
伝承と倫理感の狭間で、私は何をすれば良いのでしょう。
……私には、分からない……
(405) 2010/08/01(Sun) 21時半頃
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>>403 そう……ですか。 ありがとうございます、ミッシェルさん。
少しだけ、救われたような気がします。
[その笑顔は、どことなく強張っていた。]
(408) 2010/08/01(Sun) 21時半頃
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>>414 え……?
[松明の灯に照らされるイアンの顔が、一瞬だけ引きつった。]
いえ…… 私は「御使い様」というものを見たことはありません。
直接伺って、その「御使い様」が一体何をお望みなのかを聞ければ良いのですけれども……やっぱり、そういうわけにはいきませんよね。
[鐘の音を聞き、青年記者は息を吐いた**]
(422) 2010/08/01(Sun) 21時半頃
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記者 イアンは、メモを貼った。
2010/08/01(Sun) 22時頃
パピヨンのあの戯言…アンタどう思うよ?
…契約は、終わった、だと?
贄すら捧げねえ気か?
[パピヨンの言葉に反応したのか、ヘクターのその声には明らかな苛立ちが見て取れた。
彼女の言葉には確かに真実が含まれている。
だが…。それは…。]
記者 イアンは、墓荒らし へクターの声を聞き、反射的に振り向いた。
2010/08/01(Sun) 23時頃
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何ですか……ヘクター!?
[それ以上の言葉を出そうとしたが、手を伸ばしただけで動けなくなる。自分がどうしようもなく部外者であると知っているが故に。]
(このままでは、祭で人死にが……!)
(469) 2010/08/01(Sun) 23時半頃
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…………。
[ 彼は沈黙したまま答えようとはしなかった。
何の感情も伝わってこない。]
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本当の……祭。 祭を守る、って……?
[強烈に喉が渇く。 今、目の前で銃を構えている男が居る。 その相手は、亡き村長の手稿を自分に託した寡婦。]
止める……べきなのか? それともこれが……「祭」の姿……?
(477) 2010/08/01(Sun) 23時半頃
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>>485 ………っ!
[奥歯を噛み締め、己の前髪を右手で掴んでぐしゃりと乱した。]
そう……ですね。 本当に、その通り……です。
私にできることは……「見守る」ことだけ、ですね。
(487) 2010/08/01(Sun) 23時半頃
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[少年の言葉に血が沸騰するような激情が湧きあがった。]
―――!!
記者 イアンは、メモを貼った。
2010/08/02(Mon) 00時頃
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[目を見開き、銃声を上げた男の方を見る。>>490]
ヘクター……
[掛ける言葉が見あたらず、己のシャツの胸元をぎゅっと掴んだ。]
(491) 2010/08/02(Mon) 00時頃
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記者 イアンは、メモを貼った。
2010/08/02(Mon) 00時頃
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