59 海の見える坂道2
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[ニールは俺のことを疑っていないだろう。
テーブルを見渡した時も、視線は一瞬しか合わなかった。
嫌な予感がする。
小さな黒猫を守りたいけれど、ニールには逆らえない。
信頼されていると分かるから。
けれど、あの猫は幼く見えた。か弱くて――そう、まるで
*子供のような*]
[ニールとすれ違い様に後で頼みごとがあると告げられてとてつもなく嫌な予感がした]
うーわ、これってあれか。
嫌な役回り押し付けられる感じか。
あー、もうこんだけ猫が多い町で猫嫌いってなんなんだ。
[ビアサーバーでビールを注ぎながら脱力**]
あちゃー、大家さん変な事いい出さなければいいけど。
[ニールの話を聞きながら分厚い眼鏡の奥で目を閉じた。
あまり大家さんとは関わりが無いから、自分に何か言って来ることは無いだろうけれど。]
― ニールの部屋 ―
[呼び出しを食らった以上流石に寄らないとまずかろうと面倒臭いという気持ちがにじみ出ている表情のままでニールの部屋を訪れる]
んで、話ってなんだよ。
ま、酒場でニールが言い出した事考えるとおおよそ検討はつくけどな。
猫飼ってる奴とかそういう素振り見せるやつ退去させろってんだろ?
なんでそういう嫌な役自分でやらないかねー。
[予想通りの話が切り出されれば深くため息をついて]
つーかさー、退去ってのはホントやりすぎだろ。
一時退去って事でちゃんと後で帰らせてやれよ。
じゃないとマジこのアパート潰れるぞ。
で、話はそんだけならあたしは部屋帰って飲み直したいんだけど。
まー、一応この件は皆には黙って置くし頼まれた以上は請け負うよ。
[実際色々アパートは不備があるのは事実だし、住人同士で何とかフォローし合っているところも大きいのはニールも分かっているだろうと思い指を突きつけて言い放ち
一方的に言い終わると息をついてニールの部屋を後にする]
[外に出ると隣の肉屋前で準備をしていたニールから声をかけられた。
嫌な、感じだ]
ニールさん、言いたいことはわかりますけど退去まではそんな…
此処を出てどこに行けっていうんですか?
[そう訴えても聞く耳は持ってくれない。あまりに必死になると、退去すべき者が、猫を匿っている者がアパートにいることを確信させてしまいそうで強くは出れない。
何より、ニールには此処に来る時にとてもお世話になったわけで]
…困るな。俺が、ニールさんの頼み断れないって分かってて言ってるでしょ
[本当は自分が最初に猫を匿ったのに。
アパート内にいれたのは自分なのに。
目の前のニールと、昨日の黒猫の顔を思い出して言葉をとぎらせる。どうすれば良いのか答えは出ず、はっきりした返事もできないままニールは「頼んだぞ」と言い置いて肉屋に入っていってしまった]
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