194 花籠遊里
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[ただ黙したまま、頭を垂れたまま。
面白がってか協力的なのか、よく解らないままだったが、望みが叶うのなら何でも構わない。
ただ黙って降り積もる紙吹雪をかき集め拾い集め。
藤の間、には流石に肩を揺らし反応を示すが。
それ以上花主様を楽しませられるような事は無かっただろう。]
……できますとも。
鮮やかな色彩の花にも、朝露を纏った清らかで美しい花にも。
劣らぬ程見事に咲き乱れてみせましょう。
花主様が折角用意してくれた場なのですから。
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[蛇、と称する悪食に、冷えた微笑を突き付けられ。 皹が、ぴりと走った。>>102]
(108) lalan 2014/09/26(Fri) 14時頃
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[意地の悪い指示に、従う以外の選択肢は無く]
本当に、ご覧頂けていないと……?
貴方様のご命令、にて。
男、として、役割を果たせる大きさに育ちました。
[は、と熱の篭る息を吐き。
言われる通りに、指先に雫を掬い下に乗せる。]
甘い蜜とは程遠い味、ですね。
[知っている。
嘲笑じみて歪む唇。
それが自分にか、それとも目の前の主へのものなのか、認識することも拒み。
ぬるついた欲情から逃げ出したく思うのに、それを許さぬ冷えた言葉に、指先は止まる。]
男としての役割?
[男は単語を拾い上げる。
歪んだ唇が開いて、嗤う。]
くふっ
ふ、は、ははは!!
笑わせることだねえ。
“男としての”?
違うだろう?
[ぎしりと音立て、立ち上がる。
蛇が離れた揺り籠が揺れる。]
[眉根による皺に這う舌。
歪め歪めと、言葉が丁助を締め付ける。]
お前が望んでいるのは。
組み敷かれ、
尻の孔を突かれ、
淫らに喘ぎ、
女のように果てること。
そうだろう?
[舌は這う這う。
耳を嬲り、首筋に歯を立てて
朱の咬み痕を痛みと共に残し。]
甘い蜜でなければ、苦い毒かな?
[氷のように冷たい指先。
触れるのは熱ではなく、
扱くのをやめたその手へ。]
果てるなとは言ったが、休めとは言っていないよ?
さあ、お続け。
私が手伝いをしてやろう。
[根本を握るなどしてやらぬ。
休む指先をそっと撫で、動かさせ。
声をお聞かせと、耳に囁く。]
[近付く宵闇色に、焔は半歩後ずさる。
堪えるのが花としての生き様か。
触れる距離に飲み込まれ、記憶に焼け付いた痕が身体を強張らせた。]
決して、そのような……ッ。
[否定は僅かに悲鳴の音色を帯びる。
淫靡に委ね始めるべきまで張った熱が、怯えに急速に包まれて、混乱する。
笑みは薄れ、侵食する水音に跳ね、首筋への痛みに息を呑み、唾液に濡れた眉根をさらに寄せ。]
……手伝い、など、
花、主様、お、やめください……
[肌に触れる黒い絹さえ冷えて感じる。
別の生き物のような指先に動かされ、熱くなり過ぎた全身が震える。
羞恥と快楽に上がる小さな声が、花主様の耳元へ。
余裕は剥がれ、剥がされて。]
あ、……あっ、駄目です、
花主、さ、まっ、もう……
[退路は絶たぬ。
けれども逃がさぬ。
否定紡ぐ口許に笑みは消え、
本来の“丁助”が露にされていく。]
素直で可愛い、丁助。
ほうら、男に見られながら
ほうら、男に詰られながら
ほうら、己の芯を己で持って
お前の熱はどうなっている?
[下部からも耳からも犯すは水音。
やがて堪えきれず飛沫をあげるか。]
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思い出すね、初めての日の事を。
(109) あんび 2014/09/26(Fri) 15時半頃
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[果てたのなら、リヤサに白が飛び散ろう。
厭わず、構わず。
次には果てたばかりの肉棒に直に触れ。]
果てていいなんて誰が言った?
初めも我慢ならずに吐き出していたなあ。
その後、私に突かれて狂い悶えたのだったか。
けれども、あの時は甘やかした。
今日はちゃんと“仕置き”が必要だ。
[そうして落とす、優しい口付け。
啄み、吸い、絡めては嘗め。
まるで愛しいものに落とすそれ。]
さあ、丁助。
私によおく見えるよう。
―――机に乗って、足をお開き。
[揺り椅子には座らず。
こんこんと重厚な机を鳴らす。
自ら座れ、自ら開け。
深く濁った闇夜が見詰める。]
や……ぁっ、あ……
素直なん、かじゃ……
あぅ、あつくかた、の……が、もう……ッ!
[いやだと頭を振り、蕩けた声を響かせる。
身を震わせ、白に弾けた熱が黒い布地を汚す。
呆けていられたのは僅かな合間。
白濁が垂れたものに触れ、冷えた指先が音を立てる。]
もうし、わけ……ご、ざ、ませ……
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[あの日も、息を切らして同じように謝罪した。]
(110) lalan 2014/09/26(Fri) 18時半頃
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[未知に翻弄される恐怖に涙を零し。 教えられる感触に善がって。
初めては、ひたすらに、与えられるものに縋り付く様な夜だった。]
(111) lalan 2014/09/26(Fri) 18時半頃
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[舌を絡ませ、黒に触れ、思い出す。
唾液の甘さ。
受け入れる絶望。
弄ばれる悦び。
抗う感情と堕ちる身体が鬩ぐ。
そして狡猾に、自らに対して理由を差し出すのだ。
"望まれたから従うしかない"のだと。]
[布団の上では決して無い感触の上に腰掛け、おずおずと足を広げる。
恥らいと共にあるもう一つの自分から目を背けながら。]
……丁を、躾けてくださいませ、花主様。
[着物を肌蹴けさせ。
萎えぬ中心を見せるよう腰を浮かせ。
笑みを削ぎ落とすかのように、切なげな貌が媚を吐く。]
丁助は、櫻子を思う存分もふった
lalan 2014/09/26(Fri) 20時頃
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[己の一言に頬を桜色に染める様は中々如何して。 あんなに可愛げなく、凛と咲いていた花の癖。
触れるたび、語りかけるたび、彼が隠していた内側を理解する。
ついつい笑みを噛み殺し、胸を擽る快諾に吐息が弾む。 淡い体温が彼の肌に染み、唇で追いかけ接吻を降らせた。]
しかし、お前さんは案外、強情で寂しがりじゃあないかい。 牆壁を立てて、花籠に篭城して、顔を見せれば逃げちまう。 そんな男から寂寥を溶かせ?
―――…生涯の大業になりそうだ。
[面倒くさそうな口振りを作って見せるが、 彼の素直に引き摺られ、形ばかりも煩わしさを醸せない。]
(112) momoten 2014/09/26(Fri) 20時頃
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[彼が身じろぐ度に黒髪が揺れ、夜を模して拡がり行く。 夜に融けてしまいそうな櫻を捕らえ、首筋に顔を埋めた。 顎の付け根を強く吸い上げ、散らす花弁。 血脈を辿り、露わになる鎖骨に浅く歯を立て、甘く紙散らす。]
抵抗しないのかい? ……なら、美食を邪魔されねぇってことか。
―――…甘ぇな、お前さんは。
[彼の性格か、彼の味か。 詰る声すら糖度が絡み、喉が焼ける心地。 だが、悪くない。いや、癖になりそうだ。
じりじりと指の腹で尖りを潰し、凝った末端を愛撫。 時折、惨く引っ張り、直ぐに爪先で掻いて慰める。 じわりと膝の皿で彼の股間を押し上げれば、高い声を聞いた。]
(113) momoten 2014/09/26(Fri) 20時半頃
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[そうして、双眸を細め、匂い立つ色香に瞳の奥が焦げていく。]
……お前さんに眩むとは、俺も随分末期よな。
[花としての色では無いと知りつつも、 首裏に欲が這いまわる心地を往なせず、慣れない。 己はいつもその前に奪って、身の充足を得ていた。
けれど、此度ばかりはそうもいかない。
臆病で、意地っ張りで、何かと喧しい―――、 可愛い櫻が愛着を求めているのだ。
否など、どの口が唱えられようか。 花落ちるより、花に落ちるとは、真に度し難い。]
(114) momoten 2014/09/26(Fri) 20時半頃
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[指先を胸より退かせ、脇を滑らせ、腰に至る。 彼の強請る声色にずくりと疼く下肢を抑え、 白く長い両の足を開かせ、下着を容易く払った。
同時に彼の腰を持ち上げるよう手繰り、和装の下衣がはらりと捲くれ、彼の屹立が視界の内。 更に覗かせた舌先が彼の菊座の内へと侵攻。
傲岸で悪辣なはずの男は、彼の身体を労わり、熱い軟体で窄まりに触れ。ぴちゃりと鳴る水音は酷く生々しく。 手ずから準備などしたことの無い男は丁寧に、丹念に、体液を彼の縁へ注いで、また滑らかに掘削。 彼の呼吸の合間を狙い、秘所が拓く度に浅い内壁を舌が巡る。]
―――…熱ぃ、挿れたら融けちまいそうだな。 お前さんの中に、全部。
[更に身を引き寄せ、彼の背中へ己の滾る熱を押し付けた。 彼の内を犯したがる欲は着衣越しに脈を刻み、 それでも、果てない熱を堪え、彼を慈しみ愛でる。
花を扱うより柔らかな手順。 彼は、恐らく今後、二度は逢わない、そういった特別な人。*]
(115) momoten 2014/09/26(Fri) 20時半頃
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[謝罪は、あの日へと還る。]
(116) あんび 2014/09/26(Fri) 20時半頃
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―“丁”―
[花らしく、美しく咲き誇る花。 今目の前に咲く花と、似ても似つかぬ花。 余りにも美しく。 その蜜に惹かれたのは、蝶ではなく。]
――花籠を統べる、“私”。
[男はあの手この手を尽くした。 蝶の指名を幾度も防ぎ、 買い付けた金を与えず隠し、 三日に一度は“仕置き”と称し、 宵が褪めるまで狂楽に耽った。]
(117) あんび 2014/09/26(Fri) 20時半頃
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[やがて、花は一匹の蝶を求めはじめる。 蝶は足繁く通い、花を愛でた。
咲いた花の色香。 惑わされ、狂っていたのは男一人。
蝶と手を取り逃げる丁。
下らぬ夢物語など成就はさせぬ。
男は刃を付きたてた。 一面染まるは、沈丁花。
――否、狂い咲いたのは死人花。]
(118) あんび 2014/09/26(Fri) 20時半頃
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「もうし、わけ……ご、ざ、ませ……」
(119) あんび 2014/09/26(Fri) 20時半頃
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[今に還るは、強請る声。
自分を躾けろと足開く姿。
そこに咲く色は、朱。
揺れくゆる、焔。]
お前は、“丁”。
私の可愛い、“ちょう”。
[狡猾に理由を差し出しては
色を重ねているのだと言い聞かす。
そこにある色が別と分かりながら。
二度と狂い咲かぬよう。]
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