204 Rosey Snow-蟹薔薇村
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[警戒を孕んだ眼差しを、そっと向けて見まわす。
獣の自覚ある大人と、獣の自覚なき子どもと、獣である子ども。
だれが、脅威になるのか。
否、誰が男の大事なものを傷つけかねないのか、と。]
[感情によって発生するそれを災厄と断ずることは、ディーンには出来ない。
物語には数多の捉え方があり、そこから生まれるものも様々だ。
彼にとっての災厄でも、或いは他の誰かにとっては幸福たりえることすらあり得るのだ。]
――……ああ。
[既に同じことを伝えた後だ。
蔑むように吐き捨てられたそれに、ディーンは頷いた。]
だから僕では、シメオンを守ってあげられない。
[そう呟いて、ディーンはようやくベネットの方へ視線を向けた。]
……だから、って 何……。
[困ったような、怒ったような、複雑な表情を、
フランシスは浮かべていた。]
ふふ……こんなふうに穏やかなら、
きっと心配もいらないし、ね。
[一人じゃない安心感と、
笑みが届く感覚に、小さく笑いがにじむ]
二人きりになりそう、だったら声をかけて。
俺でもいたら、違うかも知れないし……
――ん、ありがとう。
[願う気持ちに、感謝を返す]
同感
[衝動の問題に 張り詰めていた気持ちが
ゆる少しほどけて ]
ーーーありがとう
ラルフも…………何か の時には 呼んで?
[実際に間に合うかは わからない
けれど 少しでも心の保険に
互いになるようにと]
うん。
[おなじように感じる気持ちが伝わって、ほわりと心が温まる]
何かの時には、呼ぶね。
呼べるなら、きっと大丈夫、だと思うし。
[間に合うかどうかよりも。
助けを呼べるだけの理性がある。
そういう安心が、ほしい]
暖かいねーーーー
俺 ラルフに会えて 良かったよ
満月に 足止めされ ろくでもない かもしれないけど
ーーそれでも
うん、あたたかい。
――それでも。
フィリップとあえたことは、良かったと思う。
満月だって、ぶじに、越せるかもしれないし?
[冗談めかした表現で、願いを呟く]
バーニィは、衝動を知らないプリシラを守りたい。
―――でしょう?
[目を合わせなかった先程の様子を思い返す。]
ねぇ。プリシラは、バーニィの中でどんな存在になった?
[同じ思考がかえれば
嬉しさが思考に滲んで]
そうだねーーーううん そうしなきゃ だ
危険なことに 近づかず
……息を潜めるように
時折 互いに思考で息を抜きながら
やだ。……忘れない。
此処じゃ話しにくいなら
別の、場所でいい。……聞かせてよ。
[ディーンに願う。
されど、――聞き入れてもらえるかは、分からない。]
[嬉しいが重なれば、ほわりと暖かさがにじむ]
うん。危険なことには、近づかず、ね。
話すだけで。だいぶ違うし――
[ふ、と思い出したことがある。
衝動を、片目をえぐってこらえた同行者の話]
――フィリップの散らし方と違うけど、
ドナルドも、衝動をこらえたことがあるよ……
話を聞いてみるか、やめといたほうがいいのか……
[ドナルドが、まだその身のうちに獣を飼っているのなら。
眠らせたままのほうがいいかもしれないと、悩む]
[このじんわりと暖かさが
衝動を抑えてくれたらいいのに
ゆると穏やかに感じながら]
ドナルド…………ーー
知りたい とは思う けど
[ラルフの悩むニュアンスに こちらも悩む]
無理なく さりげなく 聞けたら
……かな……迷惑は かけたくないし
[穏やかさが、そのまま
衝動をねむらせてくれたらいいのに、と]
……うん、じゃあ、聞けたら、ね。
――あのとき、かなり、しんどそうだったけど――
でも、うまく抑えられたみたい、で。
こんなやりとりも、できなかったし……
[できないなら、できないままのほうがいいのだと。
そう、思った]
あいつを、獣にしたくねえ。
[身勝手な大人の望みでいい。
男が味わった苦しみから出来る限り遠ざけてやりたい。]
……僕は、君に嫌われたくない。
心配もかけたくない。
[後者は今更だろうか。
ディーンは同行者に言うのと同じように、真実を告げる。
ただ愚直に。]
[ああ、もう、 ばか。
――逃げる折、ディーンを――友人を、そんな眼で、睨んだのだ。
大丈夫、と同行者に繰り返す
そんな自分のことは、棚に上げて。]
[このまま 吹雪が収まるまでーー穏やかに]
ドナルドを 揺さぶらない範囲で
[念を押すように 思う]
ーーあの時…………
…………
[じっと 考える ドナルドの話]
……強い人?ドナルドは
[それでも 彼は 人を避けず]
揺さぶらない範囲……がんばる……
[へたに、起こしてしまったら大変だと思う]
ドナルドは強いよ。
片目をなくしても、まだ、同じ仕事を学んでいるし……
人を、避けがちではあるけれど……それでも、一緒にいるから。
ラルフも 無理しないでーー
[がんばるに そう考えてしま ]
片目…………それって
[ラルフの語るドナルドのそこに
まさか という思考と この流れ
と思うと 衝動を抑えたことと
片目であること に思う]
それでも……か
見習わなきゃ…………
――……うん、ありがとう。
あまり、見習って欲しくない、抑え方だけど。
でも――抑えられたのだから有効、なのかも……
――痛みで、抑えられるの、かな……
痛み…………強い 刺激が有効
なのかな…………
耐えられるなら 耐える方法は
多いに越したこと ないよね
目は……弓を射るときないと困るけど……
そうかもしれない、ね……
あれだ、混乱してるときに頭はたいてもらうような感じ?
……目はね、普通に生活するのにも困るし。
手も、困るし……
ううん、どこも、困るけれど……
衝動をこらえきれないより、まし、なのかなあ……
出会い頭に 殴ればいいかな……?
…………どこでも困るけど……
少なくても ドナルドにとっては
衝動のままに喰らうよりは……片目の犠牲
それを選んだ………ーーそういうこと だよね
……ノックアウトされれば、気絶して動けなくは、なるよね……
[それだけの力で殴れるかどうか。
そのあたりが不安ではある]
うん……ドナルドにとっては、そうだったみたい。
――だから、衝動に負けるのが、すごく、怖いね。
それだ いっそ弓で………は 死ぬか……
…………怖いね……
[片目を失うより 衝動の入りやすさを
自覚しているだけに]
……衝動にとらわれないように
囚われても 殴るなりなんなりで……止めるよ
[獣の性質を同じように持つラルフの安心になるように]
……それは、死ぬ。
衝動が、どんなタイミングでくるかわからないから。
それがこわい。
[いまだ、ざわめきしか感じなくても。
これが、おさえきれなくなったらきっと、と思えるものを感じている]
うん、ありがとう、フィリップ。
俺も、そうするね。
[こうして、声をかけてくれるだけでも、ありがたいと思う。
一人で考え込んでいたら、きっと飽和していただろう]
嗚呼…………それは ある
怖くて 人間をさけてたはずなのに……
……思いっきり 鳩尾に打ち込んでいいから
[殴られるなら 先の散らした行動より
ラルフにも頼みやすくって
自分は…………できるだろうか?]
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