17 吸血鬼の城
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[ナイフを持った手を掴まれて、思わず目をつぶる。>>296 しかし、それに続く言葉に、おずおずと瞼を開いた。]
…これ、は――?
[差し出された瓶と、サイラスの貌を、 不思議そうな表情で、交互に見比べる。]
(300) 2010/06/23(Wed) 22時半頃
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[薬の瓶を受け取って。 不意に、抱きしめられる。>>302
その力は強く、胸が潰れそうなほどに苦しく。 それが酷く―― 切なくて。]
…、――イラ、ス…さ、 ま ――
[切れ切れの息から声を絞り出し、 片手で、サイラスの頭を、そっと抱く。
からり、とナイフが床に落ちた。]
(310) 2010/06/23(Wed) 22時半頃
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[囁かれた言葉に、目を見開いて。>>303 自分には、そんな―― と首を僅かに横に振る。
首筋に触れる唇は冷たく、痺れるようで
胸元で潰された薔薇が、 目の眩むような香気を立てる。 ]
(311) 2010/06/23(Wed) 22時半頃
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私が望んだから……
お兄様が与えてくれた。
[疑う事なく記憶のない女は兄の言葉を受け入れる]
……そう。
愛しいお兄様……
如何か私を遠ざけないで……
[切なる聲が微かに紡がれる]
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[柔らかな肌に、サイラスの牙が差し込まれる。 それは、微かな痛みと――歓びを、もたらすもので…]
――…ぁ ……いけ、ま…せん ――… わたし、は…
[弱々しい否定の声は、サイラスの身を案じてのもの。 サイラスの頭と腰とに、緩く手を回しながら くらり、と膝から力が抜けて。
頽れた、サイラスの横に、膝をつく。]
(317) 2010/06/23(Wed) 23時頃
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――………あ
[最後は、本当に呆気ない、呻きが一つ……。]
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……サイラス、さ…ま――
[サイラスの手からこぼれ落ちた薬瓶に手を伸ばし。 目に涙を溢れさせて、その名を呟いて。
もう一度、ナイフに手を伸ばす。]
(321) 2010/06/23(Wed) 23時頃
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――……、
[眷属たる男の呻きに女の翡翠が微かに揺れた]
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――お勤めも果たせず
あの方も、殺められず。
――あなたが、いない世界で
わたくしが、わらうなど……
[ゆらり、たちあがって。 ふたたび短剣の切っ先を喉元に当てて。]
(322) 2010/06/23(Wed) 23時頃
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わたくしも、ともに―――
[サイラスへと覆い被さるように前へと倒れれば、 短剣の鋭い刃は、あっさりと喉をつらぬいて。
あかい血が、高く、吹き上がった。]
(326) 2010/06/23(Wed) 23時頃
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―――……、
[無言の気配はミセリコルディアを握る]
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[薔薇の香気が満ちる中
折り重なって倒れる二人の身体は
あかく、あかく――そまっ て い く …]
(330) 2010/06/23(Wed) 23時頃
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白薔薇に求めたのは、何だったのか。
白薔薇をそれでも、護ったのはきっと…
そう、お前の望みのままに。
[甘く幾度も同じ言葉を繰り返す。
其れが真実なのだと、惑わせるために]
遠ざけることなど、あるはずもない。
……私は何時でも、お前の傍に――…
[紡ぎ終える前に混じる眷族の呻き。
城主は暫し沈黙し]
――――解せぬ、薬師
[一言、零した]
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