52 薔薇恋獄
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― 中庭 ― [雨が酷く強くなっていた。 まるで幽霊の嘆きに呼応するように。 噎せ返るような薔薇の芳香を掻きわけて、蛍紫は常人には見えぬ存在を探す。]
『 』どうした!? だめだ、それになってしまってはっ!!
[ゲーム部員でも、顧問でも保険医でもない名を呼ぶ。 近くに誰かあれば聴くことはできたかもしれないが。]
………っ。
[はっと、息を吐く。 探していた存在は雨に溶けてもう居ない。]
暁様……か。
[一つ人の名を紡いで、雨の中、立ちつくす。 耀が大変なことになっているとは、知らぬまま。]
(398) 2011/05/17(Tue) 23時頃
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ディーンは、後ろを気にする余裕はなかったので、ついて来れたかは鳴瀬次第だろう。
2011/05/17(Tue) 23時頃
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― 中庭 ―
[唇を片手で覆い、考えこむ仕草をしたところでかかる声。 弾かれたように振り返れば、顧問の姿。 彼の性格を思えば、当たり前といえばそうか……と、手をおろし、少し困ったように微笑んだ。]
いいえ………
[誤魔化しを混ぜた言葉は、誤魔化しきれない場面を押さえられていれば途切れる。]
女性の霊が。 といったら、信じて貰えますか?
[だから蛍紫が取れる手段と言えば、おどけたように、そう言うだけで。ただ、表情は割と切迫してはいたのだけれど。]
信じて貰えるなら、拙いことになったかもしれません。
[降る雨に絡むほど、薔薇の香りは濃厚になっている。 傾げば、重く揺れる金糸にも、その香りが絡んだ。]
(420) 2011/05/17(Tue) 23時半頃
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[なにもできない。
いや、しない方がいい。
だから。
おろり。
見やるだけ]
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悪い霊には、見えなかったんですけれど。 何が切欠か、そうなってしまったみたいで。
[ひきつる相手の表情を前に、ぼそぼそと紡ぐ。 切欠らしきは――暁様という名にあるのだろうけれど。]
正直、実害がない、とは保障できない、です。 信じて下さるなら、合宿止めたほうが無難ですけど
……視えない人は、実害がないと基本信じてくれません。
[困ったように微笑む。]
化け物になるくらいの恋慕って、どんな想いなのでしょうね。 視えないと信じて貰えないのと同じで、 判らないと救えない気がして……。
[出来るなら救いたいと思う気持ち吐露する。 ふっと顔を別所に向ける、もし誰か己を呼びにくるのなら、霊関係の話は一旦内緒にしてくださいと鳴瀬に囁くだろう*]
(436) 2011/05/17(Tue) 23時半頃
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…疲れた。
[そっと、センパイの近くによって呟いた。]
[お疲れ様、と後輩の頭をナデナデ。ついでにチロルを一つ]
でも、百瀬と仲良くカレー作ったろ。
夕食も、何食えるか楽しみにしてるから。
…… ひなた、っ……?
[ずきん。
幼馴染のことで頭がいっぱいで、気づいていなかったけれど。
落ち着いてくれば、いつも、霊の感情を汲み取ってしまうと痛む部分が、ずきずきと悲鳴をあげていた。
けれど、彼女の姿は周囲に見えず。
そっと胸元を押さえたまま、訝しげに眉を寄せた]
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