17 吸血鬼の城
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――…お兄様もそう仰っているのだから、
別の“獲物”になさい、セシル。
……逃げろ?
この宴から本当に逃げられるとでも思っているの?
逃げられなどしないわ。
そうでしょう……? お兄様。
嗚呼、けれど……
お兄様への捧げものに逃げろ、だなんて……
いけないこ、ね。
[絶望など消えたはずなのに――]
あれが良かったのです。
あの、毒が。
っふふ……宴から逃れる方法は幾つかあるぞ?
[ローズマリーに]
ひとつは、魂だけで逃げる方法
ひとつは、身代わりを置いて逃げる方法
[前者は死を意味し
後者は犠牲を意味する。
魔物狩人と名乗った男が選んだ道を思い出し、
薄く笑いながら告げた]
後は……我が眷族となる道もひとつの逃げではある、か?
二度とひとには戻れなくなるがな。
[隻眼の男のぬくもりが
失ったぬくもりを思い起こさせた。
同じようでいて違う。
違うようなのに似ている。
白薔薇の呟きにふ、と息を吐く]
それでも……
あの娘はサイラスの獲物なのよ。
|
―中庭―
[霧の向こうから返ってきた問いかけに、相手も自分と同じ立場なのだとわかり、ほっと息をつく。]
……はい。貴女も、ということは、貴女達も、ですか?
[歩み寄りながら、問いを返す。]
(291) 2010/06/23(Wed) 22時半頃
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――…そう、なの…?
[兄の囁きに不思議そうな聲。
けれどそうだとしたらサイモンの魂は逃げられただろうか。
それともまだ城の何処かに囚われたままなのだろうか。
あの優しい男のこと。
魂だけの存在となっても妹の事が心配で逃げずにいそう。
そんなことを思いながらも緩く首を傾げ]
如何してそんな話をするの、お兄様。
私は、逃げる為にお兄様と同じになったのでは、
ない……、でしょう……?
……そうだな
お前は望んで、私の妹となったのだから。
[無理矢理与えた真実を隠し
城主は彼女の聲に同意を向ける]
中には、そのような者もいた、と言うだけの事。
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―中庭―
トーニャ……さん?
[確認するようにその名を口にする。]
私は、リンダです。 リンダ・ハーシェル。
[彼女の言う皆さんというのが、誰のことを指しているのかは女にはわからなかったが、少なくとも、]
私の知る限りでは、まだ……犠牲者は三人、だと思います。 とは言っても、実際に自分の目で見たわけではないのですが……。
[まだ三人、なのかもう三人、なのか。 女は少し言いにくそうに答えた。]
(306) 2010/06/23(Wed) 22時半頃
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私が望んだから……
お兄様が与えてくれた。
[疑う事なく記憶のない女は兄の言葉を受け入れる]
……そう。
愛しいお兄様……
如何か私を遠ざけないで……
[切なる聲が微かに紡がれる]
――………あ
[最後は、本当に呆気ない、呻きが一つ……。]
――……、
[眷属たる男の呻きに女の翡翠が微かに揺れた]
|
グロリア、さんですね。
[名乗りをあげるグロリアの名を確認し、静かに控える彼女にぺこりと頭を下げる。]
ト、トーニャさん!?
[急に瞼の縁を濡らすトーニャに驚き、慌てて駆け寄る。]
大丈夫、ですか?
[近寄り、取り出した懐中時計をその耳元へと近づける。]
時計の秒針の音は、胸の鼓動に似たリズムを刻むそうです。
[自分に、この方法を見せてくれた詩人の顔を思い出し、胸に痛みが走ったが、堪える。]
……落ち着きましたか?
[しばらくして、トーニャに尋ねた。]
(323) 2010/06/23(Wed) 23時頃
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―――……、
[無言の気配はミセリコルディアを握る]
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―中庭―
えっ、ああ、はい……。
[グロリアの言葉>>320に頷く。]
替えの服が、無かったもので。 この様な服は、着慣れていないのですが……。
[と、ドレスの裾を摘み、確認するように視線を遣る。]
(328) 2010/06/23(Wed) 23時頃
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白薔薇に求めたのは、何だったのか。
白薔薇をそれでも、護ったのはきっと…
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