52 薔薇恋獄
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[ 女が涙を流すたび、雨がどんどん強くなっていく ]
[ 女が声を漏らすたび、雲が不穏に厚くなっていく ]
[ そして ]
[ 女の姿は、ぐずりと雨に溶けるように崩れていく ]
[ ぐずり、ぐずぐず、ぐずぐず、ぐずり、化物へと ]
[ *変わる* ]
[ *誰かがそこに訪れた時には、女の姿はもう何処にもない* ]
[順調そうな様子に満足げにフフンと鼻を鳴らす]
枕はむこーに持ってくから持参しろよ?
[なにもできない。
いや、しない方がいい。
だから。
おろり。
見やるだけ]
…疲れた。
[そっと、センパイの近くによって呟いた。]
[お疲れ様、と後輩の頭をナデナデ。ついでにチロルを一つ]
でも、百瀬と仲良くカレー作ったろ。
夕食も、何食えるか楽しみにしてるから。
…… ひなた、っ……?
[ずきん。
幼馴染のことで頭がいっぱいで、気づいていなかったけれど。
落ち着いてくれば、いつも、霊の感情を汲み取ってしまうと痛む部分が、ずきずきと悲鳴をあげていた。
けれど、彼女の姿は周囲に見えず。
そっと胸元を押さえたまま、訝しげに眉を寄せた]
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