人狼議事


162 絶望と後悔と懺悔と

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[理依が戻って来た直後。
 急にぶるっと震えて、扉に視線を固定した。

 そうすると、ひとりでに扉が開く。
 否、向こうから開かれて、白面金糸の男が姿を現す。
 続いて控え立つ黒髪の少女もか。

 それは過日の――]

 ――――……


[邪魔にならない程度に、トルドヴィンの背後に控え。
中を見回していた。

一人一人の顔を観察するように。
中には、こちらに敵意を向けてくるものが居たとしても今は受け流す心算で居て。

トルドヴィンの言葉に、背後で微笑んでいた。
ただし、目は笑っていなかったが。]


[あぁ、『天鵞絨』は『びろうど』と読むのだったと――
 ぼんやりと入室者に視線を遣り、室内を巡らせる。

 ひとり、ふたり……と姿を認め。


 『異常』に気付く。

 落ち着かない様子でベッドの柔らかさを確かめ、部屋の明るさに目を細め。
 視線は再び、吸血鬼の二人へ。
 両の目を見開き、半身を起こし、手は懐を押さえる。]


[部屋の中を見渡すとマユミの姿がない。
一瞬血の気が引いたけれど、先程のことを思えば多分大丈夫だ。
迷子になったところできっと監視されているし連れ戻されるだけだろう]

…ここ、どこですか。
こんなとこに俺たちいれても綺麗になんてなりませんよ。

[先程の「家畜」は随分と汚いものを見るような目でこちらを見ていた。
きっと、吸血鬼にとっても自分らはそういう存在なんだろう。青ざめた顔はそのままに、なんとかきんいろと黒髪の少女に声を発した]


………いいよ。行って来て。
僕はここで……、

[リーにーさんが何かに怯えている声がする。
気になる。けれど僕の全身は力が抜けたように動かなくて、
明にーさんと絡めた指はわずかに震えている。

だってさっき、アヤも生きてるって明にーさんははっきり答えてくれなかった。
白いコートの人に抱えられてそれから……?]

我慢してる、から。

[痛いんだ。心が。
でもそれはきっとみんな同じだから、僕ひとりがワガママを言ってるわけにはいかない]


――――……ッ!


[だけど、部屋に金髪の知らない人達が入ってきた時、
僕は我慢できなくなって声にならない悲鳴をあげたんだ]


え……ええ、まずは命あることに感謝を。

[ごくり……唾を飲み込む。背中が震えている。
一度明之進たちの方を振り返って、可能な限り勇気を出して。]

僕たちはな、何なんですか。捕虜ですか。
捕虜だとすれば、国際的な取り決めに従って虐待など
非人道的な待遇は受けないことになっていますが、
その通り扱ってはもらえますか。

まさか……何かの陰謀に巻き込まれたのですか。


あら、足りないわね。
これから大事な話があるのに、いけないわ。

[監視役の吸血鬼を呼ぶと、黒髪の女の子がどこかに行ってしまっているから連れ戻して欲しいと伝えた。
その際に、大事な相手なのだから絶対に乱暴な真似はしない様にと念を押して。目の前の吸血鬼が嫌な顔をすると、こちらも目を細めて脅かしていた。]


[皆を睥睨する視線。

 手を繋ぐリカルダは、きっと怪我をしている事に思い至る。
 声にならない悲鳴があった。

 もう一度、指を握り返して、そっと位置をずれ、
 自分の体で少女を隠すことを試みた。

 表情はやはり、感情のない霧ではあったが、
 ずきずきと――薬でも切れたのか、痛みは増している。]


[何故、サミュエルと周が居ないのかと、理依に投げる視線は今は合わない。]

 ………ありが

[感謝をと。求められるがまま舌に乗せて途中で止める。
 トルドヴィンの背後、唇だけの笑みにびくりと肩を震わせて。


 ふっと息を吐き出して笑みを浮かべ、礼の続きは頭を垂れる事で示した。]


どうやら全員元気そうで何よりだ。

[音は無くても空気を裂く振動は確かに響いた
それを静かに庇う者もいた
するりと感謝の言葉を述べたかと思えば
おかしな質問を付け足す者もいた
感謝を言葉から態度へ変える雛もいた
そして相変わらず引かず何かを探ろうとする雛も]

何だ、自分達の立場も知らないのか。

[教えて無かったのかと、控えていた吸血鬼に視線を向けたが
それ以上何かを咎める事はしなかった]


[直円の背中が見えてほっとする。
 『お兄さん』でなければならないという思いから少しでも解放される。

 明之進とリカルダは共に傍に居る。
 理依はもう平気なのか、虚勢や強がりでなければ良いと、誰よりも一番遠くで見。


 足りないのは誰か。程なくして連れられてくるのは真弓だった。]


少なくとも夢の世界でない事は確かだ。
ここは私の城。
吸血鬼達の集う聖域。

[三日月の笑みから覗く牙]

そして私が全てを支配する者。
トルドヴィン=エメリッヒ。
お前達の永遠の主人だ。


……これで、『全員』?

[思わず言葉に出してから、両の手で口を塞ぐ。
 服が着替えられ、懐刀の重みが消えている。

 その事もあって、落ち着かない。


 『約束』を守っただけではないことは、孤児院に居た吸血鬼と守護隊の交戦で分かる。]


 っ!

[視界を染めた紅を思い出しそうになり、ぎゅううと硬く両目を瞑る。]


トルドヴィンお父様は始祖吸血鬼。

全ての吸血鬼の頂点に位置する方と言えば分かるかしら?
お父様がどんな存在なのかは。

[そう告げると、微笑んでから名乗る。]

あたしはホリー。
ホリー・ニルヴァーナ、純血の吸血鬼よ。

これから長い付き合いになるだろうし、よろしくね。


[雛達の質問の答えとしては不親切極まりないものだろう。
だがそれ以上何が必要と言うのか]

ああ、安心するがいい。
残りの2羽は殺してはいない。
ただ私の祝宴にしては寂しいものだったからな。
巣に火を放ったから、巻き込まれたかもしれないが。

[『全員?』と訊いた雛には答える必要があったかと
事実を告げる。
約束は破ってはいない。
ただ勝手に火の中に飛び込んで焼け死ぬのは別だ]


零瑠、大丈夫?

[目を瞑った彼が気になる。
血にはとにかく弱いから。
そしてトルドヴィン、ホリーと名乗った二人を見る

吸血鬼。始祖?なんだ。それ。
それに長い付き合いって、何のことだ]

長い付き合いって…食べるまでの時間?
だったらさっさと食べればいいじゃないか


 ……――永遠。

[端麗な発音から最も耳に残る言葉を自然と零す。

 自分達が置かれていた室内は決して暗くはなかったが、
 トルドヴィンを名乗る者が現れ、その容顔を見れば
 まるで内側に月影を含んでいるように思えるのは、
 彼が支配する者だからだろうか。]


……だ

[大丈夫ではなかった。けれど、今は大丈夫でなければならない。緩く首を振る。

 零瑠の重い瞼を抉じ開ける、声が響いた。
 名乗るのは、支配のためか。長い付き合いのためか。

 革色に一瞬浮かばせたのは躊躇、拒絶、愁、
 ―――――――――希。]


 そ、

[ん、な。]


[目を閉じた雛に視線を向ける。
現実から逃げようとしているのか、余程嫌われたか。
傍から見ても判るほど機嫌は良くなっていた]

おや。熟成させてと思ったけれど。
折角勧められたのだ。

感謝の気持ちと受取っておこう。

[捕食者たる紅の瞳が金へと変わる。
一歩踏み出すと次には純白の布を付けた雛の前に]


吸血鬼……。明にーさんを傷つけたバケモノ、も?
どうして? ねえ……。

[僕はベッドに横たわったまま知らない大人に問いかける。
金髪の人が吸血鬼の頂点ってことは、明にーさんが今こんなことになってるのはつまりこの人のせいってことなんだよね?

まだ握り合ったままの明にーさんの手は、熱出して寝込んでいた時みたい。
顔は苦しんでいるように見えなくてもきっと……。

それだけじゃない。今僕がここにいるのも逃げられなかったのもアヤやみんなと離れ離れになったのも元をたどればこの人が悪いんだ。

―――許さない]


[金の瞳は捕食では無く繁殖の色。

魅了し、相手を同じものへと変える能力を牙に載せて
相手に注ぎ込む。

能力を注がれた相手は間を置かずに強烈な飢餓を覚え、
渇きを癒す術を求める。

最初の飢餓を癒すのは同族の吸血鬼の血のみ。

そして血と力を分け与えられた生まれたての吸血鬼は
永遠に断ち切れぬ鎖に繋ぎ止められる]


[重たく瞬きをした次の瞬間には、月影はそこにない。
 だが、首を傾げる必要もなく、くるりと首を巡らせた。
 零瑠のすぐ前に居る。

 ――ここに来て、初めに見せつけたものは牙]

 ……や、

[少年が声を上げた時には、吸血鬼にとっては
 欠伸が出るほどの間を経ていることだろうが、
 片手にリカルダの指、もう片手に巾着と鏡を確と握り。]

 めて――


始祖――…って……

[さ迷う視線は直円の背に。
 読書会で得たのだと、吸血鬼のことを話して聞かせてくれた中で、『始祖』は何だと言っていた?]

安心、えぇ、安心、した…。
ありが、と  ござま ……す。やくそ、まもって…

[理依に謝らなければならない。彼を少しでも疑ってしまったから。
 二人が直接殺されなかった事を喜んで良いのか、生死が分からぬことを嘆けば良いのか。
 二人だけではない、他の――絢矢は、キャロライナは、円は、涼平は、ジョージは………守護隊の人は――。

 炎と肉を焦がす臭いを思い出し、再び口を塞いだ。
 瞑る目の端から涙が零れる。

 何が『祝宴』か。
 あんな風に炎を上げて。あれではまるで……]

あなたも、今日が誕生日……?


[化け物と呼ばれても笑みはただ深くなるだけだった]

化け物では無い。お前達の主人だ。
そしてお前達も同じモノになる。

[当然の様に言い放ち、改めて礼を口にする雛に微笑んだ]

お前もリーと同じく聡いようだ。

[零れる涙を指で拭い、そのまま口を塞いだ手をどけさせて]


私ではない。雛鳥の新しい誕生日に、最初の贈り物だ。

[あなた『も』と問うた雛鳥の贈り物に。
その首に牙と金の能力を突き立てた]


[ 反応は当然予想外で瞬いた、
困惑と戸惑いに少し後ずさる、首を横に振る]

……あの、違うんです。
違います、そうじゃなくて、……普通の水を。

[酷く震えている女性は、憐れに見えて、
でも恐ろしく感じた、ここにいたらこんな風になってしまうのか。
自分の言葉はまるで通じていないようだった。

後ずさる足、そのまま踵を返して、
どうにか厨房らしきへ辿り着いた。
――人間がいるなら、必要な場所だ。

そして、水差しを手にした時に冷たい手に捕まれた]


[影が落ちた。瞼の裏の桜花が消えたのだ。

 ゆるゆると顔を上げる。

 『底にあかみなきを黄染めといふ』

 あぁ―――鬱金だ。
 微笑みの中に新しい色を見付けた。


―雛鳥の巣―
[そのまま血を吸われるのだと思ったのに
相手はそんな敵意もあったのに、なぜか最初の部屋に連れられて来た。
いぶかしんだまま、扉は開かれて。
すぐに気配を感じた、――あの絶対的な黄金の闇]

……あ、

[足が竦んで震えた、けれど]


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