298 終わらない僕らの夏休み!
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[ そこまで聞いてようやく、 千早は何が起こったかを理解する。
それから、ループしてる俺を見かけたら。 なーんて、千早だけが覚えてる昨日の、 会話のほんの一幕>>2:241を思い出して、
それで…………、]
(46) 2019/09/06(Fri) 20時半頃
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明加先輩、今日はお祭り来ますかねえ。
[ 昨日、つまり3度目の9月1日は、 見かけなかった気がするんだよなあって。
千早はなんとなく周囲を見回したけれど、 やっぱりその姿は見当たらなくって、
それから、鹿崎先輩が、 驚いたんだかなんなんだか、 結構面白い反応をするので、千早は笑った。
誰かに知らせなくちゃなって思いながら。]
(47) 2019/09/06(Fri) 20時半頃
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[ 結局、共通の知り合いも然程思いつかず、 千早は、塾で手に入れた連絡先から、 澪先輩と根岸先輩に同じように、
『 鹿崎先輩、忘れちゃったみたいです 』って、 それだけ、メッセージを入れたんだけれど。
まさか輪を外れた人がもう一人だなんて、 そのときの千早は知らないまんま。*]
(48) 2019/09/06(Fri) 20時半頃
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[水着や所持品、それとメモの為に筆記用具…と机を探せば、
良くわからないキャラクターの絵が描かれたノートやメモ帳などが未使用のままたくさんある。
使いきれずに無駄にしてしまっていたそれらを鼻を鳴らして笑った。自嘲しながら会堂が送って来る連絡の続きを流し読み、あの9月1日を破綻させるための同盟に集った学生たちの顔を思い浮かべる。
『根岸』
会堂のIDが言葉を吐き出す中にその文字列を見付けてしまった。
ぞわりと背筋を掛けるおぞ気と共に思い浮かぶ熱と、そして肉の焼ける感触と、それから、
嗚呼……もう、あれから何度反芻したら気が済むのかと執拗に繰り返される暴虐の光景を振り払うように頭を振った。]
師範棋士 千早は、メモを貼った。
2019/09/06(Fri) 20時半頃
少し落とした視線の先、鞄に先程詰め込んだ小さなノートの一つに目が留まる。
ピンク色の少し丸っこいクマのキャラクターは、鹿崎に送り続けているスタンプのそれと同じで。
その愛らしいもこもこにほんの僅か胸が和らいだ。
会堂もああ言っている事だから、彼にも連絡を取っておかなければ───少し震える指で鹿崎のIDを表示して]
『けんちゃんおはよう!』
『今日皆でプールで遊ぶ事になったの』
『けんちゃんも一緒にどう?』
[そしてクマのスタンプを一つ。
すぐには反応は無いだろうと閉じかけたスマホが震えて着信を告げる
が、そのIDから帰って来た答えは]
え、………っ、
[息を呑んで、これまで見た事もないそのそっけない返信を見つめた]
『けんちゃん?』
[もう一度呼びかける。
雛子だよ、ともつれる指で書き込もうとしたが、それを送信する前に悪戯かもしくは何らかのスパムだとでも思われたのか、既にIDはブロックされていた]
っ……──え、え、……え、どうして、けんちゃん、だって、
[私何もしていない。昨夜、あのもう一つの何かが動いた気配も感じられなかった。
感じ取れなかっただけ、だろうか?
ただただ静かな夜だった。
ただただ静かに、一人の男の子の明日を奪った。
自分だけが、あんな残忍な行為に及んだ夜だった。]
やだ、やだよ、やだ……
[かたかたと震える手で縋るようにもう一度アプリを開く]
『雛子先輩怖くないっスよ!』
『めっちゃカワイイ』
[ブロックされた所為だろうか、確かに受け取った筈の言葉はどこにも無かった。
迸った悲鳴を噛み殺す。両掌の下で喉が焼き切れるようだ。]
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[グループチャットに雛子からも着信があった]
『けんちゃんが私のIDわからないみたい』
『ブロックされた』
(49) 2019/09/06(Fri) 20時半頃
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[会堂の個人IDに雛子から着信]
『こわい』
『ちがう』
『いやだ』
(50) 2019/09/06(Fri) 20時半頃
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[狼狽しきって意味の繋がらない言葉を打ち込んで、送ってしまった。
溢れ出る嗚咽に目が眩む。立っていられない。
怖い、哀しい、いやだ、ごめんなさい、
込み上げて来る言語化できない感情が吹き荒れるのをただただやり過ごすしかなかった **]
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― 自宅 ―
[着替えなどを済ませようとしてるうちグループチャットでの話は進み、雛子先輩が『秋山先輩をプールに連れていこう』と提案し、生徒会長が秋山先輩を誘うという流れが完成していた。
それに、秋山先輩からの返事もあった。 生きてる。……よかった……! あたしはほっとする。 『おきてる!プール会堂からきいた!』とのこと。 今頃生徒会長のほうには秋山先輩からの快諾の返事があるんじゃないだろうか。
……えっ。あっ。
秋山先輩と、みんなでプールに? え!どうしよう。どうしようとかじゃない。 喜んでる場合じゃないと思うんだけど。 でもどうしたってそわそわしてしまう。]
(51) 2019/09/06(Fri) 20時半頃
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[そうこうしているとグループチャットに雛子先輩からの着信。は?研人が雛子先輩をブロック……?(>>49)
……………え? 思い出しても有り得ないと思う。 会っただけで固まってしまってた研人が?
IDがわからない……ってことはつまり、研人も秋山先輩みたいに忘れてしまった?
はしゃぎかけていた気持ちが一気に静まる。 あたしはスマホを持った指を動かす。
『もしかして、秋山先輩みたいに忘れちゃったってことですか?』]
(52) 2019/09/06(Fri) 21時頃
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CC レイは、メモを貼った。
2019/09/06(Fri) 21時頃
CC レイは、メモを貼った。
2019/09/06(Fri) 21時頃
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― 自宅 ―
[それから、送った3文字をしばらくじっと見つめていた。 夢の話だ。そう思うほどに、その夢が嘘をついてるなんて思えない。だけど、そうか、と素直に受け入れられるくらい割り切れた性格もしちゃいない。
だって、本当に――信じられないんだ。
祭に行って、星を見たんだ。 腕にしがみ付いて彼氏と間違われまくったんだ。 アイスで乾杯したんだ。
いつも誰かと一緒に行動してて、 どこかの輪の中にいないと生きられないイキモノみたいで。
――きっと、 ひとりが、嫌いだから。]
(53) 2019/09/06(Fri) 21時頃
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…、…
[はっとした顔をしてベッドから起き上がる。 だから、なのか?
霊の中には、自分の死に気付いていないのもいる、というのを昔テレビで見た事があった。そういう類なのかもしれないとか考えていたけれど、なんというか、もっと単純に考えても良かったのかもしれない。
9月2日になれば、皆が彼女の死を知ってしまうだろう。 だから、…―――]
ピローン
[突然の着信音>>49に、ビックゥ!!!!と跳ねた。]
(54) 2019/09/06(Fri) 21時頃
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…、雛子
[画面を開き、チャットを見る。 けんちゃん…、あ、あ、鹿崎かと思考を巡らせる。
ブロック?どうしてだ? 考えている間に、ぽぽ、と個別の方に着信が来て 無防備にそれを 開く。>>50]
(55) 2019/09/06(Fri) 21時頃
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―――、 … 、な
(56) 2019/09/06(Fri) 21時頃
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[息が、つまる。 なんだ、これは。
まるで、タスケテ、って言っているみたいに見える。 俺の勘違いか??自惚れか??
それならそういう勘違い野郎でいい、と]
『 いま、どこだ 』
『 ダッシュでいく 』
[そう送信したら、自分がパンイチという現状に気付いて、俺のクソバヤやろおおおお、と心で叫びながら40秒で支度した。]
(57) 2019/09/06(Fri) 21時頃
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ワタルは、支度の間に、秋山から『絶対行く』って返事来てたけど未読。
2019/09/06(Fri) 21時頃
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……
[9月1日の0時に戻ったら? 知らなかったIDはみんななかったことになってしまっても仕方ない。見覚えさえなくなってしまう。 え、じゃあ残りは……
あたしは慌てて、まず千早ちゃんにメッセージを送る。
『千早ちゃんおはよう。そっちは大丈夫?』 『今日、みんなでプールいこうかって話をしてて。 千早ちゃんもおいでよ。』
と書いた。]
(58) 2019/09/06(Fri) 21時頃
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――3回めの9月1日のこと――
["昨夜"は、このループの中で一番いい日だった、と思ってる。 秋山って先輩のことは、そりゃあもちろん気がかりではあるけど。 病院に運ばれたって言うなら、中高生が集って何かしたからって、たぶん結果は変えられない。 行く末は、明日になればわかるんだろうか。 それとも、"今日"がまた来れば、その先輩は何事もなく家で起きるところからはじまるんだろうか。 もしそうなら、断然明日も今日が来る方がいいけど。
どういう仕組みになってるのか少し気になってきたな、なんて思いながら、花火大会会場の根良井川公園に向かったのを、覚えてる。]
(59) 2019/09/06(Fri) 21時頃
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[グループチャットには(>>52)]
『多分』
とぽつりと送られて来た。
(60) 2019/09/06(Fri) 21時頃
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[そこであたしは慌てすぎて新着を見落としていたことに気付く。研人に会ったんだろうか。(>>48)
『ごめん!研人のこと今読んだ! 連絡先わかる人に伝えとく。 千早ちゃん、グループチャットがあるんだけど 誘ってもいいかな。』
と追加で返信した。]
(61) 2019/09/06(Fri) 21時頃
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CC レイは、メモを貼った。
2019/09/06(Fri) 21時頃
[部屋でしゃくり上げているときっと母親に気付かれてしまうだろう、と気付いたのはいくばくか時間が経った後だった。
息を殺して嗚咽を噛み殺す。
嗚呼、こんな化物になった癖に、こんな感情一つをどうにもできないなんて、何て間抜けなんだろう。
情けないんだろう。
呼び止められない内にリビングをすり抜けて、外へ出た。
大好きな母の顔が、その目尻に寄った小さな皺が見られない。
何度も言おうとしたのに、その小じわを指摘したら烈火のごとく怒るから───
お母さんかわいいよ、私もお母さんみたいになりたい。
そんなかわいい皺のあるおばちゃんに私もなりたい。]
[何度も言おうと思ったのに]
[そればっかりだ、そればっかりだ、私は]
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[そう、覚えてる。忘れてない。 火をつけてから、火花の色がどんどん変わる花火も。 パラシュート花火が川に落ちたことも。 ぐるぐる回るネズミ花火を蹴り飛ばして騒いだことも。
それから、少し離れたほうでレイ姉と、彼氏未遂のヒトがなんだかイイカンジだったことも。 レイ姉の心の中にいる相手を知りもしないから、いつもだったら花火を持って飛び込んでって、一緒にやろーぜって焚きつけるのを、昨日ばかりはぐっと我慢したんだ。]
(62) 2019/09/06(Fri) 21時頃
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[会堂が着替えを終えて10分、15分程して着信したメッセージには、
『さんかくこうえん』
と書いてあった。
前回の9月1日に行き会ったコンビニエンスストア近く。 大きな道路から一本入った小道にある遊具など何もないベンチ一つの小さな公園を地元の子供たちが呼ぶ名前 *]
(63) 2019/09/06(Fri) 21時頃
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[ついでに、グループチャットがある>>2:210って知った手前、入れないか聞いてみた。 このループの中にいる同士、いろいろ話をしてるんなら。 同じ同盟員だ、つまはじきは楽しくない。
そりゃ、ひとりだけ中学生かもしんないけどさ。 だからこそ、繋がりを持っておきたい、って思うじゃん。ね?]
(64) 2019/09/06(Fri) 21時頃
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──三角公園──
[緩いお団子に結った髪は少し崩れてしまってしぼんでいる。 今日も二学期の準備が間に合っていない、少しよれたブラウスに、形の少し崩れたプリーツ。 首にかけて金具で留めるタイプのリボンはゴムが伸び切っていて、よれている。
嗚呼、とみっともない、と低く呟いてそれを外した。
小さなベンチに腰を下ろして両の掌で顔を覆いながら、時折込み上げる吐き気でも堪えているように背を震わせている]
(65) 2019/09/06(Fri) 21時頃
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[服は面倒すぎて昨日と一緒だ。白い半袖に紺パンだ。とはいえボディバックでは荷物が入りきらない。 学校指定の水着、モバイルバッテリー、萎んだ浮き輪、財布、着替え、タオル、あたりを黒字のリュックにぶっこんだ。 携帯がピロピロいっている。 雛子の個別だけを開いて既読になるが、他を見る余裕は持ち合わせていなかった。
なんとなく、わかる気がするんだ。 俺はいつも受身な方で、生徒会長だって推薦されたからなった。それに相応しいように自分を作って、それらしく仕事をして。どこが本当の自分かと言われると、そういう流れ任せに動いて蛙みたいに周囲の色に擬態する生き物が自分なんじゃないかな、と思う。]
三角、…あそこか
[ズダドドドと階段を下りて、母親に挨拶もせずに家を飛び出した。]
(66) 2019/09/06(Fri) 21時頃
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― 三角公園 ―
……、……
……っ、 …は、
… ―― ヒュ …
(67) 2019/09/06(Fri) 21時半頃
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―― ―― …、ゼェ ……
[炎天下、無体力男の全力疾走により、実に格好の悪い登場となった。 肩で息を吐きながら、額とかから汗を流している。 口を閉じて唾を飲み込み、乾いた口を潤す。]
…っ、 ヒ な、 こ
[息も絶え絶えな状態で、ベンチに座っていた雛子を呼んだ。]
(68) 2019/09/06(Fri) 21時半頃
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