『それは大丈夫だね。すでに沈んだ世界――館の絵画がグレーアウトした世界は、全てレッドゾーンに呑みこんだよ』

[いわば、根源とレッドゾーンが紙一重なのだが。そもそも館の中など見ていないはずの彼女がこう言い切る事自体が、観世音の力だろう]

『なら、使うかい？　あのリコリス。水さえあれば枯れないと思うよ。せめて制御権くらい、貴方にあげようか』

オレはオレの世界を守るさ。
祈るまでもねぇ――――――・・・。

[自信たっぷりに言い切る。]

もらえるもんは全部もらうさ、海賊だからな。
アンタが咲かせた花ぐらいだったら、守ってやる。
オレの手が届く範囲で、だけど。

[屋根の上に立つ。]

『それはうれしいね。それなら、たくさん――』

彼岸花で死を想い、曼珠沙華で死を食らい、リコリスで死を招くといいよ。

　私は　蒼窮の観世音――霊帝　死亞。
　今ここに、この世界群に咲いた全てのリコリスと、これから咲く全てのリコリスに。

　彼に従う事を命ずる。