人狼議事


194 花籠遊里

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[思い出す昨夜の地下。

男に弄られ、悦ぶ男。
見せ付けられる交わりに、混同したのは過去。

氷の指先。
花の咲き方を教え込んだ籠の主。
嫌悪感に満たされながらも、受け入れ悦ぶ身体。

未知から、力任せに咲かされる夜。]

 …………

[全身を這うような気持ちの悪さに、頭を振った。]


【人】 墓荒らし ヘクター

[早々に談笑を切り上げてしまうと、
男はその足で、迷わず花主の下へ向かった。
中庭に残した二人を振り返ることもなく、秋風渡る回廊を闊歩。

冷たい夜気は、人肌を求めさせるには良い塩梅。
されど、余り誰かを抱く気に慣れなかったのは、
外装で花籠に訪れてしまった為か。
謎掛け言葉を櫻子に飛ばしたものの、
買うてやろうか、やろまいか。と、茶化して、
別の花を選んだ事など幾らもある。

揶揄の対象にはなるが、同衾の対象にはならない。
まるで花としての彼を評価しないとでも言いたげな態度は、
廓を寄る辺とする彼を深く苛んだだろう。

男が花籠に訪れ、数ヶ月。
ずっと櫻の咲き方を、言葉で態度で、否定し続けてきた。]

(82) 2014/09/22(Mon) 22時頃

【人】 墓荒らし ヘクター

[されど、今宵、花主に申し付けたのは一輪ではなく梢であった。
切花でなく花籠に深く根を下ろし、毎年同じ場所で咲く櫻。

彼の苦労など知らず、彼のしあわせなど知らず。
ただ、巡りあわせを引き寄せる。

それは蝶の遊泳でなく、それは夜蛾の誘引でなく、人の業。
覚めない夢でも、一時の幻でもなく、確かなる現実であった。]

 ……へぇ、とうとう枝切りねぇ。
 まぁ、聞けば永く居たものじゃねぇか。
 

(84) 2014/09/22(Mon) 22時頃

【人】 墓荒らし ヘクター

 もうちと稼げる気もするが、お前さんの商いは
 肝心なところで法を抜けやがるからな。
 今後とも精進潔斎してくれっと在り難てぇ。

 ―――…此処は仕事で来るところじゃねぇよ。

[花主と馴染み然として交わす言葉は、
肝心な言葉を避けて深入りせず、小さく笑んで金子を放る。
選別代わりと少し多めに包んだが、オマケとばかりに
櫻には未だ告げていないとを教えてくれた。>>67>>68

男は指先に落とした視線はそのままに、
ふぅん。と気のない相槌で取り繕った。*]

(85) 2014/09/22(Mon) 22時頃

【人】 墓荒らし ヘクター

― 最後の地下牢 ―

[連日連夜の遊戯も今日でお終い。

コートを皺にならぬよう、安楽椅子の背に下げ、
ネクタイは捨てなかったが、背広の釦を全て外してしまった。
着慣れない訳でも、格式ばった装いを厭っているわけでもない。ただ、この花籠と乖離するようで、居心地が悪かった。]

 ―――……、……遅せぇな。
 これで、香でも焚いて居たと言えりゃ立派なもんだが。

 ま、駄々でも捏ねていような。

[どっかりと牀榻に腰を落ち着け、背筋を伸ばす。

最中に、想像に易い押し問答を口にしてみるも、
茶々を入れに赴く事も、面倒くさいと寝てしまうことも、
煩わしいと余所の花に浮つく事もなかった。>>70>>71]

(86) 2014/09/22(Mon) 22時頃

【人】 墓荒らし ヘクター

[彼が来ないというなら、それはそれでも構わなかった。
だが、思考に反し、必ず来るだろうと予想を立てていた。

彼にとって此処は花籠、己は蝶。
そして何より、彼は花。

必ず、訪れるだろうと踏んでいた。
あの寒々しいほど白い衣を身に着けて。]

(87) 2014/09/22(Mon) 22時頃

【人】 墓荒らし ヘクター

[そして、彼は己の予想通り、花として牢へと降り立った。
黒衣を纏う男は、膝に前腕を乗せて、足の合間で指を組む。
ふらりふらりと舞い遊ぶ蝶でなく、悪辣な夜蛾でなく。

人として、得体の知れぬ男が、彼を待っていた。>>72]

 ―――…年がら年中咲いている櫻が、青天の霹靂語るなよ。
 
[口を開いて最初に飛ばすのは、相変わらずの減らず口。
彼が己に抱く苦手意識は、こうして直ぐに
真実をはぐらかしてしまう所にあるのかもしれない。

お前さんの慰めなど要らない。

―――と、突っぱねる強さがいつも言葉の裏に隠れていた。]

(89) 2014/09/22(Mon) 22時頃

【人】 墓荒らし ヘクター

 言っただろうや、今宵は屋根を借りにきたと。
 そうも不満げな顔をするんじゃねぇよ。

[安宿なら花街以前に幾らもあって、彼を買うだけの金があれば、
コンシェルジュ付きのホテルとて宿泊できる。
しかし、そんな事実を世間知らずの彼は知らぬだろう。

この廓が櫻にとっては全てなのだ。]

 ……それとも―――、

[ひょいと、持ち上げた瞳が彼の夜色の瞳を覗きこむ。

明けない夜など無いと知っている。
けれど、彼の瞳は永劫続く常夜に似ていた。
明けない夜はないけれど、咲かぬ花はあるとでも言うように。]

(90) 2014/09/22(Mon) 22時頃

【人】 墓荒らし ヘクター


 俺に抱かれたかいね、櫻子よ。


[せせら笑う悪辣な顔。
ひらりと櫻の香を掻き混ぜる右手。

歪んだ唇から吐き出す言葉は、また、彼を傷つける。*]

(91) 2014/09/22(Mon) 22時頃

墓荒らし ヘクターは、メモを貼った。

2014/09/22(Mon) 22時頃


 別に構いはしないさ。だがな、丁助。
 …道を見誤るなよ。
 冷静に物事を見れる『花(ひと)』であれ。

[手折られずに、毒されずに。
その時まで根腐れも起こさずに。
自由になれる時が来れば良いなと、そんな思いを込めて。
年長からの小言に焔はどんな反応をしただろうか。
朧月は珍しくふわりと笑う。
『幸福』であって欲しいと、そんな夢を見ながら。*]


 冷静に、物事を。

 ……ありがとう。

[朧月の微笑に、赤い花も、笑う。
彼の言葉の真意に、己が気付けていたかはわからないけれど。

真摯な花の気遣いに、唯感謝した。]


[僕が目を背け続けていることと
 彼が表から隠そうとしていること

 ───きっと似ているものだと、判りながら。

 僕は目を背け続け。
 彼は隠している。

 そんな気が、しているのです。]


【人】 墓荒らし ヘクター

 それも今宵で最後よ。
 ―――…俺は外に、もっと遠くに帰らにゃならん。

[駄々の余韻を残す彼へ、事も無げに明日からの不在を伝えた。
また一人の男が彼の傍を通り過ぎて、花籠に櫻を残す。>>103

降り積もる櫻の花弁は柔らかで、花籠の底を隠す。
誰かの為に咲き、誰かの手で散らされ、誰のものにもならず。

堪えるような顔を双眸に映して、細い吐息を唇より漏らした。]

 酷い酷いと口ほどに物言う癖に、ちっとも泣かねぇな。
 本当に一滴たりとも―――…、
 

(109) 2014/09/23(Tue) 01時頃

【人】 墓荒らし ヘクター

 お前さん、櫻の為に泣いてやらねぇな。
 
[寂しいとき、苦しいとき、哀しいとき、辛いとき。
自らの為に流す一滴を彼は知らない。>>105
憂いのない生など、どれ程美しく咲く花にもありはしない。

では、彼が流さなかった涙は何処へ行ったのか。
櫻の下に埋まっているのは死体じゃない、
きっと彼が沢山捨てたものが海を作って沈んでいる。]

(110) 2014/09/23(Tue) 01時頃

【人】 墓荒らし ヘクター

 庭に咲いた櫻の香りが欲しいわけじゃねぇ。
 お前さんの慰めが欲しいわけじゃねぇ。

[きっぱりと彼の問いに一声を返す。
誘ったくせに、寸でのところで心を突き放し。>>108

代わりに持ち上げた腕は、彼の腕を引いた。
五指で余る細い手首は長年を掛けて作られてきた花の造形。
引力は彼の痩躯を支配し、傾斜させる腕力が強く。]

 ―――…眼くらい閉じろよ、色気のねぇ。

[囁く声は少し冷たく、触れた唇は少し熱い。
人には注文つける癖、己は瞼を下ろさなかった。

花としてでなく、蝶としてでなく。
櫻を愛でる心地でなく、蜜に誘われる欲でなく。


ただ、そっと櫻より生まれた子の唇を吸った。*]

(113) 2014/09/23(Tue) 01時半頃



 …───すき、です。
 
 


[背け続けた言の葉が、櫻の下の海に浮かび
 波紋を広げたのでありました。]


【人】 墓荒らし ヘクター

[約束など花籠では、一時の夜より脆いもの。
また来るよと告げて、彼の前から姿を消した蝶はどれ程いたか。
少しお暇を頂きますと去った花は何処で枯れてしまったのか。

彼はそんな多くのものを中庭に埋め、
墓標の代わりに花を育て、慈雨の代わりに涙を捧げた。
彼の苦労も悲しみも、全く以って想像の外。]

 ―――…お前さんが花でなくなったなら。
 遠く、遠くへ、来な。

 物知らずには丁度いい道中よ。

[重ね合わせた唇から注ぐ声は静かで、喉に流し込んでいく。
引き寄せた彼の手に握らせたのは、輝く徽章。

隣国示すエンブレム、遠いシンボル。
裏に刻まれた己の本当の名前。]

(118) 2014/09/23(Tue) 02時頃

【人】 墓荒らし ヘクター


 ――…花でなくなったら、

[その時は。と飲み込んだ言葉。
続きは啄ばむ口付けに紛れさせ、夜に溶かした。

彼が自分の為に泣けるようになったのなら。
寂しい事を寂しいと、哀しい事を哀しいと。
死体を埋葬するように、中庭に蹲ることがなくなるのなら。*]

(119) 2014/09/23(Tue) 02時頃

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