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…あらら。
彼、居なくなっちゃったのか。
残念なことだ。
あの同僚天使の仕業かな。
若しくは……
[
羽化、だなんてそうそう起きるわけもないと悪魔は踏んでいるが。候補生であるあの少女の優秀な事は見て取れる。]
まあ、君も気を付けてな。
校舎中の殺鼠剤くらい、削ごうと思ったんだが。
彼優秀でなあ。
で? 置き土産か。
それは期待し甲斐のある言葉だが〜…
規制の入るタイプの土産だったりしないかい?
君、教師だろ。社会的に死ぬのでは?
[そこまで言っても、反論の暴言はやはり上がらない。
…ならば、冗談は此処までだろう。]
んん?
天使が祖父? おや、合いの子なのか、置き土産は。
んん〜〜、そのお爺さんの特徴が判らんとだ。
なあ置き土産、どんな天使だったんだい。
[桐野へと語りかける声は、昼に屋上で出会った天使と同じ声。ただ、そこに水泡音がノイズのように被さって聞こえる事だろう。]
[新たな登場人物が増えたことはわかるが、水底のような音がノイズになり、この会話に未だ慣れぬ桐野には声の主があやふやだった。どちらの声であれ、話を振られればそれに答える。]
へえ、俺が有働の置き土産。
[ぽくぽく、とあぶくが溢れるような音が鳴る。笑っているのだろうか。]
拾われたも何も、突然過ぎて何も意味がわからない。
死にかけてたら先生が助けてくれるって言うから乗っただけだ。
今日は厄日だよ、全く。
[前提のわからない話は、ノイズの方が強く耳に流れ込んできてろくに聞き取りすらも出来ないだろう。
自分に関わることだけ、今は少しだけ。]
どんな天使だったか、か…
よく知らないんだよ。
祖母が言うにはえらい男前だったみたいだけど。
俺は似てないって言われてたし。
だから安心してたっていうのにコレだ。
[やれやれだ。とぴゅうと息を吹き上げた。
あとは祖母さんから聞いた話だと…
俺的には恋愛脳のバカ天使って感じだな。
顔が良くて恋愛脳って
……天使ってだいたいそうじゃないのか?
[強い偏見がある。]
うちの祖父さんが堕天した後は…
……ああ、祖母さんと番う時に堕天してたんだが。
大変だったみたいだな。
祖母さんが身ごもった後すぐに亡くなったんだとさ。
だから、俺はヨーラを天使になんてさせるつもりはない。
あのバカ達の目を早く覚まさせてやらないと。
俺が教えてやらなきゃ、俺が…
[ぶくぶくとあぶくを吐きながら胸の内を吐き続ける。
堕天したての桐野にはここで隠し事をするのはまだ難しいようだった。]
[此方にとっての新たな登場人物を、この水音が察しているかは、語られず。]
そう、置き土産。
勿体無いが、新たな出会いという利を今は享受しよう。
[
へえ。死にかけ。だが、今の君は助かってる訳だ。
おめでとう、運が良い。
[器用にも、ぱちぱちぱち、と水泡がはじける音がした。
拍手のつもりだというのだろうか。]
何、厄日だと決め込むことは無い。
救いを求めて、救われる。実にハッピーエンドだろ。
既に去った後ろを振り返ったままでも仕方ない。
今救われたという事実。君にとって僥倖だと思うがねぇ。
[水音の向こうは、有難そうな言葉めいて語る。]
おお、此れは無理だなぁ。
検索条件が広すぎる感じがある。
[
まるで正解音めいた音程を奏でた。
水音表現の可能性は留まる事を知らない。]
その通り、天使は大体が莫迦だとも。
世界の終わりはラッパを鳴らそうとか、
そういうパーティ思考の持ち主だ。
いや、もっと終わる側の気持ちを
察してBGMを選択してあげるべきだろうに。
んん? おっと話が逸れた。
つまるところ、
君は聡い子だという事だ、子山羊。
へえ。堕天使との合いの子か。
―――…、
[
成程ね。君は優しい子だなあ、子山羊。
そうだね。
過酷な試練がその子を待つだろう。
人の世を温い毛布に守られて
生きたような子であれば尚更だ。
お爺さんの再来なんて、想像に容易い。
何より、その子を知っている君が
そう思っているのだろ?
なら、君は間違ってないとも。
君のその、護ろうという意思は
なにも間違っていない。
正しいとも。
君は好い子だね、子山羊。
随分とあっさりしたもんだな。
気楽でいいよ。
[誰かの置き土産で、不意に誰か去ったのであろうというのにこの態度だ。自分の幼馴染たちを思うに、彼らはとても薄情に見えたが、そこにはむしろ好感すら抱いた。
過ぎたことでどうこう言うよりは…ってことだろ?
確かに生きてたことは儲けもの…だけどな。
わかっちゃいるけどどうにも気にする性質なんでね。
まあ、そっちこそ俺のこんな性質なんて放っておいてくれ。
俺はネチネチ小言を言わないと気がすまないんだ。悪いな。
[コポ…と諦めたように音を立てた。]
俺も祖父さんが何者かなんて特に興味ないからなあ。
ついさっきまで忘れていたくらいだ。
[例の騒ぎで無理やり記憶から引っ張り出されたような感覚だ。
祖母の作り話だとすら思っていた。こんなにはっきり思い出せるなんて、自分でも意外だった。]
なんだ…随分褒めてくれるじゃないか。
悪い気はしないが、
俺は随分色々喋ってしまった気がするよ。
代わりにそろそろお前らの素性が知りたいな…
まあ、こんな会話ができるってことは
俺と似たようなものだっていうのは確かだろうが。
[素性を素直に聞けるとは期待していないが、この要求もまた包み隠せない言葉の一つ。やさしいなんて、自分の気持ちが間違いじゃないなんて言われてしまうと。]
なんか泣けてくるわ。
前向きともいうねぇ。
[
自ら当たり障りのいい言葉に置き換える]
おや、成程ね。
いや、難儀なものだ。
何かと苦労も背負うだろう。
気晴らしの方法でも用意出来てるといい。
君の前の子はそういう処、非常に良かったぞ〜
[置き土産を置いてった主の気晴らしの末が、
あの保健室の顛末だとは語らない。]
それは良かった。
わたしも探すのに手間をかけずに済みそうだ。
[
んん? そうだな、とある天使の都合で、
今は堕天使のようなものをやらされている。
わたしはそんな者だ。少々面倒な一身上の都合でね、
君のお爺さんのご同輩、とも言えるしそうでもない。
だがまあご想像の通り、似たようなものという奴だ。
旨そうなものとか、
面白そうなものとかを探すのが趣味の、
まあ所謂遊び人、とでも思ってくれ。
[泣けてくる、と聞けば 水音がわらうようにごぼごぼと上がった。]
おやおや。やはり何かと苦労を背負っていたかな。
何時の世も正しい子は、人より苦労を負う。
安心しなさい、 わたしは、味方だとも。
[水音のノイズが、声の色を隠している。]
[
どこかで聞いたかのような話、くつ、と笑う気配を隠せない。]
君は、白鳥のことが…
[優しい悪魔の囁きは、奏の心の内を探るが如く]
そう、君は何も間違ってはいない。
[友と同じよう
[お喋りがまた違うタイプのお喋りを連れてくる。類友、というものだろうか。]
…僕は悪魔。
天獄市の堕落を促しつつ、治安維持を仕事としている、悪魔だよ。
[ざっくりと説明した。そんなに間違ってはいない。]*
【人】 露店巡り シーシャ[マイの方へ手を差し伸べて、惑う指先にズーム、柘榴色の瞳が画面いっぱいに──映る過去の映像。セピア色の暖炉の光] (291) 2020/01/11(Sat) 19時頃 |
[──同類と出会えたからだ。
自らの出生を、心を、秘めた1%をただやわりと受け入れてくれる存在が。
……は、
堕天使みたいなもの、ということは天使のお仲間だろ?
なぁんでまたそんな奴が悪魔とつるんでるんだか。
…遊び人、というならなるほど。
お前みたいな飄々とした奴は得てして厄介なんだ。
頭お花畑(偏見)の天使さんからは浮いてたんだろうさ。
[彼が自身を多く語らぬのならその隙間を勝手な想像で埋めてレッテルを貼る。]
まさか先生まで"そう"だなんて思っていなかったが。
[これまで生徒として彼に触れ合って来てそんな素振りはちいともなかったはずなのに。自分がそうなってみれば彼の傍は不思議と以前より居心地がマシに思えた。以前どうだったのかはここでは割愛する。少なくとも桐野は音坂をけったいな男だと思っていた。]
いろんな生徒だまくらかして…
あくまで悪魔だったってことね。
……いやダジャレ。アホなのか?
[しかしアホっぽいダジャレも音坂のセクシーヴォイスにかかれば様になるというもの。ましてこの泡の音が彼らの声にかかればそれは素敵なエフェクトだった。]
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