231 獣ノ國 - under the ground -
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[さみしい、と声が聞こえた。
少し前までなら、理解できなかっただろう。私は、何よりも孤独を愛していたのだから。
からからに乾いた心では、自分がさみしいことにも気づけない。
さみしいというその声の主は、きっと願いがあるのだと思う。
満たされない何かがなければ、さみしく思うことは、ないのだから]
どうか、したの。
[返事をしてから、気づく。
この声の主は「鍵」を持っているという獣ではなかったか]
―――……、
[ あれ? いま僕は、なにと言ったのだろう?
同じものにしか聞こえない声が届いて、僕は眉を顰めた。
「 さみしい 」―――僕はもう一度そう言った。
しくりと、胸中蟠るなにかが頷いた気がする。
「 さみしい 」 『 どうして? 』
―――どうしてだろう 。クエスチョン。 アンサー。 ……それは、 ]
どこかへ、 行ってしまうから
[ 『 誰が 』と、『 なにが 』と。
僕は続く言葉を並べることは、できなかった。
ただひたすら、 ” ” 。 ]
―――君も何処かへ、行ってしまうの?
[ 「 いきたいの、 」 なあんて。 僕は平生と同じ錆色を灯して、声を奥に投げ込んだ。 ]*
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それは、難しいわ。 私は、うわばみではないもの。
[丸呑みで、なんてリクエスト>>266にはそう返した。 象を丸呑みしてしまううわばみの話は、第二図書室で読んだのだったか。 このあと行こうかしらなんて考える私は、第二図書室の惨状>>44>>45も、その犯人がここを去ったこともまだ知らない。 それに、お腹の中のあなたは、私を抱きしめてはくれないでしょう? なんてそんな言葉は、胸のうちに留めて]
そう? それなら、良かったわ。
[何にも知らないと主張する彼の兄は、私が思っていた以上に賢いようで。 声の大きさに閉口していたけれど、認識を改めなければならないかもしれない]
(269) 2015/07/14(Tue) 02時頃
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―食堂―
[しげしげと興味深げに覗きこまれ>>267、落ち着かない気持ちは加速する。 私の視線に気づいたフィリップは、慌てて自分の食事に戻るけれど、気にしている>>268ことは一目瞭然で]
私の両親は、人間なの。
[突然変異か、先祖返りなのか。ごく普通の人間の両親の間に、梟の私は生まれた]
だから、ずっと人間と同じ食べ物を食べて生きてきたから。 私にとっては、美味しいわ。
[向けられた怪訝な顔にシチューを口に運びながらそう言って。 開かれた口に、瞬きを一つした。 食べてみたい、ということなのだろう、これは。 しかし同じ鳥類とはいっても、梟と鸚哥では食べるものが随分違うはず。 しばらく迷って、これなら大丈夫か、とシチューの中のにんじんをフォークに刺して、フィリップの口元へと運んだ]
(270) 2015/07/14(Tue) 02時頃
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[ どこへ? 何処かへ。 とおい空へ?
チェビィのことばはどこか 遠くにあって
無言の隙間から 「鍵」がちらついて見える。
『 だれが 』 とも 『 どこへ 』 とも聞かず
( だって、ここでない何処かなら
それだけで十分なんだ。 そら、さえあれば )]
ぼくは 行きたい。
………… きみは、 行かないの。
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[さて、にんじんなら体に害はないと思うのだけれど、シチューの具として煮込まれたにんじんは、調理された食べ物を食べることのないフィリップの口に合ったか、どうか]
私はこのあと第二図書室に行くつもりだけれど。 フィリップは、どうするかしら。
[私はこれから活動時間だけれど、フィリップは違う。 無理はしないで、と伝えたけれど、彼はどうしただろう。 ともあれ、食事の後、第二図書室へと足を向けた私は、室内の惨状に驚愕することになる**]
(272) 2015/07/14(Tue) 02時頃
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