103 善と悪の果実
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[ペラジーとの会話の最中、近くのテーブルに簡単な食事が、少女の分だけではなく用意された。
大きくなる喧騒に気を払うこともなく、ペラジーを見ていた少女も 問いただすようなそれよりも、震える声には視線を向ける]
(184) 2012/09/28(Fri) 00時半頃
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[静かに
ただ見ていた。
感情の篭らない深海の瞳は、透明なようでいて、その実見通せない濁りを持って、おびえる男に向けられた]
(185) 2012/09/28(Fri) 00時半頃
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[ストロベリーブロンドから羽ばたいた黒い蝶に、思わず手を伸ばす。 昨日よりも近くで見たその形は――]
綺麗、それに…
[見覚えのあるものだった。 少女の目にはわからなくとも、明らかに量産品ではない、精巧な細工のそれ。 色こそ違えど形の同じ、対ともいえる蝶を、少女は良く知っていた]
私の宝物に、似ているわ
[不思議そうに、悪戯な笑みを見上げた]
(195) 2012/09/28(Fri) 01時頃
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[広間を去っていく後姿を、やはり物言わずに見送った。 少女は、おびえの理由を理解していない。 わからない、その理由に興味はわいても、長くは続かなかった。
ああそれよりも。 シーツに包まれたグロリアはどうなるのだろう。
あのまま、美しいまま 時がとまってしまえばいいのに]
(201) 2012/09/28(Fri) 01時半頃
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[赤い意思。
殺戮の匂い。
突き付けるのは、異端者を見る眸。
重ねるのは。
重ねるのは。
僕を知った人の眸。
僕を造った人の眸。]
…貴女様が望んでくださるのならば、
私は兄にでもなりましょう。
このような、下賤な浅黒い肌でも許されるのならば。
…貴女様が望んでくださるのならば、
私は。
―――――…御守りしましょう。
レディ・ポーチュラカ。
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[蝶を握った手に力が篭る。 精巧な細工は、幼く柔らかい手を僅かに傷つけ痛みを与えた少しばかりの血を流させる。
黒は、赤を覚え
赤は――血を吸い過ぎた赤は………?]
(209) 2012/09/28(Fri) 01時半頃
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ポーチュラカは、ペラジーの瞳をただ、見つめ――**
2012/09/28(Fri) 01時半頃
兄様………?
[手の中の蝶は、同じ血を吸うことはない。
震える手は、震える唇は]
[小さな呟きは、鈍く光る銀色の運命を絶つ。
赤の殺意をもってして。
どちらかの命をもってして。
濡れた烏の、
塗り潰された黒の、
重ねた血の、
背負う罪の、
眸を開ける頃、世界は“楽園”に変わっているだろうか―――……**]
……ええ
[守られることになれた少女は、花のように笑う。
家族を失い壊れた少女は
けして取り戻せない欠片の幻影にすがる他ないのだ――**]
[本質は、望まれるままに]
[共にも]
[男にも]
[女にも]
[兄にですら]
[脱皮を繰り返す蛇は、己というものがまるでないように]
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