56 いつか、どこかで――狼と弓のワルツ――
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[茫然としたような声の響きに、小さく息を吐く。
安心させるように、己自身に言い聞かせるように、呟いた。]
お前の役割は、仲間の不安を少しでも和らげることなんだろ。
不安がってたらダメだろうが。
お前の不安は俺たちが、射落としてやる。
その代わり、祈っていてくれ。俺たちの勝利を、さ。
[それは領主公女の願いとは逆のことだとは知らない。
ただ、純粋に勝利を望む。
それが、彼女たちを守ることだと信じているが為に。]
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[休息を得る前に、2、3やるべき事がある。 医務室を訪れて、有事の医療や看護の体制を確認した。 ペラジーは不在のようだった。既に休んだのかも知れない]
はい、はい……分かりました。 手伝いが必要な時など、何かあれば私もすぐに参ります。 ええ、よろしくお願いします。
[人手が足りなくなれば、一人暢気に祈ってもいられない。 彼らには及ぶべくもないが、応急処置程度なら心得ている。
ごく簡単な打ち合わせを終えると、医務室を後にした]
(196) 2011/06/30(Thu) 23時半頃
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[諭すような声に、はっとして]
そ、そうですよね。私がふらふらしていたらいけません。
……ありがとうございます。
[揺るぎない声に接することは気を落ち着かせた。
強張った肩を回して緊張を解く]
ええ、分かっていますよ。
ヤニクさんをはじめ、皆さんのご武運をお祈りします。
[言って、戦争を嘆いていた公女殿下の事を思い出した。
とうとう今にも開戦という状況になり、
彼女の心痛はいかばかりだろうかと]
[オスカーが席を立つのを見れば、何事かと目を向けるが
偵察に行くのだと分かれば]
…ちゃんと帰って来いよ。
[気をつけて、なんて言ってやらなかった。
彼女は自分の傍につくのが本来の役目であるはずだから、
それ以外の場所で何かあっては困る、とばかりに。]
……見方解る?
[ヴェスパタインが部屋を辞した直後。
唸りながら書類と戦っているイアンを見兼ねて、彼の元まで歩み寄って書類を覗き込む]
………つまり砦の配備には常に両騎士団から二つの隊が付いてる。
後、この隊も予備兵力として砦に駐留。
実質動かせるのは残りの隊、て意味だね。
[しかし図も文字の羅列も多少読み辛く記されて居て。
他にも解らない所があれば、彼なりに丁寧に説明するか]
俺は大丈夫だ。
それよりもお前たちの方が頑張れだ。
[山積みになった書類をオスカーもまた、目にしていたから。]
…頑張れベネット。
[果たして書類相手にイアンが戦力になるのかどうか、怪しいもんだと思いきり思っていた。]
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―廊下―
[医務室からの戻り途中、廊下に見えた人影。>>199]
……バーナードさん。どうかしましたか?
[休息令が出た時分、仕事で出歩いているようにも見えず、 後を追って声を掛けてみた]
(210) 2011/07/01(Fri) 00時頃
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[ベネットから声をかけられれば
眉間に皺をこれでもかと寄せた顔でそちらを向く。
説明を受ければ、あーあーと相槌なのか奇声なのか
分からないような声を上げて]
分かった、分かった、つまり
こっちはどーんと構えてるから、
こいつらがざーーっと行けば問題ないって事だな。
[人差し指でどんどん、と紙をつつきながら
ベネットの言葉を一つずつ理解していく。]
くっそ、簡潔に一枚にまとめてくれよな…
[今彼にとって倒すべきは、
敵国じゃなく、この山積みの書類なのだった。]
[オスカーが出ていく際に、何故自分への声援は無かったのか
疑問に思っていたが、彼がその意味を理解することはなかっただろう。
それからしばらくすれば、唸り声が執務室に響き渡っていた。]
…――― 俺にも後でその書類見せろ。
[風にのって届いてくる主の声を聞き、暫く沈黙…、いや、唖然として。
戦場においても、オスカーはイアンの傍につき従い伝令や偵察、場合によっては戦闘もこなさなくてはならない。
彼だけに任せておくのはあまりにも不安だった。]
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こんばんは。
[ぺこり、一礼返し。>>214]
ご趣味……ああ、また絵を描いておいでだったのですね。 食堂がまだ開いているんじゃないかと思いますよ。
[バーナードが礼拝堂にやって来て、 隅の席で画材を広げていた事があったように思う。 得心して頷いた]
……考え事というのは、絵のことでしょうか?
(219) 2011/07/01(Fri) 00時頃
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[―― トントン、と顔を指を書類に突き入れる様に次第に僕も説明しだす]
……イアン! ここ三千六百って書いてる!
あぁもうまだ半分以上あるんだよ!?
[…何故僕だけに声援を送られたのか
イアンの唸り声を音楽に、その意味は嫌と言う程理解した。
―この戦が終わった後、どうなるんだろう、と]
ああ、お前が祈るのなら神様もきっと勝利を与えてくれるだろうな。
期待してる。
[彼が何を考えているのかまでは伝わってこないが、それでも空気を明るくする為にそう言って笑う。]
俺たちが前線に行っている間、お姫様のことも気にかけてくれ。
[間違いを指摘されると、その顔を一層歪ませて]
…げっ。
無理無理無理、これ朝までとか死ぬ。
何だ、参謀室長殿は俺を決戦の前に殺す気なのか?
[へらへらと皮肉を言ってみるが、
そんなもので現実は変わらない。
しばらくは睨みあいをしていたが、痺れを切らせば]
…ちっと外、出てくる。
ベネット副団長、少しの間よろしくな!
[わざとらしく副団長なんて呼んでみたりして。
半ばベネットに押しつけるように、書類を渡すと
きっと彼の制止の声も聞かず、執務室を飛び出した。]
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