194 花籠遊里
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お前が自ら欲しいというまでだ。
見ていてあげよう。
私の可愛い―――…
[身体は花の所業に染まり、抵抗無く細いものを飲み込んだ。
白に濡れた先端は、面白いほどに滑る。
与えられた其れを握り、くちりくちりと淫音を奏で。]
形……を、覚えるよう、に。
ナカ、が、ッ……
きゅうと、なって……
[自らの身体を知る指先が、刺激を求め揺れ動く。
はしたなく、快楽に浸るべく。
嬌声を滲ませながら。]
っ……
嫌だ、嫌です、足りません……
このようなものでは、もう。
[満足できぬ身体なのです。
堪え切れずに、根を上げるのは、きっとすぐの事。
再び熱をもたげる雄から、とろりと蜜を滴らせ。
まるで涙のように。
認め、腕を伸ばし、求めたのは、――。]
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花主さ、ま……
[お前は誰も見ていない、と告げた宵闇の声。
繕った仮面の奥で、本心を隠し、傷付かぬようにと笑むばかりで。 そんな己に、誰を愛することが出来ようか。
何を好きになっても、何を嫌いに思っても、苦手に思っても構わない。 感情を否定しない己こそが、嫌われぬようもがくばかりの哀れな枯れ花なのだと。
花籠の外にさえ出ることが出来れば、何もかもを零からやり直せると。
信じていたかったのは、甘すぎた子供のような理想。]
(130) lalan 2014/09/26(Fri) 22時半頃
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花主、様……ッ。
[本当は理解していた。
理解して、見ない振りをしていた。
花に求めるものが"男を受け入れ悦ぶ事"だったと。 其れを求めてしまうほど、自らが逃れられぬほどに、低俗な花らしくあったこと。
同じ花である者たちを眺め、彼らのような強さに嫉妬していたこと。
"ちょう"のように、生きてみたかったこと。]
(131) lalan 2014/09/26(Fri) 22時半頃
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花、主、さま。
[造花の振りをして居たかった。
そうでなくては、寂しくて。
"誰に言われず、誰に愛でられず、誰の目にも留まらず"
花は、潰れてしまいそうだったから。]
(132) lalan 2014/09/26(Fri) 22時半頃
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――…。
[闇に誘われるのは、歪な劣情。 嫌がらせをして縫い止めた、独り善がりの錆びた楔。
飛べぬ沈丁花は蒲公英を夢見、白い蝶と交わしたたった一つの約束は、遥か彼方。*]
(133) lalan 2014/09/26(Fri) 22時半頃
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[ けれど、僕は あの御方に逢うことが出来たのです。 ]
おかあさんのように
ぼくを
おいて、おいていかないで。
いいこにするから
わらっているから
なかないから。
はしたない、淫らな“ちょう”よ。
十分喜んでいるというのに、足らんと言うかい?
欲張りなものだねえ。
[嬌声滲ませ揺れ動く体。
痴態を晒す、焔花。
中を犯すは人の熱でなく、
無機質で冷ややかな万年筆。
男はゆらりと立ち上がる。
蝶が花を買い付けに訪れたなら
その秘所晒すように言いつけよう。
時には指先で溢れる蜜を掬い上げ。
喚く口の中へと運んでやろう。]
[知っている。
重ねる色が違うこと。
知っている。
造花の振りを望むこと。
―――“私”と“お前”は背中合わせ。
向かい合うことなど在りはしない。
あってはならない。
“ちょう”になりたい男と。
“花主”たる男なのだから。]
―――おいで、丁助。
[おいでと言いながら。
圧し入る熱は硬く。
初日花開かせたのと同じよう。
否、それよりも荒さは増そう。]
丁助。
[耳に落とす冷たい声。
氷の微笑は、歪んだ想い。]
“ちょう”。
[重ね合わせてすり合わせ。
穿ち貫いては、内へと爆ぜる。]
[雁字搦めの錆びた楔。
幾度も打ちつけ。
花を *手折る*]
あゝ。
煩わしさなんて、滅相もありません。
『花』でいられると謂うのなら。
僕はなんでもいたしましょう。
[その時の僕はどんな顔をしていたのでしょう。]
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