20 Junky in the Paradise
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サイラス、か
… ヤニク……か、な。
[教えてといわれた名前は
ヤニクとマーゴの傍を通り抜けた際に、
独り言の様に零される。]
……。今は、ヤニクの気分、かも、ね
[陰鬱さを奥に漂わせた黒い眼が、
異国の青年に耽るマーゴを*見やった*]
[快楽を貪る最中にスティーブンの声は酷く遠く、
現実感を伴わぬまでも微かに聴こえた]
『未だ、駄目』
[今ご馳走を奪われる事を拒んだ故の言葉は、
ヤニクだけでなくスティーブンにも無意識に向いていた。
奥深く陰鬱さを漂わせる視線に気付く事はなく、
同時に食べ終わったご馳走を如何されようと構う筈もない]
[―――私を食べて]
[ up ]
[ up ]
[ up ]
[誰が?ホリーが。
誰の声?誰か]
アァ…
[酒と血と体液と自らからは未だ微かに香水と様々な匂い。
空駆ける心地に裂く感触に繋がる裡に背筋が震える程の快楽。
聴こえる周囲の喧騒も声も遠く近く脳を直接攪拌する様。
貪り終えれば望み通り?食べにいこうと思い立つかも知れず]
―――嗚呼…
[酒と唾液と血に塗れあかく濡れた口唇から、
快楽に溺れず貪り蕩揺う吐息が*零れた*]
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……マーゴ……。
[告げられた名前を繰り返す。] [マーゴの腕は首筋をとらえ、抱えられた頭は、白いマーゴの胸元に。 色付いた頂まで唇を這わせ]
『アタシたちの唇
今だけは同じ味がするわ』
[振り仰げば、とろけるようなマーゴの笑顔]
──綺麗ダ、マーゴ
[そう言葉にするのと、彼女の唇が重ねられてきたのとどちらが早かったのだろう?]
(125) 2010/07/09(Fri) 22時半頃
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!?
[さほど痛くもなかったが、何かが腰に当たったような衝撃を感じた。 そのあたりを撫でるマーゴの手の感触に血のたぎりは増してゆく。]
さっきみたイ、……いや
[騎士につけられた物とは違う火が、体に漲って。 いつの間にか、胸と胸、腿と腿が直に触れあっていた。
そして、露わになった嵩ぶりにマーゴの中心が重なり]
(126) 2010/07/09(Fri) 23時頃
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マー…ゴ、凄く、気持ちがい…い…… [とろりと温かな感触に包まれて、思わずそんな言葉が口からこぼれた。]
[背に回るマーゴの腕は力を増し、陶然とした瞳はうっすらと涙をたたえて]
[あふれて頬に伝う雫を、そっと舌で舐めとる。
そのまま唇を重ねて舌を絡めて──]
(127) 2010/07/09(Fri) 23時頃
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…マーゴ、どうしたノ?
[彼女の甘い声に、別の何かが混ざり込んだように聞こえた。 何かを床から拾い上げて口元に運んでいるのが見えた。 その手には赤い何かが伝って──]
血?
[そう気づいた時、赤いマーゴの手指が、自分の唇をなぞった。 微かに塩辛くて苦い─血の味]
(129) 2010/07/09(Fri) 23時半頃
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[顔を寄せたマーゴと重ねた唇は、微かなワインの残り香と、血、そしてまた別の仄かな苦味。 舌が絡む毎に、自分もマーゴも熱くなってゆくのを感じる。]
『ヤニクの赤も───見せて?』
[マーゴの声と同時に、胸元に微かな痛み。 見下ろすと、一直線の赤い筋が走っている。そこから赤くにじみ出すものに、マーゴが舌を這わせる]
マーゴ、……僕のそこに、貴女の掌を
[マーゴの血と自分の血。 溶け合わせて、混ぜ合わせてみたい]
(130) 2010/07/10(Sat) 00時頃
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さすらい人 ヤニクは、長老の孫 マーゴの顔をのぞき込んだ。
2010/07/10(Sat) 00時頃
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