20 Junky in the Paradise
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[硝子の奥の目は、目の前だけを見詰める。
眼鏡のフレームの中に覗く世界だけに、
視野が狭められてしまったかの様に。]
………、こわ、こわさ…
壊さ 、さな さなきゃ。
[沈黙の以後。口内で繰り返されていた篭る声が
外に出されたのは、
与えられた"使命"をなぞる言葉]
こわ 壊さ、さなきゃ……
せ 世界、全部。
とく…"特別"は、
ひと
ひとりで い、いいんだよ。
[他の特別は要らない、と、男の目は、
目の前にはいない──*サイモンを網膜に描く*]
─ 回想 ─
[スティーブンが付き合いはじめたは、
彼女よりもサイモンが先。
大学の講義の一部が同じであったとか、
その程度の縁からはじまり気まぐれに付き合いに呼ばれ
なし崩しに悪友たちの集いの末席に座るも、
いつもは壁際によって中心には寄らない。]
あ、う、うん。
は はじ、はじめまし、て……
[だから、サイモンの従兄妹であるマーゴを見たことはあって挨拶をしたことがそれより以前にあっても。最初に誘いを声を掛けられたときには抗議をするでもなく、愛想笑いで挨拶を繰り返し]
えっ
[マーゴにしてみれば、誰でも構わないからの対応であれど、女性から男として扱われる事の殆ど無かったスティーブンにしてみれば、寄せられるマーゴの身体はやわらかくて熱く。きっと、それは、なによりの誘惑だった。]
[知らなかった女の身体の味を教えられて、
貪ることを恐れる臆病な性質は、けれど、
白く上質なやわらかい女の身体を与えられたことで、
欲しがる事を赦されたように──錯覚したのだろう。]
う、うん。
マーゴに、も…貰って…ほ、欲しい、な
[花よりも、服や鞄。そういうものの方が、
贈ったときに喜んでくれるように感じれば、
そう学習をして
次はより彼女が喜ぶものを、と貢物を買い漁れば
そのうちに財布も空になる。]
[それでも。
そのうちに、財産や学業や自分の身を崩し出しても、
己の払った代償が、彼女を繋ぎとめてくれる、と、
そう信じていられる間は、
男は、きっと、とても幸せそうだった。]
[幾度目の誘いか、白くやわらかな肌に顔を埋めて]
── あ、愛してる。
[欲しいものは教えれば覚えるけれど
自分の欲ばかりに曇る目は、
彼女が──嫌がることには鈍感で
同じ想いをのせた言葉が返らない意味に気づかない。]
マーゴ。
き きみに、
わた …渡したいものがあるんだ。
[だから。]
[個人的に会いたいと誘いをかけて、
その日。
男が懐に忍ばせていたのは、
オーダーメイドの、揃いの指輪。
贈り物の服を着てきた彼女が、
いつもどおりに口を開いて]
…う、え。
[彼女を繋ぎとめてくれると信じていた贈り物を着て、
別れの言葉にぽかんと間抜け面を晒すことになる。]
["どうして"、"なぜ?"──"わからない。"と、
その顔にわかりやすく書いて]
[そうして、
今日こそ受け取ってもらおう、と
意気揚々と取り出した、
小さな箱だけが、
──急落下した心地の *男の掌の上に、取り残される*。]
[ こっちに ]
[ 堕ちて ]
[ おいでよ ]
風来坊 ヴェラは、メモを貼った。
2010/07/07(Wed) 23時半頃
[良識ある女中が快楽に堕ちて
屋敷の良識が壊れてしまえば、
罪悪感を刺激されることも無く楽になれる]
こわ…こわし、
… 壊し、ちゃえば
ほ 他の、もの、
ものが
… な なけ、れば……。
[繰り返し繰り返し繰り返して、繰り返すたびに視野の端から黒く塗りつぶされて──見えるものが、狭まっていく。]
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[金属に触れた舌に冷たさが広がる。鉄の味と、冷たさに酔いしれる。 知らず、服越しに自身を甲冑に擦り付けて。 女王様を苛めて興奮した自身は、少しの時間をおけどもまだ硬く 甲冑にすがりつくような体勢で金属の肌を舐める。 荒い、熱い息は表面をなぞってはすぐ落ちていく。 時折その無機質な肌に歯を立ててはガチリガチリと滑って、眉をひそめる]
…っ、は ぁ。 あ、ぁ。誰かいねぇか、な。 [ふと現状に気付けば甲冑から身を離す。未だ高めるだけの男根は膨張したまま、けれど1人遊びはつまらないと。
入口から、中を覗けば絡む男共が一番に目に入る。]
な、んだ。ヤニクも楽しそうじゃん。 判ってなかったみたいだけど、それならいいか。
(179) 2010/07/08(Thu) 00時頃
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