224 Cнег дьявол〜凍ったケツ村〜
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[ざらざらと思考のノイズがまた背後から忍び寄る。
能力者。邪魔者。
目の前の洗濯婦を見詰める視界が赤く染まってゆく。
最初の頃のように、割り込まれたという感覚は無かった。混じり合い、端から、溶け合っていく、感情。]
『 能力者は、ご婦人よ。
──でも、ね。小賢しい、せんせい。
コレも、生かしておいては、きっと邪魔だわ。 』
[とろとろと、蜜のような甘さで謳う声。
どうする?「あなた」の、望むまま。
けれど、ざらつく獣の感触は、ふいに聞こえた弱々しい声に一瞬で霧散した。
ケイト。名前を呼ばれる。お腹が、空いたんだ。
なんて悲しそうな、やり切れない声。
空気を震わすことなく伝わる筈の声なのに、少女の唇が戦慄く。シメオン。]
(……私は、お姫様なんかになりたいんじゃ、ない。)
[彼には伝えない言葉と、決意。]
あなたは、どう思う?
真実に一番近い誰かに──今夜、『会いに』いきましょう。
[それが、彼女の意思で吐かれた言葉だと知るのは彼女だけ。]*
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[ ヨアヒムの笑みの意味を理解したくない。 だが、続く言葉に鼻を鳴らす。]
あんたの言う通りかもしれない。 “知らないふり”をするのは狡賢さ、なんて。
でも、あんたがメルヤについて中途半端な理由で疑ってたのは忘れない。 俺にも同じことが言えるだろうけど、ね。…よく、覚えとくよ。
[その後だったか。 間に入るような声かけ>>197が聞こえたのは。 そちらに意識を逸らすのは早かった。
誰かを信じる? 真反対の行動に向けた視線は自然と重なっただろう。]
(211) 2015/05/28(Thu) 23時頃
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ジリヤ、
[光を帯びる眼差しの真意は推し量れない。>>199 ただ、彼女の言葉に喉が詰まる。
大切な、幼馴染だ。 彼女がパルックのように命を途絶えさせたら?
それこそ“知らないふり”をしているんじゃないか。]
(212) 2015/05/28(Thu) 23時頃
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…俺も、ジリヤのことは、信じたいとは思ってる。
[だが、目の前にいる彼女は本当に俺の知っている彼女なんだろうか。
だってパルックの部屋の電話線を切れるなんて、限られた人物じゃないか。
自然、一度口を閉ざす。 ジリヤの言葉と表情>>200からは真意を伺えなかった。]
(213) 2015/05/28(Thu) 23時頃
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[ 唐突に紛れ込む声はもうすっかりと耳に馴染んでいた。
周囲の喧騒が何処か遠くに聞こえる。
脳に直接語りかける音に瞬きをやめた。]
『 …そう。「先生」……? 』
あの人は“昔から勘が鋭いから”。
[ どうしようか。
「キミ」の望むままではあるけれど、その情報を知り得るのは、婦人が能力者だと知るのは、当人と先生と───キミだ。]
『 本物かどうかは分からないけれど、肌に触れただけで人かどうか見極めることのできる男もいいんじゃないかな。 』
[大衆の前で公言した男だ。
その分、失敗するリスクもかね揃えてはいるけれど。
意識がしっかりと附着する間際まで、鬼は嗤っていた。]
[憔悴仕切った声は弱々しい。
誰かを疑うばかりで、変に視線を集めてしまっただけに思える。
このままなら、遅かれ早かれ命を落とすのは、]
………情けないな。
[ケイトの反応に薄ら笑い。
地につく足は冷えてきている。
緊張によるものなのか、それとも雪鬼としての能力によるものなのかは分からなくなってきている。 ]
………『 先生にご挨拶に行こうか。 』
[答えてから、息が詰まったことを自覚した。]
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ちが、…違う。 ジリヤ!
[何が違うと言うのだろう。
自分を信じたい、とそう告げてくれた人物に対して、一瞬でも疑いの目を向けてしまったなんて。]
………ちが、う。
[ 大切な幼馴染だから。
考えなしに呟いた言葉ではない。 信じたいのは本当だ。
言い切れなかったのは、]
(241) 2015/05/29(Fri) 00時頃
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[ 追いかけようと踏み込んだ足は止まる。 視線はヴェスパタインが卓においた紙面>>228
ヴェスパタインが握る道具に目を見張りつつも、紙を一枚取る。 とある人物>>235へ一瞥したのは一瞬。
シルクハットへ突っ込めば、その場を後にする。 先生一人に汚れ役を押し付けるのも憚れたが、足は自然と離れていく姿>>223へと。]**
(242) 2015/05/29(Fri) 00時頃
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『 肌に触れただけで、わたしたちを嗅ぎ分けるおとこ 』
[ざわり、ノイズがまた混じる。
能力者に反応しているのか。強烈な憎悪が腹の底を焼く感覚。]
『 なんて邪魔者。はやく、はやく、──喰ってしまいたいわ 』
[赤い囁きの合間を縫って、思考する。
守護者が誰なのかは分からない。けれど、アランが公言をした以上、そこを守護する可能性は高いのかもしれない。]
……せんせいの、ポケットにね。
メモが、入ってるの。
おばさまが、魂を見分ける人だって。
[その呼び方が、彼女本来のものであったと彼は気付いただろうか。
その必要は無いのに、息を吸って、吐いて。震えを押し殺した。]
だから、それさえ見つかれば、知ってるのは『私だけじゃなくなる』。
大丈夫よ、なんてこと、無いわ。
[叔父を手に掛けたその日と同じ言葉で、少女は彼の背を押すのだった。]
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[ 追いかけた先にあるのは扉一枚。 たった一枚隔てた先にある扉をノックしようとした時だったか。
漏れ出る声>>244を耳にしたのは。 ジリヤがメルヤと具体的にどんな会話を交えていたかまでは、聞き及ばず勘違いする。 ]
ごめん、……ごめん。
[ かける言葉が見つからず、扉を撫でるだけに留める。
暫く扉の前にいたがそれ以上は声をかけず、私刑が行われる頃には戻るだろう。]**
(248) 2015/05/29(Fri) 00時半頃
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[ ケイトの声が聞こえる。
よく知った口調は、顔と顔を合わせていない筈なのに鮮明にその人を想像出来た。
だが、表情だけはうまく描けないのだ。
自分の知るケイトの顔は、泣き顔と、怒った顔と、澄ました顔だったから。]
………嘘つけ。
あんなに、泣いてた癖に。
[けれど、実の叔父の死に涙に暮れた姿を忘れやしない。
それさえも、もしかしたら嘘なのだとしても、]
………、ごめん。
[また、自分の言葉がどういった意味を放つのか、自覚していても。
ここで“知らないふり”をするのは最後だ。]
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