25 花祭 ― 夢と現の狭間で ―
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執事見習い ロビンは、門下生 一平太の姿に気付けなかったのは良かったのかわるかったのか。
2010/08/03(Tue) 14時半頃
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――姿だけならば、繕えますとも 名花と名乗るボクの擬態を見破った者など居ないんですから。
[僅かな表情の変化は、ぼやけた視界に映らない。 染みた朱が暗く色を変えていくのも。 高嶺のいろが失せていたことも。 小さく息を吐いて、平常心を探している。 しかし伸し掛かる言の葉は少年を追い詰める]
噂があればボクは花で居られる そう思ったのはまだ数年も昔のことでした。 [長く続く噂には、それなりの真実が混じっている。 少年自身は否定しているけれど]
聞き流せたら、楽でしょう。 でももうボクは後戻りできない場所に居るんですよ
(272) 2010/08/03(Tue) 14時半頃
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― 表座敷 ―
疎まれこそすれ、愛でられる技で無いのは知っていますよ。 [自嘲混じる笑みを浮かべたかったが、口角が上がらなかった]
急に向き合えと言われて孵化するくらいなら こんなにひねくれちゃ居ません。 [周囲は恐ろしい、噂も恐ろしい このままトゲで覆い全てを拒絶していられたら どれほど楽か どれこど苦痛か]
……高嶺さまは
[そこで溜息ひとつ。 熱を帯びたそこに混じる微かないろ]
何故、ボクにそんな事を謂うんですか
(280) 2010/08/03(Tue) 15時頃
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執事見習い ロビンは、懐刀 朧の背にかけた言葉は小さく、届くかはわからない。
2010/08/03(Tue) 15時頃
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― 表座敷 ―
[包帯を替えてもらい、用意された寝床に収まる 常の勢い失せた少年はやがて眠りに落ち
桜咲く春に 鳥の囀りを夢に見る。
ただ、その庭は何処であるのか 確かめようとあたりを見渡した瞬間 視界は一色に*染まった*]
(281) 2010/08/03(Tue) 15時半頃
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[遺しておきたいものと
食らってしまいたいものと
己の感覚にとってそれらは違うもの]
…傍に置くに値しないなら、ただ食えばよいまでの事。
[そうして、生きているのだから]
[屋敷の構造を把握しながら
通信を介し、雇い主であるセンターに
極秘裏で屋敷の封鎖と
豚狼を捕らえる手はずを整えていく。]
――シュレーゲルは今は宴で最後の愉しみといったところだ
彼を狩るのも任せてもらおうか?
……わかってる、情報を吐くのなら殺さぬよう自重する
[打ち合わせる間、聞こえる声は愉しげに
さて、今度の狩りでは幾つの獣を狩れるのか*]
ん?
仕事熱心だな。
ああ、ヘマをしないのならやってくれ。
[そして、少し間をおいて]
そうだ。殺すなよ。
……何故……?
人に害なす獣、殺すのが当然であろう?
害をなして殺されぬなど……
[聞こえた声に返すのは心底わからぬと言う声]
獣を殺さねば、獣に殺された人々の無念は晴らせん
[低く告げる声は*暗い*]
なるほどな。
言いたいことはわからんでもない。
お前はお前だしな。
[暗い声に少し、声はまっとうになる。]
じゃあ、言い直そう。
殺されるな。
身体だけじゃない、心もな。
[そして、しばし沈黙したあと]
とっておきを貸してやるから。
[そう告げた。*]
…肉を。
[食らいたいと願う。
あのように追い立てられては、たまらない]
[子を為して大成するか、食い殺されるか、二つに一つ。
それゆえ高嶺を名乗れぬ花は、2つと居らぬ高嶺の花と。]
…食ってみたい男でも、見つかったか。
[不意に投げてみる声。
特に目的があるわけではないが。
花祭に出入りする関係、
あの人食い花とは何度か面識もある。
当然、共に"食事"をしたことも、だ]
…乾様も、お父上同様…血は争えぬようで。
このまま色に狂うなら、容易に手の内に落ちましょう。
[嬌声に混じって聞こえる囁き声。]
良い体つきをしておりますし…寺にて節制しておられるのなら、味の面ではあなたのお気に召すのでは?
乾?
…ああ、あの色坊主の。
[小さくわらう。
引き締まった、と聞けば幾らかは
興味があった]
脂身が多いのは好かん。
わたしは悪食ですから…脂のしっかり乗ったものも嫌いではありませんよ。
それに…祭りにて喰らうはただのエサではないのですから。
[子息を送り込んできた家のいくつかは秘密裏に、その子ではない世継ぎを望んでいる場合もある。
当人たちはおそらく知るまい。]
[熱が身を侵食していく
満月が
近い
少年は夢うつつ
真っ赤に染まった先を垣間見る]
肉を――…喰らい、種を植えつけて
[裏の路地で
望まず生まれ、捨てられる子供たち
この世界に何故、底辺と呼ばれる其れ等があるのか
知っている
知っていた]
壊す
この世の理
[遠くに会話を聞きながら
さらに深く、夢の奥へと堕ちていく**]
…わかっている。
[食うだけではない。
その言葉がどういう意味なのか]
…ああ、もうすぐか。
[さざめくような声。
もうすぐ、またひとつ人喰らいの花が咲く]
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― 本邸/表座敷 ― [用意された寝床で魘されていた。 額に汗を浮かべ、荒い吐息を零している。 身を襲った熱はざっくりと切った足の傷からか それとも、極度の恐怖と緊張を超えた所為か]
――情け無い
[緩く覚醒した意識 少年は自虐的な笑みを浮かべる。
このままでは、朽ちる未来しか無い事くらいは理解している。 前を向けと言われた所で、この数年積み重ねた稽古でも秀でなかった芸妓がいきなり花開くわけも無い。 何もしてこなかった訳ではないのだ。 超えられぬ壁 作り出している原因を少年は知らない]
(322) 2010/08/03(Tue) 20時半頃
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― 表座敷 ― [独り、朽ちて逝くのは恐ろしい けれど自害する勇気も無い 首を振った。 伝う汗が、気持ち悪い 誰の配慮か、いま少年は 口にしていた望みのとおり独りになれる静かな場所に居る。 けれど胸の内にあるのは安堵ではなく]
……満月……
[障子の向こうに月の影 僅かに欠けたその姿は、もどかしい気分にさせた]
(330) 2010/08/03(Tue) 21時頃
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……イアンの心は主が亡くなった時に、
既になくなっております。
[ぽつり、そう零せど、すぐに小さく笑って]
なんて……殺されるようなへまはいたすまい。
[取って置きのの言葉には嬉しそうに笑みが零れる]
……殺すな等とおっしゃるから
太刀を拒否されるのではないかと危惧しました。
今、受け取りに参ります。
お時間よろしければ、部屋にお帰りください
ああ戻る。
だが、こころはな、なくならぬよ。
それにそういうことを奴は望まないと思うがな。
[それはさりげに、実は知っていること、告げた。]
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― 本邸 表座敷 ―
Who killed…――Cock Robin
[床の中 熱を帯び掠れた声音で、紡ぐ異国のうた。 芸妓と謂うには届かぬ幼い童謡
少年の名が混じるそれを寝所で歌って聞かせてくれたのは 顔も覚えていない親。 物心ついたときから、幾度と無く彼の生き様を目前で見ていた 自分も彼の後を継ぐのだと ――その翌日、少年は学園へ預けられた]
I, said――…
(335) 2010/08/03(Tue) 21時半頃
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……なくならなくても……いりません
それに……主の真意は今となってはわかりません……
[高峰の言葉同様に、主の意思を推測する言葉へは
そうとだけ零した]
――其は、幾多の言霊
其は、この世ならぬ鳥のうた
それから
其は、この私よ
愚かなロビン
[つかの間の歌は
途切れ
脳裏で
哂うこえが
する]
そうか。
じゃ、しばらくは、俺に預けておけ。
仕事中は、以心伝心しておかないとだからな。
[さらりと]
…………
[預けておけといわれて、はいそうですかと
言えるほど人に甘える性分でもなく
仕事も絡めば露に拒絶するほど頑なでもなく
返事に窮して俯く]
……先程触れて確かめるとも
申し上げましたし
[そう言って自分が軽口で交わした約束を
律儀に守ることを口にしながら話題をそらした]
[親は天性の誘惑者だった。
何故彼が裏町に居たのか、知る事は結局無く
教わった事といえば満月の夜毎行われる――
多才な芸妓を持つ花と
その稽古を身につけたのは少年なれど
型どおり
譜面どおりの所作
毒花咲かずしては凡才に留まる
噂のロビンは、少年の内で眠る朱いろの花
芽吹くときは、もうあと僅か]
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― 表座敷 ―
[か細い歌は途中で止まってしまった。 咳き込み、続く音は出なくなる]
……
[酷く、喉が渇いていた。 身体はまるで自分のもので無いよう]
(347) 2010/08/03(Tue) 22時頃
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