60 ─昨夜、薔薇の木の下で。
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……ハ……。 [内にこもった熱は、吐息に混じって唇から零れた。
衝動に絡みつくように浮かぶ感情が眉潜めるようなものなのは、 きっと、力尽くで押し込められて、歪みねじ曲がっているからなのだろう。
殆どの"相手"が、「綺麗だ」と「愛している」と耳元で囁きながら身体を重ね、通り過ぎていった。 そんなものなんてきっと、宥め賺して食いものにする為のトリーツにに過ぎないとしか思えなかった。
薔薇の呪いに囚われた魂は、煽られた欲を持て余す。 いっそ自分も…心にも無い愛を囁いて、身勝手な欲望を誰かにぶちまけてしまおうか。]
(435) 2011/08/05(Fri) 00時頃
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わわっ!
[薔薇の行動に少年は慌てる。]
だめだよ、口のキスは!
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…何を、考えている。
[額を押さえて、ゆるりと頭を振った。 どうかしている。…きっと昨夜から。
昨夜、あの薔薇の木の下で…ランディに見つめられてから。
おかしい。何かがおかしい。 今はもう…自分の感情すら、信用できなくなってしまった。
ずきりと痛むのは、薔薇の棘に引き裂かれた傷。 見ればその周囲もなんだか鬱血したような色味を帯びていた。]
流石に…消毒しないと拙いか。
[ルームメイトの心配そうな忠告を思い出して、医務室へと赴く。]
(441) 2011/08/05(Fri) 00時頃
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ヴェスパタインは、食器を下げに厨房に入ろうとして………、目を伏せると隅に置いて立ち去ったようだ。
2011/08/05(Fri) 00時頃
キスなんて別に…なんてことないだろうに。
心地良いのは認めるが。
[いくども穢れ、自ら穢しもした唇に、特別な思い入れなんてこれっぽっちもない。
粘膜に張り巡らされた敏感な神経が、そこにはあるだけだ。]
口のキス?
[聞こえた声に、問い返すような。]
…そういえば、小さい頃に女の子にされたことはあったな〜。
[思い出してほわほわと胸があったかくなっている。
残念ながら、そこまで遡らなければならないほどに、経験がないらしい。]
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[傷口を押さえた指は、真新しい赤に少し汚れた。 足早に医務室へと向かう廊下…]
…セシル、さん? [崩折れるように壁に凭れて座り込む姿は、先輩と呼ぶにはあまりに可憐な姿。
無自覚な薔薇の香りは、二人の間にふわりと流れた。]
(450) 2011/08/05(Fri) 00時半頃
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…何処か気分でも?
[どうせ元々医務室へ向かうつもりだったのだ。 ついでに連れて行くくらいは…と、そう思って手を差し伸べる。
節くれた長い指は、弦を爪弾く趣味のせいで固い。]
(454) 2011/08/05(Fri) 00時半頃
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