308 【R18】忙しい人のためのゾンビ村【RP村】
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[その日、僕の部屋は片付けず 二階ベランダに通じる僕と兄貴の部屋は封鎖した。
部屋から出した箪笥をドアの前に置いたりして もしゾンビが入り込んでも簡単に出てこないよう バリケードを念入りに作る。
必要な物だけを持って一階へ降りて それからは……毎日。 居間のソファーで、兄貴と一緒に眠った。]
(17) 2020/10/24(Sat) 12時半頃
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[兄貴は日に日に、何かに耐えるように頭を抑えたり、 自分の身体を掻きむしることが多くなっていった。 時には、何を言うこともなく、 ぼんやりと僕の方を見ているだけのこともあった。
「自分が自分じゃなくなる気がする」 「俺、どうなるんだろうな…えーくん、怖い……」
僕より全然大きくて、 いつも頼れるばかりの兄貴だったのに。 お隣さんを撃退したときの気迫や強さは もう、見る影もなくなって。 泣きそうな声で漏らすのは、そんな弱音だ。
こんな兄貴は、今まで一度も見たことがなかった。 胸が破裂するんじゃないかってぐらい、辛い。]
(18) 2020/10/24(Sat) 12時半頃
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[痛みで発熱する身体が辛いのか (それとも、動いてると考えてしまうことがあるのか) ソファーに横たわったままが多くなった兄貴は 僕が水と焼き鳥とか肉の缶詰を持ってきたのを見ると ぽつ、ぽつ、と。決まって弱音を吐く。
兄貴は「連絡がつかない友人が毎日増える」と。 「次は自分の番なんだ」と。
「俺はもう、駄目だからさぁ…… えーくんは、安全な場所に逃げてよ」
……そう、震える声で、何度も言うけれど。 僕は笑って、言うんだ。]
(19) 2020/10/24(Sat) 13時頃
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[他に行くところも、向かうところもないんだ。 最後、一人になんてするもんか。]
大丈夫だよ、兄貴。 僕は……最後まで一緒に、居るから。
[兄貴の、指先の冷えた手を握る。 それは自分でも驚くほど、穏やかな声だった。]
(20) 2020/10/24(Sat) 13時頃
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[騒動からずっと、苦しいばかりが積もる毎日で 僕にできることはなんだろうと考えていた。 いつかSNSで見た"悔いのない選択"。
大丈夫。悔いなんてない。
そう信じて。手を、強く握った。]*
(21) 2020/10/24(Sat) 13時頃
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[ソファーに横たわる兄の横にしゃがみ、SNSを見る。
まず来ていた返事を見て、ついでに彼の他の返信も見た。
これは、この騒ぎを乗り切るのに有益な情報だ。
注意しなければならないことも、わかった。
わかったけれど。]
@heytaro
ミドリ @fate824
ご心配、ありがとうございます。
そして、ごめんなさい。
兄も逃げろと言ってくれてますが、
僕は傍にいてあげると決めました。
あなたも、どうか、気をつけてください。
["噛まれたらだめなんだと、兄を見てて思います。"
途中、そう書こうとして消したのは、
引っ掻かれたという投稿を見たから。
噛まれたり引っ掻かれたした人も見ているこの場所で
いくら確信を持っていても、そう言いたくは無かった]*
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[ビデオを見ていたら、いつの間にか眠っていたみたい。 テープがも終わってた。
わたしはソファに横になってて、スマートフォンが床に落ちてるのが見えた。
熱くて目が覚めた。 覚醒しくてると、肩がジワジワと痛みを増してて、我慢できないくらいだった。]
きもち、わるい…
[頭も痛くて息苦しかった。 今何時かわからないけれど、窓の外は暗かった。 暖炉の火も消えかけていた。
急にこんな風になるのなんて、もう1つしか考えられない。]
(22) 2020/10/24(Sat) 19時頃
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パパ…ママ…ごめん、わたし…
[わたし、きっとゾンビになるんだ。
パパとママがゾンビになって、もう一緒にいられないって思った時より落ち着いているのは、どうしてだろう。
肩は泣きそうなくらい痛くて熱いのに。 頭は痛くて胸は苦しくて気持ち悪くて死にそうなのに。 涙が出ないのは、どうしてだろう。
ここ数日で、一生分の涙出しきっちゃったかな。
床に落ちていたスマートフォンに、必死に手を伸ばした。]
(23) 2020/10/24(Sat) 19時頃
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フローラ
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わたし、ゾンビになるみたい。
折角パパとママが守ってくれたのにごめんなさい。
もっと、生きたかった。
ゾンビいなくなれって思ってたけど、みんな人間だったんだよね。誰かの大切な人だった。
元通りにはならないけど、これから、幸せが世界中に増えていきますように。
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[懺悔と希望を込めて。
そういえば、たくさん(じゃないけど)投稿したなぁ。 以前のわたしが知ったら驚くだろうな。なんて。
時間は巻き戻せないけど。 地獄になった世界に、幸せを願いたかった。 もし少しでも世界に幸せ成分が増えたら、パパとママにも会えるかもしれない。そんな奇跡を願ってもいいよね。
消えそうな意識の中で思い出すのは、 過ぎ去りし"日常"**]
(24) 2020/10/24(Sat) 19時頃
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マル得情報さん
サングラスを買ったら、
あなたのところに、
食べ物が、届く仕組みなんですか?(・・?
ヘイタロウさん
ありがとうございます。
今は、スマホから話してますが、
次にまたパソコンを使うときは、
試してみたいと、思います。
ビアンカさん
東京、ですか。
僕は長野にいるので、わかりませんが、
僕も同じこと、聞いてみますね。
[シェアのやり方など知らない。]
東京で、Stephen Walker
5ft9inくらいの身長で、
太っても痩せてもいないそうです。
出張で日本に発ってから、連絡がとれなくなったそうです。
心当たりの方は、ビアンカさんまで。
[とにはgoodを。
そんな投稿をしたのは、
健司たちと連絡がとれなくなってから
まだそんなに時間が経っていなかったころ。]
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[少し遅れているのだろうと、 まだそう思っていたころには SNSを眺めたり、町に住む他の住人に電話をかけたりして 情報を集めたりしていたけれど。 1日たち、2日経った頃には焦燥ばかりが募っていった。
何も食べる気がしない。 それでも体力は残しておかないと、と 無理やりにのどの奥へ押し込んだ 梅干しがはいったはずのおにぎりは、 何にも味がしなかった。
テレビはもう、何も映さなくなっていた。 どのチャンネルに変えてもノイズが走り、 耳障りな砂嵐ばかりが鼓膜を揺らす。]
(25) 2020/10/24(Sat) 19時半頃
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文章が、抜けていました(-_-;)
Stephen Walkerさんという方を、
知ってる人は、いませんか?
出張で日本に発ってから、連絡がとれなくなったそうです。
心当たりの方は、ビアンカさんまで。
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[まったく、生きた心地がしない。]
(26) 2020/10/24(Sat) 20時頃
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[美奈子の時は、病気だった。 だからある程度覚悟はできていた。 だけどさ、このまま息子たちに会えない、 なんてのはあんまりじゃないか?
あの、大切な人を失った時の、 とてつもない喪失感から 立ち直れたのは、あの子たちがいたからだ。]
『お客様のおかけになった電話は、 電波のないところにいらっしゃるか、 電源がはいっていないため……』
くっそ、なんででないんだ……!
[もう67(0..100)x1回ほど耳にした その機械的なメッセージに さらにイライラが増す。]
(27) 2020/10/24(Sat) 20時頃
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どなたか、神奈川から、長野方面へ向かう、
青い車を見ませんでしたか?
男性と、女性と、子どもがふたり、
乗ってるはずなんです。
数字までは、覚えてませんが、
横浜ナンバーだったと思います。
[人探しや、猫探しの投稿も見かけていた。
彼らも大切な人たちを探しているのだろう。
俺も同じように、藁にもすがる思いで、SNSに投稿した。]
百姓 ワットは、メモを貼った。
2020/10/24(Sat) 20時頃
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[その頃。 グループLINEは騒然としていた。]
……マジだ……。
ここ、写ってんの……サダじゃねぇか!!
[ダチのひとり、ニシが見つけたネット画像のなかに、サダミツらしき人物……いや、ゾンビが写っていたのだ**]
(28) 2020/10/24(Sat) 20時半頃
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[前にゾンビが二階に入ってきたときは 僕が寝ぼけて壁を蹴ったりしたのが原因だろうと。 不必要に音さえ立てなければ、 奴らは中に入ろうとしてこないだろうと。
兄貴のその推測は当たっていた。 それから今まで、ゾンビは家に入ってきていない。]
(29) 2020/10/24(Sat) 21時頃
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……兄貴。もう、大丈夫だよ。 じっとしてれば……ゾンビは、来ないんだ。
[一階の居間の横の、両親の寝室。 そこにあるクローゼットの前で体育座りをして 目の前で鈍く光る銀色を見つめる。]
「えー、くん………… そ、か……よ、かっ た……」
[獣が唸るような音が混ざった兄貴の声が、 クローゼットの中から聞こえるのに、 僕は膝の間に顔をうずめた。
クローゼットは中から簡単に開かないよう、 外の二つの取手同士を紐で結んである。]
(30) 2020/10/24(Sat) 21時頃
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[兄貴が噛まれてから、五日。
兄貴は最初、僕に逃げるよう何度も頼んで、 僕が逃げないなら、自分を殺してくれと言った。
――まだ、ゾンビになるって決まった訳じゃない。 なってもいないのに、殺すなんてできるもんか。
僕は毎回、そう言って断った。 ワクチンの開発とかが間に合って ゾンビになった人も助かるかもしれないじゃないか。
その言い分が何の気休めにもならないのは、 僕自信がが一番よくわかってた。 だって。毎日、テレビをつけてみても、 ネットのニュースを漁ろうとしてみても。 ここ数日は何の情報も流れてこなくなっていたから。]
(31) 2020/10/24(Sat) 21時頃
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[対策を練る筈の政府や医療機関の人だって 今どうしているかの情報が、何も無いんだ。 今一番、リアルタイムの情報が流れてくるのはSNS。 それも悪い情報ばっかりで、 事態が良くなりそうな兆しは欠片も見当たらない。
両親だってもうゾンビになってしまったんだろう。 兄貴ももう、助からないんだろうか。 ゾンビになってから助かったという情報はない。 こんなんで、希望を持つことなんてできなくて。]
(32) 2020/10/24(Sat) 21時頃
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[そして、兄貴は僕に言った。]
「多分もう、俺には猶予がない。 今のうちに、手を縛って。閉じ込めてくれ。 俺……えーくんや、他の人達を、 食べたりなんて、したくないんだ。 だから、えーくん。こんなこと頼みたくない、けど 逃げないなら……俺のことを、]
……ゾンビに、なっちまったら、だからな。 まだ、ならないかもしれないじゃないか。 でも―――、兄貴。約束、するよ。
[閉じ込めるのは、僕へ考える時間をくれたからだ。 ゾンビになって暫くは、迷えるように。 逃げるか、……兄貴を、殺すか。それとも。
僕は全部わかってた。もう避けられないことだって。 わかってて、兄貴を閉じ込めた。 けれどまだ僕は、どうするか何も決められてなかった。]
(33) 2020/10/24(Sat) 21時頃
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[クローゼットに背を預けたまま、話す。]
なぁ、兄貴。
「な、に……えーくん、」
兄貴は……心残りとか、悔いって、ない? 僕は……後悔ばかりだよ。
「……あるけど、さぁ………… でも、俺は、最後、 えーくんの声聞けて、良かった。 あぁ……そうだ。この後のこと、かな、 俺の分まで、えーくんに生きて、ほし、、 ……げほっ!!ごほ、っ……!!」
[ぜぇぜぇと、背中の下の方から蒸せる声。 クローゼットを開けようとして立ち上がりかけ、 "殺さないなら何があっても開けるな" 兄貴の言葉を思い出し、その場にまた座り込んだ。]
(34) 2020/10/24(Sat) 21時半頃
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[背中からは、辛そうな息遣いに、笑い声。 僕がしたことは筒抜けだったんだろう。 その後また、咳き込む声と唸り声が続いて、]
僕は、……兄貴だけだったんだ。 兄貴が居なくなったら、僕、
[背中から聞こえてくるのは呻き声ばかりになった。]
(35) 2020/10/24(Sat) 21時半頃
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[……ポケットで、震える感触がする。 SNSの通知だろうかと、スマホを取り出し。] [通話相手の名前を見て。嘘だ、と思った。]
―――父さん…?
[酷い雑音の中で。発砲音や、呻き声がする。 その中でも近くで聞こえる、荒い息遣い。]
『……エニシ。良かった、無事だな。 ヨスガも、無事か。』
[父親と話したのは、本当に久しぶりだった。 間違いない。本人だ。でも……なんで、"僕"に。]
(36) 2020/10/24(Sat) 21時半頃
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[こみ上げてきた涙を堪えて 数秒の悩む間を置いてから、震える声で答える。]
大丈夫。僕も、兄貴も、無事だよ。 ……母さんは?
『そうか。……良かった。 母さんは…………無事だ。』
[心配するな、とその後に続いたけれど 僕は、気づいていた。 僕が答えるまでの間と、父親が言い淀んだ間。 その意味が、殆ど同じものだってことに。 父親も気づいていたに違いないのに、 そのことに触れてこなかったのは、優しさなんだろうか。]
(37) 2020/10/24(Sat) 21時半頃
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