204 Rosey Snow-蟹薔薇村
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―昨夜― [拒まれるかと思われた男の存在を養い子が受け入れる。>>106 そのことに驚きとともに得た喜びを言い表す言葉は多分ない。
プリシラから触れさせた唇も、強請られた深い口づけも、欲しがる分だけ、欲しがる以上に与えたかった。]
(169) 2014/11/22(Sat) 21時半頃
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[衝動を誤魔化す手段を覚えても、そこに伴う人間の感情が無くなったわけではない。 受け入れられて、嬉しく思わないわけがないのだと。
伝えてやりたいけれど、それを言葉の形にすれば幼い狼を縛るような気がして――躊躇われた。
眠りに落ちるまで、求められるままに口づけを繰り返す。
プリシラは知らないままだ。 きっと無様な大人からこんなにも衝動を向けられていることに。
それを気付かせぬだけの手段を覚えたことを安堵しつつ、残念に思うのは我儘だと言い聞かせ。
眠るプリシラの髪に優しいばかりの口づけを落とす。]
お前が大事だよ。
[男自身の衝動からも守りたいほどに。*]
(170) 2014/11/22(Sat) 21時半頃
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― ―
[どこかで獣の遠吠えが聞こえる。 まるで慟哭のように、もの悲しく感情の制御を忘れてしまった鳴き声。
遠い祖先が獣の血の中に置き去りにした何かは、同族と触れ合えばまるで共鳴するかのように形のない予感めいたものを知らせてくる。
憤り、嘆き、困惑。 おびただしいほどの感情の渦が獣の喉から迸る。]
(171) 2014/11/22(Sat) 21時半頃
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[意識はそこで、浮上した。]
(172) 2014/11/22(Sat) 21時半頃
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[より 獣として 覚醒したばかりの
ドナルドにどこまで伝わるか
芳醇な 血の 旨味
若い肉の 弾力 肉の持つ 甘さ
軟骨の 程よいかみごたえ……………]
[惑わせるはフィリップの感情。
塞ぐことも出来ず流れ込むそれ。
天秤は揺らぐ。
ゆらりゆらりと不安定に。]
喰いたい。
噛み殺したい。
ラルフを殺した奴を――。
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―夜明け・3F― [嫌な予感を抱く寝覚めならば幾度も経験した。 けれど、無意識に感じ取るのはそれらの比ではなく。 ただ、良からぬ予感しか伝えない。
しんと静かな雪の世界が建物の中まで浸食したように冷え切っている。 足元から、心臓まで凍えさせそうな寒々しさの中を、色濃い血臭が漂う。]
(175) 2014/11/22(Sat) 22時頃
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ーーーー奪ってやりたい
踏みにじってやりたい
[それは獣にはない感情]
ラルフを貶めたノックスの大事なものを
ラルフを踏みにじったトレイル
けれど トレイルは食べられたがった
だから 食べて殺してやらない
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[警戒もあらわにプリシラを揺り起こし、男一人で階下へ降りるのならば、けっして扉を開けぬよう言い含め。 プリシラがついてくるつもりならば、絶対に離れるなとだけ言った。
扉を開ければ、血の匂いはより濃厚に。 そして、それ以上に死の匂いが甘く香った。]
(176) 2014/11/22(Sat) 22時頃
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貶めた――…。
ノックスも、敵か。
――…それなら、トレイルの同行者二人を消せばいいか。
……ノックスは……さっき
自分より トレイルを気にかけた
だから ノックスの目の前で ニコラを喰らい
トレイルを その喉を 顔面を ナイフで切り裂きたい
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―2F居間― [目を合わせるなり、御大層な挨拶だ。>>178 抱えた遺骸の有様は既にどのような死にざまだったかさえ分からない。]
取らねえよ。 それは…俺の欲しいものじゃねえ。
[その意味では男は目の前で唸る仔狼の敵となることはない。]
(182) 2014/11/22(Sat) 22時頃
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[フィリップの抱えた「モノ」の元の連れを見つければ>>180すぐさまそちらへと視線を投げる。]
何があった。
[短く、問う。]
(184) 2014/11/22(Sat) 22時頃
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やだ もうやだ 人間やだ
………………っ
[人間らしく また一つ 感情が湧き上がりそうで
懸命に飲み込む]
――…ノックスがラルフを殺したなら
彼から全てを奪ってしまうか。
[ノックスにとって一番残酷な方法を考える。
けれど同時にノックスを喰らってやりたいと思う。]
何か、手伝えることは?
[怒り……憎しみ そちらへと思考を向ける
それ以外の 人間らしい 感情なんていらない]
ーーーうん……ニコラは
本当は どうでもいいんだけど
………………ノックス 足止め
あの三人で 一番 腕力あるから……
――…一度に全部失えばいい。
[それだけの憎悪を向けるには十分なほど
ラルフは大事な者であった。]
足止め、ねぇ。
まあ、おれはこの衝動を向けられる相手がいればいいンだが。
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[殺したのはフィリップではない。>>189 同行者の死に蒼白になりながらも、ようよう言葉を紡ぎだすフランシスの言葉に偽りは微塵も感じ取れなかった。
殺された、と紡ぐ声を補うように横から途切れがちな声も。>>191]
ノックスが…
[衝撃がなかったわけではない。 だけど。
おそらくは、ディーンを喰らったであろう、ニコラの何も変わらぬ微笑みを思い浮かべれば、それは何故かひどく得心のいくことで。
信じたくない、と聞きたくないと叫ぶ声はあるのに。]
(193) 2014/11/22(Sat) 22時半頃
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[違う。 信じたくないと、聞きたくないと思いながら。 ノックスの連れが歪んでいることをうっすらと感じとりながら。
幼馴染がそうであって欲しくない。その存念だけで目を逸らしたのだ。]
(194) 2014/11/22(Sat) 22時半頃
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痛いとか苦しいとか
それから逃げてちゃダメだろ。
痛いことも苦しいことも避けきれない。
慣れろとは言わねぇが――…
逃げてるばかりじゃ大事なものを失う。
[痛みと引き換えにした平穏も
今は大事なものと引き換えにして。
その大事な者も物言わぬ姿になってしまったけど。]
[復讐が救いとはならないことを知っていて
それでもおさまらぬ感情にゆさぶられる。]
[人らしい感情 深い哀しみ 獣だから
切り捨てようと しながら
聞こえることへの それに共感の頷き
全てを失って すべて すべて
そのあと 聞こえる 相手が 衝動のまま食らっても
獣である彼は 頓着しない]
もう 大事なものなんてないーーー!!
一所懸命 苦しいの 我慢しようとして
寂しいの我慢しようとして
なくなったのに
何があるの なにもないよーーー
[大きな暖かい手も 穏やかな春の日差しも]
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[獣の慟哭が響く。>>188]
人間でも獣でも苦しいんだよ、この馬鹿。
[思わず、言うはずのなかった言葉が唇の端から落ちた。]
好きな奴が、…大事な奴がいなくなったら人間だろうが獣だろうが死にそうに痛いし辛いんだよ。 だからって獣みたいに行儀悪くすんのが当然とか思ってんじゃねえ。
[痛みを呼び起こす叫び声に眉を寄せた。>>192]
食ったって…一緒にいられるなんてのは錯覚だ。他の食いもんと同じだ。血肉を分けて永遠に、なんていられねえんだよ。
(197) 2014/11/22(Sat) 22時半頃
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大事に思ってるお前さんが、貶めるようなマネはすんな。
[責める気も言い聞かせる気も一切ない。 ただ、自分の痛みを重ね合わせただけの言葉。]
(198) 2014/11/22(Sat) 22時半頃
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大事なものはいずれ見つかる。
生き続ける中で出会うもんだ。
お前さんだって、此処でラルフと出会ったんだろ?
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